本当に対面でのチェックイン・チェックアウトはされている?「管理者の常駐」こそ民泊火災の最大の教訓(2018年2月7日/教育福祉委・保健福祉局・山本陽子議員と井上けんじ議員の質疑メモ)

◆山本議員/1月20日の夜間に発生した東山区の民泊火災について、まずは経過説明を。

(→太田・医療衛生推進担当部長)1月20日の夜10時くらいに、木造平屋建ての建物を使用した旅館業許可を取得している宿泊施設、ここの敷地内にあるトイレ外壁に付けられた白熱灯付近から出火し、東山消防署が出動した。この出火は白熱灯にかけられたタオルが燃えていたという状況。近隣住民の方が臭気を感じて建物の中を確認したところ、タオルが燃えていることを発見され119番通報。また、ご近所の方から宿泊者に対して火災を知らせていただき、宿泊者がタオルについた火を消すという状況。消防隊員が到着した段階では鎮火していた。

◆山本議員/起こってはいけない火災が起きてしまった。検証していきたい。こういった場合の管理者の責任、火災が起こった場合、それを予防するための責任、その時の責任、どのように考えられているか。

(→太田・医療衛生推進担当部長)宿泊者に対して火災に関する通報の方法、消火の方法、それも含めたハウスルールの徹底について、やはり面接を通して十分宿泊者に周知する必要があろうかと思う。また、通報を受けた管理者の現場への管理体制についても指導を行っていく。

◆山本議員/その管理者の責任は果たされていたのか。

(→太田・医療衛生推進担当部長)消防が到着するのが早いが、管理者も30分経ったところで駆けつけている。幸い大きな火事にならなかったが、宿泊者から消防のほうに通報がなかったなら、もう少し十分な周知をする必要があったかと思う。ただ、近隣の方が消防に通報していただいている部分については、管理者が近隣の方への宿泊施設の徹底した周知ができているものと考えている。

◆山本議員/この間、関連の委員会でも質疑され明らかになっている問題もある。この施設は2名定員のところに宿泊客が3名泊まっていた。定員より多い宿泊は、もし面接がされていれば「泊まれませんよ」となると思う。それからハウスルール、説明書などの設置もなかったと聞いている。何のために「面接」「説明」が必要と言ってきたのか。それが実際に許可施設で行われていなかった可能性がある。この点はどうお考えか。

(→太田・医療衛生推進担当部長)ハウスルールについての説明書き、これについては医療衛生センター、消防署、合同調査をしたところ、我々のほうではハウスルールが設置されていたことについては確認している。定員の問題は、確かに定員オーバーの宿泊は問題があろうかと思っている。それについても指導を行ったが、そういったことを今後ないように監視についても加速化をするということで進めている。管理者が宿泊者が施設到着時に面接を行っていることも確認している。

◆山本議員/3名泊まらせていることについては指導されたのか。

(→太田・医療衛生推進担当部長)3名泊まっているという事実については指導している。

◆山本議員/許可条件と違う営業をなさっているということ。これは徹底した指導が求められているのではないか。「ハウスルールの説明書きはあった」とおっしゃったが、消防局質疑では「火災に対する対応についての説明、注意書きは設置されていなかった」と聞いているが。

(→太田・医療衛生推進担当部長)消防局のおいておられる部分についてはなかったと聞いているが、ハウスルールの中で消防に対する周知している内容もあった。これについては現場のほうでも確認している。宿泊者が多くいるということについては非常に大きな問題。したがってそういうことも踏まえて事業者に対して「営業を自粛するように」指導している。

◆山本議員/住民の方の報告では、「火災のあった日もそのまま宿泊客は泊まられて、翌日(日曜日)チェックアウトされている」と。で、「そのまた翌日(月曜日)に掃除業者がやってきたので、『しばらく営業しないでほしい』と伝えたが、当日宿泊客が入室していた」と。この状態に対して住民の方が抗議をされた結果、宿泊停止・営業中止となったと、住民の方は理解されている。この事実経過はどうか。

(→太田・医療衛生推進担当部長)火災があった金曜日、もちろん宿泊者の方おられましたので、この方、夜中に出ていただくというのはちょっと不可能かと思う。また、消防と合同で調査して、その後、医療衛生センターのほうに事業者等呼び出した。その中で今回の定員オーバーについてもしっかり指導する中で、やはり近隣の方のご意見もあったかと思うが、こちらから定員オーバーになるような宿泊については許すわけにはいかないので、守っていただくということで、営業の自粛をしていただくというふうなことで指導してきた。

