SNSにおけるデマや誹謗中傷の拡散、プラットフォームの責任を問う(2025年2月20日/衆院総務委・たつみコータロー議員の質疑文字起こし)

◆たつみ議員(共産)日本共産党のたつみコータローでございます。今日も地方の問題、兵庫を発端にした問題を取り上げてまいります。SNSにおけるデマや誹謗中傷の拡散について、今日はプラットフォームの責任を問う、そういう質問をやりたいと思います。

(2月)18日の質疑でも取り上げた兵庫県知事選挙では、脅迫とも言える行為も行われていました。「NHKから国民を守る党」党首である立花孝志氏は、わざわざ百条委員会の委員長の自宅の前で、聴衆の前で演説をして「出てこい」と、インターフォンを鳴らして、「あんまり脅しても自死されたら困るのでこのくらいにしておきます」と述べました。また、委員長は「大変強い恐怖心を覚え、家族にも避難をしてもらった。日常とは違う生活をせざるを得なくなり、いろんな業務に支障が出た」と語っております。また、先日取り上げた、亡くなった竹内英明元兵庫県議に対しても、「家に行くぞ」と立花氏が配信したところからSNSでの誹謗中傷がひどくなったと伝えられております。

立花氏は、「要は1人狙い打ち、いじめの原則、いじめる時はいっぱいいじめたらダメ、誰か1人に行く、周りがビビってひっくり返る」とも語っています。昨年のこの知事選挙において、選挙結果に大きな影響を及ぼしたと考えられる、この立花氏のYouTube投稿は100本以上、再生回数は1500万回、また、立花孝志氏の公認の切り取りチャンネルは1300万回、芸能人やジャーナリストの投稿も注目を集めたということであります。その中で、真偽不明のデマも流されて、誹謗中傷も行われました。亡くなった元県民局長に対しては「10人との不貞行為があった」と言いながら、選挙が終われば「根拠は薄い」と平然と撤回をしております。あまりにもひどい言動だと言わなければならないと思います。

立花氏は、この竹内元県議が亡くなった後も、元県議が「港湾利権がある、何らかの犯罪で任意の取り調べを受けていたことは間違いない」などとした、陰謀論の類いの根拠のないデマを発信をして、冒涜をしております。警察庁に聞きますけれども、兵庫県警の本部長、1月20日の県議会で、「これらの発言は、発信は、事実無根」と、立花氏の発言を否定をしております。どのような判断でこういう発言を行ったんでしょうか。

(→警察庁・松田長官官房審議官)お答えいたします。本年1月20日に行われた兵庫県議会・警察常任委員会において、兵庫県警察本部長がお尋ねの答弁をしたことは承知しております。一般論として申し上げれば、警察においては、事件にかかる情報の公表ということにつきまして、公表することによって得られる公益と関係者のプライバシー等の権利・利益、公表が捜査に与える影響等を、個別の事案ごとに総合的に勘案して、公表の適否、公表の内容を判断しております。お尋ねの警察本部長の答弁につきましては、議会での質問に対しまして、兵庫県警察本部長としての考えを述べたものと承知しておりますが、これは今申し上げた諸事情を総合的に勘案した上でのものと認識しております。

◆たつみ議員(共産)はい、今ありましたように、公益性などを勘案してという話でございましたので、つまり立花氏の発言を否定をすることは、社会全体にとって有益であり、逆に放置することは社会にとって有害であると、看過できないと、いうことだったということだと思います。

県警の本部長はですね、「県警幹部が否定したというようなことでは拡散は止まらず、トップである自分が議会の中で答弁するほうが効果的・合理的だと考えた」ということで、今日お付けしている資料でも、メディアのインタビューにも答えております。

