京都市美術館の運営について
◆やまね/よろしくお願いいたします。私からも京都市美術館の運営についていくつかお聞きしたいと思います。まず、京都市美術館の使命と言いますか、役割についてのご認識を改めてお聞きしておきたいんですけれども、いくつかあると思っていまして。
例えば、明治以降現代までですね、京都で繰り広げられてきた様々な美術活動による作品が、重要文化財をはじめとしてですね、そういう作品として収蔵されておりまして、このコレクションをですね、来館者の方に紹介をしていくということであったりとか。
それから、京都の芸術系の大学生や高校生などの作家に発表の場を提供してですね、制作を支援すると。で、現在第一線で活躍されている芸術家の方々の作品を紹介していくというですね、京都の作家さんの活動を紹介していく。で、来館者にそういう現在進行系の芸術を体験してもらうということ。
それからさらにですね、これもう言うまでもないことですけど、海外や国内の貴重な有名な美術作品を特別展として展示して、京都にいながら世界的な名画や作品を鑑賞できる機会を提供すると。で、もう一つですね、美術館独自の調査研究によりまして、京都市ならではの企画展を開催していくと。こういう役割が私たちあると思っておりまして。
今述べましたのは我々も以前から美術館を視察した際に、市の職員さんからそういうお話を聞いてきまして、そうした使命が公立美術館として大変素晴らしいなと我々も考えてきたところであります。で、まず確認したいと言いますか、お聞きしたいんですけども、このリニューアル後も、そうした考え、方針、美術館の役割というのは変わりはないかということ、まずお聞きしたいと思います。
(→小林・美術館担当部長)はい、美術館の運営の方針についてでございます。先ほど委員がご指摘いただきました通りかと思っております。そしてそれは当然その美術館のリニューアル前から必要なことであったんですけれども、4年前のリニューアルにあたりましては、特に新たにそのコレクションルームというのを新設いたしまして、この90年の歴史の中で培ってきた美術館の所蔵品をしっかり展示していくという取組を行っております。また、今を生きるその現代作家さんの作品を展示していくということで、新館・東山キューブを作って、そこでは現代アートを中心とした展示をする、あるいはザ・トライアングルというスペースを作りまして、京都ゆかりの新進作家の個展をし、支援ししていく、そういった取組を実施しているというところでございます。
◆やまね/はい、ありがとうございます。私たちもそういう大きな方向性についてはですね、同じ問題意識を持っております。で、そういう使命を果たせるような専門性を持った人材と体制が必要だと考えております。で、そこで私はですね、これちょっと勉強させていただきまして、10月10日に令和6年度の「第1回京都市美術館協議会」が開催をされまして、その摘録が公開されておりますので、それを読ませていただきました。もう様々なご発言があって大変勉強になったんですけれども、とりわけ今おっしゃっていただいたコレクションをどう見せていくかということも、非常に大きな大事なテーマの1つの議論になっておりまして、で、いくつか私もその通りだなと思ったご意見紹介したいんですけれども。
「美術館に足を運んでもらうためには無料のオープンデイなどがあれば魅力的ではないか」というご意見とか、それから「海外の美術館に行くと必ずその館のメインの作品に出会う。色々な作品を見せる使命がある一方で、この美術館の重要かつ決定的な作品を安定的に見せるコーナーも必要ではないか」と、こういうご意見もありました。それから「コレクションルームはキャンパス文化パートナーズ制度に登録しても100円。これではコレクションルームには行かないと思う。大学の街でもあるため無料でも問題ないのではないか」というご意見も出ております。それから「幼いうちから素晴らしい美術を目にしていると将来のことにつながっていくと思う。若い方はできるだけ無料で見てもらえる機会があれば良い」などのご意見に私も大変共感をいたしました。で、改めて今もお答えいただいたんですけど、このコレクションルームも作って展示をしていただいてる、これやはりどう見ていただくかっていうのが非常に重要なことではないかなと思ったんですけど、もう一度ご認識伺いたいと思います。
(→小林・美術館担当部長)はい、コレクションルームの運営、これは新しくなった美術館の運営の大きな柱であるというふうに認識をしております。コレクションルームにつきましては、例えば今年度からですね、これまでいわゆるチラシを作ってなかったんですが新たに周知するチラシを作りまして、館内ですとか、周辺の事業者さん等にお配りして、よりコレクションルームの認知度上げていくというような取組をいたしました。
また先ほど、その無料開放のようなお話もいただいてたんですが、まだ定期的にはできていないんですが、昨年度、美術館開館90周年を迎えまして開館記念ということで、11月にイベントをする中でですね、2日間ではありましたが、コレクションルームの無料開放という取組もさせていただいております。今後も引き続きコレクションルームの充実、あるいは、より周知、そういった取組を引き続き取り組んでまいりたいと思っております。
