証明書発行コーナーの廃止は撤回を(2021年9月14日/文化環境委・文化市民局・井坂議員と山本議員の質疑文字起こし)

文化市民局資料:証明書発行コーナーの一部見直しについて

◆井坂議員/そもそも区役所以外の証明書発行コーナー9カ所を開設した目的は。その役割に対する評価は。

(→平賀・地域自治推進室長)現在9カ所ある発行コーナー。それぞれにおっしゃるように配置・設置の経過がある。一番最初に設置した市役所のコーナーは土曜開庁の代替措置という側面あった。

西院、向島については、平成9年に設置しているが、やはりアクセスの問題もあったことから、出張所への設置のご要望もあったなかで開設。

その後、通勤途中で利用できる、お住まいの地域というよりは、駅のターミナルに置くことによる利便性向上を考えて、四条もあったが5カ所。

嵯峨及び岩倉については元々出張所だった。平成25年だったかと思うが、戸籍業務電算化ができ広域交付が可能になった状況も踏まえ、出張所から証明書発行コーナーに位置づけを変えた。

それぞれの評価だが、現在ご利用いただいているところだが、みなさんには便利にご利用いただいているのではないかなと考えている。

◆井坂議員/その通りだと思う。市民サービスをどういうふうに進めていくか考えた時、ターミナルにつくったり、出張所とセットにしたり、利便性と市民サービスを考えて開設されたと。良いことだ。それがなんでこの度、それを廃止するのか。

嵯峨は開設から7年。岩倉は6年。両方とも10年も待たずに、行政施設・施策を廃止するが、これは行政コストから考えていかがなものか?

(→平賀・地域自治推進室長)証明書のコンビニ交付サービスを始めたのが平成31年。嵯峨・岩倉の開設はそれより以前だが、「交付円滑化計画」がその後策定され、マイナンバーカードの普及促進に国あげて取り組む方向性も示されるなか、大半の機能が重複、平成26年27年当時と状況が大きく変わるなかで効率的な体制に転換ということで廃止させていただく。

◆井坂議員/行政サービスが日々進歩していくなかで状況が大きく変わったとの説明。西院、向島、嵯峨、岩倉それぞれ配置の職員数と雇用形態はどうか。

(→平賀・地域自治推進室長)西院は4名、それ以外は3名の配置。いずれも再任用の職員を配置。

◆井坂議員/4つのコーナーの廃止に伴う経費削減の影響額はいくらか。

(→平賀・地域自治推進室長)人件費で6000万円の削減効果。これ以外に、向島は賃借料が年間約170万円。その他4コーナー全体の維持管理費が約140万円。6300万円余りの財政効果を見込んでいる。

◆井坂議員/結局そこじゃないのか。いま京都市をあげて「行財政改革」で「支出を減らす」と言ってる。市民サービス後退もあるがやむをえないと。結局は人件費、支出を減らしていくためのものでは。

(→平賀・地域自治推進室長)当然、申し上げた通り費用の削減効果はある。目的にも掲げているように、マイナンバーカードの普及が進む中での証明書発行体制の効率化を図るということで実施する。

コンビニ交付サービスを始めるにあたってもシステム改修している。初期投資7000万円余り。そのうえで例年だいたい3000万円を超えるランニングコストも発生。サービス充実する過程で生じているコスト、これらを踏まえて今回効率的な体制を構築するため廃止したいと考えている。

◆井坂議員/マイナンバーカードをコンビニで交付サービス始めたから、そっちに移行していくと。その移行はマイナンバーカード普及促進とセットだと。これは国をあげて言っているし、京都市の基本方針。それでは、マイナンバーカードの普及の現状と到達点に対しての評価と目標は。

(→臼山・マイナンバー業務改革推進担当部長)国は「来年度中にほとんどの国民がマイナンバーカードを保有する」ところを目標に掲げている。京都市の現状は38.7%(7月末現在)まで来ているので、まずは50%を目指すのが直近の目標と考えている。

