陳情審査:全世代の難聴者へ補聴器購入助成を(2025年9月24日/環境福祉委・保健福祉局・西野さち子議員の質疑文字起こし)

陳情・全世代の軽度・中等度難聴者へ補聴器購入助成を

*京都市の説明

(→阪本・障害保健福祉推進室長)陳情第3664号「全世代の軽度・中等度難聴者に対する補聴器購入の実施等」についてでございます。

まず、補聴器購入に対する支援制度につきましては、障害者総合支援法に基づく国の制度として、障害のある部分を補って日常生活を容易にすることを目的とした補装具費支給制度がございます。補装具費支給制度における補聴器については、一定基準の聴覚障害があり、身体障害者手帳の交付を受けておられる方が対象になります。聴覚障害の身体障害者手帳は「両耳の場合で70db以上、40cm以上の距離で発生された会話も理解しえないレベルよりも重度の場合」に対象となります。補装具費支給制度における補聴器の対象者は、厚生労働省が示す補装具費支給事務取扱指針において「高度または重度の難聴者」とされ、「中軽度は対象外である」と示されております。

また、身体障害者手帳の対象とならない中軽度の18歳未満の難聴児につきましては、音声言語の習得において非常に重要な時期であり、社会性の獲得には子どもの特性に合わせた補聴器の装用が重要であることから、本市におきましては、子ども若者はぐくみ局において、当該難聴児を対象とした難聴児補聴器購入事業を実施しております。

陳情項目の1つ目、全ての世代の軽度・中等度難聴がある方を対象とした補聴器購入費の助成制度の実施につきましては、本市といたしましてもWHOにおいて「平均聴力レベルが41db以上の方に補聴器の装用が推奨」されていることは認識してるところでございますが、本市固有の課題ではなく、全国共通の課題であり、適正な公費負担の観点や医学的なエビデンスを踏まえ、国において議論が行われるべき事項であると認識しております。

次に、陳情項目2つ目につきましては、身体障害者手帳の取得にかかる等級基準について、WHOが提唱している基準を踏まえた聴力レベルの引き下げを行うよう、令和6年度から近畿市長会を通じて国に対し要望を行っております。

最後に、陳情項目3つ目につきましては、すでに厚生労働省において、難聴に関するホームページが設けられております。このホームページでは、耳の健康のチェックリストが掲載され、チェック項目に当てはまる場合は、医療機関への受診を検討するように案内するなど、周知は行われているとこでございます。説明は以上でございます。

*議員の質問

◆西野さち子議員(共産)/この補聴器の問題については、これまで何度も加齢性難聴者への補助制度創設ということでね、議論をさせていただいてきました。陳情が何度も出ています。で、議論を重ねてきた結果、わずか1億円で制度創設が可能だということもご答弁があった中です。

で、今回の陳情は、加齢性に起因する難聴だけではなくって、全ての世代を対象とした軽度・中程度の難聴者への補助制度を求めておられます。で、高齢者だけではなくって、全世代の難聴者が補聴器を使用した場合、様々な効果があるという風に思うんですけれども、京都市のその辺の認識はいかがでしょうか。

(→阪本・障害保健福祉推進室長)はい、難聴者の方への支援に関する課題としましては、これは本市固有の課題ではなくて、全国の共通の課題であるという風に考えております。また、中軽度の、難聴者の方に、補聴器が有用であるっていうことは否定はいたしませんが、この、ま、WHOが提唱してる基準41db以上というのは、中等度にあたります。ま、ここで陳情のあります「軽度」がどこまで入って、で、「中等度」と、そこまで厳密に定義されてるかどうかちょっと分かりませんけども、ま、そういった国際基準を踏まえた対応というのにつきましては、これは本市だけでなくて、全国一律的に、検討して、必要であれば、身体障害者手帳の交付の聴力レベルを下げるということが対応が必要かというふうに考えておりますので、適正な公費負担の観点でありますとか、医学的なエビデンスを踏まえて、国において議論が行われるべき事項であると認識してるとこでございます。以上でございます。

◆西野さち子議員(共産)/はい、あの今も、軽度の方であっても、その難聴者の方がね、補聴器を使用した場合の効果というのは否定はできないという内容のご答弁があったという風に思いますが、陳情にありますようにね、軽度の難聴者は補聴器が高額なために諦めざるをえない場合があるという風にも書かれています。

