◆やまね/どうぞよろしくお願いいたします。おはようございます。私からは今日は文化芸術に関わってお聞きしたいと思います。まずですね「Arts Aid KYOTO通常支援型」についてなんですけれども、これまでも文化芸術関係者の声を紹介してきました。「イベントを行う際に使える補助があるのは大変ありがたい」「小額でもいいのでぜひ枠を増やして欲しい」という声を何度も紹介をしてまいりましたけれども、私自身はですね、文化行政の役割というのは、トップランナーを支援するというよりも、むしろ、幅広い文化芸術関係者の方々を支援することであると、そして市民に文化芸術活動の場を保障することにあると考えております。で、ぜひですね、「Arts Aid KYOTO」の通常支援型の部分の予算をですね、何とか拡充をしていただきたい、増額していただきたいと思っておりますが、この点いかがでしょうか。
(→平賀・文化芸術都市推進室長)はい「Arts Aid KYOTO」の通常支援型についてでございます。はい、議員ご紹介いただきました通り「Arts Aid KYOTO」、令和3年に創設をしまして、事業認定型と通常支援型ということで、この間運用させていただいております。で、通常支援型につきましては、概ね1000万の枠を設定いたしまして、この間支援に取り組んできたというところでございます。多くの応募はいただいておりまして、審査の上、例えば令和5年度ですと100万円を上限とする創造支援枠につきましては6件採択、活動サポート枠これは10万円を上限としておりますけども41件採択をさせていただいたというところでございます。で、6年度に若手交流促進枠というものを新設をいたしまして、これを上限10万円ということで、これも10件採択をさせていただいておるんですけれども、これは枠は新設いたしましたけれども、予算の総枠としましては1000万を維持をしたというところでございます。
で、今般、令和7年度の予算編成におきましては、この6年度に新設いたしました若手交流促進枠10万円を10件ということですので、この100万円分について、これを定着させていきたいという意図で、1100万円、これを含めて1100万円ということで、予算としては編成をしたところでございます。
財源といたしましては、もう従来からご答弁申し上げてる通り、寄付を、ふるさと納税による寄付を財源としております。で、その寄付の財源も大きくは事業認定型による、3割の部分を財源として充てているという現状でございますので、そういった中で可能な範囲で充実を図っているというところでございます。
◆やまね/はい、今お答えいただきました。市全体の予算から見れば、私はまだまだ小さな額ではあると思うんですけれども、しかし今ですね、1000万円で固定されていたところから、今回増額の判断をしていただいたということは、前向きに受け止めたいと思います。文化芸術関係者のニーズにも合致している、これは非常に求められている施策だと思いますので、引き続き増額を求めていきたいと思います。それからこれは横大路の運動公園のトイレ改善ですとか遊具更新ですとかですね、これもこれまで求めてきた問題ですので、ぜひ早期に実現をしていただきたいと。これは要望しておきたいと思います。
それで次に、京都市美術館についてなんですけれども。学芸部門ですね、東山キューブ含め事業企画推進業務として委託されてる部分を今回直営にするということもお聞きしておりまして、重要な決断だと思います。私たちはこれをずっと求めてまいりました。で、この間の報道によりますと、この学芸部門を直営に戻す理由について「運営経費の節減のため」ということが言われてるんですけれども、この部分が委託の中でも特に高額だったということなんでしょうか。この点ちょっと確認したいと思います。
(→小林・美術館担当部長)はい、美術館の学芸部門の直営化につきましては、主に2つの、2点について効果を考えております。まず1点は、現在委託しております現代アート等の知見が、の、蓄積、これを直営の学芸員に蓄積することによる直営学芸員の企画力の強化。もう1点は、効果的効率的な美術館の運営、この2点を大きな効果というふうに考えております。
ご質問の、えっと、経費面につきましてでございますけれども、私どもとしましては、この間その美術館の運営費につきまして、リニューアルに伴う新館の建設等に伴って、施設の面積が増えたことなどにより、再整備後の一般財源負担が再整備前に比べ大きく増大したことに対して、議会のご指摘も踏まえ、この間経費削減に加え、魅力ある展覧会の開催による入場料収入や、MICE利用料、寄付金などの収入確保にも努めてきたところでありまして、経費面につきましては美術館運営全体の課題というふうに認識しておるところでございます。この課題認識のもと、この度、企画運営業務を委託から直営化することによりまして、その委託料の削減による財政効果については見込んでいると、こういった状況でございます。
