「琵琶湖疏水の景観保全を」「水道局の伏見営業所跡地は地域住民のために活用を」と求めました(2016年3月8日/予算特別委・上下水道局・やまね)

◆やまね/琵琶湖疏水の景観整備に関わってお聞きしたい。この間、交通・水道・消防委員会で平井議員、山本ひろふみ議員が取り上げられてきた「伏見区・墨染南の疏水管理用通路の整備工事」について。一つは、この間の経過をふり返って、地域のみなさまへ丁寧な説明がおこなわれてきたかという問題。昔インクラインだったところ。舟だまり。現在は水辺の横にレンガ道、桜の木、ベンチがあり、地域のみなさんがホッとできる場所。そこに昨年10月末、桜の木を伐採するという看板が出て、市民のみなさんが大変驚かれた。「何も聞いていない」「せっかくの景観を壊さないでほしい」などの声があり、私どもも現地で話を聞いた。家の敷地内に根っこが入って汚水管が詰まるなど被害が出ているとのことで、何らかの対策は必要と言うのはその通り。

同時にその経過の中で、桜の木の問題だけでなく、レンガ道をアスファルト化することもわかり、「あまりに急な話で市民は何も聞かされていない」「いつも通る散歩道で憩いの場。愛着のあるレンガを残してほしい」という声が多数寄せられた。疏水事務所に事情を聞くと、「レンガがデコボコで歩きにくい」「お年寄りがつまずいてケガをしないために」との理由だった。自分も周辺地域を歩いた。「道をきれいにしてほしい」「レンガを残してほしい」という2つの願いがどこでも共通していた。この場所は、藤ノ森学区、桃山学区、住吉学区の境目で、いろんな地域のみなさんから声が寄せられたのも特徴。「京都市は経過や理由を説明してほしい」「住民説明会を開いてほしい」との声あったが、今回、市民のみな様への丁寧な説明、誠実な対応という点で、どんな努力をされたのか。

(→松島・水道部担当部長)はい、伏見地区の疏水管理用通路、整備の件でございます。あの、議員ご指摘の通り、あそこには立派な桜の木がございました。これについては塀を損傷してるということで、えー当初伐採ということでございましたが、ご指摘のようにさまざまなご意見をいただきまして、一応今回は根を切るという、対応をさせていただきました。ただあの、デコボコ道であるということには変わりはございません。これは我々の管理用通路でありますが、えー地域のみなさん方も通行されるということで、安全確保のためには、やはりきちっと整備をしようということでございます。で、えー、地域のみなさんへの周知のことでございますが、この2月の2日に地元の役員さんに工事の内容の説明を致しました。この時には「早くやってくれ」というような声をいただいております。で、その後、工期をきちっと決めまして、えー2月29日から着工、工事を始めることに決めまして、その一週間前、2月の22日から、地域のみなさま方、地元の住民の方に、工事のお知らせのビラ、これは工事内容、工事場所、えー工事の位置図、それから工期、それと担当の連絡先等を明記したビラを各戸配布させて頂きました。で、配布先はですね、ま、範囲といいますか、ちょうどその疏水と京阪、はさまれた地域、それから24号線から北側で墨染通まで、これがちょうどこの工事の場所の通行される、ちょうど袋小路のようになっているところでございますので、ここ全域に約240枚、まかして頂きました。えーそのことで周知をして、ま、あの、多くの意見というか、そのことに対して意見等はございませんでして、えー2月の29日から、えーいま工事を始めております。えー我々としては地元の方々に、ご理解とご協力いただいて、工事が進んでいるものと感じております。以上でございます。

◆やまね/当初(10月末)看板が出た直後、アスファルト化する工事の件を疏水事務所に聞くと「周辺の地域にはお知らせの紙をまいた」とのことだった。そこでどんな中身のものをどの範囲にまいたかを教えてほしいと言うと「その中身と配布範囲は把握してないので調べて連絡したい」と。数日後もう一度電話すると「そういう紙はまだなかった。いま作っているのでできたら連絡する」とのことだった。お知らせの紙ができたのは12月後半。当初の工事開始予定は11月6日。紙による周知も本当にやる気があったのか。指摘しておきたい。

