全ての学校トイレに生理用品設置を(2025年10月9日/決算特別委・教育委員会・やまね)

やまね/子どもたちが安心して学校生活を送れるようにするためのトイレの環境改善について聞く。今取り組んでいただいているように「トイレの快適化」は本当に大事だと思う。「トイレ洋式化」についても非常にがんばっていただいていると思う。決算年度の到達は、幼稚園90.7%、小学校72.7%、中学校68.3%、高校78.8%、支援学校92.9%という資料はいただいているが、今後の計画としては「令和10年度末までに」重要なところを「原則全洋式化を図る」と言われているが、全部であと何校ほど残っているのか。更なる加速化、前倒しができないか、ぜひがんばっていただきたいと思うがいかがか。

(→大山・教育環境整備室長)トイレの洋式化について。現在の目標として先ほど言っていただいたように「令和10年度末までに普通教室のある付近のトイレは原則全洋式化」したいと考えている。例えば1校に1ブースなどもあり、全部で言うと200校くらいは整備しなければいけないと考えている。トイレ洋式化だけでなく、例えば長寿命化とか、あるいは体育館リニューアルとか、様々な工事あるので、そのような機会もとらえてトイレ洋式化を進めたいと考えているので、可能な限り多くのトイレの洋式化、順次進めてまいりたい。

◆やまね/数もかなりあると思うので大変だと思うが、ぜひがんばって進めていただきたいと思う。

それからもう一つが、学校トイレへの生理用品の設置について。この間、西京高校と附属中、東山泉小中の3校では、龍谷大学なんかとも連携し試行実施として「生理用品の無料配布ディスペンサー」をトイレに設置されてると、10台ほど。こういうお話を聞いてきた。これが非常に好評で「月に約300個前後の使用もある」「学校からは『制服を汚す生徒が格段に減った』という報告も受けている」「今後より充実ということで検討してまいりたい」との答弁も以前いただいている。そこでお聞きしたいが、改めて、生徒さん・学校からの報告が、その後あれば紹介いただきたい。無料ディスペンサーは今後も増やす予定はあるのかどうか。それから龍谷大学と連携するに至った経緯も教えていただきたい。

(→関・体育健康教育室長)ディスペンサーはご紹介いただいた通り、西京附属、西京高校と東山泉小中学校に配置をしているところ。生徒はそこで安心して生理用品を入手しながら学校生活を送れているというところは声として聞いている。で、一方で、それ以外の学校においても現在、様々な形で困りのある生徒には生理用品が手渡るように体制を整えているところで、トイレの配置校は今増えてきている。

このディスペンサーだが、設置の費用、今後展開するには、設置の費用であったり、あるいは専用の生理用品でないと機能しないということもあったり、あるいは故障・補充のランニングコストもかかる。全校で実施するにあたってのメリット・デメリット含めどういう方式が良いのかは引き続き検討していきたいと思っている。

企業・龍谷大学からは、大学からのお申し出があり、いわゆる女性の健康な生活の推進というところで、大学と企業が連携したな中でお声掛けいただいたもので、2年間は無償で使わせていただいたというところ。

◆やまね/はい、分かりました。ぜひ、前向きにこれも検討していただきたい。

この生理用品を保健室で直接手渡すことや対面相談を条件にしてしまうと、子どもたちにとってハードルになってしまってしまう。そういうことがあってはいけないと思う。昨年度までは「原則保健室での手渡し」だった札幌市では、今年度全309校でトイレにも設置される。大阪市では教育委員会が各学校に「常備で非対面でも提供できるよう依頼」されているということもお聞きしている。で、やはり児童生徒が安心して学校生活を送るためには、「トイレに行けば生理用品がある」という環境をつくることが重要と思う。改めて確認するが、京都市立学校において、トイレに生理用品を設置している学校がどれだけあるか。一昨年秋は34校、昨年秋は55校だったが、現状は何校になっているか。