◆やまね/はい、私はですね、赤字だからダメとか、公費負担を増やすなというつもりは全くないんですね、美術館に対して。で、そもそも博物館法の第26条にですね「公立博物館は入館料その他博物館資料の利用に対する対価を徴収してはならない」とされております。で、「ただし博物館の維持運営のためにやむを得ない事情のある場合は~」というふうに書かれてあるわけで、公立博物館はそもそも儲けをあげるということを目的にしていない。で、京都市美術館がですね、博物館相当施設あるいは指定施設であってもそうあるべきだと思います。
で、ただですね、やはりリニューアル前は収支がトントンだったものがですね、リニューアル後になぜここまでコストが増えたのかということで、ちょっと私不思議に思いましたので、今回、情報公開請求で京都市美術館の決算資料を入手をいたしました。するとですね、運営費の中で委託費が占める割合が年々増加していると。で、リニューアル前は2016年度38%ほどだったものがですね、2023年度には62%以上になっております。で、それでですね、「学芸部門」だけではなくて、「運営サービス業務」サントリーパブリシティサービスが毎年1億8000万円~2億円近く。そして「建設設備等保守管理業務」及び「清掃業務」を日本管財、これ京都支店ですけども、毎年1億円近く。そして「警備業務」はセコムが毎年6700万円前後で受注してるわけですが、これいずれもリニューアル前から何倍も額が増え、しかも大手企業が受注をしてるということがあります。これ間違いありませんか。
(→小林・美術館担当部長)はい、リニューアルによりまして、その再整備後、施設の面積等が増えたことに伴いまして、ご指摘のございました、機械設備あるいは清掃、警備、そういった部分に対しての委託料、あるいは面積が増え、あるいはフリースペース、美術館、フリースペースが増えた、そういったことにも伴いまして、先ほどご指摘いただいた、その、サントリーパブリシティサービス(SPS)のそのフロアスタッフの配置、こういったスタッフの増、こういったことで委託料が増加したというのはご指摘の通りかと考えております。
◆やまね/はい、それで私はですね、この決算資料から分かることはですね、結局その民間委託によってコストカットどころかコストが増えていってると。で、民間の活力を借りるというよりも、公共の活力を利用して大手企業が儲けているというのが実態ではないかと感じました。それで私はですね、本来やはり公立の美術館というのは直営であるべきだと思いますし、民間に発注する場合もですね、分離分割発注で京都市内の事業者の皆さんにもっと力を借りるべきではないのかと。このことを指摘しておきたいと思います。
それで、学芸部門を直営にするもう1つの理由で、先ほども少しお話があったかと思いますが、連携面の課題ということでですね、これ12月の文教はぐくみ委員会でも、こういうふうにおっしゃってます。「民間と公営で分かれている中で様々な取組についていろんな調整が必要になってくる」というご答弁がありました。
で、公立美術館を民間に任せるとどういう問題が起きるかということで、これ2022年2月の文化環境委員会で、文化市民局のほうから答弁がありました。この時には指定管理者制度の議論をした時なんですけれども。公立美術館に指定管理者制度を導入したある都市で「学芸員の継続的な調査研究や作品の収集保管等に支障をきたすということで指定管理にしたところから直営に戻した」事例があることが紹介されております。それから「3年5年という指定管理の中で継続的な調査研究ができない」「長期的な展望が持てない中での寄付等がしづらい」ということであるとか「展覧会開催時に借りてくる時と返す時の間で指定管理者が変わっていれば安心して美術作品を預けられない」などの問題があることも紹介をされております。
で、業務委託であれ指定管理であれですね、この学芸部門をやはり民間に任せてしまうと、この事業者が変わるたびにその知識・経験が京都市に引き継がれないという問題があると思います。先ほど直営の部分の強化というところ、まさにそういうことだと思うんですけれども、事業の継続性、それから経験の蓄積という観点で見ますと、私はその直営化ってのは大事な判断だと思いますけれども、それと同時に、市の正規職員として学芸員を増やすということが重要ではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。
