学童保育の大規模化・過密化の改善を、放課後ほっと広場職員の処遇改善を(2025年10月8日/決算特別委・子ども若者はぐくみ局・やまね)

大規模学童の改善を

◆やまね/私からは学童保育の充実についてお聞きしたい。8月1日の文教はぐくみ委員会で、伏見区藤森学区における現在の地域学童クラブが、来年度から京都市の委託する学童保育所として運営される旨が答弁された。この地域では長年、地元の皆さんが「藤森学区にも公的な学童保育を」「児童館の設置を」と求めてきた。近年では学区要望としても求めてこられたものであり、私も心から歓迎したい。そうした地域要望もある中で、京都市として決算年度も含め、あるいは以前から働きかけや協議などの努力をされてきたのかなと思うが、いつ頃からそうした協議、働きかけなど、努力されてきたのか。

(→福元・子ども若者未来部長)藤森の学童クラブについてのお尋ねかと思う。藤森学区では、社会福祉法人の藤森福祉会が、いわゆる民間学童クラブとして、藤森学童クラブを運営されてこられた。地域学童クラブとしての運営になるので、利用料金体系や利用内容、開所時間等について、運営団体独自で決定することができ、本市の委託で実施する他の学童クラブと比較して、保護者の声を直接運営に活かすことができたりとか、京ハグファンド制度による寄附金を運営に活かした独自の工夫で運営されている地域学童があるなど、運営団体独自の独自性や、地域の実情を踏まえた運営がよりしやすいというふうな形になっている。

一方で、地域学童クラブしかない小学校区では、減免制度が利用できない等の課題があることは認識しており、この間既存の地域学童クラブの委託事業化、つまり学童保育所化に向けた検討を行ってきた。藤森学童クラブについては、令和5年度頃から本格的に協議を進めてきた。学童保育所化に伴う委託料をはじめ、利用申し込みや減免等、運営面で必要な手続き等を市から説明し、また運営団体においては、その状況の下で安定して継続的な運営が可能か検討・吟味され、この度運営団体から学童保育所化して取り組んでいきたいとの意向が示されたので、令和8年4月から学童保育所化するということで検討している。

◆やまね/ありがとうございます。京都市も努力を重ねてきた結果だと受け止めている。藤森学区は公的な学童保育も児童館もない中、保護者や地域の皆さんがやむにやまれず「共同学童」を以前運営されていたが、なかなか運営が厳しくなり、2012年度以降は閉所せざるをえなくなった。2015年度に民間の「地域学童クラブ」ができ、喜ばれる一方、多子世帯の方からは「市の減免制度が適用されないので子どもが何人もいると経済的負担が大きいので通わせられない」という声も聞いてきた。本当は通わせたいのに諦めていた方がおられた。今回何より大きいのは、これまで減免制度が適用されなかった方々が対象となり、保護者負担の軽減に繋がるということ。これは確認だけでけっこうだが、今後、多子世帯(2人目半額、3人目以降無償)、生活保護世帯、市・府民税非課税世帯、失業・疾病・災害等での家計急変世帯、障害のある方がいる世帯、ひとり親世帯といった方々が減免対象となるという理解で間違いないか。

(→福元・子ども若者未来部長)学童保育所事業、本市が委託する学童保育所事業と同様に減免の対象となる。

◆やまね/改めて、私は、京都市のどの行政区・学区に住んでも公的な学童保育を利用できるように引き続き努力をしていただきたい。

同時に今、学童保育の大規模化、過密状態が引き続き課題ではないか。今年4月1日時点で、藤森学童クラブの登録児童数は126名となっている。周辺の学区を見ても、ふかくさ輝っず児童館134名、深草児童館89名、藤森竹田児童館99名、藤城児童館185名、住吉児童館126名という状況。砂川学区にはうずらの里児童館があるが、伏見工業高校跡地の大規模な住宅開発が行われており、今後ニーズが増えるのではないか。

市全体で見ると、分室を含めて登録児童数100名超が82ヵ所、200名超が8ヵ所もある。今、児童館や学童保育を改めて増設する必要があるのではないかと思っている。京都市では、児童館130館の整備目標を掲げてやってこられたが、平成17年(2005年)に20年前に目標策定された。整備目標を達成したのが平成25年(2013年)だが、当時の登録児童数は現在の半分ほどだった。子どもの数は減っているが、登録児童数はどんどん増えており、今の実情やニーズに合わせて、児童館や学童保育については、新たな整備方針を作る時期に来ているのではないか。この点はいかがか。

(→福元・子ども若者未来部長)大規模児童館の対策だが、令和7年のご紹介あった登録児童数100名を超える児童館数だが、令和7年4月1日で正確には81ヵ所、200名を超えるのは10ヵ所となっている。

