国宝「二条城の二の丸御殿」修理になぜ国費が出ないのか。イベント利用でなく「本物」を残すことこそ求められる(2016年5月26日/予算委・文化市民局・ひぐち英明議員)

京都市の補正予算に計上された「二条城施設整備等」について。共産党・ひぐち英明議員が質問しました。「本来なら国の予算が出るはずの国宝・二の丸御殿修理になぜお金が出ないのか」と追及。京都市は「二の丸御殿は国宝。天井画は建物についており構造物として国宝という位置付けもある」と認めながら、「今回はこういうことで」と、「イベントに利用したい」という姿勢が伝わってくる答弁でした。歴史都市・文化都市としてこれでいいのでしょうか。

◆ひぐち議員/あの今回、当初予算では足りなくて補正予算を組むことになったというのが、「スポーツ・文化・ワールドフォーラムでの使用を考えてのこと」という説明がありました。あのこのワールドフォーラムのホームページ見ていましたら、二条城でのイベントとして「演奏会」などと紹介をされていました。それらを、そういったイベントを二の丸御殿の中で行うと、いうことになるんでしょうか。というのも、あの、いまもいろいろ議論を聞いていますと、たしか午前中(質疑)の説明で、天井画の作成とはめ替えも、そういった使用するために、えー、まあそれを、傷めないために、イベントなどで傷まないように、そういうものをあらかじめはめ替えておくんだというような説明があったように聞こえたんですけれども、それはそういうことだったでしょうか。

(→北村・文化事業担当局長)はい、あの、スポーツ・文化・ワールドフォーラムでの二条城の内容ですけれども、現在調整中でして、あの大きく言えば、あの、重要文化財であります台所と、それから今回補正予算をおかけしてます国宝の二の丸御殿、この2つを会場として考えたいと、いうことであの例示としまして、あの和洋の音楽というようなことがきっとホームページに載ってるかと思いますが、あの音楽のところは、基本的には台所のほうでやるようなイメージで国とは相談をしておりますし、あの、二の丸御殿をどういうふうに使っていくか、これはえー、いままだ協議中でございます。それであの天井画っていうのはあの、えーと、大広間の中に人が入っていく、熱気がある、というふうなこともありますし、えー普段は閉め切ってます障子戸、二の丸庭園に面してます障子戸を開けて、えー使いたいというふうなことも考えておりますし、そういった時に外からの紫外線であるとか、風であるとか、こういった対策を考えて天井画のはめ替えをすると、いうことでございます。

◆ひぐち議員/あのー先ほどの財源の話のところでも少し出てきたんですけれども、「修理・修復」であれば、国の予算が半分入る、でも今回のこの補正予算の部分では、「おもてなしの機能」ということで、観点なので、国の予算が入らないんだと、いう話がありました。ですから私ちょっとおやっと思ったのは、この本来「天井画の修復」、あるいは私、トイレの修復・改善も含めて、あの修理・修復という方向でのくくりになるのではないのかなというふうに思うんですけれども、ところが今回の場合はそれが当てはまらないと、いうのは、あくまでもそういったイベントなどで使うために、そういった機能を充実、そういった作業というか、改修を行うからお金が出ないと、国からのお金は出ませんよ、という理解でよろしいんでしょうか。

(→土橋・文化財担当部長)あのえっと、国の補助金が出ますのは、いわゆるあの国の重要文化財であったり、えー国宝であったり、修理・修復に出るものでございますので、そのトイレの修復に補助金というのは基本的には出ない、というふうに考えております。で、天井画につきましてもですね、えっと天井画の中には、今回の部分には入ってないんですけれども、天井画の中で美術工芸品として重要文化財指定されているものが、70面あります。これにつきましては修復の国からの補助金ていうのが出るわけですけれども、それ以外の指定されていない部分についてはですね、ちょっとあの国との調整が必要であると、いうことで、今回こういうことで、ま、さしていただきたいというふうに考えております。

◆ひぐち議員/あの、文化財、純粋に文化財だけしか出ないということで理解をするんでしょうか。いま最後、少し含みがある答弁だったと思うんです。そうではなくてやはり、私はね、単体、単体というか部分部分をね、一つひとつ精査しながら、国があの、お金を出す出さないということではないんじゃないかな、世界遺産としてのね、登録もされている、文化財がたくさんあるというなかで、えー先ほど半分、100億の修理費のうち半分は国がっていう話は、その国からというのは、その文化財の部分は100%出るから全体として半分になるという話ではなくて、半々という話というふうに私は理解をしたんですが、そうではないんでしょうか。全体として文化財は100%出るけども、0%のところもあるから全体としては半々くらいですっていう話でしょうか。