◆やまね/はい、がんばっていただきたいと思います。
それでもう一点お聞きしておきたいのは、その会議録を読んでおりますと、来年度の学芸課の体制についても質問が出されておりました。先ほど中高委員(維京国)のほうから学芸員のお話もありましたけども、それでですね、こういう質問というかご意見がありまして、「平成27年策定の美術館再整備基本計画に基づいて、美術館の基盤である学芸部門は直営体制を基本とするとされているが、来年の学芸課の体制がどうなるのか」と。「この規模の美術館で学芸員6名はあまりにも少なすぎる。直営であれば学芸員の体制を充足させるべきと考える」というご意見がありまして、で、これに対してですね、事務局から、これ京都市と思うんですけども、事務局からの回答として「現在、展覧会企画等を委託している部分については、市の直営にする方向性で検討している」「改めて市職員(学芸員)の採用試験を行うこととしている」という発言があるわけですね。そこでお聞きしたいんですけど、この展覧会企画等を委託している部分というのは、つまり東山キューブなど現代アートなどのですね、企画運営委託をしている部分、これを直営にするという理解でよかったんでしょうか。で、もしこれ直営にするということであれば、その理由はどういうことだったんでしょうか。
(→小林・美術館担当部長)はい、美術館の学芸体制についてでございます。先ほどご紹介いただきました通り、平成27年3月に策定いたしました「京都市美術館再整備基本計画」におきまして「学芸部門は直営体制を基本としつつ、民間の人材・ノウハウが活かせる部分については民間活力の導入も視野に入れ、京都市として責任ある体制を堅持しつつ、さらに魅力を高める運営のあり方を検討すること」とされております。
本年7月の文教はぐくみ委員会におきましても、田中たかのり委員(自民)からも、こういった体制についてのご質問をいただきまして、お答えしておりますけれども、これまでの成果等を踏まえ、また、今後の展望も勘案しながら、先ほど申し上げた再整備基本計画に基づいてより良い体制について検討していきたいということで、現在検討しているところでございます。
その、現在直営と、新館棟について現代アートには基本的には民間に委託していると、この体制につきまして、民間の様々なノウハウを活用することで、例えば今年開催しました「村上隆もののけ京都展」こちらについてはリニューアル以降最大の約46万人の入館者を得るという、そういった大きな成果も出ているところではありますけども、ま、より、その、一方でやはり民間と公営でこう分かれている中で、様々な取組についていろんな調整が必要になってくるというような状況もございますので、そういったことも踏まえまして、今後どういった体制をしていくかていうのを今現在検討をしているというところでございます。
◆やまね/えっと、今、「民間と公営で分かれていろいろ調整が必要なので」という、ま、これ課題として言われたのかなと思うんですけれども。で、「今検討してる」とおっしゃったんですけど、この協議会では明確にですね、「市の直営にする方向で検討してる」と。で、「改めて市職員(学芸員)の採用試験を行う」としてるんですけども、直営にするということなんですよね。ちょっと確認しておきたいんですが。いかがですか。
(→小林・美術館担当部長)はい、基本的にはその方向で検討しておりますけど、まだ最終的な結論と言いますか、今現在お示ししてる、できる状況でございませんので、現在検討しているというところでございます。
◆やまね/はい、この美術館の管理運営については、私たちはやはり直営でやるべきだということずっと言い続けてきましたので、もしいま東山キューブのところ委託してる部分をですね、直営にするということであれば、非常に重要な決断だというふうに思っています。
で、それでは、その学芸員の結局体制が今後どうなるのかということで、先ほど中高委員(維京国)のほうからもあったわけですけれども、ちょっとね、先ほどもお答えあったんですけど、もう一度確認させていただきたいんですけども、現在の市直営部分に学芸員が何人いて、で、企画等を民間委託してる部分ですね、この委託してる部分に学芸員が何人いるのか。先ほど「市の直営では4人」「会計年度を入れたら7人」ということだったので、会計年度が3人なのかなと。で、「委託部分も含めて12名」ということだったんですけれども。ちょっとそれぞれ市の直営で正規・会計年度が何人いて、民間委託のところで何人おられるのか、ちょっともう一度お答えいただけますでしょうか。
(→小林・美術館担当部長)はい、学芸ですけれども市の正規職員、いわゆる正職員が4名、それから会計年度職員が3名、そして民間委託の学芸員が5名と、合計で12名の体制でございます。
