京都市が言う「原発早期全廃」とはいつのことか(2016年3月3日/予算委・環境政策局・井坂博文議員)

◆井坂議員/私の方からは、本市のエネルギー政策とごみ減量について質問致します。エネルギー政策の基本で、一昨日の本会議質問でもやり取りのあった点をふまえてお聞きしますので、答弁をお願いします。ポイントは、エネルギー社会の次の目指すべき姿として、いわゆる原発に依存しないと、まあみなさんおっしゃる。で、脱原発社会、脱原発依存、こういうふうにおっしゃるわけなんですけど、それに関わってお聞きをします。

本会議の市長の答弁の中で、まあいつもと同じフレーズですけど、原発に頼らない、そういう社会を構築するってことで、まあ「やむを得ず原発を再稼働する場合には、世界最高水準とされる新規制基準を厳格に適用して万全の安全性を確保するよう国に求める」と、まあこういうふうにおっしゃいました。「世界最高水準とされる新規制基準の厳格な適用で万全の安全性を確保できる」と、まあこういうことの話だというふうに思うんです。だけどね、実際に原発が、2年停まってて再稼働して何が起きてるのか、まあこれ新聞報道でも明らかなことなんですけど、高浜原発の第4号機、どうです。再稼働直後(直前)の20日に、放射能汚染水が漏れました。原因は「ボルトのゆるみ」だそうです。私はボルトのゆるみじゃなくて、安全神話にあぐらをかいた気のゆるみだというふうに思うんです。で、29日には、送電開始直前に、マスコミも入っているところで、スイッチを押そうと思ったら緊急警報が鳴って、緊急停止をすると。で、事故に連動して、制御棒の48本が炉心挿入されると、いう事態ですよね。で合わせて2月18日には、規制委員会の委員長が、高浜原発の第1第2の再稼働にあたって、40年越えをしている原発ですよ、もう世界では国際社会では「30年越えたらもう廃炉だ」と言われている時に、40年越えの原発第1第2号機を、再稼働にあたって、何とかすれば安全だと、いうことを発言をすると、まあこういう事態になっています。これでね、どこが世界最高水準の新規制基準なのかと。安全性を、万全の安全性を確保したら再稼働もやむを得ないという市長はおっしゃるんだけども、どこに、万全の安全性の確保ってのがあるんですか、現実に。そこの認識についておうかがいしたい。

(→古井地球温暖化対策室エネルギー政策部長)はい、えー本日は、環境政策局の質疑でございますので、エネルギー政策の観点からお答えをさせていただきます。えー私どもは、エネルギー政策の観点から、平成24年3月の市会決議「原子力発電に依存しないエネルギー政策への転換と再生可能エネルギーの普及拡大に関する決議」、えーこれを重く受け止めまして、25年12月に「京都市エネルギー政策推進のための戦略」を策定致しまして、原子力発電に依存しない、持続可能なエネルギー社会を目指すと、これを明確に掲げますとともに、えー国に対しましては、原子力発電所のできる限り早期の全廃に向けたエネルギー政策の抜本的な転換、また、電力事業者に対しては、脱原発依存を経営の中心に据えるよう、これまでから強く求めてきております。えーこの立場につきましては、えー今後ともぶれることはございませんし、えーまったく現在も変わっているところはございません。

◆井坂議員/いやあの、まあ本来ならばね、行財政の危機管理のところで再稼働の議論をしなあかんので、そこはまたやりますけど、エネルギー政策の責任を持つ部署として、エネルギーを供給するのに安全性っていうのはね、大事なことだと思うんですよ。で、それが今ないがしろにされようとしている時に、そこの専門部局としてはどうなのかという点をお聞きしたんで、今の答弁は、行財政の危機管理の答弁です。エネルギー政策の答弁としてはね、非常に不十分だという点を指摘をしたうえでね、いまおっしゃったように、国に対しては早期の全廃を求めると、で、企業に対しては脱原発のエネルギー政策を求めると、こういうふうにおっしゃいました。で、原発の早期全廃と、ね。で、中長期的には脱原発依存。まあこれが今の本市のエネルギー基本戦略のスタンスだというふうに思うんですよね。市長もこれはぶれることはないと、こういうふうにおっしゃった。だとしたらね、国のエネルギー基本計画、何回も言ってますけど、2030年のベースロード電源は、「原発を20~22%にする」っていうんですよ。あくまでも国は原発の位置をベースロードとして位置付けているわけでしょ。しかも20~22%やから、全体の5分の1は原発でいくと言ってるわけですよ。で、市長やみなさん方は、「早期の原発全廃」と言ってるわけでしょ。で、この論理的な整合性をどうはかっていくのか。現時点では矛盾してると思うんですよ。お聞きしますけど、早期の全廃っていうふうに言うけど、国は2030年の段階ではね20%原発だと言ってるんですよ。だとしたらみなさん方の言う「早期」っていうのは、2030年を超えて、はるか向こうを早期だと、こういうふうにおっしゃるんですか。中長期的に原発に依存しないっていうのは、もっとその先と、いうことになるんですか。どうですか。

