堀川通地下バイパスは中止を(2023年10月13日/決算特別委・建設局・やまね)

◆やまね/よろしくお願いいたします。私からは大型公共事業に関わって幾つかお聞きしたいと思います。平成初期の大規模事業が、今日の市財政を圧迫する要因の一つとなっていることは、京都市当局も認めてきたところだと思います。さらに、まず、改めて確認しておきたいのが、総事業費2,900億円と言われました市内高速道路未着工3路線の問題です。堀川線、久世橋線、西大路線、これらについては、門川市長も、繰り返し、廃止ということを明言されてきまして、これ2016年の5月25日の市会本会議でも、今後速やかに3路線の廃止に向けた手続を進めてまいりますと、答弁されております。そこで、改めて確認したいんですけれども、この市内高速道路未着工3路線について、市長が、京都市が廃止と判断した理由は何だったでしょうか。

(→梅原・建設企画部技術企画担当部長)京都高速道路の未整備3路線についてのお問合せということでございます。京都高速道路、昭和の後半から平成の初期にかけて、堀川線、西大路線、それから久世橋線、油小路線、新十条通ということで、5路線、都市計画決定されて、その後、順次、整備の方が進められまして、油小路線と新十条通が完成しているというところでございます。そして、未整備の3路線、堀川線、西大路線、久世橋線でございますけれども、抜本的な見直しのために、学識経験者、そして国、そして府、それから市などが入った京都高速道路専門検証委員会、これを設置しまして、3年間、議論をしていただきまして、3路線の整備効果、整備した場合、どのような効果があるか、これについて、しっかりと検証をいただいてきたというところでございます。

その結果、平成28年5月でございますけれども、3路線の整備効果というのが限定的であり、また、早期の事業実施についても難しいという風な御意見の方、委員会の方から意見の方を頂きまして、そういった意見を踏まえて、3路線の方を廃止していくという風なことの方針が決まった、そういったところでございます。以上でございます。

◆やまね/今お答えいただいたとおりだと思います。その専門委員会の意見書、私も改めて拝見しましたけれども、極めて厳しい財政状況や防災・減災対策を引き続き優先的に進めていく政策方針を踏まえると、京都市において、長期間にわたって事業着手が見込めない状況に変わりない。残る3路線の整備による効果は限定的という、こういうことが言われているわけです。

つまり、市内高速道路、これまで造られた路線だけで600億円、700億円の負担が発生してきたわけですけど、そこへ更に総事業費2,900億円の事業を行う、そういう意義はないということであります。廃止は、ですから、私どもも当然の判断だったと思います。

ところが、既に10年以上前から何度も廃止ということは言われながら、都市計画の変更廃止手続は行われないままになっておりまして、市長の公約違反、議会答弁違反の状態が続いております。なぜいまだに高速道路の廃止手続が行われないのか。その理由として言われているのが、この3路線の廃止のみでは本市の交通課題が解決しない、つまり、堀川通の京都駅付近でのボトルネックの解消の問題などですけれども、この堀川通の新しい整備と3路線の廃止は切り離すことができないということをずっと言われてきました。

そこで、これも改めて確認をしたいんですけれども、法律上、高速道路の未着工3路線を廃止した場合、堀川通の整備というものについては、もう議論できなくなるのか。国の許可がなければ、廃止手続というのはできない話なのか、この点いかがでしょうか。

(→梅原・建設企画部技術企画担当部長)3路線の廃止と堀川通の機能強化を切り分けて考えられないかという風なお話かと思います。先ほどから御答弁させていただいてございますけれども、京都高速道路専門検証委員会、その中で先ほども御紹介ございましたけども、3路線の廃止のみでは、本市の交通問題は解決しない。堀川通の交通量の拡大に向けた取組を進めるべきであるという風な委員会の意見を頂いたことから、本市の抱える交通課題である堀川通の機能強化、堀川通、3車線から2車線になっていてボトルネックになっていると、そういったところでの機能強化と、3路線の廃止は切り離すことができない取組であるという風に認識、そしてそういう風な京都市の方針ということで、これはこれまでからこういった委員会でありましたりとか、代表質問でありましたりとかということで、幾度となく答弁の方をさせていただいているということでございまして、法的に3路線の廃止と堀川通の機能強化を切り離してできるか否かということにかかわらず、本市の方針として、3路線の廃止、堀川通の機能強化というのを、この都市計画の手続も含めて、同時に進めていくということについては、変わりはないというところでございます。

