「旧愛染倉の木造建物」「大田神社のカキツバタ」を守れ(2025年2月6日/文教はぐくみ委・文化市民局・やまね)

◆やまね/文化市民局の取組の中でですね、この「京都を彩る建物や庭園」ということで、リスト化されていると思います。で、冊子にはですね、「京都市では市民の皆様が京都の財産として残したいと思う建物や庭園を公募によりリスト化」と。「これは所有者のたゆまぬ努力により、世代を超えて継承されている建物や庭園を、京都の歴史や文化の象徴として、市民ぐるみで残そうという気運を高め、維持・継承・活用を図るものです」と説明されております。で、京都にはですね、やはり世界遺産や文化財の指定には至らないものの、価値のある建物がですね、数多く存在してると思いますが、この制度はですね、そうした建物や庭園をやはり守っていきたい、こういう思いで実施されてるということで理解をしてよかったかどうかですね。この制度の意義・趣旨について改めてお答えいただきたいと思います。

(→遠藤・文化財担当部長)はい、今議員のほうからですね、冊子のほうの趣旨のほう、少しお読みいただきましたので、ちょっと若干重複するかと思いますけども、本制度におきましては、京都の財産として残したいという、市民の意識を背景に、既存の制度で保存できない素晴らしい建物や庭園を公募によりリスト化いたしまして、市民ぐるみで残そうという機運を高めるとともに、様々な利用・活用をすることなどによりまして、維持・継承を図るものといたしまして、その顕彰制度といたしまして、平成23年11月に創設したものでございます。

市民からですね、推薦があった建物や庭園につきましては、外部の有識者で構成されます審査会の審査を経て、京都の財産として残したいものを「選定」、そしてその中で特に高い価値がある、価値が高いというふうに認められたものを「認定」というふうにしている制度となっております。

◆やまね/それでこの冊子にはですね、令和6年3月現在で、800件の審査をして、600件選定と。で、231件認定というふうにあるんですけれども、これもちょっと資料提出をいただきたいんですけれども、これまで選定後・認定後にですね、残念ながら失われてしまった建物や庭園が何件あるのかですね、これについてちょっと時間の関係もありますので後ほど資料提出をいただきたいということでお諮りいただきたいと思います。

それでやはりですね、私は文化財指定がないものを自治体として行政としてどう守っていくのかってなかなか難しい課題でもあると思うんですけれども、ただ、そうした中でも、京都の景観を形作ってきた建物や庭園を何とか守りたいということで、こういう制度やっていただいてると思っております。で、この制度で選定・認定された場合に、修理等に対する助成制度もあると聞いたんですが、費用のどれだけを、これは補助していただけることになっていたでしょうか。

(→遠藤・文化財担当部長)はい、本制度につきましては、所有者が行う建物・庭園の日常的な修理に対する補助といたしまして、補助率1/3ということで、直近で言いますと令和5年度におきましては8件に対しまして、300万円を助成しているというところでございます。今年度も同程度となる予定となっております。

◆やまね/はい1/3の助成があるとお聞きしましたが、あの、事前の聞き取りというかお話の中では、最近は、元々1/3の制度なんだけれども1/6ほどしか助成ができていないというお話もうかがったんですけど、それは事実なんでしょうか。

(→遠藤・文化財担当部長)はい、限られた予算に対しまして、やっぱりご要望も一定数ございまして、なるべく広い件数を拾っていこうというふうになった場合にですね、どうしても件数を拾おうとしますと、やっぱりシーリングをかけざるを得ないという状況になっておりまして、必ずしも1/3を満額で助成できているという状況にはないということではございます。

◆やまね/わかりました。ま、必ずしも今1/3助成、満額を助成できてる状況でないということですので、非常にあの、もうちょっとですね、何とか頑張れないかと思いました。充実が必要だと思います。で、これもですね、資料を求めたいと思います。制度導入以後ですね、年度ごとに助成した事業と金額について資料をいただきたいと。これも最後にお諮りをいただきたいと思います。