工事はこの3月中に終了する予定。周辺地域へお知らせの紙はまかれたが、市民への説明会はおこなわれていない。昨年12月の交通・水道・消防委員会では「桜の木で被害を受けている人、残してほしいという人、地元の中で亀裂を起こすようなことはしない」との答弁。しかし地域住民はそんなこと一言も言っていない。桜の木の被害を訴えられた方も「レンガ道については一言も言ってない」と。関心を持っておられるみなさんにきちんと説明しないというやり方では、地元に亀裂を生むというより、京都市への不信感が生まれると思う。「なぜ京都市は説明なしにやろうとするのか」「市民の声をなぜ聞かないのか」。

今回の工事で水道局のみなさんは、たとえば、住民のみなさんを思って雨水がたまらないよう透水性も配慮したものを当初から考えておられる。さらに地域のみなさんから声が寄せられたことを受けて、当初の予定を変更して、桜の木の伐採は中止し、アスファルトの色も工夫されている。しかもそれを何とか年度内に限られた予算のなかでやりきろうと大変な努力をされている。しかし、そのことをしっかりと地域のみなさんにお伝えしなければ何も伝わらない。市民に見えない。それは大変もったいないこと。工事をする正当な理由があるならそれを説明すればいいだけのこと。なぜそれができないのか。

(→松島・水道部担当部長)はい、あの今回の工事は、くり返しになりますが、疏水を、施設を管理するための職員が通る通路を整備するものでございます。ただあの、一般の地域の住民の方も通行されるということで、ビラ等できちっと周知しようと、いうことで、住民周知につきましては、あのそういう形の住民周知ということで工事を進めるという判断を致しました。以上でございます。

◆やまね/京都市が説明会をしないから「市の考えを直接聞きたい」と、藤ノ森学区、住吉学区、桃山学区にお住まいのみなさんが、雪の日に京都市役所まで足を運ばれた。そこで直接水道局の担当者の方からお話を聞いた。終了後、参加されたみなさんが話していたのは「アスファルトの色や透水性など、京都市がそういう工夫をしているのは知らなかった」「予算の話や管轄の違いなどの事情があることもわかった」「地域でもそういう説明をすればもっと理解する人が増えるのでは」ということ。今後もこういう話は出てくる可能性がある。丁寧な対応を求める。周知のあり方は検討すべき。

2つ目は、こういう問題が起きたときに、他の局・部署とどう連携するかについてお聞きしたい。今回の件で市民の方は深草支所にも問い合わせをされた。その結果どうだったか。「深草支所に問い合わせたら墨染の疏水通路工事のことは何も知らなかった」と。そのことに怒っておられた。「なぜ深草支所が知らないのか」と。今回の工事の件で、水道局から深草支所へ事前に相談・連絡等はしていないのか。

(→松島・水道部担当部長)はい、えー今回の工事は我々の責任において我々の施設を修繕するということでございますので、えー特に深草支所に事前に相談ということはやっておりませんでした。以上でございます。

◆やまね/「疏水管理用通路の整備についてはこれまでも相談することはなかった」と言うがそれでいいのか。山本議員も紹介されていたが、琵琶湖疏水の景観整備やその活用を議論している「鴨川運河会議」という取り組みがある。市民、NPO、専門家、深草支所などが入ってずっと議論している。京都市もまちづくり・景観政策の一つとして大切にされてきたこと。1月末には深草支所で「鴨川運河(琵琶湖疏水)の魅力再発見」というシンポジウムが開かれた。シンポジウムには、疏水記念館の研究員さん、水道局の職員さんもパネリストとして参加。市民も民間も行政も一緒になって、自分たちのまち・地域を良くしていこうと努力しているときに、その重要なスポットの整備が、水道局の中のお金の話だけで単体の議論になって、市民への説明も不十分なままで進められるということでいいのか。

シンポジウムでは、琵琶湖疏水の歴史的価値について「近代土木遺産としての価値」「地域の資源」「市民に親しまれている」「保全のための対処が必要な時期」ということが指摘されている。会場では『カモガワウンガ100の視点』というオリジナルの素敵な小冊子も配られた。この中でもおすすめスポットの一つとして登場するのが墨染のレンガ道。たとえば、疏水の右岸(西側)は建設局の担当で遊歩道として整備してきた経緯もある。京都市の景観政策・まちづくりに関わる話。水道局だけの力では難しいというなら、他の部局との連携をもっと探るべきではなかったかと思うがどうか。