(→小林・美術館担当部長)はい、先頃の委員会で私のほうから、連携面の課題があると申し上げました。その際の意図してた連携面と申しますのは、現在その直営の学芸員と民間の学芸員で、大きく言えばその本館部分と新館部分で、事業をそれぞれ分担してるような感じではあるんですけれども、そういった中でも、直営・民間それぞれで様々な展覧会を企画していく中で、その、それぞれがこう企画をしていきたいという中で、企画が同じ時期あるいは同じ場所でバッティングしてしまう、そういったことが生じてしまうと、そういった時にやはりお互いにそれなりに準備をしている中で、その日程であったり場所の調整、こういったところでかなり時間を要する、調整に時間を要する、そういった部分での調整が難航する、そういった部分について課題が生じていたということで、この課題の解消を図るために、この度直営化するというのが1つの大きな理由でございます。
◆やまね/はい、先ほどおっしゃられたように、直営部分の強化という、知識を、経験を引き継いでいくというのは非常に大事なところだと思います。で、私が申し上げたのは、そのためにも直営化だけではなくて、市の正規職員として学芸員を増やすということが大事ではないかということでお聞きしたんですけれども。
で、そこでですね、現在の美術館の学芸員体制、12月にこれも答弁いただいておりますが、市の正規職員4名、それから会計年度任用職員3名、民間委託の学芸員が5名、合計12名ということになっているということなんですが、議員団要求資料で今回ですね、「政令市における市立美術館の学芸体制」というものを出してもらいました。で、そうしますと、「正規・非正規の内訳は非公表」とした大阪市を除きますと、実に11市で京都市の正職員の学芸員数を上回っております。特に横浜市17名、札幌市10名、福岡市9名、千葉市・静岡市は8名ですので、京都市の倍以上ということになります。で、私は文化芸術都市を掲げるのであれば、「京都市は学芸員体制を大変充実している」と、こういうレベルをですね、他都市から見ても、目指すべきではないかと思うんですが。来年度ですね、新年度、この現状の体制を上回る体制となるのか、正規の学芸員が増えるのかどうか、この点いかがでしょうか。
(→小林・美術館担当部長)はい、美術館の体制についてでございます。リニューアル、2020年のリニューアルを機に、コレクションルームの新設等を行いました。それに伴いまして、直営の学芸員につきまして、4人から会計年度任用職員を含めた7人に増員いたしました。それに加えまして、先ほどご紹介もいただきました、その新館・東山キューブを中心に、現代アートを中心に運営を担う民間学芸員についても5名増員し、合計12名の学芸員体制を構築してきたところでございます。
この度、その民間、現在民間で5名在籍しております学芸部門を見直しまして、直営に一本化するということでございます。現在、4月の直営化に向けて体制整備を鋭意行っているところでございますが、現時点で具体的な数字等をお示しする、できる段階ではございませんが、現在の民間の配置状況を踏まえまして、それ相応の体制を整備する予定で現在取り組んでいるところでございます。
◆やまね/はい、民間でやられてた5名の分を、これはもう絶対そこは確保していただきたいと思いますし、やはり正規職員の学芸員さんをぜひ増やしていただきたいと、重ねて要望しておきたいと思います。
それで、いずれにしてもですね、京都市が今、学芸員資格を持つ方を募集してるということは非常に重要だと思います。で、学芸員さんは本当にかけがえのない役割を果たす存在だと思います。で、今ですね、その学芸員さんが「将来設計ができないまま疲弊して辞めていく人が多い」とかですね、「非正規雇用でいくつかの館を渡り歩いて、手取り給与が月額15万にも満たず、奨学金返済もままならなかった」という方とかですね、「大学院などで高度な専門知識を持った若者が博物館の現状に失望して去っていくケースが目立つ」とか、「何十年先まで資料を伝えていくのが博物館の役割。その資料を扱う職員が非正規ばかりでいいのか」ということも、様々なところで指摘をされているところです。
で、京都市美術館の学芸部門を委託されていた事業者はですね、私も委員会で指摘をしましたけれども、20名のスタッフを雇いながら、そのうち数名の方だけが1000万円を超える人件費がかかっていた。その他の方はですね、学芸担当のプログラムアシスタント360万円、ラーニング担当キュレーター360万円、ラーニング補助240万円、業務進行管理216万円、業務サポート180万円と、大変低い人件費に抑えられておりました。私はこういうことがあってはならないと思います。京都市に学芸員さんがですね、そして若者が、いきいきと、研究を始めとする学芸業務に没頭できるような、そういう環境をぜひ作っていただきたいと、このこと強く求めて終わります。以上です。
2025年3月5日【予算特別委】文化市民局/京都市美術館の学芸員体制充実を
(更新日:2025年03月05日)