この大規模学童クラブの実施にあたっては、国基準に基づき、利用児童1名あたりの面積基準・クラス基準の職員を配置した上で児童数を受け入れており、大規模でも国基準は満たしていると考えている。ただし、小学校区外に設置している分室、小学校区内に設置している施設外クラスも、本体施設と離れているものの国基準に基づいた運営を行っている。

一方で、大規模な学童クラブの負担も考慮し、令和6年度から、登録児童数が200名超の学童クラブ、小学校区外に設置しているいわゆる分室に対する委託料の加算を新たに設け、運営体制の強化を図っている。大規模だから運営がという部分、配置がなってないというのでなく、適切に運営しているというふうに認識している。

◆やまね/「基準は満たしている」といつも言われるが、子どもたちの気持ち、現場の職員さんの苦労に思いを寄せていただきたいと改めて思う。もちろんクラス編成は40人規模になっていて、分室や施設外クラスを作っているが、元々の建物の大きさは変わらない。そういう下で、現場は大変苦労されており、大混雑の状況は現にある。その中で、以前にも紹介したことだが、静かに過ごしたい子どもたちがいる、大きな音が苦手な子どもたちもいる、あるいはうるさくて行きたくない・行けないという子どもたちも現にいる。松井市長は「居場所」を常々強調されるが、果たして今の児童館や学童保育の現状が本当に子どもたちの最善の利益になっているのか。現状を改善しなくていいのかということはきちんと考えていただきたい。広島市では概ね40人規模で学童保育が設置されていると聞いている。そういう方向で京都市もぜひ考えていくべきではないか。これは求めておきたい。

加えて、京都市はクラス編成にあたっても、「登録児童全員が毎日来るわけではない」ということで、平均出席率70%~80%をもとにして編成している。つまり、登録児童数をもとに編成する場合よりも少ないクラス数と職員数になっている。そこで、改めて数字だけでけっこうだが、本市の学童クラブ事業において市全体のクラス数と職員数、それから仮に登録児童数をもとに編成した場合のクラス数と職員数は、それぞれいくらになるか。

(→福元・子ども若者未来部長)現在の学童クラブ事業のクラス数と職員数だが、令和7年4月1日時点で、クラス数が398クラス、職員数が798人。そして今ご指摘あった登録児童数、純粋な登録されているだけで算定すると、クラス数が523クラス、職員数が1046人となる。

◆やまね/登録児童数をもとに考えると、現状は125クラス、職員は約250人少ないということになる。全国の自治体を見れば、同じ政令市でも新潟市、千葉市、さいたま市、静岡市、広島市では登録児童数をもとにクラス編成をしている。それらの自治体と比べると、子どもたちのために本来あるべきクラスや職員を京都市は配置していないと言わなければならない。この点も引き続き私は改善を求めていきたい。

放課後ほっと広場の職員待遇改善を

次に、「放課後ほっと広場」についても聞いておきたい。現在、京都市の学童クラブ事業の形態として、「児童館・学童保育所」「放課後ほっと広場」「地域学童クラブ」があるが、この事業で活用されている国の「子ども・子育て支援交付金(放課後児童健全育成事業)」で国から京都市に下りてくる基準は全て同じということでよかったか。これも確認だけお願いする。

(→福元・子ども若者未来部長)はい、国の基準の補助については、同様の額というふうな形で、いったん受けている。

◆やまね/それでは、児童館・学童保育の職員さん、放課後ほっと広場の職員さん、地域学童クラブの職員さん、それぞれの給与水準や待遇はどうか。国から来る基準は一緒だと。そしたら京都市が出す委託料の算定基準など、これはそれぞれ違いがあるのか。

(→福元・子ども若者未来部長)国補助を踏まえて、市の基準がどうかと、職員の待遇についてのということだが、まず地域独自で運営されている地域学童クラブは、国基準に基づく人件費を補助金として配分している。本市の委託事業として実施している児童館・学童保育所、そして放課後ほっと広場は、市として国基準を上回る人件費の委託料の算定基準を設定し、委託料として配分。なお、放課後ほっと広場は、開所時間が学童保育所よりも短いため、開所時間に応じた委託料を配分している。

