陳情審査:小規模保育への支援、保育料の軽減を(2024年11月18日/文教はぐくみ委・子ども若者はぐくみ局・やまね)

陳情2342小規模保育事業における3歳以上児の受入れ等

陳情2343認可外保育施設における同時利用に係る二人目の保育料の軽減

陳情2344小規模保育事業における3歳以上児の受入れ等

*京都市の説明

(→金井塚・幼保総合支援室長)陳情第2342号から2344号までの、小規模保育事業所における3歳以上児の受け入れ等に関する陳情書、及び、認可外保育施設における同時利用にかかる2人目の保育料の軽減に関する陳情書について。

陳情項目の一つ目、小規模認可保育所七実の木保育園の3歳以上児の受け入れを認めることについて。小規模保育事業所は3歳未満児の受け入れを前提とした保育施設であり、3歳以上児の受け入れについては、都市部における待機児童対策、待機児童解消の取組として、国家戦略特別区域の認定を受けた自治体において試行的に取り組まれていたもの。本市においては、従来から平地での利用や医療的ケアが必要な児童等の特別な理由があり、施設型保育施設の利用が困難であると認められる場合には特例として小規模での3歳以上児の受け入れを行っている。

昨年4月21日付通知により、子ども家庭庁から「小規模の3歳以上児の受け入れを自治体判断で可能とする取り扱い」が示されたが、本市においては、小規模からの卒園時で引き続き保育利用を希望される方のうち97.5%の方が施設型保育施設に入園できていること、年度当初時点での待機児童ゼロを11年連続で達成していることから、小規模の3歳以上児の受け入れについては従来通りの取り扱いとしている。

また、昨今の少子化の進行により、全市的に保育利用児童が減少し、施設型保育施設においても定員割れをする施設が増加する中、小規模保育の3歳以上児の受け入れを認めることは、事実上保育の受け皿を拡大することになるため、需給バランスから考えても、現在の状況では慎重に取り扱うべきと考えている。保護者の中には引き続き小規模保育を利用したいという声もあるかと思うが、保育の需給バランスは施設単位ではなく地域単位で考えるものであり、特定の施設利用を認めるという運用は想定していない。小規模の卒園時については、連携施設への入所を希望される場合にはポイントを10加点するなど利用調整上も優先利用の対象としており、引き続き1人でも多くの方が希望される保育の利用につながるよう、丁寧な利用調整に努めてまいる。

陳情項目の二つ目、保育料無償化になっている認可外保育施設を、保育料の同時利用軽減の対象に加えることについて。現在0歳児~2歳児までの保育料については、国制度において、同一世帯から2人以上の子どもが認可保育園や認定子ども園、小規模保育事業所等の施設を同時に利用する場合は、同時利用2人目については1人目の半額、同時利用3人目以降については無料となっている。なお本市では、同時利用2人目について、国制度を大きく超えて軽減する「子どもはぐくみ応援額」を導入するなど、さらに保護者負担の軽減を図っている。

施設の同時利用に伴う保育料の軽減については、国において対象となる施設が定められていることから、本市独自に対象を拡大する予定はない。一方で、本来保育料については、自治体間で差を設けるべきではなく、全国一律の制度であることが望ましいと考えており、多子世帯の負担を軽減するため、国の責任において年齢制限、同時入所条件、所得制限を撤廃するなど、統一的な取り扱いのもと制度を再構築するとともに、地方公共団体の財政運営に支障をきたすことのないよう必要な財源措置を講じるよう、引き続き国へ要望をおこなってまいる。

*議員の質問

◆やまね/いくつかお聞きしたい。まずこれは昨年度の数字だが、京都市の保育事業で、市営保育所が13カ所、民営が209カ所、認定こども園が66カ所、小規模保育が124カ所、事業所内保育事業6カ所、家庭的保育事業1カ所の計419カ所。0歳~5歳まで、就学前児童数5万3078人、そのうち小規模保育が1414人ということだった。0歳~5歳までの就学前児童数、そのうち小規模保育の児童数は今年度どうなっているか。

(→金井塚・幼保総合支援室長)就学前児童数については、すいませんいわゆる2・3号の子どもという数字しか今手元に持ち合わせていない。そちらのほうが全体で2万8452人、これが(令和)6年4月1日現在の数字。その上で、地域型と言われてる小規模保育施設、現在120カ所だが、こちらのほうが1407名ということ。