(→関・体育健康教育室長)令和7年度直近の数字としては、68校で設置しており、今後設置予定が5校あると確認している。

◆やまね/分かりました。最新では68校、さらに今後5校と。着実に増やしていただいていると思う。以前と比べトイレに設置する学校も増え、無料ディスペンサーの取組もされている点は非常に前進面だと思っているが、ただ、全校設置にはまだ至っていない。

私たちは昨年に続き今年度も全政令市の状況を調べてみたが、そうすると、すでにほとんどの学校トイレに設置されている自治体がいくつもある。札幌市、相模原市、新潟市、名古屋市、大阪市、神戸市、熊本市などがそうなっている。特に私は新潟市さんからの回答で、非常に素晴らしいと思ったところがありちょっと紹介したい。「急な生理や生活環境など様々な状況や事情により、必要な時に生理用品の準備がない状況に置かれた際の児童生徒の不安やストレスを軽減し、安心して学校生活が送れるようサポート態勢を整え、必要が生じた際に、必要な人に使用してもらっています」と、こういう回答をいただいている。ぜひ、京都市もこういう姿勢でがんばってもらいたいがいかがか。

(→関・体育健康教育室長)児童生徒が学校で安心して過ごせる、そのためのトイレへの生理用品の配置が、非常に安心感につながることは我々も認識している。一方でこの間、徐々にではあるが増えてきた、この「徐々に」というところの背景を申し上げると、やはりこれまで保健室、あるいは女性の教員が相談を受けながら手渡しをしていた、無償で当然手渡しをしてきたわけだが、その中で家庭での状況、子どもの体調の心配、そうしたことを聞き取って、相談にのれてきたという実績、これは養護教諭も中心に非常に丁寧に子どもの声を聞いてきたという裏返しでもあるが、やはりそういうことの「声が届かなくなってしまうのではないか」というところも、これは京都市が積み上げてきた実践の中で現場の教員の声としてあるところ。従って、単にトイレに置いたらしまいということではなく、心配なこと、あるいは悩みがあれば、安心して相談に来なさい、来ていいんだよということを、生徒に広めていく、あるいは教員の共通理解としてしっかりと認識した上で、学校の議論が整ったところから、ぜひ好事例としてのトイレへの配置というのを進めていっている今状況であり、学校での議論を促しながら、増やしていきたいというふうに考えているところ。

◆やまね/「安心して相談を」というところはすごく大事だ。私もそれは本当にその通りだと思うが、ただ、子どもたちの立場に立つと、「相談をしなければ生理用品が使えない」ということになってしまうと、困っている瞬間の子どもたちにとっては、児童生徒にとっては、それは逆に不安につながっていくのではないかと思うので、安心して相談できる問題と、生理用品をトイレに設置する問題は、分けて考える必要があるのではないかと思う。

くり返しになるが、札幌市、相模原市、新潟市、名古屋市、大阪市、神戸市、熊本市では、すでにほとんどの学校トイレに生理用品が設置されているということで言うと、京都市の現状は、安心して学校生活を送れる環境という点では、学校によって格差がある状況になってしまっていないかと思う。京都市では学校トイレへの生理用品設置を、いまそういう形で「各学校の判断」になっているが、ここを一歩踏み出していただく必要があるのではないか。

学校トイレへ生理用品を設置している自治体を見ると、学校予算の範囲内での対応でなく独自予算を組んでいる自治体がほとんどだ。札幌市は今年度1000万円以上の予算、相模原市は104校で239万円、新潟市は165校で100万円(昨年度は200万円)、名古屋市は392校で369万円(昨年度は410万円)、大阪市では412校で171万円(昨年度は175万円)、神戸市は251校で200万円、熊本市は138校で126万円。だいたい多いところでも年間数百万円程度。1校あたり1万円前後いくかいかないか。京都市235校で考えると200~250万円前後になるのかなと思う。この予算額を見ると「多額の予算がかかるからできない」とは言えない額ではないかと私は思っているが、この点はいかがか。

