反ヘイトスピーチ法が成立!京都市はヘイトスピーチゆるさない対応を(2016年6月14日/くらし環境委・文化市民局・やまね)

◆やまね/先日成立を致しました「反ヘイトスピーチ法」の受け止めとですね、今後の京都市の対応についてお聞きをしたいと思いますが、あの、数日前にもですね、Jリーグの鹿島アントラーズの外国人選手に対しての差別的な発言が大変問題になるということがありました。で、やはり基本は、あらゆる差別を許さない、こういう立場に立つことだと、これが大事だと思います。で、そこで、京都市議会ではですね、2014年12月に提出をされました「ヘイトスピーチ被害に対する意見書」というものがあると思います。で、ここでは、京都市が「多文化共生によるまちづくりを市民が主体となって進めてきた」として、今後さらに「人権、文化を尊重し」「人々が対等で平等に生活できる環境を充実することが望まれる」と表明をしております。そして、国に対してはですね、ヘイトスピーチ被害の「有効な調査および対策を検討するよう求める」と述べているわけですけれども、そういうなかで、5月24日に国会で反ヘイトスピーチ法が成立をして、参議院の法務委員会では、法の成立をふまえて5月26日に「ヘイトスピーチの解消に関する決議」を全会一致で採択をしております。それで、えー法律はですね、6月3日に施行されて、各都道府県の警察にもですね、法律の趣旨、あるいは提案者の意思を伝えて、「ヘイトスピーチを解消するための通達」が出されております。で、あの私どもは、法の中身についてはまだ課題も残っているというふうに考えているんですが、ただ、差別的な扇動行為をなくす立場の法が成立したと、このこと自身が、大変多くの方を勇気づけていると思っております。で、そこで、今回の反ヘイトスピーチ法の成立について、京都市のなかでですね、人権問題に関わる、市民の安全に責任を持つ部局・部署としてどう受け止めておられるか。そしてその意義をどう考えておられるか。まずお聞かせいただけますでしょうか。

(→共生社会推進担当部長)はい、あの法律の正式名称が、え「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取り組みの推進に関する法律」という名称になっておりますが、えーこの法律の概要としまして、えーまず基本的施策としまして、えー相談体制の整備、あるいは、えー教育啓発の充実、というのが掲げられております。また、えー国および、地方公共団体の責務としまして、国につきましては、不当な差別的言動の解消に向けた取り組みの実施、地方につきましては、国との適切な役割分担をふまえて、地域の実情に応じた取り組みを実施するというふうに規定をされております。えー本市ではこれまでから、あらゆる差別を許さないという立場で「人権文化推進計画」を策定しておりまして、えーその重点課題の一つとしまして、「多文化が息づくまちづくり」と「外国籍市民等の人権尊重」という項目を掲げております。えーヘイトスピーチにつきましても、えー国際化推進室をはじめとします庁内の関係課、あるいは京都府や法務局といった関係機関と連携しまして、えー啓発等の取り組みを、えー進めてまいったところでございます。えー今回、この法律の施行を踏まえまして、えーこういった関係機関との連携をさらに強化し、えー適切な啓発を実施していきたいと、いうふうに考えております。以上でございます。

◆やまね/えーあの教育、それから啓発、ま、相談活動などですね、それからあの、総合企画局や府、法務局などの関係機関と連携をしていきたいと、いうことだったと思います。であの、今後のその対応についてですけれども、たとえば大阪市なんかではですね、えー条例、反ヘイトスピーチの条例を制定した都市もあるわけですけれども、この人権の問題、安全の問題として、京都市ではこういう条例制定については考えておられるのかどうか。その点はいかがでしょうか。

(→共生社会推進担当部長)えーこの条例につきましては、直接的には国際化推進室の所管になりますので、この場で明言することについては避けさしていただきたいというふうに考えておりますけども、えー人権を取りまとめる部署としまして、えーまずは法律に定められました「地域の実情に応じた啓発、教育の推進」「相談の充実」こういったものにしっかり取り組んでいきたいというふうに考えております。以上でございます。