◆やまね/そうすると小規模保育では120ヵ所で1407名ほどですかね。そしたら1400名ほどということで昨年度とだいたい同じぐらいなのかなと思ったが、改めて京都市の保育事業の中でも大事な役割果たしていただいている。

私ども小規模保育を運営されている方々にも昨年度からお話をうかがってきたが、小規模保育で働いておられる方の中には、「元々施設型保育所、大きな保育所で保育士として働いていたが、自分の思うような保育がなかなかできなかった」「より一人一人に丁寧に寄り添う保育がしたいということで小規模保育立ち上げた」という方もおられたり、もちろん施設型の保育でも本当に多くのみなさん頑張っていただいていると思うが、この間で言うと京都市の人件費補助金の削減のもとで運営や現場が大変厳しい状況にも置かれてると思うし、たくさんの子どもさんを受け入れていただいてる中でのご苦労なんかもやはりあると思う。

陳情文書には「少人数できめ細やかな保育が受けられる」「年齢が異なる人に対する接し方や多様性を尊重」と小規模保育ならではの良さについても触れられ、そして「全国の保育実践の中でも幼児の小集団の保育は見直されてきている」「幼児を養育するには大きな集団が必要とされてきたこれまでの常識も、幼児といえど小規模の中でしっかり育っていくと変わりつつある」ともある。この小規模保育の意義・特長、この点についてはどのように認識されているか。

(→金井塚・幼保総合支援室長)小規模保育の意義について。小規模保育といっても、今ご紹介いただいたように、異年齢保育と言われているような、幼児で歳児別に保育を行うということは、施設型の保育所でも当然取り組まれているところある。また、現在、保育の観点で言うと、いわゆる一人一人の子どもの個性に寄り添った丁寧な保育ということで各保育所、施設型さんにおいてもそれは実践されていることだと思う。今議員ご指摘の物理的な意味も含めての小規模ということなのかなというふうにはご理解させていただいたが、やはり元々この通知が出された背景において、待機児童対策というものも背景にあったかと思うが、その中でも国のFAQの中で、やはり「3歳児以降は子どもの人数の多い集団の生活の中で育つことが発達段階とし重要」ということで、「小規模保育事業所の対象は原則として3歳児未満」ということでFAQの中にも記載されているところなので、我々としてはこのような取扱いに沿って、3歳以上児の受入れは特例的なものとして取扱うというふうな考え方。

◆やまね/昨年度の議論の中では、例えば「小規模保育の一番の特徴はお子さんの人数が最大でも19名ということもあるので施設型の保育園ではなかなか難しい家庭的保育が可能ではないかと思う」「子どもにあった保育を行うためには子どもの数が減ってもその点について小規模保育の存在意義が薄れることはない」と答弁があるが、この認識は一緒ですよね。

(→金井塚・幼保総合支援室長)いまご指摘いただいた点については、いわゆる小規模保育が元々、いわゆる乳児、原則0~2歳児を対象として認可を受けてる施設ということなので、今ご指摘の点については変更はない。

◆やまね/先ほどちょっと「施設型でもやってる」というふうなお答えあったが、小規模保育が持つそういう役割は当然認識されてるということだと思う。

これも小規模保育関係者の方にうかがったお話の中で、「子どもたちだけでなく保護者とも距離が近い関係を築ける」ということであるとか、「日頃から相談にのることも多くて卒園後も相談に来る人も多数います」という話もあった。同時に陳情文書であるように「再保活問題」、「3歳で卒所する際、次の保育園を見つける大変さ」や、「集団が一定できてる施設型保育園に3歳から転入するのには子どもに大きなストレスになる」ということも述べられており、その中で「ぜひ継続的な保育を」という要望に応えて「3歳以上児を受け入れる認可外保育施設を開園」され頑張っておられる。

それで二点、改めてお聞きしたいが、先ほども国の制度の問題もおっしゃっていたが、この小規模保育事業の3歳以上児の受入れについて市の考えを改めてご説明いただきたいのと、政令市の他の都市ではどういう状況になってるのか。今答えるのが難しければ資料提出でいただけないか。もう一つが、他都市ではこの3歳の再保活の時に、再度の保活は負担が重いので優先的に保育園への入園利用を確保する先行利用調整を行っている自治体もあるが、やはり京都市でもそういうことができないのかどうか。改めてお考えをお聞きしたい。