(→古井地球温暖化対策室エネルギー政策部長)えー何度も申し上げますとおり、私どもはこれまでからエネルギー政策の観点で必要な機関、国に対して、強く求めております。エネルギー政策の推進はやはり、国、それから電力事業者、各地方自治体、それぞれがしっかりと役割をはたしていく必要があると考えております。えー国のエネルギーミックスの検討にあたりましては、えーこれは、まあ、えー、さまざまな学識者が参加する中で、まあ安全性を大前提としたうえで、経済性、環境負荷の低減、それから、えー、そういった、えー、エネルギーの安定確保、さまざまな観点から議論されたと聞いておりますけれども、えー私どものスタンスとしてましては、先ほど申しました通り、えーエネルギー、原発に依存しない、持続可能なエネルギー社会を目指す、えーこれについては、いささかもぶれることはございません。

◆井坂議員/みなさん方はぶれることはないと、いうふうにおっしゃるのはそれはわかるんですよ。で、ぶれることがない、その考え方でいったときに、国は「2030年の段階ではまだ20%は原発に依存する」と言ってるんですよ。だからみなさん方が描いているエネルギー社会、早期に原発の全廃というふうに言ってるのは、いつ頃を展望して言ってるのか、こういうふうに聞いているんですよ。

(→古井地球温暖化対策室エネルギー政策部長)えー先ほども申しました通り、えーエネルギー政策の推進にあたっては、国・電力事業者、えー自治体、それぞれが役割をはたさなければ、えー国全体のエネルギー政策というのは実現しないと、いうふうに考えておりますので、私どもはやれることをしっかりやる、再エネ・省エネの取り組みをしっかりと進める、それから、政令指定都市が連携した指定都市の自然エネルギーの協議会、これの会長都市も務めておりまして、このなかでも国に対して、再生可能エネルギーの比率をもっと高めるような政策提言、こういったこともおこなっております。えーしたがいまして、こういった役割をそれぞれでしっかりはたせるように、えーやる、やれることをしっかりと我々もやり、えー要求することもしっかり要求するなかで、えーこういった社会の実現に向けて、しっかりと取り組むと、こういうことでございます。

◆井坂議員/だからそういうふうに言われても私わからないんですよ。早期全廃でやるって言うかぎりは、その政策的な展望があるから私は言ってるというふうに思ってるんだけれども、いまの部長の答弁でいくと、やるべきことをやっていったら、その先には、他の自治体や、国と協力すれば原発がなくなるだろうと。それではね、私は、エネルギー政策において、こういうスローガンを掲げる割には非常に心もとないと、こういうふうに私は思います。で、あらためてもう1回聞きますけど、あのー答えられないなら答えられないって言ってもらったらいいんですけど、現状の原発再稼働してるところが、あれだけ事故を起こしてることに対して、安全性を万全に確保したうえで、動き出したんだという認識があるのかどうか、これについては部長コメントできますか。

(→古井地球温暖化対策室エネルギー政策部長)えー規制委員会の審査を受けたうえで再稼働されていると、いうふうに認識をしております。

◆井坂議員/で、その規制委員会の委員長がどう言ってるかというと、新規制基準に合わせて検査をして、それで合格したからといっても、安全が100%確保されているというもんではないと、ま、こういうふうに規制委員長おっしゃってますよね。だから、そういうふうに、規制委員長自ら認めていて、現実にそういう事態が起きている時に、原発の再稼働っていうことに対しては、やはり慎重に対応しないといけないと、いうふうに思います。したがって私は、住民の命・安全に責任を持つ自治体としては、こういう原発を再稼働するっていうことについては中止をするべきだと、これはエネルギーの部長に聞いても、あの答えられないと思うんで、行財政でまた聞きたいと思います。で、まあ最後にこの問題で言うと、あの経済性の問題おっしゃいましたけど、経済性で言うんであれば、2年間、原発が1基も動いていないのに、市民の節電努力と企業の努力、これが相まって電気は足りてたと、いうのが現実にあるわけですから、原発を再稼働させないと経済性が心もとない、再稼働したら電気料金を下げると、関電言ってますよね、8月をめどに下げましょうと。再稼働したら。で、そういう理屈ではね、ないという点を、私たちは経済面としてはね、見ておく必要がね、あると思うんです。