◆山本議員/営業のあり方の改善、これがしっかり住民の方が「これで安心だ」と思われる状況がなければ、営業再開ということには不安が残る。そのことについて住民の方が改善を求められたわけだが、本来であれば許可権者である京都市が、この改善の内容について、しっかりと住民の方にも説明し、これが実施されているということを安心していただくという経過をたどるべきではないか。改善させる内容について、住民の方も「インターホンを押して中にいる人に伝えたかったけどインターホンがなかった」とか、「ハウスルールのみたいなものが壁とか見えるところに貼ってなかったからこれは分からないんじゃないか」とか、そういう具体的なことを求められている。こういう火災が初めて民泊と言われるところで起きたわけだから、京都市としてもしっかり対応して、改善・指導監督に役立てていただきたい。そうでなければ本当に不安。これを教訓としなければならないことをしっかり認識しなければならないと思うがどうか。

(→太田・医療衛生推進担当部長)今回の案件について、「業者のほうから近隣住民の方に対して謝罪するように」ということで、こちらからも指導している。いまおっしゃったように、やはり営業再開する時には、近隣の方に十分な説明を行ったうえでご理解をいただいて営業を再開するようにも指導を行った。今回火災について、やはり外部の電球が燃えたということで、中で寝ている宿泊者が気がつかなかった部分もあろうかと思う。消防局と連携を強める中で、事業者に、宿泊者に徹底したハウスルールを守っていただくと、また、消火設備の使い方、そういったものについても十分指導していきたい。

◆山本議員/いま本当に住民の方が不安に思っておられるのは、「違法民泊」という範疇だけではなくて、このように許可を受けた施設であったとしても、不適切な営業がなされている場合がやっぱり不安。こういったことが行われていないかということを、しっかり監督できていなければならない。他の施設に対してもこの教訓をしっかり周知していただきたいがどうか。

(→太田・医療衛生推進担当部長)他の施設についても、やはりこういった「ハウスルールの掲出」「管理体制の強化」、これについて定期監視を通じて十分説明をして徹底していくように指導していきたい。

◆山本議員/これを機に簡易宿所などの監督指導を強化することは検討されているか。

(→太田・医療衛生推進担当部長)この1月から、監視体制、定期監視について加速化するということで、委託する中で監視も強化している。今後そういったところを通じて、また、職員の監視も含めて、十分指導を徹底していきたい。

◆山本議員/いま言っていただいたのは外観調査のスクリーニング。不良として対象の施設だけを内部に入って調査するということだと思う。この件は、本当に説明書が置かれているのか、しっかり面接して説明されているのか、というところが問われている。実効性のある監督指導が本当にそれでできるのか。もしこの定期監視、外観調査のスクリーニングでこういう施設が漏れてたとしたら、不十分な調査ということになる。ここはしっかりと改善して全件の監視・調査をすべきだと思う。だとしても私は限界があると思う。この施設は本町通に面した木造家屋であるが、その裏を接する住宅を見れば、本当に近接した住宅密集地に該当するところ。もし火災に発展していたら大変なことになる。住民の方も言っておられたが、「10時頃だったからまだ起きていて気づいた」と。火の状況は「煙の臭い」「それを見てみたらオレンジ色の炎が出ていた」と。こういった状況。これがもっと深夜であれば、迅速な対応が本当にできたのか。屋外のトイレの壁だから宿泊客も気づかないのではないかと考えられる。こういったことが起きないようにするにはどうすればいいのかということを考えなくてはならない。出火の原因、なんで白熱灯にタオルをかぶせたのか。外国人の宿泊客の方だから「白熱灯の消し方がわからなかった」と。「この灯りが明るかったからタオルをかぶせたんだ」と。私たち日本人が想像できないことでこういう事態にも陥る。しっかり管理者、宿泊施設の方が説明できるという環境がなければならないのではないか。今回管理者は出火してから43分後、それから30分後にオーナー到着と聞いている。簡易宿所の駆けつけには20分と言われてきたが、この点からもほど遠い。この間パブコメもされ、その回答も示された。ここで書かれている内容は、これは住宅宿泊事業法だが、「迅速な対応」というのが「緊急時には管理者が直接駆けつける」「応急対応を行うとともに、消防機関等に対する宿泊施設に関する情報提供などの協力をして、緊急時の対応をより的確なものとする」んだと。「そのための(駆けつけ要件)10分」なんだと、言っている。これが実際行えてなかったということが、しっかり検証されなければならない。でなければこれ言ってること「絵に描いた餅」になってしまうのだから、いくら言っても住民の方は納得されない。不安なまま。パブコメではやはり「管理者の常駐」を求めておられる声が多数あることも分かった。宿泊事業が、管理者が常駐しなければ対応できないことがあるということをこの火災を教訓にしていただきたい。

