市民の命守るために、市長は原発再稼動に反対を(2016年3月1日/本会議・代表質問・やまね)

3月1日におこなった京都市議会での代表質問、京都市の答弁全文を文字に起こしました。前日の2月29日に高浜原発4号機原子炉が緊急停止。この事態のもとで京都市はどう答えたか。持ち時間30分のうち20分を原発問題にあてました。

「伏見区横大路・クリーンセンターへの展望台&バイオガス化施設の建設中止」「高すぎるごみ袋代の値下げ」「藤ノ森小の南隣にある水道局伏見営業所跡地を地域住民のために活用を」「京都市独自で給付制奨学金制度の創設」も求めています!

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2016年3月1日【京都市会本会議】代表質問

◆やまね/伏見区選出のやまね智史です。私は日本共産党京都市会議員団を代表し、2016年度予算案に関連して、本市の防災エネルギー対策、ごみ行政、若者支援等について質問します。まず原子力災害対策についてです。

「原発事故さえなければ福島を離れることはなかった。事故を起こした東京電力や国の責任が曖昧にされ、損害賠償や避難計画も不十分ななかでの再稼動に大きな憤りと矛盾を感じる。その矛盾の中でも日々の生活は待ってくれない」。私の地元、伏見区にお住まいの自主避難者の方が語られました。自然災害に加え、政府が進めた原発政策、電力会社による人災に苦しむみなさんを、政治が見過ごしていいはずがない。被災者のみなさんからお話を聞くたびにその思いを強くし、原発ゼロをめざす運動に参加し、昨年4月には伏見区のみなさんに市議会へと押し上げていただきました。被災者や市民のみなさんのくらしを守るために、私も全力をつくす決意をまず始めに申し上げます。

福島原発事故による被災者の苦しみと要望にどう向き合うか

昨年12月時点でも福島県の10万人を超えるみなさんが、避難先で生活されています。2月1日付、市防災危機管理室の資料では、福島県のみなさん337人をはじめ、この京都市内で460人の避難者の方が生活されています。原発事故からまもなく5年、いまどんな問題に直面しているでしょうか。

たとえば「住宅の確保」が切実な問題です。国や福島県は「自主避難者への住宅無償提供を2017年3月で打ち切る」としました。「自主避難と言われるが、自ら望んで避難生活をしているわけではない。ようやく知り合いもできたのに、また家を移らなければいけないのか。子どもの進学もある時に不安」と、避難者の方は語られました。「親や兄弟とうまくいかなくなったことがつらい」という方も少なくありません。「事故当時、妻が妊娠中で、両親の反対を押し切って避難した」という方、「夫は福島での仕事があるが、子どもの身体が心配で避難した。だんだん意見がすれ違い、離婚せざるをえなかった」という方もおられました。「パニック障害になりかけた」「うつ病になった」という方もおられます。2月18日、京都地裁で判決が出ました。福島県から京都市に自主避難した男性と家族が、東京電力に損害賠償を求めたもので、判決は「事故とうつ病による休業や精神的苦痛」の因果関係を認め、自主避難の事例としては全国で初めて賠償命令を出しました。

京都市で2012年から300人以上、子どもの健康調査をされている医師の方は、「放射能の影響は20年30年先どうなるかわからない。検診を続けることが何より重要」と語ります。しかし今、子どもが「検診はいやだ」と言う場合があるそうです。ご両親の関係がうまくいかなくなったのを見て、「そんなことならもう放射能のことなんて考えたくない」と。教育相談に関わる方は、「1年目2年目は健気にがんばっていた子どもたちが、いまになって不登校が増えるなど、心のケアが大切になっている」と語られました。市長にうかがいます。福島原発の事故が、被災者のみなさん、この京都に来られたみなさんに、今もなお、このような苦しみをもたらしていることをどう受け止めますか。市長自身の思いをお聞かせください。

