◆堀川あきこ議員/日本共産党の堀川あきこです。初質問となりますどうぞよろしくお願いします。
まず最初に、北陸新幹線・敦賀~新大阪の延伸計画についてお尋ねをしたいと思います。京都を縦断する案ということで、京都からたくさんの不安の声があがっています。豊富な地下水を使って和菓子や日本酒、豆腐、銭湯など、これまで京都の文化や住民生活を支えてこられた方々から「地下水に何かあったら死活問題だ」と声があがっております。先日の報道でも、京都仏教会からルートの再考を求めるという要請が近く府知事に行われるということが報じられています。
この延伸計画について12月13日、与党プロジェクトチームによる沿線自治体からのヒアリングにおいて、京都府知事、京都市長から、地下水や自然環境への影響、残土処理の課題、財政負担などなど、様々な懸念が出されております。また、ルート上にある南丹市の市長からも、要望書という形で懸念が示されています。北陸新幹線の延伸計画に関して、このような懸念、不安が出されていることを、大臣は認識しておられますでしょうか。お願いします。
(→中野・国土交通大臣)堀川委員にお答え申し上げます。北陸新幹線につきまして、与党の整備委員会が開催をされまして、4日に福井県及びJR西日本から、13日に京都府・京都市及び大阪府からヒアリングが行われております。そうした場面を含めまして、様々なご意見や委員ご指摘のご意見ご要望が寄せられていることは承知をしております。いずれにしましても国土交通省としては、この与党における駅位置、ルートの絞り込みに向けたご議論を見守りつつ、沿線自治体の皆様のご理解を得られるように、鉄道運輸機構とともに丁寧かつ着実に取り組んでまいりたいと思います。
◆堀川あきこ議員/はい、不安の声は認識しておられるということでした。今ありましたように3つのルート案が国交省からも示されて、与党プロジェクトチームは年内にもルートを絞り込むということで動いておられるようです。で、大臣はこれだけの懸念が出され、あるいは払拭されていなくても、ルートの選定を進めるべきというお考えでしょうか。お願いします。
(→中野・国土交通大臣)あの、すいません、えっと、先ほども少し申し上げて繰り返しになるかもしれませんけれども、今与党の整備委員会におきまして、駅の位置、ルートの絞り込みに向けた議論が行われているところでございます。国土交通省としては、まずはこうしたご議論を見守りたいというふうに考えております。いずれにしましても、沿線自治体の皆様のご理解を得ながら鉄道運輸機構とともに丁寧かつ着実に取り組みを進めてまいりたいというふうに思っております。
◆堀川あきこ議員/はい、これ国の事業ですよね。「与党プロジェクトチームの議論を見守る」というふうなことですけれども、大臣としてのお考えをお聞きしたかったところです。
地元の方の不安を未だに払拭できていない。沿線自治体との合意ができているとはとても言えない。予算は当初よりも膨れ上がり、整備新幹線の着工要件を満たしているとは言えない状況です。日本共産党はそもそも延伸計画自体を中止をし、在来線こそ充実をすべきという立場ですが、地元の方がこれだけ声をあげている、府知事、市長までも懸念を示している中で、強引に進めるやり方はやめるべきだということを申し上げておきたいと思います。
続いて、この北陸新幹線の延伸工事で想定されている大深度地下工事についてお尋ねをしていきたいと思います。大深度地下使用法により、「地下40m以深については、地権者が通常利用しない空間としてその土地を所有する方の同意を必要とせずに、事業者にその空間の使用権を認め、トンネル工事などが実施できる」というふうな内容です。この大深度地下工事を進める上で不可欠なのは、事前の地盤調査が適切に正確に行われることです。この大深度地下使用法で使用認可を得て行われたシールド工事で、2020年10月に東京外環工事において陥没空洞事故が発生をしました。
資料1をご覧いただきたいと思います。事故後の有識者委員会の報告です。そこでは、「特殊な地盤条件化において、カッターが回転不能になる事象・閉塞を解除するために行った特別な作業に起因するシールドトンネルの施工が陥没空洞事象の要因と推定される」というふうにあります。ただ、「事故後の調査でも、事前の地盤調査は適切だった」と事前のレクでも報告をいただきました。じゃあ何が原因でこの事故が起きてしまったのでしょうか。説明をお願いします。