(→松島・水道部担当部長)はい、あの、疏水を管理を担当しております上下水道局と致しましては、あのま、水路の保全、あるいは機能を維持するために、あのこの伏見地区だけではなく、滋賀県の大津市から琵琶湖疏水全体についての維持管理をする、適切な時期に補修をする、こういったことをしっかりとやっていきたいというふうに、努めていきたいというふうに考えてございます。で、今後もあの、維持管理をしっかりとやっていくということ、一方、琵琶湖疏水につきましては、あの先生ご指摘のように、あの水路、運河としての機能以外に歴史的な価値、あるいは、水辺空間を醸し出す、そういう担う重要な役割、そういう多面的な価値があるというふうにも認識しております。また、あのこの疏水ファンといいますか、この疏水に対する熱い思いを持ってる方もたくさんいらっしゃいますし、えー我々の観光部局等がさまざまな取り組みもやっておりますし、これらについては上下水道局としても、あのきちっと協力をしていく、で、それに加えまして、公園、あるいは、遊歩道、そして、疏水にかかっている橋梁、これらを管理している建設局とも十分連携をとりまして、疏水が将来にわたりまして、住民のみなさんに愛されるといいますか、親しみをより持ってもらえるように、努めてまいりたいというふうに考えております。以上でございます。

◆やまね/平成28年度・区民提案型支援事業に「伏見力向上サポート事業枠」があり、深草支所の予算に190万円計上されている。その事業内容として「プロムナード深草疏水~歩いて楽しい環境づくり」とある。そこで伏見議員会議で「場所や区間が決まっているのか」と聞いたら、「どこにするか地域のみなさんと議論しながら決めたい」とのこと。疏水ぞいを魅力ある空間にしようと、深草支所もこういう努力をされている。いろんな部局、市民のみなさんと話し合う余地がある。他局との連携、情報共有を深めるべき。

もう一点、今後の問題について。今年度内に工事を終了すると聞いているが、はがしたレンガはどうするのか。先日、局に聞いたところ「扱いとしては産業廃棄物になる」とのこと。1月の交通・水道・消防委員会では、「そこらじゅうのレンガをかき集めたもので歴史的価値があるものではない」との答弁があった。しかしこのレンガには十字の刻印が押されている。これはいわゆる「キシレン」の名で呼ばれる「岸和田レンガ」ではないのか。この点はどう認識されているか。

(→松島・水道部担当部長)あのー既存のレンガを今回撤去して、アスファルトで整備しなおすということでございます。このレンガは昭和40年代ぐらいに、当局に余って残ってたといいますか、置いてあったレンガを職員がここに並べたというふうに聞いております。で、我々としましては、このレンガについては歴史的価値はないものというふうに判断を致しまして、この工事で撤去・処分、ということで、上下水道局で保管等を今は考えておりません。以上でございます。

◆やまね/岸和田レンガについて調べてみた。「岸和田の粘土がレンガに適していることを知った岸和田藩藩士・山岡尹方(ただかた)が、レンガ製造を始めたのが1872年(明治5年)。明治から大正にかけて日本の近代化になくてはならないものとして発展した。山岡がキリスト教信者だったため、出荷される岸和田煉瓦には十字(クロス)の刻印が刻まれ、キシレンの名で親しまれるようになった」とのこと。岸和田市のホームページには「キシレン製の煉瓦建造物は今でも日本各地に残り、重要文化財の山口県政資料館、同志社女子大学ジェームス館(国登録文化財)、旧陸軍第十師団兵器庫(国登録文化財・姫路市立美術館)、JR山陽本線や、琵琶湖疎水の一部でも使用が確認」とある。岸和田レンガをネットで検索すると「刻印レンガの存在場所」が地図になって出てくる。

鴨川運河のシンポジウムでは、鴨川運河会議で活動されている方から「レンガや構造物、軍隊の遺産(伏見は軍隊のまちだったので)、簡単に取り壊されてしまうことが多く残念」というご発言もあった。こういう一つひとつを大事にして、京都の歴史を子どもたちにも伝えていく。私たちにはその責任があるのではないか。レンガの価値を調べる、価値あるものならアスファルト化するにしてもどこかで保存して展示するなど。産業廃棄物として捨ててしまうのでなく、どこかで保存する方法はないか、検討すべきではないか。

(→松島・水道部担当部長)はい、いま先生ご指摘のように、いろいろ調べないといけないという部分があるかと思います。またあの、このレンガ、えーいまのところ処分をするということでございますが、ちょっと、今すぐというわけにはいきませんけれども、あの検討させていただいて、もし引き取ってくださる方がいらっしゃるようであれば、あの、差し上げても差し支えないのかなと、いま、感覚で言うておりますが、いうふうな感じで、ちょっと検討したいというふうに考えております。お願い致します。