健康調査をされたお医者さんは「避難された方、被災地に残った方、どの人の意志も尊重してサポートすべき。住宅支援などは京都市独自で力になれることの一つではないか」と語られました。京都市が提供している市営住宅には、2月1日時点で約60世帯の方が入居されていますが、今後も引き続く支援が必要と考えます。2月「子ども・被災者支援法」に基づき、市営住宅の優先募集がおこなわれましたが、その数はまだ4つであり、家賃もかかります。市内全体で460人おられる避難者のみなさんに応えるものと言えるでしょうか。市長にうかがいます。何よりもいまの住宅無償提供を、国に強く求めると同時に、京都市独自でも延長し拡大するべきではありませんか。また、避難者への「無料集団検診」に取り組む民間医療機関もありますが、「2015年は65名が受診。費用は1回約70万円。カンパも残りわずかで財政は厳しい」と訴えておられました。京都市独自で健康調査などに協力する民間医療機関への支援を検討し、また、さまざまな不安を抱えておられる方々への日常的な個別相談体制を強化すべきではありませんか。答弁を求めます

原発災害から市民の命をどう守るか、京都市「地域防災計画」の抜本的改善を

(1)1月29日、福井県の高浜原発3号機が、2月26日には4号機が再稼働しました。この京都市役所から約60キロに位置します。市民の命を守るために、京都市策定の「地域防災計画・原子力災害対策」を、より実効性あるものにすることが必要です。しかし、京都市の計画は「福島第一原発における事態を十分に踏まえた過酷事故を想定し」と明記しながら、その対象範囲を大飯原発から32・5キロ圏内に限る大変不十分なものです。福島では原発から30キロ以上離れた飯館村の多くのエリアが今も「居住制限地域」「帰還困難地域」です。放射性物質の飛ぶ方向・距離は同心円状とは限らず、気候・風向きによって大きく変わります。たとえ32・5キロ圏内の計画がパーフェクトであっても、33キロ以上が大丈夫とはなりません。滋賀県は独自に放射能の拡散予測シミュレーションをおこない、50キロ圏まで拡大し避難計画を策定しました。京都市は高浜原発から一番遠い伏見区の南の端でも約72キロですが、アメリカは事故当時80キロ圏内に避難命令・勧告を出しました。京都市の計画をより実効性あるものにするためには、市全体が避難区域となることを想定し計画を策定すべきと考えますがいかがですか。また、国も京都市も今後は緊急時の放射能影響予測をせず、放射性物質の計測体制を強化するとしていますが、市民は「放射能が到達するまでに避難したい」と希望しています。国に対しSPEEDIのような影響予測の情報提供を求めるとともに、滋賀県や兵庫県のように独自のシミュレーションを京都市でもおこなうべきではありませんか。答弁を求めます。

(2)私がお話を聞いた避難者の方は、福島第一原発から31キロ、あるいは50キロ、または60キロの地域で暮らしておられました。このみなさんの声を、私たちは我がこととして、真剣に受け止めるべきではないでしょうか。実際に避難を経験されたみなさんが心配されているのが避難困難者の方々への対応です。「健常者でも避難は難しい。お年寄りや障がいを持つ方々は一人で逃げられない。しかし事故はいつ起きるかわからない。時間や季節を選んで起きるわけではない。必ず介助者が必要になることを相当綿密に考えなければいけない」「避難した者の実感としては、避難弱者が心配だ。赤ちゃんを抱えた人は避難所で本当に大変だった。看護師やケアマネも絶対必要だ」などの声です。自力での避難が困難な方々を守るためには、あらかじめ自治体や施設同士の連携が不可欠であることが指摘されていますが、これらの対応を京都市としてどのように考えておられますか。

(3)また、昨年11月議会の代表質問で我が党議員が指摘した「舞鶴市民の避難場所として指定されている東山の元清水小学校などが、ブライダルなど民間活用の対象」となっていることは大問題ではないでしょうか。副市長は「舞鶴からの受入約6万5000人に対し、約7万9000人分が確保できており支障はない」と答弁しましたがとんでもありません。2月23日には舞鶴市議会の特別委員会で「府立丹波自然公園でスクリーニングなどを受け、京都市東山区内の小学校などに避難」とあらためてその計画が確認されました。重ねて指摘しますが、国の法律では「避難を受け入れる側が条件整備の義務を負う」と受け入れ自治体の責務が明記されています。原発防災の避難所として元小学校を考えるならば、「跡地活用は公共的な役割に限る」という立場に立つべきではありませんか。