◆やまね/分かりました。そしたらそれがですね、来年度以降はどのような体制になるのかですね。もし民間委託してる部分を直営にするということであれば、今全体で12名の学芸員体制というのはきっちり維持してですね、5名ほどのこの民間委託の部分も直営でというか、正規か会計年度分かりませんけれども、この民間委託の5名もきっちり市の職員として5名、学芸員増やすと、こういうこと考えておられるということなんでしょうか。
(→小林・美術館担当部長)はい、先ほども答弁しておりますけれども、現在実際具体的にどのような体制にするかにつきましては、現在も検討しているところでございますので、引き続き検討してまいりたいと考えております。
◆やまね/はい、それで、ま、「検討する」という時に、どういうふうにやるかっていうことなんですけど、私はですね、やはり京都市自身がきちっと内部でそういう文化行政に携わる人材を育てていくということが非常に大事だと思っています。で、その点で、この協議会の議事録に「改めて市職員(学芸員)の採用試験を行う」っていうふうにあるんですけども、これは実際に何名ほど採用しようと考えてるのか、これも今のお答えだと、これも検討中っていうことなんですかね。少なくともこの12人の全体の体制というのは維持するのか、あるいはもう少し増強していくのか、あるいはもっと減らすのかですね、それも何も今はまだ分からない、検討中ということなんでしょうか。
(→小林・美術館担当部長)現在・・・、現在、会計年度任用職員の職員につきまして、職員の更新年度にもあたっておりまして、現在6名の会計年度任用職員の試験を、現在募集をしているところでございます。そこにそれにつきましては、現在2名のところを6名募集をしているということで、現在4名の会計年度任用職員の増員の募集をしているところでございますけれども、全体の体制につきましては現在も検討しておりますので、現時点でこう何人になると、そういったことはお伝えできる状況にはないというところでございます。
◆やまね/はい分かりました。で、この学芸員の採用試験っていうふうにあるんですけどね、これはその広く一般に向けて募集されるのか、あるいは京都市の内部で手を上げてもらおうということなのか、ちょっとこの辺りはどういう、どういう方が対象になるんでしょうか。
(→小林・美術館担当部長)はい、現在募集はハローワークで行っておりますので、市職員限定とかそういうことでなくて、広く学芸員資格をお持ちの方を募集していると、そういった状況でございます。
◆やまね/例えばその、いま東山キューブで民間委託をされている方々、などが応募されるということもあるということなんですかね。今やっていただいてる方々はその後どうなるのかなとか、いうこともちょっと今ふと思ったんですけれども、その点いかがでしょうか。
(→小林・美術館担当部長)はい、広く応募している、募集しているということでございますので、現在民間のほうで働いていただいてる方が、京都市で働きたいということであれば、応募していただくことは可能でございます。
◆やまね/はい、ぜひ直営の学芸員体制が充実・強化・拡充されるように頑張っていただきたいと、これは要望しておきたいと思います。で、展覧会企画、こういう部分を市の直営にするっていうのは大変大事なことだと思うんですけれども、仮にですね、外から民間の方を呼び込むだけではあまり変わり映えしないと思います。やっぱり市の内部でですね、きちっとこういう学芸員体制を育成していく、強化していく、継続的にそういう人たちを育てていくという立場で頑張っていただきたいと思ってますので、4月以降ですかね、来年度以降の体制っていうのは、ぜひ私は注意深く見ていきたいと思っております。
それでもう一つだけ、この問題でお聞きしたいのは、12月23日(月)に京都市会・文教はぐくみ副委長として、井上委員長(自民)それから土方副委員長(維京国)とともに、京都市文化功労者表彰式に出席をさせていただきまして、本当に受章された方々の歴史、革新と伝統に満ちたその活動の一端に私も触れさせていただきまして、大変感動いたしました。で、同時にですね、京都市には若手の皆さんも含めてたくさんのアーティストの方々がおられますし、市民の皆さんの芸術活動も非常に盛んでありますので、やはり草の根からそういう方々を支える京都市の行政であってほしいという思いも強くしております。
で、先日私も芸術関係者の方々へヒアリングさせていただいたんですけれども、彫刻とか油絵とか銅版画、工芸など、様々な分野で活躍されている皆さんなんですが、共通して出されていた声としては「やはり京都市美術館の再整備後、料金が高くなって利用しづらい、小さな団体はなかなか使えない」という話もありました。それから先ほどもありましたように「以前の正面玄関の階段のところ、素晴らしい装飾があるところがデッドスペースになってるのが残念だ」というお話もありましたし、「グループ展であるとか若手の登竜門になるような公募展が今大切にされていないのではないか」という思いも語られた方がおられました。それから「かつて美術館にあった市民アトリエが無くなって、元白川小も使えなくなり、現在の場所も数年後には使えなくなる」ということで「市民のための文化行政をやってもらいたい」ということもありましたし、「学芸員の体制がやはり弱いのではないか。京都市美術館がどこへ向かおうとしてるのかが分からない」という、こういう厳しいご意見もいただいたところです。私はですね、松井市長も非常に文化芸術には造詣の深いというか、思い入れも強く、知識も持っておられる方だと思っていますので、こうした芸術関係者の声をぜひ直接聞いていただく場も作っていただきたいなと。そういう要望があるということをですね、ぜひ伝えていただきたいなと思いますが、いかがでしょうか。
