ウィングス京都の機能充実を、ネーミングライツ頼みにならずスポーツ予算の充実を(2025年10月7日/決算特別委・文化市民局・やまね)

ウィングス京都(京都市男女共同参画センター)の充実について

◆やまね/公共施設に関わって二つのテーマでお聞きしたい。一つは、先ほどもあったウィングス京都(男女共同参画センター)について。昨年度決算は運営について1億1440万円となっている。昨年度はまた、「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律(女性支援新法)」が施行された年度でもある。そういう下で、男女共同参画、ジェンダー平等の推進、女性支援のため、ますます重要な役割を担う施設ではないかと思っている。現在、施設のレイアウト変更や民間活用が議論されているが、本来の機能が後退するようなことは絶対にならないと考える。

8月の文教はぐくみ委でも議論があったが、「イベントホールをなくしたらどうか」との質問に「イベントホールはなかなか新たに建てようとしても建てられるものではない」「子どもたちのピアノ発表会、各団体の講演会など様々な用途でご利用いただいている」「収容人数280人規模のホールが市内にないことも考慮してイベントホールは存続して活かしていきたい」とのお答えがあった。これは当然のことでその通りだと思う。同時に、シアタールーム、和室、調理コーナー、ギャラリースペースは廃止検討中とのこと。そこで聞くが、廃止検討中の部屋については、利用者や団体から「残してほしい」という声は出ていないのか。決算年度にヒアリング等はしたのか。決算年度、廃止検討中の部屋はどういった目的・用途・内容で使われたか、出せる範囲で資料でいただきたいがどうか。

(→工藤・共生社会推進室長)委員からご紹介あった通り、前回の質問等においても一部施設の廃止等を検討するとしている。委員からご指摘あった点については出せる範囲で資料で提出する。

◆やまね/利用者や団体の方から「残してほしい」という声は今のところないのか。この点はいかがか。

(→工藤・共生社会推進室長)現状のところ、利用者・団体等から残してほしいという声をいただくには至っていない。具体に廃止が決定したら、利用者に対しては代替施設の紹介を行うなど丁寧に対応したい。

◆やまね/いただいていないということだが、それは、こちらから聴いてもいないのか、それともただ単に、そういう声が出てないのか。こちらの側が聴いているのかどうかで全然違ってくると思う。この点指摘しておく。

レイアウト変更については「2階に事務所機能を集約し、1階部分のスペースで賑わいを創出したい」と、これが大きなざっくりとした話だと思うが、しかしそもそもウィングス京都の目的は、賑わいを創出することなのか。もう一つ聞きたいのは、決算年度の男女共同参画審議会で「レイアウト変更すべき」「賑わいを創出すべき」との意見があったのか。

(→工藤・共生社会推進室長)男女審議会でのご意見については、まず「賑わいを創出すべき」等のご意見はないところだが、我々が説明しているところでの「賑わいの創出」のご説明に対してはご理解いただいているものと思っている。また、審議会の中においても、重要はご意見かなと思っているのは、「ウィングス京都の相談機能を後退させてはいけない」と、やはりここには重きを置く必要があると思っている。その視点を持って施設のあり方についても検討を進めたところ。

◆やまね/ウィングスの活用について、先ほど「事業者の選定」ということもお話あったが、今年7月に出た「募集要項」を読むと、この中で求める中身として「本市の男女共同参画施策、若者施策に寄与するもの」という点で言われているのが、「賑わいが生まれること」「活用事業が呼び水となり、ウィングス京都の建物内の活用事業対象外のエリアの利用促進につながること」などと書いてある。これを読んだとき、ウィングス京都の専門機能そのものを強化することについてはあまりふれられておらず、とにかく人をたくさん呼び込んで、ウィングスのそういう機能のところにも流れてきてくれたらいいなあというような印象を率直に持った。

そこで改めて聞くが、図書情報室については「現在と同程度の図書(約1万3000冊)を設置できるよう努めるものとする」とある。これは場合によっては、努めたけれども難しかったという場合、本が減る可能性があるのか。何とか現状の本の冊数は維持しようと思っているのか。また、相談室とか子どもの部屋など現在の機能をより充実・改善する中身になるのかどうか。この点いかがか。

(→工藤・共生社会推進室長)二点のご質問だが、まず前提として、昨年度来、やまね委員からもいろいろご質問いただいているが、賑わい創出に関しては、ウィングス京都の認知度が低いというところを昨年度もご説明させていただいている。その中で、1階にさまざまな世代、高齢者、若者、子どもを呼び込んで、まずウィングス京都がここにあるということを知っていただく。で、将来的にも何か困りごとがあった場合は2階のウィングス京都の相談、あとは中央青少年活動センターの3階へのつなぎ、そういったことにつなげていきたいということを考えている。