しかし同時にですね、そこまでしなければこういったデマ・誹謗中傷の類いの拡散を止められなかったということも言えると思うんですね。大臣は18日の質疑の中で「正論や本音が言えなくなるんだ」と、「民主主義の危機だ」と、こう答弁されたわけです。私もその通りだと思うんですね。議会制民主主義は、選挙の際、国民が投票する際に、判断材料とするための情報を自由かつ均等に取得をして選挙権が行使できる、これが大前提だと思います。だからこそ2馬力選挙っていうのが問題になるわけです。で、デマやフェイクっていうのは、選挙権を適切に行使するための判断材料を与えるどころか、それを歪めて、そしてそれが選挙結果にも影響しうるという意味において、民主主義の脅威となると私は思います。あるいは民主主義の土台となる選挙プロセスそのものが破壊をされてしまう、ここに問題があるというふうに思います。

本来SNSは、人々が繋がり合えるツールのはずなんですが、人々を傷つけて分断するツールにもなっております。立花氏の言動は絶対に許されない。しかし同時にですね、立花氏の発信を信じ込み、あるいは彼の犬笛に反応してネットリンチに参加をしてしまうユーザーもいるわけです。その責任も問われるべきだと思います。だけど、じゃなぜこういうことが起きるのか。そのようなデマやフェイクや誹謗中傷の舞台を提供しているプラットフォームに責任はないのか。私はここを問いたいんですね。総務省に確認しますけれども、「情報通信白書2023年版」ですけれども、今日資料にもお付けしております。「アテンションエコノミーが広がり、それに伴いフィルターバブル、エコーチェンバーといった現象が起きる。それが社会の分断を誘引して、民主主義を危険にさらす可能性もありうる」という記述があるんですけれども、これは一体どういう記述なのか、詳しく説明していただけますか。

(→総務省・玉田大臣官房総括審議官)お答え申し上げます。まず「アテンションエコノミー」と申しますと、情報過多の社会におきまして、供給される情報量に比して人々が支払えるアテンションないし消費時間、これが希少となることから、それらが経済的価値を持って市場で流通するような経済モデルを意味すると承知しております。

次に「フィルターバブル」ですけれども、アルゴリズムによってインターネット上で利用者個人のクリック履歴に基づく情報が優先的に表示されるという結果、自身の考え方や価値観に近い情報ばかりに囲まれる、いわば泡の中に包まれるような状態を意味すると承知をしております。

さらに「エコーチェンバー」とは、自分と似た興味関心を持つユーザーが集まる場でコミュニケーションをする結果、自分が発信した意見に似た意見が返ってきて、特定の意見や思想が増幅していく状態を意味すると承知をしております。

「社会的分断や民主主義を危険にさらす」という記述がございますけれども、これは先ほど申し上げた現象を背景としまして、人々が多様な情報を受信できずに適切な判断を下すことが困難となり、インターネット上で集団の分極化が進み、結果として社会経済の混乱や民主主義への悪影響をもたらす可能性があるということを意味するものと象徴しております。

◆たつみ議員(共産)はい、アテンションエコノミーが前提となったSNSの空間において、ファクトよりも刺激的な打ち出しが優先をされる、フィルターバブルでそれに対抗する言論は入ってこずに、エコーチェンバーでデマや虚偽が固定化されてしまう。今回は立花氏だけではなくて、同様の主張をいわゆるインフルエンサーや地上波テレビでも目にするジャーナリストが行って、デマや真偽不明の事柄を信じ込んでしまう人が出たということだと思います。

もちろん言論そのものに権力・政府が立ち入ることは許されません。同時に、アテンションエコノミーが支配するネット空間において、言論の自由、思想の自由、知る権利が保持されるために、有効なルールも必要になってきているのではないか。虚偽の情報のほうがそうではない情報と比較して早く拡散されるという研究もあります。つまり、アテンションエコノミーが前提となるネット空間においては、広告収入目的で、事実は二の次、虚偽あるいは刺激的な内容のものが、より確信犯的に発信をされるということになるわけです。大臣にお伺いするんですけれども、これ利用者の広告効果を最大化させるというアテンションエコノミーによるアルゴリズム、利用者の行動データに基づいてどういうコンテンツを配信するのか決定するルールのことをアルゴリズムと言いますけれども、これがフェイクニュースや誹謗中傷する投稿が拡散されてしまう根底にあるということであればですよ、これやっぱりSNSの収益構造、ビジネスモデルそのものが、被害拡大の一端を担ってると、こういうことが言えるんじゃないですか。