◆井坂議員/そうなんでしょ。まずは50%直近目指すと。将来的には国が言ってるから100%、全国民に目指していくというが、現状からはなかなかそこまで普及がいかないと思う。マイナンバーカードに対するいろんな個々人の価値観、考え方があるから。

その点で見た場合、直近目標で50%。その50%の人しかコンビニで使えない。残る50%はコンビニを利用できない。だとしたら明らかに、この4カ所無くなって、そら区役所に行ったらできるかもしれない、みなさんは盛んに「コンビニにできる」と言うけど、市民の半分はそのサービスに当たらない。これはやっぱりサービスの後退ではないか。

(→平賀・地域自治推進室長)現状の取得率は38.3%。コンビニ交付サービスをご利用いただきたい、そうした中で普及促進に取り組む。今回廃止するコーナーの周辺地域で複数回、出張申請窓口を開設し、コンビニ交付サービスがあることもしっかりご紹介しながら普及促進に取り組んでいきたい。

半面、ご利用いただけない方がこれだけいるというご指摘は、それはもうその通りなので、その交付率の普及に少しでも資せるような取り組みを市総体で取り組んでいきたい。

◆井坂議員/その50%がいつになるのかも微妙なところだし、いま、マイナンバーカードを持たない方のサービスの問題については指摘通りだとおっしゃった。

そこで最後に聞きたいのは、4カ所を廃止するにあたって「周辺地域にチラシを配布する」と言われたが、冒頭のところで「ターミナルに設置した場合、通勤途上で証明書発行する人もある」とおっしゃった。だとしたら、周辺地域にチラシを配布するだけでいいのか。廃止を前提に言うつもりはないが、それを利用する可能性のある全市民に知らせる必要がある。

また、チラシを配布するというのは、京都市の側からの一方通行の情報提供。だけど本当に周知するのであれば、それを利用している人、利用する可能性がある人が、廃止をすることに対する意見をちゃんと言える場をつくる、それを聞く場所をつくる、行政側の責任があるんじゃないか。説明会的な意見交換の場を開く必要があると思うが。

(→平賀・地域自治推進室長)日々ご利用いただいている方に、しっかりお伝えしていくのが大切かと考えている。そういう意味でまぜ周辺地域のチラシなどということでお話をさせていただいた。

当然、本日以降、こういったことをしっかり周知していくにあたって、例えばそれぞれのコーナーでの周知、実際にコーナーをご利用いただく方への周知をそういう形で図っていきたい。

また、全市的な広報は、来年3月末のことでもあるので、時期はまた検討したいが、市民しんぶんによる周知広報に取り組みたい。

意見を聞く場ということだが、コーナーを廃止するということだけではなく、出張申請窓口を複数回実施するということでお示ししている。そのことの周知をしっかり図っていく方法については、地域の方々と協議しながら効果的な方法を考えていきたい。一律での説明会実施するということは考えていないが、具体の周知方法については、自治連の会長さん、市協の代表の方、こういった方々のご意見を聞きながら考えていきたい。

◆井坂議員/もう既定方針にしてるわけでしょ。来年3月にはこれを廃止すると。ということでやっぱりいま、行政に対して市民が思っているのは、「行政の都合で一方通行で知らされる」、あるいは「知らされないまま進む」ということに対する、大変危機感的なものを持っておられる。これは市民意見募集、行財政改革へのパブリックコメントに9000件声が寄せられた中にもそういうものがあったし、きちんと利用者、市民に周知しながら、意見に基づいて、必要に応じて施策の変更も含めて検討する必要もあると私は思う。ぜひ文化市民局という局のあり方から考えても、そこを大事にしていただきたいと思う。

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◆山本議員/先ほど井坂議員からも住民の声を聴くべきだという趣旨の質問があったが、この「一部見直し」を検討するにあたって、そういった利用者のみなさんのお声をお聞きしたり、利用状況を把握して検討はされたのか。

