イコモスの名を語り混乱まねいた京都市を追及(2015年12月22日/くらし環境委・文化市民局・井坂博文議員)

◆井坂議員/前回の委員会の最後で指摘をしました日本イコモスの問題について資料を頂きましたんで、その資料に基づいて質問したいと思います。今年9月18日に第二駐車場整備を含む二条城の東側空間の整備計画の概要などを「日本イコモス国内委員会理事を訪問の上説明した」と、こういうふうに報告書には書いてあります。お聞きしたいのですけど、その理事の方とはどなたですか。

(→土橋文化財担当部長)すみません、前回の委員会でもご報告申し上げまして、その後、ま、確認を取っているのですが、名前は差し控えたいということでございます。

◆井坂議員/本人の意向を含めて、名前は出せないということですよね。では聞きますけど、ここに12月12日付の毎日新聞の記事があるんですが、これは下鴨神社の境内のマンション建設をめぐる記事です。これ自身は都市計画局に関連しますから、直接、この文化市民局で議論をしたことはないんですが、この新聞記事によりますと、市の担当者、都市計画の担当者と、それと下鴨神社の関係者と二人で、2月中旬にイコモスの国内委員会の理事を訪ねて計画に関する意見を聞いたというふうに報道されています。この男性の理事の方と皆さん方が9月に二条城の問題で説明に行かれた理事とは同じ人物ですか。違う方ですか。どうですか。

(→土橋文化財担当部長)こちらにお名前がちょっと書かれていないので、ちょっとはっきりしたことは申し上げられません。

◆井坂議員/ではお聞きしますけど、その9月に理事の方を訪問したのは、皆さん方の独自の判断で行かれたのか、それとも、どちらかのどなたかの紹介で行かれたのでしょうか。

(→土橋文化財担当部長)文化財保護課の中で、ま、これまでのお付き合いといいますか、つながりの中で訪問させていただいたということでございます。

◆井坂議員/イコモスの問題というのは常に京都会館のときでも話題になったし、全国でいろんなところで景観・開発問題、遺産問題では話題になっているんですが、今回、皆さん方は自分の判断で行かれたということなんですけど、都市計画の方のほうが、いろんなまちづくり問題などで直面してますので、よく知っていると思うんですけども、そちらから情報提供いただいたということはないんですか。

(→土橋文化財担当部長)都市計画局のほうから、この二条城の問題を説明するようにという指示はございませんでした。

◆井坂議員/じゃああの、ちょっとまちづくりとの関係でおさらいでお聞きしますけど、昨日まちづくり委員会で、この問題で議論になりました。そこでは、その男性の理事は3月14日にイコモスの国内委員会拡大理事会で、下鴨のマンション建設問題について、計画を報告したと。だけども、そこで特段の否定的な意見は出なかったので、京都市の側に対してその趣旨の連絡をしたと。それが7月の京都市の美観風致審議会専門小委員会、その審議の中で、京都市のほうから「イコモスの理事会で特段話題にならなかった」ということを言うんではなくて、「国内委員会から神社の苦渋の決断を尊重して一定の理解をもたれていると聞いている」と、あたかもイコモスの機関のところで、そういうことが結論として出されたかのように聞こえる、受けとられる、そういう報告を審議会でやったんですよね。で、そのことがいま大きな問題になっているわけなんですけど、結論でいうとね、それが12月2日の副市長の答弁の布石になってるわけですよ。最終結論でも何でもないものが、あくまで途中経過ですよ、その段階、いまのところ。この話っていうのが、あたかも「イコモスから否定的な見解を言われなかったので理解をされている」というね、副市長の答弁だったんだけども、この3月の理事会で発言された理事については、みなさんご存知ですか。

(→土橋文化財担当部長)それは承知しております。

◆井坂議員/新聞には男性の理事としか書いていないんですけど、なぜ知ってるんですか。

(→土橋文化財担当部長)イコモス国内委員会の、出されている、資料の、資料の中にですね、その下鴨神社の報告がなされたと、そこに理事のお名前が載っていると、いうことでございます。

◆井坂議員/日本イコモスの情報誌「ジャパン・イコモス・インフォメーション」2015年の10月、これに3月の理事会の報告がされているんですよね。で、同じもの見てると思うんですけど、そのなかで「下鴨神社境内でバッファゾーンに含まれる一帯でのマンション計画について」とゆうことで、次のように明記されています。「下賀茂神社の社務所の作成した『糺の森・第三期整備計画について』などをもとに、宗田理事よりその整備内容が説明された」と。字詰め書いてあるんですよね。毎日新聞は多分本人との関係を含めて名前は出さなかったんだけども、イコモスの情報誌に名前が出てるから、その人物だということを私は確信したんだけど、担当部長もそうだということで確信をしたっていうことについては間違いないですか。

