原発事故による琵琶湖汚染、水道水汚染にどう対応するか(2016年3月9日/予算委・上下水道局・やまね)

◆やまね/私は本日は、原発事故に関わりまして、放射能による琵琶湖汚染、それから飲料水の確保の問題についてお聞きをしたいと思っております。それであの、本会議質問で京都市の原子力災害対策についてお聞きいたしました。市長の答弁で最後に「本市と致しましても、地域防災計画・原子力災害対策編に基づき、万が一の原子力災害から市民生活を守る、命を守るための防災対策の充実に、引き続き努力を重ねてまいります」との答弁がありました。そこでですね、住民の命を守るのは自治体の仕事・責務あると思いますし、なかでも水道事業は、まさにライフライン、それから命の水を守るお仕事だと思っています。平時においても災害時においてもですね、みなさんがその責任を感じながら、誇りを持たれてお仕事をされていると思うんですが、まず初めにその認識、災害時においてもライフラインを絶対に守るんだというこの決意について、あらためて聞かせていただけますでしょうか。

(→日下部総務部経営防災担当部長)平時はもちろんのこと、災害時に市民のみなさまの安全安心な生活を守るというのは、最大の責務であると考えておりますので、その時に備えまして十分あの計画を立てて、それに基づいて市民の生活を守っていくという決意で日々活動しております。以上でございます。

◆やまね/ありがとうございます。市民のみなさんの安全安心を守るのが最大の責務だということであります。それであの、京都市策定の「地域防災計画・原子力災害対策編」ではですね、その冒頭に「福島第一原発における事態を十分に踏まえた過酷事故を想定したうえで」とありまして、そのなかで、私たちが日々使っている水道水、それからその水源である琵琶湖の汚染についても一定想定がされております。

で、そういうなかで、2月20日、高浜原発4号機でボルトがゆるんでいたということで、放射性物質に汚染された冷却水が漏れる事故が起こった。ところが総合的な点検をすることなく再稼働されまして、そのわずか3日後に、2月29日に、発送電の作業中に原子炉が緊急停止する重大事態になりまして、原因はまだ調査中であります。で、そこでですね、こういう重大事態がくり返されるもとで「万全の安全性」というのは確保されていると認識をされているのか、それとも今、まずい事態が起こっているという認識をされているのか、この点について水道局としてどう受け止めておられるかお聞かせいただけませんでしょうか。

(→日下部総務部経営防災担当部長)原子力災害の備えにつきましては、地域防災計画の原子力災害編で上下水道局におきましても、平常時においても水道源水ついては月1回、地域事業については3か月に1回ですけれども、モニタリングを実施して内容、異常がないか日々きちんと監視をしておりますし、もし仮に、原子力災害があった場合においても、浄水処理等の対策についてきちんと備えをしておりますので、安全安心な水の供給ができるというふうに考えております。以上でございます。

◆やまね/あの質問に答えていただきたいと思うんですが、いま私がお聞きしましたのは、高浜原発でくり返されているトラブルについて水道局としてはどんなふうに受け止めておられるかということなんですけど、その点いかがですか。

(→日下部総務部経営防災担当部長)上下水道局として、市民の安全安心を脅かすような状態が、あの発生しているというふうな認識は持っておりません。以上でございます。

◆やまね/あのまあ今の段階ではそういうことだと思うんですが、「原子力災害対策・細部計画」にはですね、水道局が直接関わってくるわけですね。で、私は、命の水を守る部局として、現在、高浜原発で起こっている事態というのは、もう少し真剣に受け止められたほうがいいんではないかというふうに思います。で、防災計画に関わる、ライフラインを預かる部局としてですね、時にはですね、関西電力に対してしっかりモノを言う必要もあるんではないかと、こういうふうに思っております。