それで具体的事例としてお聞きしたいんですけれども、このリストの中にですね、北区上賀茂の「旧秀粋庭園」というのがありまして、その説明ですね、推薦文からの抜粋ということで「染色家で呉服商の社長であった方が、和服の展示場として造園した庭園で、移築された建物が配置され、庭園内には様々な石造物が配されている」と。こういう内容の説明があります。で、昨年ですね、「旧愛染倉」跡の再開発が新聞でも報じられてるんですけれども。2021年まで結婚披露宴会場や和装展示会場などで使用さてきた木造2階建ての建物があって、元々は奈良にあった江戸時代の酒蔵を移築したものだそうなんですが、それがですね、今、この2月から解体されようとしているということで、地元の方々が「価値ある建物を残してほしい」と今声をあげておられると聞いております。で、このリストにある「旧秀粋庭園」の説明にある「移築された建物」というのは、新聞報道にもあった旧愛染倉の木造2階の建物も含むということになってるのか。これいかがでしょうか。

(→遠藤・文化財担当部長)はい、えっと、含まれるものとなっております。

◆やまね/わかりました。それでこれ、私先ほどちょっとインターネットで見ておりましたら、2022年3月にですね、「京都市文化財保護化研究紀要」というものが出ておりまして、文化財保護課主任の、建造物担当の方が書かれた『戦後京都における歴史的建造物の移築による苑の造営』という文書があると。で、その中でですね、この愛染倉の話も詳しく述べられておりますので、京都市としてもこの建物の重要性は認識しておられると、こういう理解でよかったでしょうか。

(→遠藤・文化財担当部長)はい、旧秀粋庭園につきましては、ま、いわゆる愛染倉と呼ばれてる跡地にございますけれども、こちらにつきましては、市民からの推薦に基づきまして、令和3年度に京都の財産として残したい建物・庭園といたしまして、敷地一帯を選定したというところでございますので、ま、そういった意味では一定の価値があるというふうには考えております。

◆やまね/はい、この旧秀粋庭園のすぐ近くにはですね、「大田神社のカキツバタ」というものもありまして、これは「京都市生物多様性プラン(2021-2030)資料編」の中にも、「文化財保護法に基づく天然記念物・大田ノ沢のカキツバタ群落」として明記されている重要な場所であります。で、愛染倉跡の開発によって、地下水に影響が出ないか、あるいはカキツバタに影響が出ないかということも大変今危惧をされているわけですが、これもちょっと確認だけしておきたいんですけれども、天然記念物の保全についての所管というのは、文化財保護課・文化市民局なのか、それとも環境政策局なのか、これどちらでしょうか。

(→遠藤・文化財担当部長)はい、あの文化財全般ということであればですね、当然文化財保護課のほうで所管をしてるということでございますが、これはいわゆる国の天然記念物ということでございますので、国の文化財という位置付けにはなっております。

◆やまね/京都市で担当されているのは当然文化市民局ではないんでしょうか。京都市の中ではいかがでしょう。

(→遠藤・文化財担当部長)はい、まず何かあの、いろんな課題等ございましたら、当然その文化財に関しましては、文化市民局のほうで相談等応じているというところでございます。

◆やまね/はい。で、京都市のホームページを見ましても、お問い合わせ先なんかは文化財保護課が載っておりますので、そういうことだと思うんですね。で、市民の皆さんから今、「歴史的価値のある木造建物を残してほしい」とかですね、「開発によって天然記念物であるカキツバタに影響が出ないようにしてほしい」と、こういう要望が京都市に届けられていると思うんですけれども、文化財保護課として、この間、開発事業者に対しては何らかの働きかけなどはされてきたんでしょうか。

(→遠藤・文化財担当部長)はい、地元の方からですね、様々なご意見が出ているということは承知しておりまして、文化市民局といたしましても、都市計画局等と連携いたしまして、今の設計事務所等においては申し入れ、懸念事項を申し入れをしてきたというとこでございまして、直近で申し上げれば、一応その、元々カキツバタのほうに近いところには「地下室を作る」というような計画があったというふうに聞いておりますけれども、こちらのほうとの協議の結果、地下室の計画は撤回されたというふうには聞いております。