(4)近畿の水がめ・琵琶湖の汚染は、京都市民の命くらしにも直結します。2月17日付「京都新聞」夕刊で、前滋賀県知事の嘉田由紀子氏が「人間の避難計画を作っても琵琶湖は避難できない」と語られました。「万一を想定し放射性物質の拡散シミュレーションを県独自におこない住民の避難体制を作ったが、行政責任者として細部までの対応をしようとすればするほど、実効性担保の難しさを痛感した」とも語っています。滋賀県の「地域防災計画」では、琵琶湖の水が7~10日間、摂取制限となる事態が想定されています。しかし、京都市の「地域防災計画」を見るかぎり、日数の想定は、「市民一人ひとりが水の備蓄(1人1日3リットルを3日分程度)取り組むよう啓発する」とあるだけです。これで市民の安全を守れるでしょうか。市長、京都市の計画が「福島で起きた過酷事故を想定」しながら、琵琶湖汚染や飲料水の確保について、滋賀県などと比べ大変甘い中身であることをどう認識されていますか。お答えください。

(5)また、高浜原発から57キロ、4万人の人口に対して5万人分の安定ヨウ素剤を購入・配布している兵庫県篠山市の取り組みに学ぶべきではないでしょうか。放射性ヨウ素による甲状腺被ばくを避ける上で効果が高い安定ヨウ素剤ですが、その費用はけっして高くありません。1人1回分でわずか10円、篠山市の全人口4万人分で40万円ほどです。ヨウ素剤は飲むタイミングが重要ですが、国は事前配布を5キロ圏までとし、30キロ圏内でも緊急事態発生後です。しかし、緊急事態発生後に配ることなどできるのでしょうか。お隣の大津市も市民全員にヨウ素剤を配る検討を始めています。147万・人口の京都市で備蓄されているのはわずか1万5000人分。事前配布もありません。市民の命を守るために、京都市でも、全市民分の安定ヨウ素剤を準備し、事前配布をするべきだと考えますがいかがですか。以上、住民の命を守る取り組みに京都市が責任をはたすことを強く求めます。

原発再稼動と京都市が表明してきた立場について、いまこそ原発ゼロの政治決断を

(1)次に、原発問題についてこれまで京都市が表明してきた立場についてお聞きします。たとえば京都市は「原発のできる限り早期の全廃」「中長期的には脱原発依存を強く主張」とくり返し表明しつつ、「やむをえず原発を再稼働する場合は」、あるいは、「最小限の範囲で」と原発再稼動を容認してきました。しかし、現在政府や電力会社が進める計画は「最小限」などと言えるものでしょうか。政府のエネルギー基本計画では「2030年の電源構成を原発20~22%にする」ことが目標です。この計画にもとづけば、最小限どころか、次々と原発を再稼働させる以外ないことになるではありませんか。京都市の表明してきた立場とも明らかに矛盾すると考えますがいかがですか。答弁を求めます。

(2)さらに、京都市は「新規制基準を厳格に適用して万全の安全性を確保」とくり返しますが、我が党議員が何度も指摘しているように、原子力規制委員会の委員長が「この基準に適合しても、安全とは言えない」と明言しています。2月18日、「原子力規制委員会が40年を超える高浜原発1・2号機の再稼動を認めた」と報道されました。その2日後、2月20日、高浜原発4号機で放射能汚染水が漏れ出しました。この4号機もすでに30年以上経過した老朽原発でありその危険性が指摘されていました。原発には、熱疲労・金属疲労・水による浸食に加え、中性子を浴び材質が脆くなるという固有の危険があります。原発の寿命が世界平均22年というなか40年を超えて動かす。前例のない危険な道です。関西電力は、4号機の汚染水漏れの原因を「ボルトのゆるみ」としていますが、こんな初歩的ミスが起こるもとで、どうして安全と言えるか。強引に再稼働した4号機は昨日午後、警報が鳴り響き、原子炉が緊急停止しました。関西電力のトラブル公表5段階の基準で最も高いレベル4という重大事態であります。2月24日には東京電力が「メルトダウンのマニュアルに5年間気づかなかった」と発表しました。市長、あなたは、こんな甘い管理・認識のもとで、高浜原発の再稼働を容認するおつもりですか。あなた方が「最小限」とか「万全の安全性確保」とか言っている間に、重大な事態が起こっているではありませんか。再稼動は中止し、すべての原発を廃炉にすることこそ最も確かな防災計画だと考えますがいかがですか。