図書情報室等については、基本的に今後レイアウトをしっかり詰めていくことにしているので、現在は「努めるもの」としている。相談室については現状の2室に加え状況に応じて応接室を使用していたという経過がある。これについては2階移転後は面接室として3室をしっかり設けたいと考えている。また、子どもの部屋については、現状、給湯室、トイレが部屋の中にあるが、2階移転後は部屋内にはトイレ、給湯室は設けないということにしている。ただし、2階のトイレにおいても子どもがしっかりトイレできるような設えを設けていく予定にしている。

◆やまね/そうしたら相談室は2室から3室に、で、今のお話だと子どもの部屋のスペースも広くなるということなのでこれは大事なことだと思う。

もう一点だけ聞いておきたい。民間事業者との連携という時、これまでサウンディング型市場調査だとか、その後の協議で出てきた企業は、不動産業者や、コンサルタント業、サービス業、建設業の分野の話はあったが、例えば、女性支援で考えると、フェムテック系企業、フェムテックとは、女性特有の健康課題、生理・月経、妊娠・出産、更年期などの課題をテクノロジーの力で解決する製品・サービスを展開されている企業だが、そういった企業にアイデアとかアドバイスをもらうような機会を設けたのか。実際お声は聴いたのか。

(→工藤・共生社会推進室長)フェムテック系事業者への協議や意見聴取については、行っていないが、男女共同参画審議会の委員からは、「民間事業者を公募選定する際には、女性の社会進出を応援できるような仕組みづくりに関することを初め、フェムテック企業を誘致したり、ユースクリニックを開設したりするなど、民間事業者と連携し施設の活性化を図ることにより、男女共同参画社会の実現のために取組をさらに推進することを主軸に進めていただきたい」というようなご意見をいただいた経過がある。

また、現在策定作業中の「第6次男女計画」においては、「性別により異なる健康問題への理解の促進の充実」を項目として挙げており、女性特有の健康問題に関しても今後検討していくこととしている。

フェムテック系事業者も様々あると承知している。第6次計画を推進する上で、各種サービス内容や取組についてもしっかりと見極めていきたい。なお、国においても女性の健康総合センターが令和6年10月に開所するとともに、現在策定中の国の男女共同参画基本計画案においても、生涯を通じた男女の健康への支援が充実項目として検討されているので、こうした状況も踏まえて、女性の健康支援に関する取組を進めていきたい。

◆やまね/この点で最後に申し上げておきたいのは、市内中心部の繁華街で賑やかなところで、なぜわざわざ「賑わい創出」を強調されるのか私たちは疑問だ。結局のところウィングス京都の建物の収益性に着目して、できるだけ京都市の公費負担を減らしたいという思惑がないのか。そういう点で見ているなら非常に問題だ。今日いくつかお答えいただいたが、本来の機能を前進していく、高めていく、ぜひそういう方向で考えていただきたいと、求めておく。

京都市体育館のネーミングライツについて

◆やまね/次に京都市体育館のネーミングライツについて。平成23年4月~令和3年3月の10年間「ハンナリーズアリーナ」という通称が付与された後、令和5年9月から「かたおかアリーナ京都」という通称が付与されていた。ところが契約事業者である株式会社片岡製作所が、民事再生法の適用申請となり、ネーミングライツについては「協議の上、契約途中での解除となった」と報道されている。

この契約は年間1700万円、期間が10年間とされていた。お金の使い道としては、「京都市体育館の競技環境あるいは観戦環境の維持・向上に活用させていただく」と答弁もあった。改めて確認したい。片岡製作所によるネーミングライツは、決算年度を含めて実際に何年分、いくらの収入があったのか。

(→平井・市民スポーツ振興室長)10年間の契約ということで、2期2年分、収入をいただいている。年間1700万円なので、3400万円が収入されている。

◆やまね/今回のように公共施設の名前がコロコロ変わっていたのでは、市民、利用者、事業者の皆さんも混乱されるのではないか。名前が変わることでマップや印刷物も修正を迫られる。そのコストはじゃあ誰が負担するのか。それは京都市や片岡製作所が出すわけではなく、市民や事業者の皆さんが負担することになるのではないか。この点はどうか。

(→平井・市民スポーツ振興室長)確かに今回2年間という意味では非常に短かったかなという印象は受けている。あくまで通称名だが、確かに、競技される大会、される中で印刷物を作っておられると思う。ただこの分については、ご指摘の通り、各主催者のほうで見直していただくことになるが、ただ、我々としては、必ずしも直していただかなければならない、間に合うものは直して、これから以降の分は変えられる分は直していただきたいということで関係団体のほうには連絡している。

