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◆やまね/よろしくお願いいたします。私からは本日は「新景観政策」についてお聞きしたいと思います。都市計画局質疑で、我が会派のとがし議員が指摘しましたけれども、今年4月、右京区西院地域の高さ31mのマンション建設計画について「住民の日照や眺望、プライバシーが侵害され、圧迫感のある生活環境に変わる」と訴える請願が提出をされました。この請願は、京都市会において全会一致で採択をされております。この重みについてですね、松井市長ご自身はどう受け止めておられるか、まずお聞かせいただきたいと思います。
(→竹内・副市長)右京区西院のマンション建設計画に関する請願でございます。この請願につきましては、京都市としましても、与野党問わず全会一致で採択された請願でありますから、しっかりと受け止める必要があるというふうに考えております。
◆やまね/はい、ぜひ、市長のご自身の受け止めも聞きたかったんですけれども、副市長のほうからですね「与野党問わず全会一致なのでしっかりと受け止めたい」というお答えがありました。
それで今回の計画はですね、地上11階建てで、高さ31m、容積率363.05%にのぼるものでありますけれども、しかし当該地域では2007年の「新景観政策」以降、マンション等の用途は高さ20mまで制限をされておりました。までにですね、20mまでに制限されていた。つまり、当該地域では2023年の京都市による都市計画変更で、高さ規制や容積率が緩和をされなければ、今回のような大きさのマンションを作ることはできなかったと、こういうことで間違いないですね。確認だけしたいと思います。
(→竹内・副市長)こちらはあの、今回のマンションの建設計画については、えー、先般の都市計画制限の見直しによって、あのー、の、範囲内で行われているものというふうに理解しております。
その上で申し上げますと、高さ制限について、お尋ねご指摘ございましたけれども、新景観政策においてですね、どのような見直しをこの地域で行ったかというと、元々、従前、新景観政策前ですね、全ての用途について31mまで可能としておりました。で、新景観政策の際、これ実は景観の保全ではなくてですね、ここの、この地域、工業と住居の、あのー、えー、ま、要は、えー住居によってですね、事務所とか工場とかそういった操業環境が、あのー、保全され、あの、なく、なる、ならないように、えー、そのマンション、住宅系についてはですね、20mに見直しを行っております。
で、この(令和)5年の見直しではですね、一定の環境性能、つまり、工業的な用途と並存できるようなマンションなどについては31mまで可能にしたというもので、元々この新景観政策の前後問わずこのエリアについては、高さの上限は31mでした。で、合わせて申し上げますと、容積率についてもご指摘ございました、この時、じゃあ(令和)5年の見直しでは容積率200%あるいは300%だったところを、それぞれ100%増しまして、300%400%への見直しを行っております。
◆やまね/まあつまり、2023年の都市計画変更がなければ、こういう規模の共同住宅、マンションは建てられなかったということなんですね。今いろいろ言われましたけれどもそういうことなんです。
で、2007年の新景観政策からですね、わずか16年で、マンションは20mまでとした地域を再び31mまで認めたということなんです。で、我が会派はそもそもこの都市計画変更について、この規制緩和でですね「高さ規制緩和で得をするのは開発事業者だ」と、「誰のための見直しなのか」「規制を緩めれば投機マネーを呼び込み更なるマンション価格の高騰を招く」「まち壊しにつながる」ということで反対をしてきたわけですけれども、ま、案の定、巨大すぎる建物のボリュームが問題となって今回の請願が提出された。私はですね、京都市によるまさに規制緩和が、新景観政策を壊し、住環境にも影響を与えている事例として、重大だと思っております。
そもそも新景観政策がなぜ作られたのかと。こういった問題がですね、まさに今回のような事態が何度も起こってきたからじゃなかったのかということだと思うんですね。で、当時の桝本市長の記者会見など改めて見たんです。見てみたんですけれども、2007年1月30日、こう言っておられます。「今日なお、しのび寄る破壊に歯止めがかからず、最近でも俵屋、青蓮院、船岡山周辺におけるマンション建設が大きな社会問題になった」「新たな景観政策の実施を先に延ばせば京都の街は取り返しのつかない事態に陥る」と語っておられます。
で、京都市はですね、この間あのー「新景観政策というのは当初から絶えず進化する政策なんだ」と言っておられるわけですが、ところがですね、桝本市長は当時ですね、特に高さ規制について何とおっしゃっていたか。「直ちに既存のマンションなどに適用されるものではなく、むしろ時間をかけて緩やかに、優れた景観を形成しようとするものであります」と、こう語っておられたんですね。で、この時の、当時の京都商工会議所の会頭もですね「一挙によくするのは無理だが建替時に基準に則ることで、30年50年かけ再びきれいにする試みだ」と、こう語っておられるわけですよ。ですので、私、非常に懐の深い議論がされてたんだなと、改めて思ったんですけれども。
マンションっていうのは確かにそうですよね。1回建てれば何十年とそこに存在するものです。ですから、30年、50年、建替時のことも視野に入れて、30年、50年かけてやっていくというのが、この高さ規制の位置付け、姿勢だったのではないでしょうか?いかがですか?