(→関・体育健康教育室長)京都市においても令和3年度から、様々な予算も活用し、教育委員会から学校へ生理用品を配布している。それまでもずっと保健室で対応してきたわけだが、それ校内予算で確保されていたが、3年度以降はいわゆる京都市からの配布ということにしている。

令和7年度、今年度についても、いわゆる事業としての予算立てはしていないが、規定予算の、いわゆる「学校保健物品」の予算等を活用しながら、教育委員会で必要な生理用品を確保して、7月に学校に通知の上、必要部数を配布している。一切教育委員会が公費で措置をしていないということではない。

◆やまね/なので、「コストがかかるから進まない」ということではないということですよね。この点確認したい。

(→関・体育健康教育室長)先ほどご紹介いただいたディスペンサー等、どういう方式によるかももちろんコストの面で今後考える必要がある場面かと思うが、子どもたちに必要なものを公費でそろえるというこの点についてはコストが理由ではないと考えている。

◆やまね/子どもたちに必要なものをどうそろえるか、これはコストが理由ではないと、非常に大事な答弁だと思う。

昨年度の議論では、教育委員会は「生理については、女性の身体の根本に関わること」との答弁をいただき、私は、ならば必要な時に生理用品を使えるかどうかは女子生徒のみなさんの人権に関わることではないかと思っている。トイレットペーパーと同じように生理用品をトイレに設置することは、個々の学校の判断ではなく、京都市として、教育委員会として全校でやるという方向で進めていただきたいと思うが、この点いかがか。

(→関・体育健康教育室長)仰る通り、子どもが安心できる環境づくりと、先ほどちょっと申し上げたが、一人ひとりの困り・背景の見取りを、ここをいま両立させながら進めていきたいというところ。保健室での相談から見えてくることは、単に生理に関する困りだけではなく、やはり背景にあるネグレクト、家庭でのネグレクト傾向であったり、家庭の経済状況の急変であったりとか、あるいは顔色の悪さ、過度のダイエット、そうした関連した子どもの健康への心配に合わせて気づいてきたことが多い。そうした意味では、先ほど申し上げた、安心できながらも、そういう子たちをいかに、一つチャンスが失われるということではなくて、そういう子たちの変化に気づくために教員体制の強化、あるいは子どもたちの意識の変化、これをどう高めていくのかを並行して考えているので、そこに置いたらいいという一律の指示というのは、今のところもう少し学校との議論を重ねながら考えたい。

◆やまね/丁寧に寄り添って、子どもたちの家庭の事情とか、いろんな背景も考慮しながら色々丁寧に対応していくのは大事だが、しかし生理用品をトイレに設置するのは、もうこれは当たり前のこととして進めなければいけない。もうそういう時代に私は来ていると思うが、全校設置を決断されないのか。ぜひこれやっていただきたいが、もう一度いかがか。

(→関・体育健康教育室長)くり返しになってしまうかもしれないが、この間、例えば7月に生理用品を追加で配置するという時も、好事例、あるいはトイレに配置することの重要性も合わせて周知した。あるいは夏の養護教諭の研修会でもこのことへのメリット、子どもの安心感というのも広めているところ。ですので、誰一人取り残すことなく、学校生活を豊かにするために今まさに動いているところなので、方向性としては今後拡大していきたいと思っているが、しっかり土台をつくってやっていきたいと考えている。

◆やまね/私は教育委員会のみなさんがこれまで努力されてきたことは、本当に頑張っていただいていると思う。ただ、やっぱりもう一歩進んでいただきたい。児童・生徒のみなさんが安心して学校生活を送れるようにしていただきたい。この問題は、ジェンダー平等、女性の健康・人権に関わる問題として、やはり京都市や教育委員会に、もう一歩踏み込んで前に進めていただきたいと重ねて求める。

2025年10月9日【決算特別委】教育委員会/学校トイレに生理用品設置を

(更新日:2025年10月09日)