(→山本・道路局長)お答えを申し上げます。今回の事故につきましては、振動の問い合わせを踏まえまして、夜間休止時間を拡大する中におきまして、特殊な地盤のもとで、掘進を進める際に夜間休止中にシールド先端部の掘削土を充満させる空間におきまして、土砂が分離・沈降し締め固まることで、掘進再開時にカッターが回転しない状態が発生をいたしました。そうしたこと、さらにそのカッターを再回転させるために特別な作業を行ったこと、ま、こうしたことが要因と有識者委員会で推定をされております。施工に課題があったというふうに考えております。こうした複数の要因が重なった上での事象であったことから、あらかじめ予見をすることが困難であったというふうに考えてございます。
◆堀川あきこ議員/はい、振動の問い合わせが増えていったというふうなことで、停止時間が、シールドマシンの停止時間を拡大したという、それも1つの要因だというふうなことおっしゃられましたけれども、住民の方々は事前に「地上の影響はない」というふうに説明を受けて、突然平穏な暮らしが侵害をされたということで、被害者の方々だと思うんですね。住民の方に事故原因があるかのような答弁は控えていただきたいというふうに思います。
で、続いて次の質問はちょっと時間の関係でスキップをさせていただいて、事前調査の地盤調査についてお伺いをしていきたいというふうに思います。この工事では、事前調査としてボーリング調査等の地盤調査が行われています。資料の3、4、5をご覧ください。ボーリング調査の場所を示した図を3枚に分けてお示しをしています。赤ボツがちょっと小さいですけれども、ボーリングの実施箇所ということです。で、続いて資料6をご覧ください。ボーリング調査というのは100m~200mの間隔での実施が推奨されているということですが、外環工事の場合、全長16kmの事業区域にボーリングは86箇所打たれたということです。で、有識者委員会の報告では、「調査間隔が200m以上となる範囲がある」というふうに記載があるわけですが、この外環工事のボーリング調査で200m以上の間隔で実施されている箇所は何箇所でしょうか。
(→山本・道路局長)お答えを申し上げます。ボーリング調査を実施した86箇所の、ボーリングのこの同士の間隔、平均間隔167mでございますけれども、ボーリング調査に伴います騒音・振動によって周辺の住環境への影響などを考慮いたしました結果、調査間隔が200m以上となっている区間は全部で21区間となってございます。なおこうしたボーリングの調査間隔200m以上の区間についてはですね、ボーリング調査地点間に地盤急変部が存在しないことなどを確認するために、微動アレイ探査を実施いたしまして、支持基盤の連続性を確認をしております。
◆堀川あきこ議員/はい、ありがとうございます。86本のボーリングで調査間隔200m以上のボーリングが21箇所という答弁でした。この数は尋常ではないというふうに思います。で、先ほどその答弁の中で、「周辺の住環境の関係でボーリング調査ができない」というふうなことをおっしゃいました。で、この有識者委員会の報告書の中にも「周辺環境条件により、ボーリングが実施できず調査間隔が200m以上となる範囲がある」というふうなことで、微動アレイ探査の調査をやっているというふうにあります。
で、もう一つお伺いしたいんですけれども、この周辺環境条件ということについて、具体的にお伺いしたいんですが、この有識者委員会の小泉あつし委員長は、2020年12月18日のブリーフィングで、「今までのシールドはだいたい道路下を掘ってきた」と、で、「今度は民地下も掘らなければいけない、そうするとジャストポイントでボーリングができない」と述べておられます。つまり、住宅街など、地上に何か建物などがすでにあって、その地下を掘り進めるという工事は、地盤調査をやるにもここでやるべしというポイントにボーリングを打つことができないということをおっしゃっていると思うんですけれども、この周辺環境条件というのは、そういうことで認識してよろしいでしょうか。