(→村上総務大臣)私もですね、たつみ委員と同じような認識を感じております。で、クリック数に応じてですね、収益が発生するSNSのビジネスモデルはですね、「情報通信白書」で指摘してるようにですね、その負の側面として、過激なタイトルや内容の記事等を生み出しですね、偽誤情報の拡散と助長させるですね、構造を有してると考えております。その危険性は非常に大きいと心配しております。

◆たつみ議員(共産)/危険性が大きいということなんですけれどもね、だとすればですよ大臣、だとすれば、こういったフェイクやデモを拡散させてしまう土台を作っているプラットフォーム自身に、フェイクの拡散を防止する責任があるんじゃないでしょうか。大臣。

(→村上総務大臣)おっしゃる通りで、その偽誤情報の中にはですね、明らかに他人の権利を侵害するような情報もあれば、直ちにですね、偽かどうかが分からない情報も含まれていると思います。で、憲法上、いま委員も申されたようにですね、表現の自由が保障されておりますので、そもそも利用者が投稿したどのような情報に対してプラットフォーム事業者がどう対応すべきかはですね、事業者側の情報の真偽の判断能力も含めですね、大変難しい課題であるというふうに認識しております。

一方、私としましては、デジタル空間における情報流通の主要な場であるSNS等を提供するプラットフォーム事業者には、偽誤情報等の低減に向けて社会的責任があり、各事業者が実効性ある取組を進めていくことは重要であると、そのように考えております。例えばですね、国民一人ひとりのリテラシーの向上のためですね、今年1月に立ち上げた官民連携プロジェクトではですね、プラットフォーム事業者が、意識啓発に加え、信頼性の高い情報をSNS等のサービス上で優先表示するといった工夫を実施するなど、主体的な取組を行うことは期待されております。

総務省としましては、インターネットの偽誤情報について、引き続き国際的な動向を踏まえつつ、表現の自由に十分配慮しながら、総合的な対応を積極的にですね、進めていきたいと考えております。

◆たつみ議員(共産)はい、本当に実効性があるのかということが問われると思うんですね。で、社会的責任がある、その通りだし、自主的な取組、しかし自主的な取組で誹謗中傷やデマやフェイクというのがなくなってないから問題になってるわけですよね。ここにどう取組を強化させていくかということが問題になるというふうに思うんです。

で、海外での規制や対策っていうのはどうなってるのかということなんですが、これEUはですね、大規模なオンラインプラットフォームなどに対してですね、偽情報を含む違法で有害なコンテンツを拡散する際に生じる重大な社会的リスクに応じて、より厳しい対応を求めています。例えば、違法コンテンツの拡散や人権などの基本的権利、表現の自由等への悪影響に関するリスクの分析と評価、そしてそのリスクの軽減措置というのをEUでは求めてるんですけれども、日本にはいま、現行法上同様の規定はあるんでしょうか。

(→総務省・玉田総括審議官)お答え申し上げます。EUにおきましては、委員からご指摘ありましたように、利用者の保護あるいは安全なオンライン環境の構築を図ることを目的に、デジタルサービス法が昨年2月から本格実施となっております。

この法律は、オンラインプラットフォーム事業者による違法コンテンツの削除要請に対する受付体制の整備、あるいは削除等の基準、また、その運用状況に関する公表を含めたルールを幅広く定めておりまして、このような規律につきましては、昨年我が国で成立した情報流通プラットフォーム対処法においても、類似の制度が定められております。

一方で、EUのデジタルサービス法では、超大規模オンラインプラットフォーム事業者や超大規模検索エンジン事業者に対し、委員ご指摘のように、リスク評価、軽減措置を義務付けております。このリスク評価は、これらの事業者のサービスアルゴリズム等の関連のシステムの設計・機能等に起因するリスクを、自ら特定・分析・評価するものであって、このリスクには違法コンテンツの拡散や表現の自由に対する悪影響なども含まれるというのは、ご指摘の通りと承知しております。