(→土橋文化財担当部長)え、まあ、そのように推察されます。

◆井坂議員/あらためて聞きますけど、この理事の方に、みなさん方は9月28日に説明に行ったんではないんですか。それ否定しますか。どうなんですか。

(→土橋文化財担当部長)えー申し訳ございません。コメントを差し控えたいと思います。

◆井坂議員/否定はされなかったと。いうふうに私は聞きました。だとしたらね、私は重大だと思うんですよ。京都市がイコモスに対して、イコモスの委員長、事務局長、ちゃんといるんですよ。その組織に対して、きちんと情報提供したんではなくて、任意の情報提供の先が、ある人物に特定されて、そこに説明をして、で、その人がどう動いたかわかんないけど、その話っていうのがね、イコモスの結論のように議会で報告されると。これはね、あまりにもね、不正常だと。いうふうに私は思うんですよ。ちなみに聞きますけど、前回の委員会で部長は、その方がイコモスの理事の数人の方にも情報提供したと、こういうふうにおっしゃってるけど、今回提出をされた報告書には、そこまで書いてないですよ。皆さん方の報告書は「説明をしたうえで先方からは整備に関する懸念等の指摘はなかった」と、こういうことになってるだけなんですよね。この先方っていうのは、組織ですか、それとも説明をした理事個人ですか。どうですか。

(→土橋文化財担当部長)9月18日に訪問させていただいて、先方からは整備に関する懸念等のご指摘はなかったという部分につきましては、この理事ご本人でございます。

◆井坂議員/だから結局その理事は、下鴨の時は少なくともね国内委員会の拡大理事会で報告をして意見交換をしてる。で、その中身をふまえて京都市の側に返事してきたと。だけど今回の二条城の場合には、それさえもせずに、自分が聞いただけで自分の判断で皆さん方のところに言ったのか言わなかったのか。まあみなさんは何も言われなかったから特段の懸念がなかったと、意見が提出されなかったと、こういうふうに報告をするようにまとめたかもしんないけど、そういう個人的な動きの中で12月20日の副市長の答弁に二条城の場合は結びついたと、いうことで理解してよろしいんですか。

(→土橋文化財担当部長)えっと9月18日に、この理事の方を訪問して、先ほど申し上げた懸念のご指摘はなかったっていうのは、まああの、その時の説明のその理事の方のご意見でした。で、その説明に行かしていただいた時にですね、「この後、また時期はいつになるかはわからないけれども、国内委員会の他のメンバーにも説明をしておく」というお話がございまして、で、またその後、10月20日頃には、反対されている住民の会の方から、イコモスのほうには文化庁および京都市に対して確認・勧告を求めるという文書が出され、えーその後、特段ですね、イコモスの国内委員会のほうから、たとえば資料説明を求めるようなことがございませんでしたので、それをふまえて答弁に至ったものでございます。

◆井坂議員/ま、いずれにせよ、イコモスの正式の機関にそれがはかられて、日本イコモス国内委員会の正式な見解として述べられたものではないと、いうことは前回も確認しましたし、いまの話でもしっかり確認できるというふうに思うんですよね。そこでね、最後に指摘をして見解を聞きたいんですけど、下鴨でも二条城でも共通してるのは、さっき言ったように、あなたたちが面識のある特定の理事に、個人的に説明をし、任意の資料提供をして、その返事ややり取りがあたかもイコモスの国内委員会の意見や見解であるかのように審議会や議会、この場に説明・報告してきたこと、これがね共通した特徴だと思うんですよ。これは金輪際やめていただきたい。イコモスはイコモスの判断で問題点ありと指摘した時にその事情について資料提供を求めて見解を述べると、いうのがパターンですよね。だけども、住民のみなさんは提訴したということですよ。だとしたらみなさん方が任意で資料提供、これをするっていうのはね、これは自由だし正当なことだと思うんです。だけども、その時に、個人の理事に伝えるんではなくて、きちんとイコモスの委員長、あるいは事務局長に、それを説明して、イコモスの正式な機関で検討して返事をいただきたいと。こういうふうにすべきだと思うんですけど、どうですか。

(→土橋文化財担当部長)はい、あの、これも新聞報道にあったかと思いますけれども、先般、12月13日ごろでしたか、イコモスの理事会が行われて、で、その新聞報道によりますと、これまでちょっと窓口が、ちょっと混乱してたという反省をふまえて今後は窓口を一本化すると、いうようなお話もいただいておりますし、今後はですね、きちんと事務局のほうに説明をさしていただいて、ま、あとは、イコモスがどういう反応をされるか、説明を求められましたら当然のことながら、きちんと我々の考え方を説明してまいりたいというふうに考えております。

◆井坂議員/ということで、今後はこういうようなイレギュラーなことは起きないだろうと、いうふうに信頼します。イコモスは、国際的にも国内的にも大変権威のある、景観、まちづくり問題で権威のある団体ですから、そこの意見ていうのは、隣の奈良県の若草山のモノレールの計画を、それを中止をさせて、バスの輸送手段に変えたのもイコモスの権限だし、口はぼったいけど、京都会館がロームシアターに変わる時にイコモスの意見にもとづいて、歴史と伝統のある外壁、あるいは紋章、これについては極力残すということで、そういう指摘にこたえて残していただいたと、こういうこともあるんですよね。だからそういう意味で、これから二条城のバス駐車場の件というのは、これから本格的にやりとりがされると思うんだけども、その時に住民は提訴したと。提訴を受けたイコモスが資料提供を求めた時には、しっかりと資料も提供して、その中で出された意見についてはしっかりと尊重して対応していただきたいと、いうふうに求めて終わります。

2015年12月22日【くらし環境委】文化市民局:一般質問「二条城北西角への観光バス駐車場整備について」

(更新日:2015年12月23日)