(→竹内・副市長)えー、この新景観政策は、これは平成19年から実施しておりますが、えー、こちら、あの、しのび寄る景観破壊に対する時間との勝負の中で、全市的に高さ規制の強化を行っております。例えば従前45mだった地域について31mに高さ制限を強化するなどの見直しを行っております。
で、それと同時に、この高さ規制、これは全く例外を許さないものかというと、そうではございません。あのー、地域、元々の新景観政策の中でも、えー、一律に高さ規制を強化すると同時に、地域ごとの実情に応じて、優れた計画あるいは必要な都市機能を誘導するときには、地区計画などによりえー、ま、きめ細やかな高さ規制を行うということにされているところでございます。
合わせてこれは繰り返しになりますけど、西院の地区についてはですね、新景観政策でもですね、あの、マンションについては確かに31mから20mに高さ制限が強化されておりますが、地区の高さの最高限度については31mのまま、従前と変わっておりません。で、こちらについては、今回見直しで工業的用途と並存できる住宅について、えー、あの31mに、あの、20mから31mに変更しておりますが、これはその地区全体の高さの最高限度を超えるものではございません。
◆やまね/あのー、例外を全て許さないわけじゃないんだとかですね、マンション以外だと建てられるんだとかね、ちょっとそういう言い訳めいたものではなくて、あのー、おっしゃったようにね、高さを30m、全市に、原則としてはかけたわけですよ。それはたった10年20年ということじゃなくて、もう30年50年、そういう長期のスパンを見越して、当時の皆さんの議論の中で作られたわけであってですね、今の京都市の主張というのは本当に当時の議論を全く反故にする、無視するものであると言わなければならないと思います。
で、私は、マンション建設へのこの指導についての請願がですね、全会一致で採択されたわけですから、「新景観政策の進化」ということであればむしろ、住環境と景観を守るために高さ規制の原点に立ち返ると、規制緩和路線を見直してですね、むしろダウンゾーニングの地域を更に検討していくということがあってしかるべきではないかということも申し上げておきたいと思います。
さらに新景観政策を根本から破壊するのが都市再生緊急整備地域の問題です。国からですね都市再生緊急整備地域に指定をされて、さらに自治体が都市再生特別地区に指定しますと、用途地域や高さ規制、そして建ぺい率、容積率など、ほとんどの規制が除外されて、民間企業が好き勝手に開発できるということになります。手続きも短縮をされ、しかも国や自治体の補助金まで入ってくる。そして、これはですね、私はもう本来自治体の都市計画を無視するような、本当に乱暴な仕組みだと思うんですけれども、実際に今、京都駅前では高さ60mの商業ビルが計画されておりますけれども、これは高さ規制に大穴を開ける、まさに新景観政策に逆行するものであると言わなければならないと思います。
そこでですね、あのー、これよく京都市はこの間「京都駅周辺にオフィスが足りない」「オフィスの集積を図る」こんなふうに言うわけですけれども、しかし、ただでさえですよ、大量の観光客や宿泊施設が集中している京都駅の周辺にオフィスを集積させるということになればですね、私はより一層の京都駅一極集中、そして混雑をもたらすのではないかと、こういうご指摘もありまして、それで住環境大丈夫かという気持ちにもなるわけでございます。しかも多くの議論がですね、いま市民に非公開のまま事業者との協議だけで一方的に進められようとしていることも、私は非常に問題があると思っています。
そこでお聞きしたいんですけれども、京都新聞のデジタル版10月16日配信のものでですね「高層ビル計画に暗雲」という記事が出ておりました。これはすでに全国で東京の中野サンプラザはじめ、全国で再開発事業が今ストップしているものがたくさんあるわけですけれど、物価上昇に伴う建設コストの高騰であるとか、建設労働者の不足ですよね、こういうことで、そういう問題がいま起こっているわけです。国土交通省発表の「工事実施額」、建築工事に実際にかかった金額というのは年々上昇しておりまして、京都駅前の計画が明らかになった2021年と比べてですね、2024年で6割も高騰しているということでありました。それでお聞きしたいんですけれども、この京都駅前のプロジェクトも無謀な再開発になりはしないか、現状認識ちょっと教えていただきたい。
それからこれに関わってですね、京都駅新橋上駅舎・自由通路整備事業ですけれども、まあ111億円もの税金が投入される計画なんですが、この自由通路のつながる先、そのまさに商業ビルの計画がですね、いま「暗雲」と報道されているわけで、やはりですね、私は駅施設の改善ということであれば、JR西日本が自己責任で負担すべきじゃないのかと。しかもですね、今期の経常利益見込1740億円、これ、とがし議員が指摘をしたわけですけど、こういう企業に税金投入はやめるべきじゃないでしょうか?いかがでしょうか?
