東山区の簡易宿所火災の教訓が問われる。市民と旅行者の安全守るため「管理者常駐」義務付けを!(2018年2月5日/総務消防委・消防局・ひぐち英明議員の質疑メモ)

◆ひぐち議員/1月20日に発生した、東山区の簡易宿所、いわゆる民泊施設での火災について。私も現場を見てきた。戸建ての民泊施設の離れにあるトイレから出火したとのこと。この施設は許可された施設で、管理者はいない、いわゆる家主不在型と言われている施設。宿泊していたのは外国人とのこと。火災の通報があり、消防隊が出動したのが午後10時21分とのこと。まずお聞きするが、誰が火災の通報をしたのか。

(→山村・予防部長)近隣の方が「臭気がするので建物の中を確認するとタオルが燃えていた」ということで通報された。

◆ひぐち議員/近隣の方が炎が出てるのを見て通報されたと。管理会社やオーナーには誰が連絡したのか。駆け付けるまでにどれくらいの時間を要したのか。

(→山村・予防部長)管理会社、オーナーへも同じ近隣の方が知らせられたと聞いている。消防隊が着いたのが22時23分、それから30分くらいしてから管理者の方、23時頃かなと。経営者・営業者の方はそれからまた30分後ぐらい、23時30分頃というように聞いている。

◆ひぐち議員/管理会社が23時頃、その30分後にオーナーが到着とのこと。宿泊客は、火災に対してどのような対応だったのか。

(→山村・予防部長)近隣者から火災を知らされ、燃えているものを叩き落して消火されている。したがって消防隊が到着した時には火災は消えていた。

◆ひぐち議員/いまのお話では、宿泊されている方は火災に気づいていなくて、近隣の方から知らされてやっと火災に気づいて、本人たちが火を消したと。宿泊客に対して、火災の際の対応、緊急時の対応について、管理者から説明はされていたのか。

(→山村・予防部長)私ども開業される時、消防法令の検査に行く。その時には管理者、あるいは営業される方に対して「119番の通報要領」「喫煙管理」「消火器の取り扱い・消火の方法」「施設管理者の所在地・連絡先」を入れた書面を見やすいところに貼っていただくよう指導しているが、この時(火災時)、そういう書面がなかった。書面がなかったことから(管理者からの説明は)ちょっとされていなかったのかなと考えている。

◆ひぐち議員/緊急時の対応を書いた書面そのものが現場にはなかったと。開業時には指導はしているけれども、実際に設置されていなかったし、たぶんそういった説明もなかったのであろうと。いまのお話聞いていても、結局、火事に気づいたのも、消防署に通報したのも、管理会社に連絡したのも、近隣住民。管理会社が現場に来たのは約40分後、オーナーはさらにその30分後。火災の際の対応の説明書すら置かれていない。安全面に関して近隣住民の方々に頼り切った対応だったと言わざるをえない。あまりにもひどい対応。近隣の方も「いつかこういう事態が起こると思っていた」と怒りを込めて話されていたが、この怒りは当然だ。近隣の住民のみなさんが、その後、管理会社に対して要望書を提出されている。その中には9項目の要望が書かれており、最後に「今まで平穏に暮らしていた生活に、そんなこと(玄関前や裏庭での喫煙など不安を感じる状況や騒音などの不快な状況のこと)が真横や真裏でくり返され、火事騒動まで引き起こされた住人の気持ちを想像し、真摯に受け止めていただくことを願います」とある。管理会社に出された書面だが、行政も真摯に受け止める必要がある。今回の件を受けて、消防局としてどこに問題があったと考えているのか。

(→山村・予防部長)今回この事案を受け、二点問題があったと考えている。一点は、白熱電球にタオルをかけそこから燃え出しているという点、これについてはそういう事案が発生していることを事業者や管理されている方に例を示して「今後火災を気をつけていただきたい」と。これまでは開業当初のタバコ火災が件数としては多いのでそれを中心に言っていたが、今後簡易宿所で発生した火災原因などもお知らせしてそういうことを防いでいく必要があるだろうと考えている。もう一点は、開業の時には、利用者に対する緊急時の対応を書面で出していただいていたが、当日はもうなかった。開業後、一定期間経つと、全てのところがということではないが、そういう事業所・簡易宿所もあるのかなと類推されるので、その点についてはしっかりと継続的・定期的な立入り検査も行って、消防のほうで確認をしていきたいと考えている。

◆ひぐち議員/いまの二点目のほうだが、その説明書というのは、一応指導はされるが義務ではないんですね。それをもう少し強いものにしていくことは考えられていないのか。というのも一定期間経つとそういうものがなくなっていくようだという話だったが、この施設で言うとまだ開業されて半年あまりだ。何年も何年もやっていたわけではない。そういった指導をされているなら、それがもう少し実効性あるものになっていかないとどうしようもない。