◆やまね/京都新聞7/26付に「民事再生法適用申請」と報道があったが、この時に「市の担当者は『現時点で相手の意向は分からない』と困惑した様子で話した」とあるが、京都市としては、民事再生法適用が申請された時点で、そういう下でも引き続き契約を続けたいと思っていたのか。この点はどういう認識だったのか。

(→平井・市民スポーツ振興室長)我々スポーツ推進室のほうとしても、事前に聞いてるとかそんなことはなく、我々もこの報道で知ったというところ。そういう意味ではちょっと混乱というか、ああという、どうしたんやということはあったが、ただ、報道を受けて、その中で我々としては、確かに、ま、もちろんその、継続していただければそれはありがたいが、さすがに民事再生ということになると、難しいのかなという思いはしていたので、そういう意味ではちょっとどういう契約になっているのか見直しを始めたという、そういうこと。

◆やまね/当該事業者によるネーミングライツは、令和5年7月19日、2023年の文教はぐくみ委で議論されている。その中で、京都市ネーミングライツ審査委員会での主な意見として、「ネーミングライツを実施するのに十分な経営状況である」と紹介されている。審査委員会が当時そういう判断をした根拠は分かるか。

(→平井・市民スポーツ振興室長)仰る通り、我々、この選定するにあたっては、審査委員会ということで外部の・・・会議のほうでやられるわけだが、その中にも公認会計士ももちろんいらっしゃるので、そういう方のチェックも踏まえたという中では、それが正当な判断がされたと認識。

◆やまね/公認会計士の方のチェックというお話があった。京都新聞の記事では、事業者の経営状況について、「取引先の北欧の企業が破産し回収不能になった」と紹介されているが、ところが、どうもそれ以前から、経営状況が厳しいほうに傾いていたのではないか。帝国データバンクの分析資料を見ると、2018年以降に有利子負債の動きを見ると、それが膨らんでいく一方、当期純利益がそれほど伸びていない。「借入金の返済原資が不足していたと言わざるをえない」と指摘されている。「2020年以降は新型コロナの影響による海外向けの輸出制限などから売り上げが落ち込んでいた」ということも指摘されていた。こういう状況をしっかり見れば、状況はもう少し分かったのではないか。

(→平井・市民スポーツ振興室長)・・・そういった観点で見ていなかった。ただ、片岡製作所はさまざまな・・・業界の先頭に立って、さまざまな事業をやられているという、勢いのあるというふうな報道とか記事なんかを見ていたので、特段、そのあたりは特に気づくことはなかった。

◆やまね/片岡製作所については、この間、高さ規制の緩和によって新工場の開発が許可されている。これは令和4 年11月市会で条例改定を議決されている。それから本市の企業立地促進補助金が決算年度で515万7000円入っている。これまでの総額で4037万円交付されている。こうした関係を市民が見た場合、「お金が還流しているじゃないか」「便宜がはかられているじゃないか」、こういうふうに思われる市民も当然おられるのではないか。もう1点お聞きするが、少なくとも都市計画の規制緩和や市の補助金が入っている企業については、ネーミングライツの対象から外すべきではないかと思ったが、この点はいかがか。

(→平井・市民スポーツ振興室長)ネーミングライツは先ほど申し上げた審査委員会で選定している。その上で議会に報告して決定しているというわけだが、審査委員会の中でやっぱり公平性は担保されていると思うので、補助金が当たっているからネーミングライツというふうな見直しは、現時点では検討は必要ないのかなと思っている。

◆やまね/しかし審査委員会を経たとしても、結局、審査時点で問題がなかったと見えたとしても、こういう事態が起こっているわけだから、考える必要があると思うし、やはり都市計画変更の規制緩和や補助金など、そういう企業がネーミングライツをしているという関係性については、きちんと今後検討していく必要がある。

最後に、私たち会派の考えを述べておきたい。「公共施設は誰のものかを考えた際、通称とはいえ一営利企業の名前が公共施設に付くのはどうなのか」「特典として一企業が独占的に利用することで、市民が使いたい時に使えないということがあってはならない」。それから先ほどの加藤議員(自民)と問題意識が重なる部分があるが、「ネーミングライツのあるなしに関わらず、スポーツする権利を保障し、そのためのスポーツ環境を整備することは、国や自治体の当然の責務であって、スポーツ予算の充実こそ求められている」「ネーミングライツや民間の寄付頼みになってスポーツ予算が減らされていくということになってはならない」ということも重ねて申し上げて終わりたい。

2025年10月7日【決算特別委】文化市民局/ウィングス京都の機能充実について、京都市体育館のネーミングライツについて

(更新日:2025年10月07日)