◆やまね/ありがとうございます。あのー直接的には国際化推進室(総合企画局)の担当ということで、条例についてはちょっと言えないと、ただまあ、啓発、相談、あるいは教育活動に力を入れたいということだったと思いますが、そこでですね、あの直接的には確かに総合企画局の、えー国際化推進室が担当されているということで、あの昨日私も直接お話を総企のほうから聞かせていただきましたところ、条例制定については「いまのところ考えてはいない」と。でーこの法律には「国の責任でしっかりやる」っていうことと、「自治体の努力義務」というのがあるので、「これまでからいろんな形で啓発活動に取り組んできたので、その施策の充実をやりたい」と。まあこういうことでありました。で、それでですね、あの具体的に、どういう対応が求められるかっていうところで、いまおっしゃっていただきましたように、あの啓発活動や相談活動の強化、あるいはさまざまな部局との連携っていうのが非常に大事になってくると思います。で、問題はですね、それに加えて、実際に起こっている、起こる可能性のあるヘイトスピーチのデモや集会、これにどう対応するかと、いうことであります。川崎市ではヘイトスピーチの集会に対して市が公園の使用を許可しなかったと。であの、今後ですね、たとえば京都市でも同様のヘイトスピーチの集会あるいはデモが計画された場合に、こういう川崎市のようにですね、毅然とした立場でのぞまれるのかどうか。この点はいかがでしょうか。

(→くらし安全推進部長)はいあのーすいません、えー公園の使用に関して、利用ですけど、まああの5月30日付であの川崎市のほうがですね、あの公園の使用を許可しなかったと、いうことで、あのー、確認しておりますし、またあのその前日にはですね、名古屋市の、愛知県のほうがですね、公園の使用を許可して使われたってのを知っております。ただあの京都市の場合はですね、あの、許可条件の中にですね、公園の許可をする中に、「近隣住民に迷惑をかけることはいけない」、またあの「政治的、宗教的な行為をすることは許可をしない」ということになっておりますので、その方向で、えー京都市のほうも、最終的には建設局が判断しはるかと思いますけど、そういう方向になるかなっていうふうに考えております。以上でございます。

◆やまね/ありがとうございます。あの、まあ「近隣住民に迷惑はかけない」っていう、そこが大事だということですが、で、あの、反ヘイトスピーチ法の後押しもあってですね、川崎市では、いま言っていただいたように、公園を許可しなかったということなんですけども、私はあの川崎市が説明しているお話が大変重要だと思いまして、で川崎市はですね、京都市と同じく「多文化共生社会」を掲げるまちでありまして、福田紀彦・川崎市長がこういうふうに説明をしております。「デモの申請者が過去にも反ヘイトスピーチ法が定める『不当な差別的言動』を行ってきた」ということで、「今回も同様の言動等が行われる蓋然性」これは見込みがあるかってことですが、これが「極めて高い」、で「不当な差別的言動から市民の安全と尊厳を守るという観点から、このような判断に至りました」ということで、公園の使用不許可にしたと説明しております。ですからあの、人権にやっぱり関わる問題として、市民の安全を守る問題として、文化市民局、で、いまお答えいただきましたくらし安全推進部が声をあげていくというのも、私は当然であるというふうに思っております。であの、いま、公園についてはですね、建設局の管轄だというお話があったんですけれども、それも含めてですね、京都市でも仮にヘイトスピーチの集会やデモなんかが、これからもしですね、仮に計画された場合に、そういう公園ですとか、あるいは公共施設、これあの文化市民局も関わる施設がたくさんあると思いますが、あるいは道路、の使用については「認められない」という立場にしっかり立つべきではないかと思うんですけども、その点はいかがでしょうか。