(3)高浜原発の「プルサーマル発電」には特別の問題があります。プルトニウムという大変危険な物質を混ぜた燃料を普通の原発で使うために、事故を起こせば、より深刻な事態となります。加えて今、アメリカ政府関係者や、95年にノーベル平和賞を受賞した科学者グループ・パグウォッシュ会議など、国際世論が日本の原発政策を大変危惧しています。なぜか。プルトニウムは核兵器に転用できるため、「使用目的のないものは持たない」のが日本の国際公約ですが、夢の原子炉と言われた「もんじゅ」がとん挫し、中間貯蔵施設や高レベル放射性廃棄物の処分施設など、プルサーマル計画そのものが行き詰まり、使用目的のないプルトニウムがどんどん増えているからです。高浜原発の再稼働は、すでに破たんした危険なプルサーマル計画に固執することであり、核廃絶を願う国際世論とも相いれません。市長は昨年の9月議会で「戦争と核兵器の悲惨さを決して風化させることなく」、そして、「非人道的な核兵器が大きな悲しみと苦しみをもたらしたことを、改めて胸に刻む」と言われました。この立場からも、高浜原発の再稼働には、きっぱり反対すべきではありませんか。再稼動を容認するかぎり原発をなくすことはできません。原発ゼロへの政治決断こそ求められていると考えますがいかがですか。以上、原発問題に関して、ここまでの答弁を求めます。

(→門川市長)①やまね智史議員のご質問にお答え致します。原発の再稼動への認識についてでございます。私は、福島第一原子力発電所事故の教訓を決して風化させてはならないとの強い決意の下、平成24年3月の京都市会決議を重く受け止め、平成25年12月に「京都市エネルギー政策推進のための戦略」を策定し、「原子力発電に依存しない持続可能なエネルギー社会」の実現を目指すことを明確に掲げるとともに、国に対しては、原子力発電所のできる限り早期の全廃に向けたエネルギー政策の抜本的な転換を求め、中長期的には「脱原発依存」を強く主張し続けております。今後ともこの立場については、いささかもぶれることはございません。

②その上で、原発に依存しない電力供給体制が構築されるまでの間、やむを得ず原発を再稼働する場合には、その必要性を明らかにし、世界最高水準とされる新規制基準を厳格に適用して、万全の安全性を確保するとともに、分かりやすく住民に説明し理解を得るよう国に求めております。

③高浜発電所の再稼働は、プルサーマル発電を前提とする審査の結果、国が責任を持って判断されたものでありますが、今後とも国や電力事業者は、新規制基準に基づく安全確保に万全を期すのはもとより、住民避難計画を含む関係自治体の防災対策の実効性確保に向け、最大限の努力が払われるべきものであります。本市と致しましても「地域防災計画・原子力災害対策編」に基づき、万が一の原子力災害から市民生活を守る、命を守るための防災対策の充実に、引き続き努力を重ねてまいります。以下、副市長がご答弁申し上げます。

(→藤田副市長)まず、原発事故への認識と被災者支援についてでございます。東日本大震災、福島第一原発事故が発生してから5年がたちますが、復興は道半ばであり、引き続き被災者への支援が必要と認識しております。