◆やまね/ありがとうございます。そしたら京都市としてもやはりそういう申し入れを行う中で、計画の変更も一定あったということであります。で、私はですね、やはり非常に重要な対応されてきてると思うんですよね。で、京都市も重要性を認識している建物なら、ぜひそれを保全する立場で動いていただきたいと思いますし、加えて今おっしゃっていただいたようにですね、やはり文化財保護法に基づく天然記念物を絶対に守らないといけないと思いますので、ぜひそういう立場で引き続き事業者への働きかけなども頑張っていただきたいと思います。

で、京都市においては、この国指定の天然記念物についてはですね「深泥池生物群集」、それから「清滝川のゲンジボタル及びその生息地」、それから「比叡山鳥類繁殖地」、そして「大田ノ沢のカキツバタ群落」というのがあるということなんですが、ところがですね、これ私京都市のホームページを見ると、天然記念物として紹介されてるのは「深泥池生物群集」だけになっておりまして、私はこの周知活動というか広報活動そのものがちょっと不十分ではないかなと。やはりこういう価値ある、大事なところはですね、もっともっと広報していって、こういう素晴らしいところが、値打ちのあるところがあるんだということを、文化財保護課として京都市としてもっと市民の皆さんに発信をしていただきたいと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

(→遠藤・文化財担当部長)はい、京都市内にはですね、市の指定文化財等含めまして、多数の文化財ございます。特に市の指定登録文化財につきましては、必ずしもその周知の広報活動等も含めて十分ではなかったというとこはあろうかと思いますので、今後は引き続きですね、市民の皆様に広く知っていただく、そしてその価値を認めていただきながら応援していただくというようなことを考えていきたいというふうに思います。

◆やまね/まあ一般的に文化財とか、こういう建物・庭園リストっていうことになるとものすごい箇所になるんですけれどもね、この国の文化財保護法による指定の天然記念物っていうのは、ここには4つしか出てこないんですよ。それはねやっぱりもう少しこの4箇所しかないところはもっともっと広報されてもいいんではないかなというふうに申し上げておきたいと思います。

ちょっとだけ時間残ってますので、先ほど答弁求めなかったんですけれども、この「京都を彩る建物や庭園」のリストの中で、選定そして認定をした後に、残念ながら失われてしまった件数というのは、今お答えいただけるでしょうか。どれぐらいあるのか。

(→遠藤・文化財担当部長)はい、こちらのほうでちょっと少し調べさせていただきました。令和6年12月末の時点でございますけれども、制度上これ「滅失届け」というのを出していただくことになってるんですけれども、その件数を把握しているものにつきまして、16件ということになっております。

◆やまね/わかりました。ちょっとそしたらその16件についてはまた後ほど一覧で資料でいただきたいと思います。

で、これ最後に申し上げたいんですけれども、やはり京都市がそうやって世界遺産や文化財だけに限らず京都市独自でですね、その建物や庭園、その値打ちを市民の皆さんと一緒になって評価をして残していきたいと、リストまで作って頑張っておられる、補助制度も本当は満額支給したいと思っておられると思うんですけどなかなかできない中でも、そういう補助制度まで作られていると。やはりそういう建物・庭園については、もうぜひとも引き続き守る立場で頑張っていただきたいということと、そしてこの天然記念物についてはですね、絶対にこれは影響が出ないように、そういう立場でのぞんでいただきたいと。このことを重ねて求めて終わりたいと思います。以上です。

◎井上委員長/先ほどやまね副委員長から要求のありましたリストに認定・選定後に失われた建物等の状況、及び制度創設以降の年度ごとの助成状況とその金額の資料については理事者提出できますか。

(→遠藤・文化財担当部長)はい、少しお時間いただくかもしれませんけれども、リストのほう整理いたしまして、提出させていただきたいと思います。

◎井上委員長/はい、提出できるということですので委員会資料として提出を求めることにご異議ありませんか(異議なしの声)、はい、ご異議がありませんので委員会資料として提出を求めることに決定いたします。理事者に置かれましてはなるべく早く提出していただきますようによろしくお願いいたします。

2025年2月6日【文教はぐくみ委】文化市民局/一般質問「文化的価値の高い建物の保全について」

(更新日:2025年02月06日)