で、あの具体的に聞いていきたいんですが、命の水を守るという立場から何をしなければならないかということで「地域防災計画」のなかにはあるんですが、たとえばその第3章・緊急事態応急対策で、「琵琶湖等の水道水源の放射性物質による汚染に対応する」とありまして、さらにその「関係細部計画」の中で具体的な対策が書かれています。で、市民のみなさんがやはり心配されているのが飲料水の安全、その確保であります。福島の事故では、200キロ以上離れた東京の水道水から乳児の飲用基準を超える放射性ヨウ素が検出されるなど、広域な範囲で水道水の汚染が問題になりました。「いざという時の飲料水の確保について京都市は真剣な対策を打っているのか」という声も寄せられております。そこでまずですね、浄水処理の問題で、本会議でこういう答弁ありました。「浄水処理を強化して、水道水の安全を確保」と、いうことだったんですけれども、これにより実際にどれだけの効果が出るのか、教えていただけますか。

(→松島水道部担当部長)はい、あの、水道源水が放射性物質に汚染された場合の、浄水処理の強化ということで対応するということでございます。あのー浄水処理というのは、源水、もとの水に、濁ってる部分、これを取り除くのが浄水処理でございまして、あのー特に放射性セシウムにつきましては、この濁っている物質に付着しておりますので、浄水処理を通常して濁りを取れば放射性物質は除去できると。で、浄水処理の強化というのはこれを徹底するために、たとえば凝集剤の注入を増やしたり、あるいは沈殿処理後にもう一度凝集剤を注入したり、こういうことで強化することと、あと出来上がった水の濁りの成分、度合いをこれをしっかり管理してセシウムの除去に努めるということでございます。一方、放射性ヨウ素につきましては、浄水場の最初に注入します塩素、塩素消毒の度合いを弱めることと合わせて粉末活性炭を注入することで、ほぼ半分くらいは除去できるということでございます。この2つが放射性物質で汚染された場合の浄水処理の強化の内容でございます。

◆やまね/ありがとうございます。あの今お話がありましたセシウムとヨウ素の対策、除去するということなんですが、おっしゃる通りですね、いまの京都市の浄水機能では、セシウムとヨウ素を想定しておられると思うんですが、ただ、いまお話がありましたように、この浄水をしたとしてもですね、強化をしたとしても、すべて除去できるわけではないと。ヨウ素については半分くらいはということでお話がありました。セシウムでは90%程度はということを聞いておりますが、全部というわけではないと。で、さらにですね、たとえば他にも一番危険だと言われているストロンチウムなど、こういうすべての核種、核の種類に対応できるものではないと、私たち認識しておるんですけどもこれが事実かどうかお聞きをしたいと思います。あの一昨日の行財政局質疑では、防災危機管理室のほうから「ストロンチウムなど、セシウムとヨウ素以外の核種についての浄水処理は想定していない」との答弁がありました。これあらためて確認したいんですがいかかがですか。

(→日下部総務部経営防災担当部長)ストロンチウムについてでございますけれども、これにつきましては、厚生労働省からの通知に基づきまして、放射能の影響につきましては、セシウムをモニタリングすれば、他の、これはストロンチウムも含めてですけれども、他の放射性核種には問題がないということで、あの、そういった通知がなされております。ですからセシウムのモニタリングで足りるというふうに考えておりまして、除去についても、その対応でいけるというふうに考えております。以上でございます。

◆やまね/あのそれはモニタリングの話だと思うんですね。たしかにそういう通知があるんですけれども、私が聞いているのは、浄水処理の強化でストロンチウムが除去できるのかと、いう話なんですよ。行財政局の危機管理室のほうではできないと言ってるんです。それについて事実かどうか。

(→松島水道部担当部長)はい、あの先ほど申し上げましたように、ええ、セシウムについては、浄水処理で除去できますし、ヨウ素についても、ええ一定除去できますが、ストロンチウムについては、あの、一般の浄水処理では除去できないというふうに認識しております。

◆やまね/いまおっしゃっていただいた通りだと思います。ですから「浄水処理の強化」ということで一定はですね、軽減はできると思うんですけども、すべてこれで全部安全になるということでは当然ないということだと思うんです。

で、次に、飲料水、代替水の確保についてお聞きしたいと思います。本会議でもあの指摘をさせていただいたんですが、滋賀県の「地域防災計画」では、琵琶湖の水が7~10日間、摂取制限となる事態が想定されております。滋賀県独自のシミュレーション、最終報告では15日間という数字も出ております。しかし、京都市の計画を見るかぎり、日数としての想定が出てくるのがですね、細部計画のなかで「市民一人ひとりが水の備蓄(1人1日3リットルを3日分程度)取り組むよう啓発する」とあるんですけれども、この1人が1日に必要な飲料水が最低3リットルと言われていますのでこういうことが出てきているのかなと思うんですが、そこでお聞きしたいのは、水道水が摂取制限となる事態について、滋賀県のような日数の想定まではされていないということなんでしょうか。いかがでしょうか。