(→中谷・医療衛生推進室長)まず防火の話。火事はないにいいほうが決まっている。また、火事が起こった時にできるだけ被害を小さくとどめる、そのために様々な設備を設けなさい、あるいは、こういった取り組みをしなさいということが、消防法、建築基準法、で、我々の指導の中で定めがあり、それを守っていただくという形にしている。今回の事案については、消防の設備等に関しては異論はなかったのかなと。ハウスルールについてもきちっと書類をつくって見れるようにはしていたとのこと。一応我々の基準はクリアできていたものと考えている。確かに外国の方、若い方ということで、白熱灯が熱をもって危ないということをご存知なかったので、タオルをかぶせてしまったと思うが、これについては想定外のことなのでなかなか最初からハウスルールに入れとくのは難しいかなと思うが、これも一つの教訓として、「こういうことがありましたよ」と消防と共々、事業者のほうには周知してまいりたい。

ただ、我々が指導の中で、この間ずっと言っているのは、こういった民泊の施設をつくられる方に関しては、「地元の方ときちっと顔の見える関係をつくってきてください」「最初に事業を起こすという時にはきちっと挨拶に行って、こういうことしますよと、こういう方が泊まられますよと、事業内容の説明してください」「そういう中できちっと顔の見える関係をつくってお互い助け合いってことをやっていくような関係をつくってください」「それがひいてはみなさんの事業を円滑に進めることになるんですよ」と、ずっと指導してきた。で、まさにこのケースというのは、そういった事例ではないのかなと思っている。こういった東山のような地域では、連棟の中でお店をやっておられるとこ、夜中には人がいなくなるが、そういうお店もあるし、夜中人が寝静まってるところではなかなか火事が起こったとしても自分で気がついて通報するということはできないのかなと、それゆえにお隣の方が気をつけられたりとか、あるいは通行の方から通報されることも多いと思っている。そうした、お互い助け合うんだ、地域の住民として助け合うんだという関係が、しっかりできていれば、こうした事態にもできるだけ被害が少なくする取り組みができるかなと思っている。これは地域との調和という具体例。そうした形になるように引き続き指導したいと思っているし、今回2月市会に提案している条例でもそうした考えを持って様々な仕組みというのを取り組むような形にしているのでよろしくお願いしたい。

◆山本議員/いまお話に合ったような住民の方との信頼関係は、この事業者さんは築けていないと私はお話をうかがって分かった。住民の方への挨拶には行かれたそうだが、説明会も開かれていない。協定書なども結ばれていない。連絡先の周知はされていたが、地域の中で事業者の方と信頼関係をつくっていくような努力をされていたかといえば、そうではないかもしれない。そういうなかで、「何で住民がこの火災に対して責任を負わなければならないのか」と、言われている。一つ間違えば延焼する火災になるという時に、いまおっしゃられたようなことを、住民の方に責任を押しつけるということはあってはならない。条例について結論ありきでこれでいいんだとなってしまってはいけない。少しでもいい規制条例をつくっていかなあかん。他の都道府県・市町村や政令市などで、条例案出てきているが、京都市よりも厳しいと思われるところもある。二人体制で常駐、24時間常駐をする、直接連絡できるシステムを置くとか、より具体的に厳しい条件を課していくのはたくさん考えればできる。