福島県からの避難者への住宅支援につきましては、国や県からの要請に基づく本市市営住宅の無償提供に加えて、本市独自の取組として、市民のみな様からも無償で住宅をご提供いただき、現在47世帯にお住まいいただいております。このうち46世帯につきましては、福島県の被災者を支援する法律に基づきまして入居要件を緩和し、無償期間終了後も可能な限り引き続き入居いただけることとしております。また、法律の対象とならない残り1世帯につきましても、平成30年12月までは無償で入居いただけることとしており、今後とも、被災地の復興の状況や国の動向を注視するとともに、避難者みな様のお声も直接おうかがいし、避難者の心情によりそった丁寧な住宅支援に努めてまいります。

次に、避難者のみな様への相談支援や健康調査についてでございます。本市では、東日本大震災の発災直後から保健センターの保健師が、避難者宅への家庭訪問により健庫状態等を聞き取り、相談支援等を行うなどのきめ細かな活動を実施してきており、今後とも、支援が必要な避難者の方には、健康相談等の丁寧な対応に努めてまいります。また、避難者の方の健康調査につきましては、福島県が県外への避難者を対象として、京都市に所在する医療機関を含め、全国の医療機関と連携して、定期的な健診や甲状腺検査を行い、原発事故による健康への影響を継続して調査しているところであります。

次に、本市の原子力災害対策についてでございます。

①福島第一原発事故の実態や国際的な安全基準を踏まえ、国は原発の緊急時に備えて防護措置を準備する区域を原発からおおむね30kmのUPZにまで拡大致しました。これを受けて本市は、年間の気象データを用いた放射性物質の拡散予測と被ばく評価が可能で、防護計画等の策定に適したMACCS2と言われる、この予測を参考に致しまして、大飯原発から半径32・5kmの地域をUPZと定め、地域防災計画に基づく避難訓練を行っております。なおUPZ外でも、この計画に定めた防護措置を必要に応じ講じてまいります。一方、事故時に拡散予測を行うSPEEDIにつきましては、福島第一原発事故の際に予測ができず、初期避難が混乱したことから、国はより迅速な避難のため、SPEEDIによらず、放射性物質の放出前に避難等を指示するとしています。

②次に、要配慮者避難支援に係る自治体や施設同士の広域連携の確保につきましては、本市をはじめ、京都府等の関係自治体や関係団体が参画致します京都府災害時要配慮者避難支援センターを中心に引き続き取り組みを進めてまいります。

③学校跡地につきましては、公共的な活用か、民間での活用かを問わず、地域住民の避難所機能は確保しております。原子力災害時の広域避難の受け入れにつきましても、京都府の広域避難要領において、本市が受け入れ先となります舞鶴市からの要請に十分応じられる状況であり、今後地域のみな様のお声をしっかりと聞きながら、備えてまいります。

④次に、琵琶湖等の水道水源の放射性物質による汚染への対応等につきましては、地域防災計画の細部計画であります京都市水道対策計画に基づき、緊急時にはモニタリング頻度を上げるとともに、浄水処理を強化し、水道水の安全を確保致します。なお、水道水の摂取制限下における代替水の確保につきましては、応急給水槽や配水池による放射性物質に汚染されていない水の確保や、協定等に基づく民間企業や他都市の応援要請、災害時協力井戸や公的備蓄物資を活用し、万全を期してまいります。

⑤最後に、UPZ外住民のみな様の安定ヨウ素剤の服用につきましては、効果的な防護ではないとの考えを国が昨年4月に示しており、UPZ内住民への安定ヨウ素剤の迅速な配布のため、本市独自の実施要領に基づく訓練等を実施致します。以上でございます。

◆やまね/原発問題についての答弁がありましたが「再稼働反対」という言葉はついにありませんでした。高浜原発で原因不明の重大事態が起こっている、この事態を真剣に受け止めるなら、原発の再稼動にはきっぱり反対すべきです。被災者の方は「原発の再稼動とは、街を失う覚悟をするということだ」と語られました。京都市の防災計画で「福島原発のような過酷事故を想定」しなければいけないことこそ根本問題です。すべての原発が止まっても電力不足は起きなかったのに、これほどの事故を想定して電気をつくることがゆるされるのか。原発から市民の命を守る一番現実的な道は、再稼働を中止し、すべての原発を廃炉にすることであるとあらためて指摘し、次の質問にうつります。