(→土橋・文化財担当部長)えと、あくまで文化財に対して、それに対して半分の補助が出るということでございます。で、あの天井画、先ほどちょっと含みを持たすという言い方を先生されましたけれども、えーと、ちょっと、まあ、国宝・二の丸御殿です。建物。で、天井画もそこについてますので、えーと、美術工芸品としての天井画ではないんですが、この建物についている構造物としての、国宝という位置付けっていうのも一方であるわけなんです。ですから今回ですね、えーまあ、取り外しをします、んで、それは修復はまだしないんです、財源もございませんから。で、いずれにしても修復する時にあたりましてはですね、これはちょっと文化庁とも調整してですね、あのできるかぎり、あのまあ、いただけるような形で、えー協議はしてまいりたい、というふうに考えております。

◆ひぐち議員/はい、わかりました。あの、ですから今回はあくまでも模写をそこにはめるための予算と。外す予算というふうに、ま、理解はしました。で、そのうえでですけれども、今後えっと、いろいろなね、イベントでその、この場所を使っていくことも考えていくんだというお話だったと思います。ま、それが、MICEというところでも、そこにMICEという考え方が入ってくるのかなあと、いうふうに感じています。で、あの、そう考えていくとね、この間、襖絵などの模写なども進んできたのは、やはりそれも、そういった使い方、あの今後ね、イベントなどで使ってもらうために、そういった大事なものはしまっておいて、そして、模写を掲げていくという、こういうことの一環のなかでやられてきたものということでしょうか。

(→土橋・文化財担当部長)えっと、あの障壁画の模写が、MICE利用のためではないかということかと思いますけれども、えっと、まあこれからの話はまた別として、これまでの考え方はですね、その、本物の障壁画、これはきちんと修復して保管しときなさいというのが、これが文化庁の指示、指導であったわけです。ですからいま、それに基づいて、展示収蔵館に保管して、これは高温・高湿できちんと保管しているという状況でございます。で、そうしますとですね、それを外した状況で二の丸御殿の中を廊下を歩いていただいてもですね、当時のようすを感じていただけないということと、先ほど(担当)局長からもございましたけれども、その模写するという技術ですね、伝承のためにですね、障壁画の模写をして、それをはめてると。ゆうのが現状でございまして、これをそのMICE利用のために、はじめから考えてやってたっていうものではございません。

◆ひぐち議員/あと一点、確認をしたいんですけれども、えー負担のあり方というのを、今後考えていくという話があったかなと思うんです。それはこの、これから先、MICEなど、あるいはイベントなどで使っていく際に、そういった時の利用料の設定みたいなことも含まれているということでしょうか。

(→北村・文化事業担当局長)はい、あのいまおたずねの積極的に二条城の魅力を知っていただくために、また、それを財源に修理にまわすという、こういったモデルとなるために、あのMICE利用というのも進めていきたいと思っていますし、いまあのMICEの要項を作りまして、一定あの使用料も含めたルールがあるんですが、この、えー、MICEの要項についても、あのどういう形がいいのか、柔軟に見直していきたいというふうに思っております。

◆ひぐち議員/あのー、まあこの話していて、やはり私感じるのは、先ほど隠塚委員(民進)や森川委員(維新・無所属)からもあったように、やっぱり本物見ていただくというのがね、やはり魅力を感じていただくということの一番大事なところだなと思うんですね。あの例えば大政奉還が行われたその場所で、その時の調度品なんかも準備しながら、そしてその場所で思いをはせていただく、その時の思い、その時の時代に思いをはせていただく、これができるのが本当に京都の魅力だなというふうに思うんですよね。で、それが、いまのなんか、お話を聞いていると、イベントや会議などに使うために、ちょっと傷んだら大変だから、ちょっとこっちにしまっておきましょう、本物は見れませんよ、これではね、本末転倒になってしまうと思うんですよ。ですから、私あの、本当に歴史を感じていただく、そのなかで芸術や文化、そういうものを本当に大事に思ってもらう、それは市民の方がまずは大事に思ってもらうことが大事ですし、そして観光に来た方も大事に思っていただく。そういった豊かな時間を作っていこうというところに、本当に力をね、注いでいただきたいなというふうに思いますので、先ほどあの、悩ましいところだという話がありましたけれども、私はその点は必ず押さえたうえで、ま、その時の、たしかにMICEやって貸し会場にしたら、お金が入るでしょう。でもそこに目がいってしまったらね、そこに目がいってそこに走ってしまったらね、私はね、いけないと思うんですよ。で、その点はしっかりと、心していただいて、さまざまな作業にあたっていただきたいなと思います。以上です。

2016年5月26日【予算特別委員会・第1小委員会】文化市民局質疑

(更新日:2016年05月26日)