最後に、最近聞いたいまの京都市の民泊の状況を聞いてびっくりしたのでお伝えしておきたい。世界を見れば、バルセロナやパリでは民泊の規制に踏み切った。東山区では昨年9月時点で、簡易宿所など宿泊施設数が、1000世帯当たり19軒。50軒に1軒という割合。これはすでにバルセロナやパリと同じ状況だそうだ。民泊規制が進んでいる世界の都市と同じような状況にある。京都市がこんな状況にあることをしっかり認識していただきたい。観光都市として標榜するなら、私たちのまちを守れるのかという危機感のレベルを上げるべき。住民のみなさんの住環境をしっかり守っていくために最後まで努力をしていただきたい。

*山本陽子議員の関連質問

◆井上議員/要するにお聞きしたいのは、1月20日のチェックインの時に、施設内で営業者の方が面接されたのかどうか。このことについて経過を教えてほしい。

(→太田・医療衛生推進担当部長)先ほども申し上げたが、宿泊者がおいでになった時に、この面接場所で説明をしているというふうに確認している。

◆井上議員/じゃあ1月20日限らず、この営業者は、お客さんが来られるたびに、そういう方法で施設内で、チェックインの手続きを毎回されてると、こういうふうに理解していいか。

(→太田・医療衛生推進担当部長)はい、そのように確認している。

◆井上議員/チェックアウトの時はいかがか。

(→太田・医療衛生推進担当部長)申し訳ございません。チェックアウトついてはちょっと確認できておりませんけれども、「チェックインの時には必ず説明している」というようなことは確認しております。

◆井上議員/じゃあ「今後の指導」とおっしゃったが、「チェックアウトの時も必ず施設内で面接してさよならという手続きを経てくださいね」という指導をされておられるのかどうか。この点はいかがか。

(→太田・医療衛生推進担当部長)もちろんチェックアウトの時もカギの受渡しもあるので、そういった部分については強く指導していきたい。

◆井上議員/それが今後守られる保証があるのかどうか。

(→太田・医療衛生推進担当部長)こちらについては我々も強く指導していく中で、また、監視の中でも確認していきたい。

◆井上議員/じゃあ1月20日の夕方と夜の話に戻るが、夕方にチェックインの時に施設内で面接をして、それで「いらっしゃい」と手続きをしてやね、ほんで「私はもう席を外すけれども今晩ここで泊まってね」と、こういう経過だったと理解しとけばいいか。

(→太田・医療衛生推進担当部長)そのとおり。

◆井上議員/今回最大の教訓とすべきは、この間議論の中でチェックイン・チェックアウトの時は「施設内でのこんにちは・さよなら」と、人が必置だという議論をさしてもらってきたけれども、それだけでは不十分だということが今回最大の教訓だと思う。日中にお客さんが出はった後までいなけりゃならないかどうかは議論の余地があるが、少なくとも、お客が滞在中は宿泊施設にいなけりゃならないという、常駐義務というものが、やっぱりこれは求められるということが最大の教訓だと思うが。この辺り、今後の展開も含めていかがか。

(→中谷・医療衛生推進室長)先の委員会で、本市の民泊に関するルール案をお示ししたところ。住宅宿泊事業法の施設については、基本的には常駐をしていただく、それができない場合には「駆けつけ要件」というものを課して、できるだけ早く、緊急の対応、あるいは、苦情や問い合わせに対して迅速に的確に対応できるような体制をとることをルールとしていきたいと考えているところ。旅館業施設についても、同じような考え方で、一定きちっとした管理ができるようなルールをつくっていきたいと考えているが、先の委員会でも説明した通り、今現在、旅館業法の改正がされて、玄関帳場の取り扱いが大きく少し変わってきた部分がある。その辺りしっかり、国の法律等しっかり見極めたうえで、我々としては新たな旅館業の管理に関するルールとして、これは今回の市会のほうにはご提案できないが、5月市会には間に合うような形で、旅館業施設に関するルールをご提案していきたい。

◆井上議員/「旅館業法の改正に伴う通知」において、サテライトというのか、「おおむね10分程度で駆けつけることができる云々」と、これはあくまで通知であって、従う義務も何もない。ましてや本市では条例で「帳場の設置義務」ってことが引き続きうたわれ続けるわけだから、ぜひ旅館業法が改正されたとしても、むしろ前から言ってるように、台東区のように常駐義務を強化すべきだとあらためて思う。そのことこそが最大の今回の教訓じゃないかと思う。

2018年2月7日【教育福祉委】保健福祉局/一般質問「東山区での民泊火災について」

(更新日:2018年02月07日)