(→日下部総務部経営防災担当部長)原子力災害発生時の、あの、水道水の確保についてでございますけれども、目標値というものを計画において掲げてるわけではございませんけれども、これにつきましては市内あります配水池でありますとか、貯水槽、応急給水槽等がございまして、それによりそこを活用することによりまして、10日分以上の水道水を確保できるというふうに考えておりますので、それで対応は可能であるというふうに考えております。以上でございます。

◆やまね/目標値としては掲げていないけれども10日間以上は確保できるということだったんですが、それはあのどこかに書いてあるというわけではないんでしょうか。

(→日下部総務部経営防災担当部長)防災危機管理室のホームページ等では掲載をしておりますけれども、局の上下水道局のホームページにも掲げさせていただいておりますけれども、それがあの、計画に掲げているというわけではございません。

◆やまね/あのー私はですね、この想定というのは大変大事だと思うんですよね。だいたいどれくらいの日数、何日間水道水が使えないかということが、それによって当然どういう形で確保するのかと、いうことになりますから。水の量も変わってきますしね。あのいま言われた10日以上確保できると考えているんであればですね、しっかりこの災害対策編のなかにも、そのことをしっかり記入、明記するべきではないかというふうに思います。

それであの、具体的にもう少し聞きますけれども、代替水の確保についてですね、上下水道局の施設・市内4箇所の、いまもお話がありましたが、「地下に設置している応急給水槽や市内各所の配水池において、放射性物質に汚染されていない水道水を一定量確保することに努める」ということでありますが、参考として水の量も書いてありました。これはですね「緊急時の水道水確保量、応急給水槽で456立方メートル、配水池で4万6483立方メートル」とあるんですけれども、これはどれだけの市民が、どれだけの日数生活できる量になるのかということでいうと、どうでしょう。先ほど10日間ほど大丈夫だという話が合ったんですけど、これは全市民がどれくらい大丈夫だということを想定しておられるんでしょうか。

(→日下部総務部経営防災担当部長)ただいま先生おっしゃられた数字に加えて、貯水槽等の数字もあるんですけれども、それで10日間分以上確保できるというにできてるということでございます。それとあの、放射線等の水質が異常時の場合は、飲料水の確保をそれでおこないまして、その他に生活用水については摂取制限でございますので、生活、たとえばそれでお風呂に入ってもらうとか、そういったこと、ですから飲用の制限をするだけで、生活についてはそれはそれであの供給をしますので、そういった形で日常生活には支障のない、という形で事業を進めているという、そういったことでございます。以上でございます。

◆やまね/そこでですね、ちょっと気になりましたのが、地下に設置している応急給水槽というのは、これはたぶん地下ですのであまり放射性物質の影響受けないと思うんですが、「市内各所の配水池」というのは、たとえば屋外にあるのか屋内にあるのか、それによってですね、放射性物質によって影響されるかどうかも変わってくると思うんですね。その点については、だいたいどういうところに何箇所ほど、屋外にあるのか屋内にあるのか、その点ちょっと教えていただけませんでしょうか。

(→松島水道部担当部長)はい、あの配水池というのは浄水場で浄化して、飲み水を蓄えておくところでございますので、あの密閉された構造物の中、まあ地下といいますか、地下構造物がほとんでございます。ですから外部から何かが浸入するということはございません。で、汚染されてない水をどういうふうにして確保をするかということですが、これはあの汚染されない前に、そこに入っていくバルブを閉める、出ていくバルブを閉めるということで、その水が動かないようにして止めてしまうと。で、先ほど日下部のほうが申しました生活用水については、配水池が二系統に分かれていますので、一方はそのまま、運用を続けるということでございます。以上でございます。