(→小林・美術館担当部長)はい、美術館におきましては、様々な美術団体あるいは市民団体の方々による展覧会を年間100件を超える展覧会、開催していただいておりまして、こういった展覧会につきましては芸術家の皆さん、市民の皆さんの発表の場、表現の場として、文化芸術都市京都を支える大変重要な芸術活動と認識してございます。
そういった団体、美術団体の方々とのご意見ということなんですが、これまでリニューアル以降ですね、美術団体の皆さんと毎年度ご意見を頂戴する場を設けておりまして、今年も5月に京都で活動されております京都美術団体連合会の皆さんと懇談の場を設けて意見交換を行ったところでございます。これまでそういった懇談の場で頂いたご意見に対しましては、例えばその「美術館内あるいはホームページ等での情報発信の強化」であったりですとか、「展示に必要な備品の充実」といった可能なところからこう改善を進めているところでございますので、引き続き皆様の声をお聞きしながら、より良い美術館運営をしていきたいと考えてございます。
京都コンサートホールの改修について
◆やまね/京都コンサートホールの改修ということも今後予定をされているかなと思うんですけれども、事前に頂いた資料では、今後の大規模改修の費用としてですね、2026年度に約63億円、2056年度に約58億円の工事費が必要ということになっているんですけども、以前、平成30年でしたかね、改修整備計画なんかが、中長期的な策定されて、で、築80年となる「2075年度までに合計330億円必要」だということ示されてたかと思うんですけれども、つまりその大規模改修で63億58億が必要ということは、その費用を差し引いた209億円ほどが、要は2075年までの間の運営費だとか時々の改修費になっていくという、こういう理解でよかったでしょうか。
(→平賀・文化芸術都市推進室長)はい、ありがとうございます。ご紹介いただきました通りの目的で、その長寿命化計画、施設を80年使うという前提での大規模改修と定期的な改修ということですので、今の議員のご認識で、そうですね、合ってるということでございます。
◆やまね/はい分かりました。ありがとうございます。それで私たちもですね、老朽化に伴う改修っていうのは当然必要だと思っておりますし、ぜひコストなんかは適切に精査しながら、進めていただきたいと思ってるんですけれども、二点だけちょっと確認したいんですけれども、京都コンサートホールで市立芸大の定期演奏会なども行われて、私もできるだけ行くようにしてるんですけれども、その時にですね、感じてるのが、やはり女性トイレの混雑なんですよね。休憩時間なんかにはもう女性のトイレのとこには本当に長い列ができるというような状況で、大変不便を感じておられるんじゃないかなと思うわけですが、やはりジェンダー平等というのをハード面でも進めていく必要があると思いますので、今後のこの大規模改修、今後の改修にあたってですね、このコンサートホールについても、その女性トイレの増設というのはきちっと考えておられるのかをちょっと確認しておきたいのと。それから、他の文化会館等でもですね、何百名何千人とか入る大きな集客をするような、想定してる施設でも、そうした対応が今後必要ではないかなと思ったんですけれども、この点ちょっとお聞きしたいと思います。
(→平賀・文化芸術都市推進室長)はい、まずコンサートホールにつきましては、その(平成)30年度に想定をいたしました、その大規模改修の中でも、「女性トイレの増設」というのは必要性を見込んでおりますので、まだ基本設計これから進めていくという段階ですけれども、その増設についてはきちんと考えていきたいということでございます。基本、あの施設の改修でございまして、増築とかそういうことではないので、既存スペースをどういうふうに活用するのかっていうことですね、ちょっとバランスを見直すという観点での改修になるかと思っています。
それとあと文化会館でございますけども、文化会館はまだその大規模改修をするというステージにはまだ至ってはいないという中で、一方で、ですので、コンサートホールと比較してもやっぱりホールの収容人数もそうですし、トイレの数も当然違ってきます。ご利用状況を踏まえた改修が必要ですので、その女性トイレが充足をしているのかどうかということも含めて、改修の際には点検していきたい、そういう視点を持って取り組んでいきたいということでございます。
2024年12月25日【文教はぐくみ委】文化市民局/一般質問「京都市美術館の運営について」「京都コンサートホールの改修について」
(更新日:2024年12月25日)