他都市でトラブル続きのバイオガス化施設は中止を

バイオガス化施設について聞きます。再生可能エネルギーの導入・普及は重要ですが、それを口実に、他都市でトラブルが多発する施設に多額の税金をつぎこんでいいのでしょうか。伏見区横大路・南部クリーンセンターに計画中のバイオガス化施設は、異物混入の可能性が高い家庭ごみの機械選別をともなう方式で、国内の先行事例はわずか2つです。そのうちの一つ、京都市の実験をもとに作られたという兵庫県・南但クリーンセンターではトラブルが相次いでいますが、京都市は「施設本体の構造はまったく問題ない」としてきました。そこで私は、本会議討論やくらし環境委員会で、昨年4月に南但クリーンセンター自身が出した「運営方針」に、「メタンガス発酵槽(施設本体)でのトラブルが頻発」と明記されていることを指摘しました。日本国内に22あるバイオガス化施設も、そのほとんどが、生ごみや下水汚泥、家畜の糞尿など、きちんと分別されたものが基本です。異物混入の危険の高い家庭ごみの中から生ごみ等を機械選別するやり方は、京都市が取り組む「ごみ分別」「生ごみ対策」とも矛盾し、事故の危険性を高めるものです。昨年12月には南但広域議会の特別委員会にプラントメーカー・タクマが呼び出される事態になりました。この事実も重く受け止め、計画は中止すべきではありませんか。

高すぎるごみ袋代は値下げを、2億5000万の展望台建設は中止を

次に、ごみ袋代についてお聞きします。京都市の指定ごみ袋は、年間の売上が約18億円、製造経費が約7億円、約11億円もの黒字です。ごみ袋代を仮に半額にしてもおつりがくるではありませんか。「市民のくらしが大変な時に2億5000万円もかけ、クリーンセンターの煙突に展望台をつくるくらいなら、ごみ袋代を値下げしてほしい」というのが市民の声です。「京都市廃棄物の減量及び適正処理に関する条例」では、その第53条で「地方自治法の規定により、一般廃棄物(ごみ)の収集・運搬・処分について、手数料を徴収する」とあります。市民のみなさんから「ごみ処理」の手数料としてお金を集めながら、「財源活用事業」なる名目で直接関係のない事業へ毎年使うことは、地方自治法・条例の趣旨から見ても間違っています。黒字分はごみ袋代の値下げに使うべきではありませんか。ましてや必要性のない展望台建設に2億5000万円も使うなどゆるされません。財政が厳しいなら、まっさきに見直すべき事業ではありませんか。答弁を求めます。

上下水道局伏見営業所跡地は地域住民のために活用を

市民のみなさんが本当に必要としている施設こそつくるべきです。市長は「2年連続待機児ゼロ」「子育て先進都市」と強調されてきました。しかし、伏見区の藤ノ森学区には児童館が1つもなく、長年地域のみなさんが大変苦労されています。学区を越えて遠く離れた児童館に子どもたちが歩いていく。放課後の居場所がない。「同じ市民でありながら住んでいる地域により、こんなに差があるのは納得いかない」「入りたくても入れない」というお母さんお父さんたちの声を聞いたことがあるのか。なぜ藤森に児童館がないのか。京都市はその理由を「土地がなかった」とくり返してきました。しかしこの間、同じ学区内にあった伏見消防署跡地が売却され、消防学校跡地も売却されました。いずれも広大な土地です。小学校近くにある教育委員会所管の土地は「児童館のために」と市民の方が寄付されたものでした。しかし、シートをかけたまま13年も放置し、現在売却の対象となっています。土地がなかったのではありません。京都市が地域の声を聞いてこなかったのです。