(→くらし安全推進部長)はいあの、いま先生ご指摘ありましたように、まあいろんな立場で判断していかなければならないというふうに思っております。まあ公園の使用につきましては、先ほど申し上げましたようにあの許可条件がございますし、いろいろとその立場に立ってですね、あの対応していただかなければならないと思てます。えーあの川崎のあの市長が述べられていますように、不当な差別言動は許さないということで、まあ許可をされなかったということでございますけど、ある一定ニュースとかで見ておりますと、やはり暴力沙汰になったりとかですね、いろんな激しいあの、言動が見られるかなあということでございますので、まあ、公園を使用していただくにあたってもですね、いろいろとまわりに迷惑をかけるということで、あの京都市の判断としては、なかなか今後検討してですね、あの同じような形になっていくんではないかなあというふうに思っております。ただあの、道路使用許可につきましては、あのー府警のほうが担当しておりますので、京都府警のほうとですね、今後あの、先ほど申しましたように、総企のほうとですね、連携して、対応していただけるものと、判断しております。以上でございます。

◆やまね/はい、あの大変大事な、あのご答弁だったと思います。あの公園については先ほどお話がありましたように、いうことですし、暴力沙汰になることもあるので、やはり今後検討してですね、(川崎と)同じようなことになるかもしれないと、言われました。で、そこでですね、あの今回、国会の議論で何が確認をされているかというのも非常に大事だと私思います。で、この「反ヘイトスピーチ法」というのは、「道路使用許可などの行政処分や司法判断でも根拠規範となりうる」と、答弁で確認をされております。実際に横浜地裁川崎支部では、ヘイトデモを禁止する仮処分決定を出しております。参議院法務委員会の参考人質疑ではですね、6月5日に川崎市で計画されましたヘイトデモへの対策を求められて、警察庁の長官官房の斉藤実・審議官という方がですね、「違法行為の防止、関係者の安全確保のため、あらゆる法令の適用を視野に入れて厳正に対処する」と、こう答弁をされました。で、あらゆる法令ということですから、先ほども言われましたように、当然、公園の使用についてもですね、「まわりに迷惑をかける行為があれば使用制限」と、こういうことが言えるというふうに思います。で、岩城光英・法務大臣は「国、地方公共団体がより連携して推進する」と述べております。えーですから、今回の法律というのは「行政処分の根拠」となるし、「国と地方公共団体の連携」、先ほどもおっしゃっていただいた通りですけれども、ですから、人権と市民の安全に責任を持つ文化市民局としてもですね、いま言われましたように「絶対ゆるさない」こういう立場でのぞまれるというのが大事だというふうに思います。

で、もう一つだけ紹介をいたしますと、この法の成立後にですね、与野党の国会議員4人、えー自民党、公明党、民進党、共産党が共同の記者会見をおこなっておりまして、たとえば西田昌司議員、京都の方ですが、「ヘイトデモに厳正に対処して事実上封じ込める」と。「そういう行政権を行使していただきたい」と述べておられます。「訴訟になることも考えられるが、裁判の場で、ヘイトスピーチは許さないという趣旨のもとに、正しい判断をして頂ければ、行政がヘイトスピーチを封じ込める行為が違法とはならず、その結果ヘイトスピーチは事実上なくなっていくだろう」と、こういう趣旨の発言をされております。で、具体的に言いますと、「たとえば道路でヘイトスピーチの集会をしようとして警察の指示に従わなかったら道路交通法違反と、抗議をしたら公務執行妨害、大きな音が騒音防止条例、そうして現実に押さえ込んでいけるのではないか」と、こう言われているわけですね。で、有田よしふ議員は「裁判になっても法律に基づいて受けて立つという覚悟を各自治体にとっていただくための精神的よりどころとして大いに使っていただける」と述べられました。ですから、あの先ほども言われたようにですね、人権と市民の安全を守る観点から、この法の趣旨をしっかり受け止めて、対処していただくということが大事だと思うんですけども、もう一度、そういう立場でのぞまれるということでご確認したいと思いますがいかがでしょうか。