◆やまね/ありがとうございます。あの密閉された地下の中で外部から入るというようなものではないとのお答えでありました。それでもう一つ、「災害時協力井戸の活用」ということも書かれておりまして、「市内626箇所、登録されている」ということでありますが、これについてはどれだけの水量が確保できるのか。それからあと「民間企業との協定」ということもあります。「覚書による飲料水の供給」とあるんですが、これについても、どれだけの企業と協定をかわしているのか。もしすぐお答えできないようでしたら、資料として提出をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

(→日下部総務部経営防災担当部長)災害時協力井戸の活用につきましては、防災危機管理室のほうで所管をして、各企業さんであるとか、井戸はもちろんのこと、ご家庭も含めて協力を願っているというところでございます。ただ井戸でございますので、なかなか水量の把握というのは難しいのかなというふうに考えております。民間企業との協定につきましては、飲料会社であるとか、水道公認の協会であるとか、そういったところと事故時の協定を結んだり、飲料会社のところと協定を結んだり、そういったところをしているところでございます。以上でございます。

◆やまね/ええ最後になりますが、「他都市との連携」ということについても書かれてあります。「他都市、近隣自治体との連携、応援体制」ともある。これは私も当然必要なことであるというふうに思うんですが、ただ、福井県の原発で過酷事故が起こってですね、琵琶湖が汚染されるという際には、おそらく京都市だけが被害を受けるということにはならないと思うんですよね。琵琶湖の水を使っているのは京都や滋賀だけではございません。大阪や神戸を始め近畿1400万人と言われます。で、琵琶湖が汚染されるような風向きであればですね、当然名古屋市も危険な状態かもしれないということで、どこからどれくらい持ってくるのかというのはですね、大変想定が難しい話だと思うんです。一つひとつ見ていけば、不確定な要素が多いですし、前滋賀県知事の嘉田由紀子氏が「行政責任者として細部までの対応をしようとすればするほど、実効性担保の難しさを痛感した」というのは、そういうことでもあると思うんです。

私はこの間のいろんな答弁を聞かせていただいて京都市の姿勢として、原発への態度は「いささかも変わらない」「できる限り早期の全廃」と言われるんですが、ただ国や電力会社が目指しているのは再稼働に向けてやはり動いているわけで、そのなかで実際に重大事故が起こったらですね、その時の対応ですね、「地域防災計画」、これはね、自治体の責任でやれということになってるわけですよ。これは自治体の職員のみなさんもたまったものではないんじゃないかというのが率直な私の思いであります。

京都市は「世界最高水準と言われる新規制基準を厳格に適用し万全の安全性を確保」と言っておられますが、その新規制基準に適合してゴーサインが出た高浜4号機で重大事故が起こっているということで、「こんなこともあるか」では済ませられない問題だと思います。私は最後に申し上げたいんですが、京都市として、上下水道局として、命の水を守るという立場から、再稼働には反対すべきだと思いますし、何よりまずですね、今回の高浜原発でくり返されている事態について、今すぐ関西電力に対してしっかりとした説明を求める、これくらいのことはやってもいいんじゃないでしょうか。いかがですか。

(→日下部総務部経営防災担当部長)京都市上下水道局といたしましては、市民の安全安心な生活を守るために、先ほどからご説明さしていただきましたように、飲料水の確保、そして生活用水の確保には万全を期しておりますので、どんな災害が起きても対応できるようにしてまいります。それと、電力会社等への、つきましては、私どもが、私が発言することではないと思いますので、それについては言及はいたしません。以上でございます。

◆やまね/あの、みなさんのがんばりはよくわかるんですよ。で、どんな災害が起きてもですね、がんばるんだと、絶対守るんだと、この決意は素晴らしいと思いますし、ぜひがんばっていただきたいと思うんですが、しかし、どんなにみなさんががんばってもですね、高浜原発ではああいう非常事態になってる、しかも原因がわからない、こういう事態になってるわけです。みなさんのまさに努力を反故にするようなことをやってるわけですから、それについてどうなってるんだと、説明を求めるっていうのは、私は当たり前の話ではないかというふうに思います。命・くらし、安全安心、どんな災害が起きても守るということ言われましたので、それならしっかりとですね、国や関西電力に対しても京都市、そして上下水道局からもしっかりと、そういうことを発信するべきではないかと、このことを求めて終わります。

2016年3月9日【予算特別委】水道局質疑

(更新日:2016年03月10日)