◆やまね/色々お答えいただいたんですけど、私がお聞きしましたのは、切り分けて考えるべきではないかということではなくて、法的に廃止手続というのがされなければ、法的に廃止をすれば、この堀川通の整備というのは考えられない話なのか。国の許可が要るのかどうか、この点についてお聞きしたんですけど、いかがですか。

(→梅原・建設企画部技術企画担当部長)何回も同じになるんですけれども、我々は堀川通の機能強化と、その3路線というのを同時に進めていくという風な方針でございまして、同時に進めていくことについては、都市計画法上、問題なくて、その方針で進めていこうという風にしているということでございます。もしその都市計画法上分けてと言いますか、そういうようなことで手続を進めるということであれば、それができるか、それからできないかといったような仮定のお話、これについては、ちょっと答弁の方は差し控えさせていただきたいという風に考えてございます。

◆やまね/仮定かどうかという話じゃないですよ。法律上可能かどうかというお話なんです。いかがですか。

(→梅原・建設企画部技術企画担当部長)法律的にできるかどうかという風なことなんですが、その切り離すと言うか、別々に都市計画法上で手続を進めるかどうかということについては、検討もしてございませんし、そういったことについての答弁というのは差し控えさせていただきたいと思います。

◆やまね/先ほどおっしゃったのは、法的な問題にかかわらずということもおっしゃっているわけで、そういうことだと思うんです。結局、私は本気で借金を減らしたいということであれば、ばく大なこういう費用負担が危惧される大型事業を見直すことこそ今、必要だと思います。ところが、今考えられているこの一つが、堀川通の整備ということで、堀川通、油小路、五条から十条間に地下バイパストンネルを造るという途方もない計画であります。高速道路計画時には、これ、総事業費1,200億円とされたルートでありますが、私はここに京都市の本音が表れてしまっているんじゃないかなと思います。

なぜ、堀川通の地下に巨大なトンネルを造る必要があるのか。その理由は京都駅西側のJR高架下の渋滞があるということなんですけど、渋滞対策は私も当然必要だと思います。それは考えなければならない。しかし、財政危機をこれだけ叫んで、様々な市民負担増も押し付けられて、住民の身近な公園も満足に管理できない。生活道路の予算も不十分。これから人口減少社会と言われている。そういう中で、1,200億円もの事業費を投じなければいけない、国負担も含めてですけれども。そういう事業を今、推進していいのか。やっぱりこれは税金の使い道の優先順位の話として、おかしいんじゃないですかということ私、思うんですけど、いかがでしょうか。

(→梅原・建設企画部技術企画担当部長)堀川通の効果という風なお話かと思うんですけれども、堀川通については、災害時には緊急輸送道路の役割を担う大動脈ということで、国道1号でもありますし、そして先ほども御答弁させていただいたんですけれども、JRの東海道本線の交差部付近、ここでは、片側3車線から2車線に減少して、慢性的な渋滞が発生しているということでございまして、このため、現在、国の方が堀川通の機能強化につきまして、調査の方をされているわけなんですけれども、今後も様々な機会を通して、国の方に対しては、堀川バイパス、堀川通の機能強化、これについては、早期の実現を国に強く要望してまいりたい、そのように考えてございます。以上でございます。

◆やまね/そこでもう少しお聞きしますが、交通量の問題なんですけれども、この間、稲荷山トンネルの無料化、京都市への移管ということが平成31年4月に行われて、このときには、債権放棄110億円以上というものもありますが、それプラス、鴨川東岸線第2工区が完成をして、師団街道と九条通がつながったと。これが令和2年3月のことでした。これは事業費約96億円とされています。当時の建設局の作成資料に、鴨川東岸線第2工区がつながることにより、現在の師団街道は交通量が減少し、生活道路として機能しますという風にあります。確かに、東福寺駅近くの琵琶湖疏水沿いの師団街道の部分では交通量が少なくなるのではないかなと思いますけれども、この地域全体では、むしろ車の量というのは増えるんじゃないかなという風に私、思うんです。

というのも、これは以前の答弁で、新十条通が出来ることによって、鴨川東岸線は2万3,000台に増えると。新十条通の交通量は約2万台の想定と。それから西側の十条通は当然交通量が増える、一般道路も増える。こういう御答弁がありました。そこで確認したいんですけれども、この稲荷山トンネルと鴨川東岸線第2工区の開通後、周辺の道路、九条通、十条通、河原町通、あるいは24号線や師団街道、本町通など、こういう道路の交通量というのはどうなっているんでしょうか。何か示せるデータなどはございますでしょうか。