◆やまね/国から市に下りてくる基準は同じだが、市が現場に渡す基準は違うということだ。放課後ほっと広場は現在市内7箇所で実施されているが、クラス編成や職員配置は児童館・学童保育所と同じ。以前は学校の長期休暇中は閉鎖されていたが、今は開所している。ほっと広場については、体制や中身は、いい意味で、学童保育所と同じようになってきているのではないか。にもかかわらず、京都市が出すお金は、国基準は上回っているというが、委託料の算定基準に差があり、児童館・学童保育所よりほっと広場が低くなっている。令和7年度基本給相当額(月額)は、ほっと広場の職員さん、管理責任者が27万3250円、指導員が20万3060円と聞いた。決算年度と比べれば改善しているが、児童館・学童保育所との処遇の格差があり「ほとんど1年契約更新で非正規」「続けにくい」という声も届いている。処遇改善がこの分野でも必要ではないか。改めて、ほっと広場の職員の給与が、なぜ児童館・学童保育所に比べて低くなっているのか。先ほど勤務時間の話があったが、それが一番大きい原因ということなのか。

(→福元・子ども若者未来部長)放課後ほっと広場の職員の皆様の処遇については、基準については、学童保育所と変わりない。ご指摘の通り、開所時間が短いということで、その部分について、低くなるという形になる。

◆やまね/開所時間が短い、勤務時間が短いということだが、つまりどういうことかと言うと、ほっと広場の職員さんは、放課後の時間しか勤務時間として認められていないということなのかなと。つまり児童館・学童保育所の場合は10時出勤でいろんな遊びの準備が仕事の中でできる。ほっと広場も同様に職員さんが子どもたちのためにいろんな準備をされるが、ところがほっと広場の場合は、その準備のための時間が給与として保障されていない、放課後の部分しか認められてない。こういうことですよね。

(→福元・子ども若者未来部長)ほっと広場の勤務時間については、放課後の準備時間は一定あるとは思うが、運営団体のほうで判断されていると思うが、その時間に応じた給与を配分しているという形で認識していただいたらけっこうです。

◆やまね/子どもたちと接する職員さんの処遇がどうなっているかということは、子どもたちが過ごす環境にとって本当に大事なことだ。それが学区によって事実上格差があるというのは、本来おかしいのではないか。

たとえば、右京区・嵯峨の放課後ほっと広場は、元々学校の教室でスタートし、人数がどんどん増えて、証明書発行コーナーの2階も使い、証明書発行コーナー廃止後は1階も使っている。「見た目も内容も児童館・学童保育所と同じなのに」という声が届いている。一方、伏見区・向島学童保育所は登録児童数47人だが、学校の教室を使った学童保育所で、建物の一番奥の部屋を使って実施されていると聞いている。同じ学校の教室を使っているのに、ほっと広場のままになっている、もう一方では学童保育所になっている。私はやはり学校の教室で学童保育として実施されているところがあるわけだから、市内7箇所で実施されている放課後ほっと広場も学童保育所として実施すべきではないかと思うが、この点はいかがか。

(→福元・子ども若者未来部長)ほっと広場だが、平成22年度から、当時のひっ迫した学童保育所の事情から、学童クラブの未設置学区に放課後ほっと広場ということで設置さしていただいて、未設置学区の解消を図ってきたというところがある。当時については、非常に、未設置学区の問題を解消するということで作られたほっと広場かなと思うが、開所時間も短く、学童保育所と比べて利用料金が低くなっているということで、学童保育所化することによって一定その辺が整理が必要になってくるので、保護者目線からいうと、放課後預かっていただいている部分について、学童保育所化することで利用料が上がってしまうという課題もあるため、そこについては慎重に検討すべきではないかなと考えている。

◆やまね/京都市もいろいろ努力されてきて、ほっと広場の設置に取り組んできたことは私も理解しているが、今仰っていただいたなかで「利用料」の問題が出た。「保護者から見た時に」という話があったが、結局「学童保育所にすると利用料金が高くなる」ということだが、それは京都市が政令市で最も高い利用料金を設定しているからだと思う。学童保育について。京都市では最低でも月9000円だが、相模原市は月5300円、広島市・熊本市は月5000円、神戸市は4500円、仙台市・福岡市は3000円。京都市の半額から3分の1の学童保育の利用料金を設定している自治体があるのだから、本来なら他の政令市を見習って、学童保育の利用料金そのものを値下げすべきだ。このことも求めておきたい。

学童クラブの実施場所について、「京都市はぐくみプラン」でも、「できる限り小学校内で確保すること」とされて、「児童の安心安全の観点」から、百々児童館は移転となった。学校の中に学童があれば子どもたちも保護者の皆さんもより安心だ。大規模学童や児童館の改善、子どもたちの最善の利益を考えたときに、学童保育・児童館の増設をぜひ行っていただきたいし、少なくとも、いま学校の教室で行われているほっと広場については、単独の学童保育所にして、職員さんの待遇も改善していくべきではないかと、このことを重ねて求める。

2025年10月8日【決算特別委】子ども若者はぐくみ局/大規模学童の改善を、放課後ほっと広場職員の待遇改善を

(更新日:2025年10月08日)