(→山本・道路局長)お答え申し上げます。周辺環境の条件により、ボーリングが実施できないという条件でございますが、ボーリング調査の実施にあたりましてはですね、調査機器を安全に設置するために、一定の面積が必要となります。また、その設置に要する期間も数ヶ月要する、また作業に伴いまして、騒音・振動が発生する可能性があるということを考慮する必要がございます。こうした点を踏まえましてですね、周辺の住環境への影響などを考慮することが必要となりますことから、公園などのですね、公有地を基本といたしまして、実施箇所を選定をしたという次第でございます。
◆堀川あきこ議員/はい、ありがとうございます。つまり、ジャストポイントにボーリングを打つことができない、地盤調査には限界があるということが否定できないというふうに思います。
資料7としてお示ししているものをご覧ください。日本トンネル技術協会の「シールド工事格言集」の中にある格言です。「ボーリング地点もシールド路線上のジャストポイントでない場合が多く、ボーリングした時期・季節・年代や方法によって、差異のある土質データが得られる場合もあり、必ずしも実態と合致しているものではないことを十分に認識しておく必要がある」というふうにあります。小泉委員長がおっしゃっていることと同様、それ以上の指摘です。技術者側からもこうした指摘があるということを申し上げておきたいというふうに思います。
もう一つお聞きしたいんですけれども、この外環工事で採用されました直径16mのシールドマシンを使用した、泥土圧シールド、こうした大口径の、直径の大きなシールドマシンでの、泥土圧式工法というのは、これまで実績はあるのでしょうか。鉄道や地下河川では実績がないということを確認しておりますが、道路ではいかがでしょうか。
(→山本・道路局長)お答え申し上げます。道路事業におきまして、この東京外環道路を除きましてですね、直径16mを超える泥土圧シールド工法で掘削を完了または現在掘削を実施しているトンネルはございません。
◆堀川あきこ議員/はい、「実績はない」ということでした。リニア新幹線も同様ですが、実績もない大口径のシールド工事を進めるからには、より詳細な地盤調査が必要だと思います。しかし、大深度地下は地上に家屋などがあってジャストポイントでボーリングはできない、ここに大深度地下法の解決し難い矛盾があるというふうに思います。大臣、このような大深度地下使用法に基づくシールド工事、まだ継続するべきだとお考えでしょうか。
(→中野・国土交通大臣)大深度地下使用法による使用認可というのは、「国民の権利保護に配慮しつつ、公益性を有する事業のために、地権者により通常使用されない空間である大深度地下を使用する権利を認める」というものでございます。委員ご指摘の、東京外郭環状道路の大深度地下空間につきまして、平成26年の3月26日付で使用認可を行ったところでございますが、ご指摘の陥没事故は、あくまで工事の施工に起因をするものであると考えておりまして、事業者の責任において、適切な対応を行うべきものと考えております。従いまして現在、大深度地下使用法に基づく使用認可の取消などの必要はないというふうに考えております。
◆堀川あきこ議員/「事業者に任せている」ということですが、国交省、認可をしているというふうなところで責任はあるというふうに思います。日本共産党は大深度地下法の廃止法案を参議院へと提出をしました。地上への影響はないという前提がこの東京の外環でもう破綻した今、やはり廃止すべきだと改めて申し上げたいというふうに思います。そして、この大深度地下工事で計画をされようとしている北陸新幹線の延伸計画について、地下水や自然環境に関しては、何かあってからでは遅いんですね。これについてもきっぱり中止すべきということを申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。
2024年12月18日【衆院・国土交通委】北陸新幹線延伸問題、大深度地下使用法問題について
(更新日:2024年12月18日)