◆やまね/鴨川運河のシンポジウムに疏水記念館の研究員さんもパネリストとして参加されていたが、「条例では『水道局の広報施設』なので研究などの予算はつかず厳しい。市民からの情報について調べることはできるが」とのこと。近代遺産である琵琶湖疏水の歴史的資料の整理や研究をされている貴重なお仕事。琵琶湖疏水の維持・管理・補修のための予算の増額を。

先日の代表質問でも聞いた、伏見営業所跡地の活用計画について。昨年の決算議会では「深草支所とも十分連携をはかりながら、オール京都市として受け止めるべき内容であろうかと考えており、まずは京都市としてこの施設が何が一番ふさわしいかを、確かな判断をしてまいりたいと重く受け止める」との答弁。先日の本会議では「上下水道局が保有する資産については、京都のまちの将来の発展を見据えるとともに、経営基盤の安定強化のため、効果的な収益の確保、有効な資産の活用に努める」との答弁。

藤ノ森学区には地域のみなさんが気軽に使える公共施設がないということで苦労されてきた経緯がある。伏見区長もされてきた局長はよくご存知のはず。子どもたち、子育て中のお母さん方、高齢者のみなさん、地域にお住いのみなさんが、防災やまちづくりの拠点として、地域を盛り上げるために活用したい、もし地域のために使えるならボランティアで協力したいという声。こういう地域の声に応えるべきではないか。

(→広瀬・総務担当部長)元伏見営業所についてでございますけども、ええ現在あの跡地の有効活用について検討しているところでございます。えーいろいろ、あの跡地の利用につきまして、えー点検をしておりますけれども、建物が、昭和39年に建設されまして、50年以上経過しているという状況がございます。えー老朽化しているという状況がありますし、またあの以前、耐震の診断もおこなっておりますけれども、何とか数値のクリアはしておりますけれども、それから20年経過しております。というような状況がございますので、建物の使用をするとすれば、あの一定の改修が必要かなと、いうふうに考えております。

◆やまね/「経営」「公営企業」といえども、水道事業は市民の水道料金、公共料金で成り立っている。当然市民の財産という性格も持つものだ。自治連合会や社会福祉協議会のみなさんからも公式に要望書が出されている。この地域で暮らすみんなの願い。小学校の隣という立地、地域のみなさんの切実な思い、京都市に協力したいという思いを知りながら、その期待を裏切るようなことになれば、いくら「京都のまちの将来の発展」と言っても、そこにどんな発展があるのか。耐震の問題もなく建物を取り壊す必要もない。新しい土地を取得する必要もない。地域のみなさんの思いに応える、市民のみなさんに喜ばれる仕事を決断すべき。総体として考えるなら市民の声を反映させるべき。

(→水田・管理者・上下水道局長)えー伏見営業所の跡地につきましては、私どもまずは京都市全体で、京都市のそれぞれの局、区で、どこまで必要なのかという、この問いかけは必要であろうかというふうに考えております。が、その場合でも、私どもがそれを買っていただく、うちとこの収入、これは市民のみなさまの水道料金で私ども事業を運営しておりますので、まずは何よりも、あのーライフラインを守っていくほうに視点をおきたいというふうに考えております。それから、私が伏見区長をしておりました、今から12年前から4年間の間には、地域の学区要望としても話を聞いてたように、ことがございますけれども、現在、区長要望のなかには、学区からはこの話題が出てきていないと、こんなこともございまして、あのー意識の変わりようがあるのかなあと、いうふうには考えておりますけれども、それでも私どもは、えー市民のみなさまの水道事業を円滑に進めていくために、この貴重な財産の活用を考えていきたいと、このように考えています。

◆やまね/藤森のみなさんが聞いたら大変怒られると思う。しっかり住民の声を受け止めていただきたい。

(→水田・管理者・上下水道局長)ええと、要望があるのは事実でございますが、ええ、学区で、あの集約をして、区長要望のなかには入っていないと、これを申し上げてるとこでございますので、ご理解いただきますように。

2016年3月8日【予算特別委】水道局質疑「琵琶湖疏水の景観保全を」「水道局の伏見営業所跡地は地域住民のために活用を」

(更新日:2016年03月09日)