(→梅原・建設企画部技術企画担当部長)交通量調査についてのお問合せでございますけれども、交通量調査については、おおむね5年に1回、全国的に道路交通センサスということで、調査の方をさせていただいていまして、京都市もそれの中で調査をしているというところでございます。前回、調査していますのが令和3年ということでございまして、その1個前が平成28年に調査をしているということでございますので、丁度その間に、稲荷山トンネルの移管が、平成31年の4月ですか。無料化ということでございます。そして鴨川東岸線の第2工区が令和2年の3月に完成したということでございますので、丁度その間に入っているということでございます。

今、いろんな箇所の部分の交通量をちょっとお示しいただいたわけなんですけれども、ちょっと手元にそこまで細かい資料はないんですが、少し代表的なところでお話をさせていただきますと、まず、稲荷山トンネル自身でございますが、平成28年、これ有料のときだったんですけども、そのときの道路交通センサスでいきますと、おおむね7,000台でございます。そして令和3年の調査ではおおむね2万4,000台ということで、無料化することによって、台数的にはかなり増えたというところでございます。

一方、その周辺でいきますと、川端通、鴨川東岸線の七条通と九条通の間ぐらいですか。この辺りでいきますと、平成28年が2万台であったところが、令和3年では1万8,000台ということで減少しているというところでございますし、川端通、いわゆる師団街道ですか、の所の十条通よりも下の所についても、平成28年が1万7,000台が令和3年に1万4,000台ということで減少しているというところでございまして、そのほか、周辺の道路についても細かい解析なんかはできておりませんけれども、おおむね無料になった所については増えて、周辺の所は減っているということなんですが、そういう意味では周りの幹線道路、24号であったりとか、そういう斜久世ですね。油小路線から十条通を結ぶ斜久世橋通なんかに、道路を分散、しっかりできているのかなという風には考えてございます。以上でございます。

◆やまね/ありがとうございます。今、幾つか数字もお答えいただきました。5年ごとのそういう交通センサスの調査があるということですので、ちょっとこれは資料を求めたいんですけれども、九条通、十条通、河原町通、それから24号線、師団街道などの平成28年と令和3年の調査がちょっと比較が分かるようなデータ資料を是非出していただきたいと、求めておきたいと思います。

それで今、鴨川東岸線の所については、交通量は減っているというお話がありました。私、それだったら、この間、凍結をされている第3工区、約70億円、この事業も、本当に必要あるのかなと。交通量が減っているんだったらむしろ、もう凍結から中止にすべきじゃないかということも思うわけです。

それで、最後に申し上げておきますけれども、やはり大きな道路を整備すればするほど、それは逆に車をどんどん呼び込むことにならざるを得ないんじゃないかと。増える車に合わせて、まちを改造していくということではなくて、まちのキャパシティに合わせて、やっぱり車の流入量を規制していくという政策こそ今、必要だと思います。歩くまち・京都の戦略でも車の分担率を下げていこうとか、車に過度に依存しないということは掲げられておるわけで、やっぱりそういう方向が必要だと思います。市民生活にも影響を与えている、例えば大型観光バスを規制していくとか、市バス、コミュニティバスなど、こういうものをもっと充実させて、公共交通を便利にして、敬老乗車証制度なんかも元に戻して、自家用車に乗らなくても移動できる、そういうまちづくりをする。そのためにこそ私は税金を投入していくべきだと思いますし、断念したはずの高速道路は、今すぐ廃止手続を進めていただきたいと思いますし、財政危機と言うのであれば、堀川通・油小路通地下バイパストンネル計画、これはもう、即刻、断念すべきだということを申し上げて終わります。以上です。

◎森主査/先ほど、やまね委員から要求がありました稲荷山トンネルの無料化及び鴨川東岸線開通後の周辺道路の交通量の変化について、平成28年と令和3年の比較でよろしいでしょうか。の資料については、理事者、提出できますか。

(→梅原・建設企画部技術企画担当部長)道路交通センサスの交通量の方、取りまとめて提出の方、させていただきます。

◎森主査/提出できるとのことですので、委員会資料として提出を求めることに御異議ございませんか(「異議なし」と呼ぶ者あり)。御異議ございませんので、委員会資料として提出を求めることに決定いたします。理事者におかれましては、速やかに提出いただきますようお願いいたします。

2023年10月13日【決算特別委】建設局/堀川通地下バイパスなど大型公共事業にメスを

(更新日:2023年10月13日)