現在、藤ノ森小学校の南には、水道局の伏見営業所跡地が隣接しています。地元ではこの土地と建物を「今度こそ地域住民のために活用してほしい」「雨の日でも子どもたちが遊べる場所を」「高齢者の支援、防災や商店街活性化の拠点にしたい」「地元のために使えるならボランティアで協力したい」などの声が大きく広がっています。この声にこたえて、上下水道局伏見営業所跡地は地域のみなさんのために活用すべきではありませんか。答弁を求めます

京都市独自に大学の給付型奨学金制度の創設を

最後に、京都で学ぶ若者を応援する施策についてです。昨年11月議会の代表質問では、総合企画局から「奨学金を活用する学生が年々増加し、半数を超えて利用される一方、学費の負担感と奨学金返還の負担感が大きい」との答弁がありました。

わが党の平井議員が紹介した、高すぎる学費や異常な働き方の解決をめざす団体LDA-KYOTOの運動はその後も続き、集めたアンケートは542人分、署名は約5500筆を超えました。12月17日に発表された「中間まとめ」によれば、「奨学金を利用する学生の69%が有利子の奨学金であり、無利子の倍以上となっている」こと、また「奨学金を申し込んだが、有利子しか借りられないのでやめた」「奨学金を借りなかったのは借金になるから」と、そもそも現在の奨学金が、有利子化によって使いたくても使えない制度になっていることが浮き彫りになりました。18歳の学生は「週5日のバイトで月9万円稼ぎ生活費に、さらに奨学金を月6万円借りて学費にあてている」、20歳の学生は「教育と物流のバイトかけもちで週20時間働き、奨学金も借りている。将来の返済が不安です」と語っています。本来なら、学生を応援するはずの奨学金が、学生生活や卒業後の暮らしに重くのしかかり、ブラックな職場・働き方でもやめられないという悪循環にもつながっています。この事態を打開するためにも、給付型奨学金が切実に求められています。

この間、県レベルや一般市でも独自の給付型奨学金制度が生まれています。2014年度には長野県、2015年度には富山市で実現し、2016年度には岐阜県や鹿児島県で創設されます。岐阜県では、県内へのUターンを条件に、1人当たり月3万円、100人分・3780万円が予算化されました。京都市長の退職金1期分と同程度の額です。鹿児島県では「地方創生枠」として300人分、Uターンを条件に返済免除の制度を作りました。県レベルでの取り組みも始まっているわけですから、こういう時こそ府市協調という道もあるのではないでしょうか。新しい年度も始まります。いまこそ学生のまち京都で、市独自の給付型奨学金制度を創設し、若者を支援するべきと考えますがいかがですか。以上、市長の答弁を求め、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

(→塚本副市長)南部クリーンセンター第二工場のバイオガス化施設についてでございます。バイオガス化施設につきましては、ごみ焼却施設に併設することにより、エネルギー回収の最大化と温室効果ガスの削減はもとより、焼却施設の規模縮小や売電収入の増加が見込めるなど、数多くのメリットがあり、全国各地で現に20を超える施設が稼働をしております。バイオガス化施設は、微生物による発酵作用で生ごみ等を分解し、メタンガスを作り出すもので、確立された既存の技術を組み合わせた安全な施設でございます。また、発酵タンク内のごみの水分割合によって乾式と湿式に分類されますが、いずれも前処理として異物を除去するための機械選別が必要なことに基本的に変わりはなく、また、安全面においても差異が生じるものではございません。ご指摘の南但クリーンセンターの事案につきましても、バイオガス化施設の不具合はほとんどが軽微なもので、既に解消されており、現在は順調に稼働していることを確認しております。南但広域行政事務組合議会の特別委員会につきましても、想定を超える可燃ごみの搬入等で、焼却処理がパンク状態になっていることなど、ごみ処理全般について説明を組合に対して求めたものであり、プラントメーカーはその答弁を技術的に補助するために出席したものと聞いております。また、同じく乾式のバイオガス化施設である山口県防府市のクリーンセンターも順調に稼働していると聞いておりまして、さらに、東京都町田市や鹿児島市においても乾式の施設計画が公表されています。本市と致しましては今後とも、平成31年度の稼働を目指し、生ごみ等を焼却するよりも環境にやさしい、バイオガス化施設の整備にしっかりと取り組んでまいります。以上であります。