(→くらし安全推進部長)はい、あのー、先ほど先生がおっしゃいましたような、国会議員の先生方がですね、あのーまあ、スピーチをなされているということも確認さしていただいております。ま、それで、先ほども申しましたように、あの板倉部長が言いましたように、市のほうはですね、あの国際化推進室を中心に、あのこれから対応していこうというふうに考えておりますが、まあ条例の中にですね、あの「自治体の努力義務」というのがございますので、そこをまず尊重しながらですね、あのー対応していきたいと、いうふうに考えております。またあの先ほど言いましたように、道路使用許可は府警の管轄でありますので、その辺もいろいろとですね、あのーあるかと思いますので、まあ調整しながら、対応していくものだというふうに考えております。以上でございます。

◆やまね/ありがとうございます。あのーそれで、川崎市ではですね、この、市が公園の使用を認めなかったわけなんですけれども、6月5日に実は在日コリアンの人たちなどに向けて、ヘイトスピーチのデモが行われようとしました。で、これは、まあ警察が、道路使用を許可してしまったわけです。で、しかし、市民数百人の抗議の声を受けて、結果的には中止になったと。で、どんな状況だったかというのが伝わってきておりまして、ヘイトスピーチのデモ参加者・十数名がですね、午前11時ごろに集まって、「暴れるな!朝鮮人」と、こういう横断幕を掲げて、「基地外朝鮮人」などのプラカードも掲げて、市民による抗議のコールで前に進めずにですね、11時40分ごろ警察が「デモは中止になりました」と伝えたと、いうことであります。警察が許可を出したけども、市民がそれを許さなかったと、いうことです。

であの、この本当に、ヘイトスピーチというのは、先ほどからもおっしゃっていただいておりますように、たとえばこの在日コリアンのみなさんがですね、時にはゴキブリ呼ばわりをされて、時には死ねと脅されると。この言葉の暴力にですね、長らく日本で暮らしておられる方もですね、「人生を丸ごと否定された。いつ襲われるかと思うと夜も眠れない」と、こういう不安の日々を送っておられます。ですから、これは一人ひとりの人権を尊重して、安全と尊厳を守る、共に私たちが生きていくためのたたかいだと私は思っております。で、京都市でもですね、過去にこのヘイトスピーチというのは、デモは行われてきました。2014年12月7日にはですね、円山公園、あるいは八坂神社付近で行われまして、京都市でもすでに起こってきた問題でありますから、啓発はもちろん大事です。そして、教育や連携、いろんな連携ももちろん大事なんだけれども、やっぱり実際に起こっている問題に対して、京都市がどういう態度をとるかっていうのが大きく問われておりますので、先ほど答弁をされたとおりですね、ヘイトスピーチの、これ絶対に許さないという立場で、えー京都市の条例なんかもしっかり、えーその立場に立ってですね、対応していただくと、警察ともしっかり連携をしていただくということが大事だというふうに思います。

で、最後にもう一点指摘をして終わりたいんですけれども、この「反ヘイトスピーチ法」というのはですね、「政府や在日米軍を批判する言動は対象となりえない」、このことも国会の審議の、議論の中で確認をされております。ですから、市民の表現の自由をしっかり保障しながら、差別をゆるさない立場に立つということが、法の趣旨や国会での議論の中身から言ってもですね、当然であるということを指摘をして、終わりたいと思います。ありがとうございました。

(→くらし安全推進部長)はい、あのー先ほどから申し上げてますように、先生おっしゃることはあの、それぞれ新聞記事等に載っておりますし、あの私どもも把握しております。ま、京都市のほうではですね、あのヘイトスピーチを許さないという姿勢を発信し続けるとともにですね、あのー市民ぐるみで、あの機運を高めてですね、多文化共生のまちづくりに取り組んでいくという姿勢は変わらず、進んでまいりたいというふうに考えております。以上でございます。

2016年6月14日【くらし環境委】文化市民局/一般質問「反ヘイトスピーチ法の成立と京都市の今後の対応について」

(更新日:2016年06月14日)