(→金井塚・幼保総合支援室長)すいません先ほど異年齢保育のこと申し上げたが、あくまで3歳児以上の、主に民間保育園に取り組まれているのは3歳以上の幼児のこと前提のお話だったので、乳児について申し上げたつもりがなかったので訂正させていただく。

それから市の考え方、先ほど申し上げた通りで、いわゆる従来から僻地での利用あるいは医療的ケア必要な児童等、特別な理由がある児童については、施設型保育施設の利用が困難であると認める場合には特例として小規模での3歳児以上児の受入れを認めている、これが市の考え方。それから他の政令市だが、私どもが把握しているもので言うと、元々国家戦略特別区域の認定を受けていた堺市を除いて政令市において実施されてるところは把握してない状況。

それから優先利用ということで、小規模の利用調整にかかるポイントについてのご指摘かと思うが、これも先ほどご説明させていただきました通り、連携施設への入所希望される場合にはポイントを10点加点するということも含めて現在97.4%の方がいわゆる施設型保育施設への移行はできているということなので、基本的には希望される方がほぼ移行できているのかなというふうな認識。

◆やまね/最後に言っていただいた97.4%という数字だが、これは希望される方の97.4%ということでしたかね。昨年度1414名、今年度1400何名かのお話あったが、この1400名ほどの方のうちだとどれぐらいになるのかは分かるか。

(→金井塚・幼保総合支援室長)97.4%というのは、引き続き保育利用を希望された方の内訳で、その他に元々卒園の段階で、施設型保育施設ではなくて幼稚園を希望される方、こういった方もおられるので、こちらの方については除いた数字になっているもの。

◆やまね/それ以外の方は全て幼稚園を希望されている方という理解でいいのか。

(→金井塚・幼保総合支援室長)全てが幼稚園かというのはちょっと把握できてないが、少なくとも利用調整が必要な保育の希望ではないということ。

◆やまね/先ほどもう一つ「定員割れ」のお話もあった。「受け皿を拡大することになるので慎重にやらないといけないんだ」とのお話あったが、人数の関係で言うと、何万人とおられる中での小規模保育で言えば1400名ほど。だから箇所数は120ほどあったとしても、そこまで大きな影響を与えてしまうということになるのか。3歳児以上を受け入れることによって定員割れの関係でものすごい大きな影響が出てしまうということなのか。この辺りもう一度認識をお聞きしたい。

(→金井塚・幼保総合支援室長)今現在、小規模の保育事業所に保護者の希望とかで受入れている状況ではないので、それがどういった形で、定員枠の拡大につながってくるのかは正確に把握できていないが、例えば今例外で認めてる医療的ケア児等については、令和6年4月時点で市内6施設で21人を受け入れてるというような状況。

◆やまね/そしたらちょっと政令市の状況、調べていただいて資料としてまとめていただきたい。3歳児以上の受入れについて。後ほどお諮りいただきたいと思う。

それから無償化、同時利用の方の負担軽減のお話だが、2019年10月1日から国の幼児教育・保育の無償化が始まって、認可外保育施設も無償化の対象となったわけだが、今その領収書とか申請書を申請した上で月額3万7000円補助が受けられるということでお聞きしてるが、やはり京都市が立入調査も入って国が定める基準を満たしてそういう無償化されてると思うので、そういう保育料が無償となってる施設に通う子どもたちは、認可保育施設に通う子どもたちと同じように、やはり第二子以降の保育所同時利用の負担軽減の対象とすべきではないのか。この点も改めてそうすべきじゃないかと思うが、お考えはいかがか。

(→金井塚・幼保総合支援室長)今ご指摘いただいたのは多子世帯の負担軽減という観点と保育料の無償化の対象ということが一致させるべきではないかというご指摘かと思う。現在、基本的に多子世帯の軽減については、国の制度に準じて我々も上乗せして取り組んでいるところだが、基本的に保育施設の保育料無償化の対象施設等、多子軽減の対象施設が、異なるものが国において定められているのが前提で、同等の支援が受けられるということが前提ではないのかなと思っている。