(→足立環境政策局長)ごみ袋の有料化財源についてでございます。有料指定袋制は、家庭ごみの減量促進と費用負担の公平化を図るために実施しているものであり、市民のみな様のご理解ご協力により、家庭からのごみ量は、導入前の4分の3まで減量でき、大都市の中で最も少なくなり、それに伴い、ごみ収集運搬経費だけでも年間40億円もの、大幅なコスト削減を実現しています。しかし、依然として、ごみ処理には年間261億円もの経費を要しており、また、より一層、環境負荷の低減を図るため、ごみ減量を加速させる必要があります。このような中、指定袋の価格を据え置いていてもごみ量が増加に転じている自治体が多いことから、価格の引き下げは適切でなく、考えておりません。

また、有料化財源につきましては、京都市廃棄物減量等推進審議会からの答申や市民のみな様のご意見を踏まえ、ごみ減量・リサイクル、まちの美化、地球温暖化対策の3つの分野について、事業効果が高く、そのことを広く実感していただける事業に活用しており、毎年度予算において活用事業を明確にし、市会のご議決をいただいたうえで実施しているものであります。現在、建替えを進めております南部クリーンセンター第二エ場につきましては、これまでのクリーンセンターのイメージを一新させ、有料化財源も有効に活用しながら、市民のみな様の環境学習施設を整備することとしております。この環境学習施設は、煙突に併設する展望台を含め、世界最先端の環境技術などを楽しく学べる魅力あるものとし、将来にわたり、より多くの方々にお越しいただき、横大路地域の活性化にも寄与するものとなるよう、しっかりと取り組んでまいります。以上でございます。

(→岡田総合企画局長)給付型奨学金制度についてでございます。全国的な調査によりますと、何らかの奨学金を活用している学生は、平成14年度の31・2%から平成24年度には52・5%に増加していることに加え、返還の負担感が大きいという状況にあり、本市といたしましては、学生が安心して学べる環境を整備する観点から、現状の奨学金制度は更に改善すべきであると認識しております。このような中、国の平成28年度予算においては、無利子奨学金の貸与者数を1万4000人増やすとともに、国立大学・私立大学等の授業料減免の対象者数を拡充することが国会で審議されているほか、奨学金返還の負担軽減のため、平成29年度からの実施に向け、所得に応じて返還額が変動する新たな制度の創設に向けた検討が進められております。本市といたしましては、全国の学生の半分以上が受給している奨学金制度は、一義的には国の責任において拡充が図られるべきものであると考えております。そのため、全国から約15万人の学生が学ぶ「大学のまち・学生のまち」京都として、今後とも、給付型をはじめとした奨学金事業の拡充など、学生の学びの環境が充実するよう、率先して国に要望してまいります。以上でございます。

(→水田公営企業管理者・上下水道局長)伏見営業所跡地についてでございます。上下水道局では、営業所を水道事業・公共下水道事業の総合相談窓口と位置付けまして、お客さまの利便性の向上や、地域の防災拠点としての機能強化を目的として、「中期経営プラン」において、9箇所ある営業所を5営業所体制に再編することとしています。平成27年の5月に北営業所と丸太町営業所を再編して「北部営業所」に、そして九条営業所と伏見営業所を「南部営業所」として開設いたしました。近年、節水型社会が定着し、水需要の減少傾向が続くという厳しい経営状況のなかで、それを踏まえ設置致しました「保有資産有効活用検討委員会」におきまして、山ノ内浄水場跡地の貸付けや不要になった土地や建物の売却などにより、保有資産の有効活用をはかってまいりました。今後とも、伏見営業所の跡地をはじめとする上下水道局が保有する資産につきましては、京都のまちの将来の発展を見据えますとともに、経営基盤の安定強化をはかるために、効果的な収益の確保はもとより、有効な資産の活用に努めてまいります。以上でございます。

(更新日:2016年03月04日)