また、軽減措置につきましては、このような特定されたリスクに応じて、例えばサービス設計や機能の調整、利用規約とその実施方法の調整などを行うことが求められております。このようなリスク評価、軽減措置につきましては、日本では類似の制度がないものと承知をしております。

◆たつみ議員(共産)ですからEUは一歩踏み込んでる部分が、やはり日本よりはあるということなんですね。で、しかもEUはですね、これDSA(デジタル・サービス・アクト)という法律ですけれども、これ違反をすれば、そのプラットフォームの全世界の売上の最大6%が課徴金として支払わなければならないと、全世界の売上ですからね、ものすごい金額になる。ま、それだけのものをやってるということなんですね。で、罰則だけではないんです。例えば、透明性の確保、あるいは意識、規制が強いのもEUの特徴なんですね。EUのレコメンダーシステムについての規制がどのようなものか、どう把握してるかをお答えください。

(→総務省・玉田総括審議官)お答え致します。利用者の行動履歴などに応じてその利用者に最適な情報を推奨するレコメンダーシステムは、多くのプラットフォーム事業者が導入しているものと承知をしております。

デジタルサービス法におきましては、プラットフォーム事業者に対しまして、自社のレコメンダーシステムで使用される主な基準、すなわちパラメーター、また、この主なパラメーターを、利用者が変更できる選択肢などを、平易かつ分かりやすい言葉で利用規約に定めることを義務付けております。

また、超巨大、超大規模オンラインプラットフォーム事業者や超大規模検索エンジン事業者に対しては、自社のレコメンダ―システムについて、利用者の行動履歴などを分析する、いわゆるプロファイリングに基づかない選択肢を用意するよう義務付けていると承知をしております。

日本では類似の制度はないと認識をしております。

◆たつみ議員(共産)はい、つまりフィルターバブルやエコーチェンバーの作用を弱める、そういう選択肢を利用者に提供してるっていうのがEUなんですね。これ非常に参考になると思います。

今一つ重要になってくるのが、やはりリテラシーの問題だと思うんですね。白書の中に、日本とアメリカとドイツと中国の4カ国の調査を行ってるんですね。そこで検査結果やSNS等で表示される情報が、利用者自身に最適かパーソナライズされていることを認識してるかどうかを聞いたところ、日本では「知ってる」と回答した割合が44.7%。で、他国はですね、8割~9割にのぼるんですね。あるいは、おすすめされるアカウントやコンテンツが、これはサービスの提供者が見てほしいアカウントやコンテンツが掲示される場合があるということについて、日本では「知ってる」という回答が4割弱、他国は7割超なんですね。自分に近い意見や考え方に近い情報が表示されることについても、日本では「知ってる」と回答した割合が4割弱、他国では7割~8割。これらの点で圧倒的に日本のデジタルリテラシーは諸外国に比べて低いということが分かると思います。今日はちょっと文科省にも来ていただいてるんですけれども、これについて、情報リテラシーをどうやって高めていくのか、答弁いただけますか。

(→文部科学省・日向大臣官房学習基盤審議官)(たつみ/短めでできたら)お答え致します。学校教育における情報モラルの指導にあたっては、情報技術やサービスの変化等に対応できるよう、情報技術の特性についての理解に基づく情報モラルを身につけさせることが重要と考えております。このため、情報技術の特性として、例えばエコーチェンバーやフィルターバブルといった現象の理解、インターネット等で得た情報の真偽を確かめることの大切さを学ぶ動画コンテンツの提供や、教師を対象としたオンラインセミナーの実施により、学校における指導の支援に務めているところです。

◆たつみ議員(共産)はい、SNSを利用した誹謗中傷や扇動は、社会を揺るがして分断をして、民主主義の土台を掘り崩す恐れがあります。本来SNSが持つ、人と繋がれる、ネットワークを広げられる、あるいは新しい情報に触れられる、そのような機能がより享受できる環境整備がされることを期待をして、私の質問を終わります。

2025年2月20日【衆院総務委】SNSにおけるデマや誹謗中傷の拡散について、プラットフォームの責任を問う

(更新日:2025年02月20日)