ただ少なくとも保育料に関して言うと、基本的に自治体それぞれで様々な取組はご存知のように取り組まれてる状況だが、やはり自治体によって大きく異なるというのは好ましいことではないのかなということなので、我々としても国に対して指定都市市長会や本市独自の予算要望の中でそういった保育料の負担軽減あるいは子育て世帯の軽減については問題点というか課題と感じてる部分については要望していきたいというふうに考えている。

◆やまね/その点で「国に要望」という話があり、先ほどのご説明の中では「自治体間で差を設けることになるので国で統一的に」という話があったかと思うが、これは自治体によってはやっておられるところもあるということなのか。これももし政令市の状況が分かれば教えてほしい。

(→金井塚・幼保総合支援室長)すいません政令市のこちらの状況については把握してないので確認してまた報告させていただく。

◆やまね/そしたらこれも後で資料要求しておきたいと思う。陳情書の訴えにもあるように、やはり「負担軽減がないために他の園に転園した事例もある」ということで、「子どもはぐくみ応援額と名付けられているこの支援が、やはり認可外保育施設の子どもたちにも届くように制度の見直しを」という点は、私たちも求めておきたい。他都市事例については資料要求しておきたい。

それからちょっと確認しておきたいが、この陳情文書では「同じ認可外の施設でも企業主導型の保育事業所と比べて扱いに格差がある」ということも訴えておられる。同じ認可外施設で無償化の対象園であっても企業主導型の場合は2人目以降の減額対象となっていることと、それから企業主導型では処遇改善費も出ているが、この陳情者の方の保育園には下りてこず「園の努力や職員の福祉の精神で」奮闘されているということだが、この理由というか、これも国の制度でそうなっているということなのか、この点もちょっと教えていただけるか。

(→金井塚・幼保総合支援室長)企業主導型保育事業だけが多子世帯軽減の対象になっているご指摘。企業主導型保育事業については、多様な就労形態に対応する保育サービスの拡大を行い、また、保育所待機児童の解消を図り、仕事と子育ての両立に資することを目的とした国の直轄事業として、平成28年度から開始されたもの。法的には認可外保育施設という位置付けだが、いわゆる認可事業、小規模保育事業のB型と同様の設備・人員基準を満たすことを要件として施設の整備費用、あるいは今ご紹介いただいた運営費用に対する助成等が行われている点で、その他の認可外保育施設とはやや位置付けが異なる側面があるのかなと思っている。また、外している理由については、国においてそれを定めているということが我々の把握している状況。

◆やまねそしたらやはり国の制度上今そうなってるということで、京都市独自では今されてないっていうことになりますよね。なので本当にそこで働いておられる方や子どもさん、保護者のことを考えれば、やはり安心できるものにぜひしていっていただきたいなということを思うわけだが、これも自治体間の格差の話であるとか、コストがかかるという理由で、京都市独自ではされてないということなのか。

(→金井塚・幼保総合支援室長)個別具体的に上乗せ制度というのは、今ご指摘いただいた通りで多種多様であるし、やろうと思えば国と違う部分っていうのはいくらでも上乗せしてる自治体があるってことはあると思うが、少なくとも現時点においてここの部分について行うということは今現時点では考えていないということで、実施しないという状況。

◆やまねこの点もちょっと資料請求三つ目になるが、この企業主導型保育事業所と比べての扱いで処遇改善費であるとか、2人目以降の減額対象の問題で、政令市で独自で実施しているところがあれば資料にまとめていただきたい。資料請求しておきたいと思う。

最後になるが、これ昨年度も取り上げたことだが、やはり小規模保育関係者のみなさんからは、他都市では多くが認可保育園の保育士さんと同じように、例えば宿舎の借り上げ事業も補助対象になっているというお話もあり「子育てしやすい京都市を作るならぜひこうした点も改善してほしい」という要望も私ども昨年度からいただいてきた。今回陳情いただいてる方は、やはり小規模保育事業の中で3歳のところまでにとどまらずに0~5歳までの保育の継続性を大切にされて努力されているわけなので、やはりこうしたみなさんが安心して継続していけるように、ぜひ京都市としても支援を考えていっていただきたい。保護者にとっても保育士さんにとっても安心できる環境を作ることが子どもたちの安心できる環境につながっていくと思うので、その点を要望して終わる。

*その後提出された資料➡政令市における小規模保育3歳以上児の受入状況等

(更新日:2024年11月18日)