(→竹内・副市長)まず京都駅の新自由通路整備についてでございます。京都駅の新自由通路というのは、これはJR京都駅の利用者というか、まあJRさんが整備すべき施設という側面がもちろんございます。それと同時に、京都駅の南北を歩かれる方、こういった方、駅を利用されなくてもですね、南北を連絡するような通行される方というのも現にございまして、まあ、そうした方にとってのいわば公共の歩道的な側面もございますで、私どもはですね、あの本来そういったところは道路事業によって整備するようなもの、性質のものですけれども、えー、ま、そこ、あの今回のその京都駅の新自由通路の整備事業と合わせて、えー、あの、ま、そう、そうしたその公開性の高い通路も整備すると、その公共性あるいはその公開性に着目して、えー、JRさんとそれから国それから京都市でそれぞれ負担割合を決めて整備をするということにしております。
で、えー、111億円というのはご指摘ございましたけれども、この中で京都市のですね、負担というのは、約28億円、そして、あのまあ地方、地財措置などを含めると大体約22億円ほどになります。ですので総事業費でいうと190億円ぐらいの中の、えー、まあ、あの22億円程度を市が負担するというものでございますけれども、その負担の割合、これは実際に整備されるものと比べたですね、負担の割合の考え方としては妥当な範囲に収まっているというふうに考えております。
それから京都駅のビルについては無謀な再開発というふうなことをおっしゃり方されてますけれども、私どもとしては先ほど申し上げご指摘ありましたようにオフィスの不足、これは京都駅周辺で言うとですね、京都駅の周辺で言うと他の新幹線の停車駅と比べて圧倒的にオフィスのストックが少ないわけでございます。それあの、えー、で、今後の京都の担税力の強化、それから成長戦略の実現を図っていく上でこの京都駅周辺にですね、オフィスをより更に整備をするということは、この市の持続的発展、それからご指摘もあります例えば福祉とか医療とか、そうしたものを確保するにもですね、しっかり担税力を強化しないといけないと、そうしたことに役立つものだというふうには考えております。
◆やまね/まああの、他の駅に比べてオフィスが少ないというお話もあるんですけれどもね、私はね、やっぱり宿泊施設のね、乱立を許してきた京都市の責任も大きいんじゃないですか?あの以前岡田副市長が私の質問に対して「確かに京都駅周辺で宿泊施設過剰になっている」とお答えもされているわけですよ。そういう本当に京都市がまさに「拡充・誘致方針」のもとで宿泊施設の乱立を許してきた、その責任も私は免れるものではないと思いますし。
あの、今ですね、規制緩和で結局高層マンションを建てる。で、オフィスを呼び込む。そして関連事業、周辺整備に莫大な税金をつぎ込む。こういう都市再開発が全国でですね、行き詰まっているわけですよ。で、全国の事例を見ても、この人口減少の時代に、そういう大型の再開発が本当に成功するのか非常に疑問だと言わなければなりません。
私さらに指摘しておきたいのは、この間の京都市のですね、都市計画変更に関わる事案で、いくつもいま問題が起こっています。高さ規制の緩和によって新工場の開発が許可された事業者が、民事再生法を適用申請という事態になり、京都市体育館のネーミングライツも契約途中で解除となりました。洛西ニュータウンでは高島屋が撤退するという報道があった。そして西院の先ほどのマンション建設への指導を求める請願は全会一致で採択をされているということでですね、私はいずれも誰のための都市計画変更なのか?というのがやっぱり問われているというふうに思うんですね。住民を置き去りにするような都市計画ではやっぱりダメだと言わなければならないと思います。
で、私は、人口減少対策ということであれば、やはり貧弱な子育て支援策の充実、子ども医療費や給食費の無償化、本日加藤あい議員が求めましたけれども、こういうものこそ必要だと。そして市営住宅の問題管理戸数を減らすことがあってはならないと、私は思いますよ。あのー放置されている空き家も含めてきちんと京都市の責任で直してですね、公募していく、そうやって低廉な家賃の住宅を公共の仕事としてきちっとしっかり供給をしていくことが、人権を保障して、そして地価高騰にも歯止めをかけていく、住みやすい京都市を作る道だということも言っておきたいと思います。
今日はちょっともう時間がありませんので、最後申し上げて終わりたいんですけれども、国道1号バイパスについてはですね、決算年度に開催された検討会の資料に「京都市中心部への交通集中」が「検討課題」として赤いゾーンで示されております。南は名神高速道路、北は9号線付近まで、非常に広範な範囲です。京都市内中心部への大量の車を呼び込むような計画は進めるべきではないと、私たちは考えておりますし、道路事業についてはですね、他に鴨川東岸線第三工区については、信号もなく、そして合流する道路もない、堀川通なんかと比べたらですね、渋滞が激しいわけでもない区間を70億円も投じて拡幅するものでありまして、必要性に疑問を感じております。
そうした大型道路が計画される一方で、土木みどり事務所の人員は毎年削減をされてですね、統合前の10箇所244人から今年度は8箇所228人にまで削減されているということも分かりました。災害対応も含めて市民に身近な部署の体制を弱めていいのか、大型道路建設より生活道路の改善を、市民に身近な土木みどり事務所の予算の拡充、そして人員増、このことを求めて終わりたいと思います。
2025年10月20日【決算特別委】市長総括質疑「新景観政策について」
(更新日:2025年10月20日)