(→山村・予防部長)その辺は私どもの「規定」のほうでこういう定めをして。というのは、管理者が常時やはりそこにいらっしゃらない時があるという施設に対しては、こういう指導をやっていく必要があることからやっている。したがってその辺しっかりと取り組まれていることを確認しながら、指導していきたい。

◆ひぐち議員/あくまで指導の範囲にとどまっているというのはちょっとどうなのかなと思う。この火災の後、同じ学区の同様の施設、43施設を訪問したと資料でいただいた。ところが、会えたのはたった3施設のみとのこと。これで「とりあえず回ったからいいですよ」「もうおしまいですよ」ということでいいのか。少なくともちゃんと面接によってきちんと指導すべきだと思う。43施設というのは全て許可施設なのか。いわゆる違法民泊にはどういう対応になっているのか。

(→山村・予防部長)43施設は簡易宿所として私どもが「消防法令適合通知書」を出して許可を取られている施設すべて。区内の簡易宿所(320件)に対しても、「火災防止の徹底について」という書面を添付し、注意事項の内容を郵送している。43件のうち3件しか面接できなかったのは、急な訪問でもあるので。通常立ち入り検査する場合は、先方との日程を調整して会える時に必ず行くので、今回はお会いできなかった。したがって注意喚起のビラを投函して戻ってきた。今後必要に応じて面接についてもしっかりと対応していきたい。

◆ひぐち議員/必要な対応ということなのでそれは行っていただきたい。同時に、あくまでも許可施設ということなので、いわゆる違法民泊はまったく手つかずという状況。ここへの対策が本当に急がれる。火災を起こした施設の話に戻るが、この施設は、消防隊が駆けつけた段階では火が消えていたということで、そのまま営業を再開させたとのこと。この点は本当に信じがたいと思う。まず聞きたいのは、再開される際に、設置されていなかった書面、緊急時対応の書面の設置は確認したのか。

(→山村・予防部長)私ども、不備のあった緊急時の対応の書面、これを付けていただくということで、再開する時にはそれをしっかり確認しなければならないということで、管理者のほうへ連絡を取ったが、まだそれはされていない。というのは、「現在営業のほうは行っていない」と聞いているので、営業を行うときには私どもが言った書面を設置してもらって確認をしてからと考えている。

◆ひぐち議員/そのあたりは少し事実関係が違う。営業再開したんですよここ。したけれども、あまりにもひどいじゃないかということで、住民の方が管理会社に強く言ったからその時点でやっと止めたのだ。確かにいま営業していないというのは事実だが、それは後になって管理会社に住民が強く抗議をしたからやっと止めた。それまではそのまま営業してた。お客さん泊まってた。こうした対応を見ていると、近隣のみなさんの気持ちを考えたら、あまりにも管理会社も無茶な対応。少なくとも、近隣の住民のみなさんが納得する説明を行うまで営業再開しないよう、行政として指導すべきだったと思うがどうか。

(→山村・予防部長)営業されることについては、不備事項をしっかりされ確認するまでというのは、やはり確認する必要があったということで、今後そういうことのないように、営業される時に不備事項は修正していただくということは確認していきたい。

◆ひぐち議員/徹底していただきたい。今回の簡易宿所は許可施設であるから、当然消防法令にも適合した施設。自動火災報知設備もあった。ところが、今回は離れが火災になったので、自動火災報知設備は何も反応しなかったとのこと。だとすると今後の対応として、住宅の外の施設への対応は検討する必要があるのではないか。また、玄関にはインターホンすらなかったために、近隣の方が宿泊者に火事を知らせるために玄関をたたき続けたとのこと。しばらくして中にいる人がやっと気がついて出てこられたとのこと。インターホン設置もきちんと指導する必要があると思うが。

(→山村・予防部長)消防法令について私どもは検査しているし見ている。したがってインターホンは消防法令上のものではないので、付けることについて指導、お話はするが、義務ではないのでその辺はご理解いただきたい。屋外、離れからの出火、これも消防法令の基準で言うと、基本的には自動火災報知設備の感知器については、「居室」、部屋に付けることになってるので屋外は適用外。そこまでの規制拡大はなかなか困難なことと考えている。再開されたことについて、私どもがまず一番気にするのは、以後の出火危険がまだ引き続いているかどうか。そういう意味で白熱電球および配線はいったん撤去され、そこからの出火はなかったと確認はしていた。