で、次に、4月からいよいよ電力が自由化されます。これを前提にして、本市の電力調達についてお聞きをしたいと思います。昨日の本会議質問で、維新の宇佐美議員が質問されました。ま、そのやり取りを私注目して聞いてたんですけど、あの副市長が、答弁の中でね、「28年度の入札で応募した7つの事業者全部が京都市の評価基準を満たしている」と、で、「原発由来の電力を供給する事業者が有利となっているわけではない」と、まあこういうふうにおっしゃいました。で、その評価基準については、たとえば温暖化との関係で、火力を抑えているというような発電というところがいろいろ基準になるっていう話もあって、原発を使ってるところは、火力を使っていないからその分が有利になるわけではないと、こういうふうにおっしゃったんですけど、あらためてね、本市の、この評価基準ですよね、本市が事業者と電力を契約をするときの基準、で、今28年度でそれをクリアしている7つの事業者というのは、いったいどこですか。そして本市が、公共施設をいっぱい持ってますけど、そこにおける、調達している電力事業者、主なところは何ですか。教えていただけますか。

(→下妻温暖化対策室長)はい、あの、市の電力入札についてでございますが、まずあの、ちょっと仕組みなんですけれども、まああの電力入札そのものは、まあ当然電力を調達する、できるだけ安く、えー安定的に調達すると、これがまあ目的でございますが、まあその前段でですね、まあ本市では、「国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律」、まあ「環境配慮契約法」、えーこれにもとづきまして、評価基準を満たした事業者のみ入札できる仕組み、いわゆる「裾切り方式」というのをとっております。で、まあ、環境政策局で対応しておりますのは、入札業務そのものではなくてですね、この事前審査、まあ、えー、入札参加希望者の事前審査でございますが、まあこれ、温室効果ガスの排出削減という観点からの事前審査をしているわけでございます。で、この制度は、当然、温室効果ガスの排出削減を目的としておりまして、まあ非効率な火力発電等によりですね、二酸化炭素の排出係数が極めて高い事業者を、まあ不適格とする、まあこういった評価基準を設定しているところでございます。で、えー、そのうえでですね、えーこの他、再生可能エネルギーの導入状況であるとか、未利用エネルギーの活用状況等をですね、評価対象としておりますけれども、加えて、京都市独自にですね、再生可能エネルギーの導入状況について、特に配慮した基準としているところでございます。

で、えー、おたずねの、入札参加した7つの事業者でございますけれども、まああの申し上げますと、伊藤忠エネクス株式会社、それから、エネサーブ株式会社、株式会社エネット、株式会社エフパワー、日本ロジテック協同組合、株式会社ブイパワー、丸紅株式会社、が入札参加希望しまして、すべて裾切りの審査については、クリアしてるということでございます。で、主な、あの実際に、入札を取ったところとなりますと、まああの、今申し上げた7つのうち、一つだけが入札に参加されませんでした。日本ロジテック協同組合さんは参加されておりませんが、まあその他の事業者はそれぞれ、落札をされていると、いうような状況でございます。

◆井坂議員/そしたら委員長にお願いしたいんですけど、いまあの口頭で説明いただきましたけど、その資料ですね、7つの事業者と評価基準と国の法律の関係、で、いま本市の状況、これは資料でいただきたいと思うんです。で、それでね、そういうことを今までやってきたと、で、4月からいよいよ電力が自由化されます。これが本市のこのやり方について、影響があるのかどうなのかってのが一つ。で、それと、もう一つは、まあ本市の特に配慮してる問題として、再エネの導入をどれだけ努力してるのかってのがあったんですけど、さっきも質問した趣旨はここにいくんですけど、まあこれだけ原発が危ないと、こういうふうに事故が起きてる時に、原発に頼らないことをきちんとやっている事業者、そこのところを本市としてもより基準を高くしてやるべきじゃないかと思うんですけど、こういう考え方についてはいかがですか。

(→下妻温暖化対策室長)はい、まずあの、4月の電力自由化に向けてということでございますが、えーすでに平成28年度の電力入札ってのは実施済みでございまして、えー変更はございません、えーそれから、再生可能エネルギーをもっとまあ重視すべきではないかという、あのお話でございますが、まあこれあのくり返しになりますけれども、まあ京都市では独自にですね、再生可能エネルギーの導入について特に配慮した基準としておりまして、再生可能エネルギーを重視を致しております。ということでございます。

◆井坂議員/まああの再エネを重視してるってことはイコールで原発に依存しないっていうことになるっていう考え方もあるし、きちんとそういうところを抑えてやっていただきたいと、いうふうに思います。またあの資料などいただいて、くらし環境委員会などでも質問していきたいと思います。

2016年3月3日【予算特別委】環境政策局質疑 ※原発関連部分

(更新日:2016年03月04日)