(→平賀・地域自治推進室長)資料記載の通り、元々30年4月に策定した「サービス向上プラン」に掲げていた。具体は「マイナンバーカードの普及状況と、コンビニ交付のご利用状況を踏まえながら検討すること」とさしていただいており、今回見直しにあたってアンケートを取ったりというようなことはしていない。今回改めてプランに掲げた方向性について具体の内容についてご報告をさしていただいている。

◆山本議員/具体的に、廃止されたらどのように困られるか。岩倉や向島、先ほどもコーナーの設置は「アクセスの問題もあった」とのことで、周辺地域の住民のみなさんの利便性ということもあったと思う。

岩倉のみなさん、もしこのコーナーがなくなって区役所に行かないと取れないということであれば、バスで区役所に行かれる高齢者の方あるかと思うが、乗り換えなければ区役所にも行けない。交通アクセスの不便さがあるとお聞きした。

向島の方も「近鉄電車に乗って降りたらバスに乗るか10分くらい歩くか、タクシーで直接区役所に行けば2000円くらいかかる」と。アクセス上のご不便もあると思う。こういうこともしっかり検討されたのか。

「マイナンバーカードでコンビニ利用を」ということだが、高齢者の方、こういう利用に不安な方も多いと思う。こういった見直しにあたってどのように対応するのか。

(→平賀・地域自治推進室長)マイナンバーカードをお持ちでなければ、おっしゃるように他のコーナーに、例えば公共交通使って行っていただく、区役所の窓口に行っていただくことが必要になるのは、これはもうご指摘の通り。ただ一方で、先ほどから答弁申し上げているように、マイナンバーカードお持ちであれば、大半の証明書についてお近くのコンビニで平日、夜間も、深夜も使える。土日も対応できる。そういうサービスを現在京都市はおこなっているので、そちらをご利用いただきたい。そのためにマイナンバーカードの普及に努める、その取組として出張申請窓口を開設する。

コンビニ交付をされたことがない、あるいは認知度がまた低いんじゃないかという思いもあり、先ほども別の委員にお答えしたが、こういったリーフレットもつくり、ビジュアルも使いながら、具体的なご利用方法をご案内するものをつくっている。こういうものを利用・活用しながら、住民のみなさんにマイナンバーカードをお持ちのうえ、コンビニ交付サービスをご利用いただきたいと考えている。

◆山本議員/高齢者の方やコンビニでの利用が支障のある方のことをしっかり検討しないといけないと思う。マイナンバーカードを使って機械が対応するということだから、これを人に渡してやってもらうということは想定したくない。けれども高齢者の方にとっては、自分でやるには不安だということで人にやってもらうということも想定しないといけない。

そもそもマイナンバーカード、利便性ばかりが強調されるが、持ち歩いたことで情報流出や紛失などのリスクもある。そういうことも検討はされてるのか。マイナンバーカードの普及が拡大すれば、失くしたり忘れたりするなどの問題も出てくる。もしマイナンバーカードを悪用した被害が発生していくことになれば、こういったマイナンバーカードを活用したサービス自体が機能しなくなることも想定しなければならないと思うがどうか。

(→臼山・マイナンバー業務改革推進担当部長)お年寄りの方が紛失する恐れがある、そういったご不安はあるとは思うが、紛失した際は国のほうに24時間受付のセンターもあるのでカードの停止をすぐできる。また、警察に紛失届を出していただくことで個人情報の流出は防げると考える。

◆山本議員/行政の方が、この発行コーナーにしろ、職員がしっかり対応してあげられるサービスがなくなっていけば、こういうマイナスの事態も想定される。サービスの後退によって、いろんな被害が起こるかもしれないということは、しっかり見ておかなければならない。