◆ひぐち議員/最後におっしゃられたこと、火が消えてるのは当然のこと。そうでなかったら消防隊も引きあげない。火が消えていて、その元がない、それを確認するのは当たり前のこと。それがまだあるのに営業再開なんてありえない。私はそのことを言ってるのでなく、そのうえで、こういった事態が起こらないようにきちんとしないといけない。それを周りの方たちにきちんと分かっていただくのが大事だと思う。そんなこともなしに営業が再開されてしまう、業者の指導もないままされてしまった。ここは本当に行政として不十分だ。そこへの指導が必要だ。もう一点確認しておきたいのは、今度「住宅宿泊事業法」ができて、それによる施設ができてくる。この場合も、法令上の中身、位置づけは同様になるのか。

(→山村・予防部長)住宅宿泊事業法に基づくいわゆる「民泊」も、旅館業法上の簡易宿所と同じように、消防法令上は「宿泊施設」として消防用設備等の義務がかかってくるので、基本的には「自動火災報知設備」「誘導灯」「避難経路図」といったもの、「カーテンや絨毯は防炎物品を使う」、その辺は同様の規定がかかってくる。ただし、家主居住型で一部を宿泊施設として提供されている場合は、宿泊する面積が50㎡以下なら一般住宅として取り扱われるので、通常の住宅と同じ規制になる。

◆ひぐち議員/「家主不在型の場合は(旅館業法上の簡易宿所と)同様の扱いになる」と。先ほどの質問に戻るが、居室の外の施設に対する火災、インターホンの設置、規制をかけていくのは難しいとのことだが、こういうことが起こっているのだから検討する必要があると思う。近隣の方が出された要望書の中でも、「玄関前でタバコを吸う、中庭でタバコを吸う、こういうのは以前から見かけていた」と、「だから火災が起こるんじゃないかと心配していた」、このように書かれている。だからこういうことが引き続き起こる可能性がある。ここが特別に起こったのではなくて、今後も同じような事例が起こる可能性がある。だからその辺りは「これ以上無理なんですわ」と言うだけで済ましておいたらあかんと思う。検討は絶対に必要だ。旅館業法でも民泊新法でも、現行法令が守られていくのは当然のこと。しかしそれが行われていたとしても、今回のような火災が防げるのか、あるいは、火災の際の迅速な対応が行えるのか、考えた時、有効なものとなるかは疑問に感じざるをえない。今回の施設も実際に許可施設だったのにこういうことが起こった。不備が発覚した。やはり、家主不在型の民泊営業という形態が、周辺住民にとっても、宿泊者にとっても、危険を増大させることになってしまっていると感じる。家主不在型の場合、現在の旅館業法上は「20分以内に管理者が駆けつけられるよう指導している」とのことだが、実際は、先ほどの報告の通り、駆けつけるまでに40分かかっている。新しい条例では、「駆けつけ要件を10分以内に短縮する」という方向が示されているが、それが担保される保証がない。今回も、指導上は20分だが実際は40分前後かかっている。結局、家主不在型という営業形態、ここを見直す必要があるのではないか。「管理者の常駐」が必要と考えるがどうか。

(→山村・予防部長)私たち消防としては、家主不在型については、法令満足して消防設備つけていただくのは当然として、それよりもまず「出火ささない」「火災予防」に力を入れるべきと考えている。したがって指導の中では、一番タバコからの出火が多いので、タバコ火災、喫煙管理をしっかり指導をしていってる。加えて今回、白熱電灯から出火したという事例も出てきているので、そういう宿泊施設から出てきた事例については、今後開業される方、いまやってられる方に対してもそういう出火危険、「火災起こる可能性があるので気をつけてください」という事例をしっかりと説明させていただいて、火災のないように取り組んでいくということを、まずその辺をしっかり、宿泊される方に面接されたり、目につくようなとこに注意書きなど貼っていただいて、注意喚起していただくということを、しっかり取り組んでいこうと考えている。

◆ひぐち議員/私も出火させないことが一番大事だと思う。ただ、いま言われたように、家主不在型の場合は、書面とかそういうもので見てもらうしかない。本当にそれをじゃあ置いておいたら見てくれるのか。見たところでそれをちゃんと守っているのかどうか。誰も監督する人がいない。家主がいないのだから。確認ができない。そういうことを考えると、本当にそれで市民と宿泊者の安全を守れるのか。やっぱり民泊営業をする場合、命の安全というところで消防局から「管理者が常駐する制度にするべきだ」「そういう規定にしていくべきだ」と、他の部局への働きかけをぜひともしていただきたい。

(→山村・予防部長)管理者に火災予防の意識を持っていただくことは必要と考えているので、今後、より管理者の方にそういう意識を持っていただく方法についても検討して取り組んでいきたい。

2018年2月5日【総務消防委】消防局/一般質問「東山区の簡易宿所における火災の対応について」

(更新日:2018年02月05日)