で、子どもさんの成長にとっても大きな影響があるんじゃないかっていう風にも思います。ご答弁の中で、先ほどの説明の中でも、子どもさんは重要な時期だということで補助制度はあるという風なご説明はあったわけですけれども、全国のね、自治体で、補聴器の購入への助成を行っている自治体が急速に増えています。で、陳情の中では、8月1日時点で474自治体という風に書かれているんですけれども、しかし9月1日には482の自治体にまで広がってきています。で、その中でもね、年齢制限なしで全年齢を対象にしている自治体が12自治体あるんですね。で、また、基準も40db以上としているのは169自治体になっています。で、30db以上が67自治体、25db以上というのも1自治体ありました。で、これだけね、各自治体で実施をしているということなんですね。これ全部足しましてもね、49.2%、実施してる自治体の中で、WHOの基準をさらにクリアすると言いますか、もっと、軽度の方にも広げようというその動きがあるわけですよね。で、補聴器購入制度を行う自治体が今どんどん急増しているという点と、基準の引き下げが半数、約半数に及ぶこの実態について、認識はどのようにお持ちでしょうか。

(→阪本・障害保健福祉推進室長)はい。ま、軽度、それから中等度の難聴者に対する、ま、要は障害に至らない難聴の方への支援が、各自治体広がってるということでございます。あの、それぞれですね、いろんな目的で、実施されてるかと思いまして、認知症予防でしたら認知症予防っていう目的があろうかと思いますし、またその他、18歳まで広げられたところというご紹介もありましたけども、どういう目的で実施されてるかというところまで我々も承知をしてないとこでございます。

で、本市が独自でそういった助成を実施するということでありましたら、改めて、相応の実施理由、目的が必要であるという風に考えております。先ほど申し上げました、難聴児についてはやはりその聴こえにくさということがあって、音声言語の習得に重要な時期という、児童固有の課題がありまして、そこでの言葉の獲得であるとか、社会性の獲得といった、この世代にとっての課題を解消する目的というのがあったと思います。

また、加齢性難聴については、各都市で認知症予防ということで、目的で実施されてること認識しておりまして、そういった認知症予防という目的が別にあるかというに思っております。今回ですね、日常生活における不便さの軽減とか、円滑なコミュニケーション確保というのは、ま、身体障害者手帳を取得できる基準の聴覚障害の方と同様の目的であろうかという風に考えておりまして、ここの部分について、ま、必要かどうかについて、もし必要であられたら、しっかりと、そのなぜ、そこのところに事業実施するのかでありますとか、その課題解釈にあたって本当に補聴器の使用に効果があるのか、効果があるとしたら公費負担があるか、妥当であるかどうかなどですね、慎重に見極める必要があると思ってますし、今まだそういった様々な検討する段階にあたる材料が我々たちは揃っていないという風に認識してるとこでございます。以上でございます。

◆西野さち子議員(共産)/はい。その目的が必要だとおっしゃいますけれども、やっぱりその軽度の方であっても、補聴器があればさらにそのコミュニケーションもね、深くなるという風なことも含めてね、効果はあるというわけなんですよね。だからこそ多くの自治体で今どんどん進んでいってるということだという風に思いますし、京都市の難聴者への支援がね、全国のこの自治体の流れから大きく遅れているという実態が、先ほど申し上げました数から見ても遅れているという実態が、明らかだという風に思いますし、これ以上ね、補助制度の創設を遅らせるということになれば、さらに全国から、全国のその流れにもね、乗り遅れるということになってしまいます。だから早急にね、軽度者にも補聴器の使用がしやすい制度、この創設と障害者手帳の取得基準の見直し、これをすべきだという風に思います。

先ほど子どもさんは重要な時期だから補助があるとおっしゃいましたけれども、この陳情の中でも十分な助成ではないという風にも書かれていますのでね、そういった点でも、子どもさんに対してももっと支援をする、こういう立場も必要だと思いますし、目的はやっぱり、たとえ軽度であっても障害をお持ちの方がしっかりとこの社会の中で生きていきやすい、そういう社会を作るということの支援でもあるという風に思いますのでね、是非検討を早急にしていただきたいということを求めて終わります。

2025年9月24日【環境福祉委】保健福祉局/陳情審査「全世代の軽度・中等度難聴者に対する補聴器購入助成の実施等」

(更新日:2025年09月24日)