もう一つは、利用状況どうなのかと思い、昨日も一番利用者の多い西院のコーナーの前で利用者さんに聞き取り調査をしてきた。地元の山田こうじ議員と2人でお聞きしてたが、1時間で20人近くの方が利用され、お話できた15人のうち7人が「仕事関係」の利用だった。西院では特にそういう特殊性があるかと思う。自動車会社、不動産会社、お客さんの証明書を手続きしておられたり、仮ナンバーの発行もある。その場合、マイナンバーカードは利用できない。どう対応されるのか。

(→平賀・地域自治推進室長)おっしゃるように業務上の方がご利用になっているのは当然認識をしている。常に統計を取っているわけではないので正確なことは申し上げられないが、傾向としては4割程度の方は本人さん以外のご利用になるのかなと考えている。そういった方がマイナンバーカードご利用できないのは事実。

西院に限って言うと、1km圏内に区役所もある。駐車場もある。一番大きい区役所で職員も多数配置しているが、そういった今後の展開はしっかり検討するが、基本的には最寄りの区役所をご利用いただきたいと考えている。あるいは業者の方であれば、郵便請求という形で違ったサービスをご利用いただけることもあろうかと思う。士業団体にはまたご説明もさせていただくので、そういった形でご理解を賜っていきたい。

◆山本議員/どれぐらい右京区役所で増えるのかという想定だが、いま右京区役所での発行件数は1年間で何件か。

(→臼山・マイナンバー業務改革推進担当部長)だいたいだが、年間に約12万件の証明書の発行をしている。

◆山本議員/今現在でも右京区役所12万件だから、そこに西院の5万件や嵯峨の1万8000件が加われば、約6割増という利用者を想定しておかなければならない。事業者の方が一番「困ります」と切実なご意見だった。やっぱりお仕事で行かれるわけだから、休みを取って行ってるわけではない。利用に時間がかかれば経済的な損失も大きい。自動車会社の方も「各社員がそれぞれの案件で証明書コーナーを利用している」とのことで、時間がかかるということはそれだけ企業の方にはマイナスだと、切実なご意見もお聞きした。

さらには、かなり右京区役所が混んでいるイメージで、「さらにコーナーがなくなったら区役所も密になって、いまのコロナ禍で逆行する対応なんじゃないか」というご意見もあったがどうか。

(→平賀・地域自治推進室長)まず西院、5万件余り、嵯峨1万8千件余りだが、先ほど来申し上げているように、一般の利用のマイナンバーカードの取得をしっかり進めていく。コンビニ交付サービスもご利用いただく。この件数が丸々区役所に流れていくとは考えていない。今あるサービスをしっかりご利用いただく、シフトしていく、こういったことにはしっかり取り組んでいきたいと考えている。

そうしたうえで、右京区役所だが、確かに繁忙期なんかは非常に混雑もしている。職員数も区役所で一番多い人数を配置している状況もある。今回、マイナンバーカードの機能を集約してセンター化した。特に昨年目立っていたのが、マイナンバーカードの交付でお客さんが多数来られて、市民窓口のところに設置していたのでそういったこともあったが、いま現状は予約制にしており、密を回避するという対策は常に講じている。そういったことも含めて、先ほどもご答弁したが、現場としっかり相談しながら、今回の廃止に伴う影響についてどう対応していくかは検討したい。

◆山本議員/初めに戻って、やっぱり利用状況をしっかり把握して、対応を考えながら進めていただかなければならないと思う。周辺地域の方、高齢者の方への対応や、事業者の方が多いとか、そういうこともちゃんと個別に見ていただく必要がある。やはり5万件は影響大きいと思う。ここでもし続けられないんだったらほかのところで発行コーナーを維持する必要があるのではないかとか。個別の利用状況を見た検討が必要になってくると思うのでお願いしたい。

私はマイナンバーカードの促進を進めていくことが、この発行コーナーの縮小っていうのは、やっぱり個人情報流出のリスクを負ってのこと、利便性も自己責任、そういうことを考えたら再検討をしていただきたい。このことを求めて質問を終わる。

2021年9月14日【文化環境委】文化市民局/理事者報告「証明書発行コーナーの一部見直しについて

(更新日:2021年09月14日)