市営住宅を営利企業の儲けのために差し出すのはやめるべき(2024年10月10日/決算特別委・都市計画局・やまね)

◆やまね/昨年度から始まった「市営住宅の空き住戸を活用した若者・子育て世帯定住促進事業」についてお聞きしたい。若い方が市営住宅にお住まいいただくのは私たちも大事だと思っているが、そのやり方についてはチェックをしていかないといけない。

2つのスキーム「目的外使用許可」と「用途廃止」で行われていると思う。まず、民間企業による「目的外使用」の部分について。令和5年度、決算年度で聞く。活用対象となったのが、いわゆる「こと×こと」、それから「ニュータウン活性化に向けた市営住宅の空き住戸活用事業」で合計202戸。事業者ごとの活用対象戸数を見ると、株式会社ライフ住宅販売5戸、株式会社フラットエージェンシー9戸、有限会社万殿(まんどの)建設83戸、株式会社グッドライフ15戸、京都パナホーム株式会社5戸、株式会社ガーネット10戸、株式会社長栄65戸、株式会社都ハウジング5戸、三協株式会社5戸となっている。実際に募集・入居まで至ったのはこれより少ないと思うが、これらの事業者が、「令和5年度分として京都市に支払った使用料の総額、令和5年度分で収入した家賃総額」はそれぞれいくらか。事業者ごとにお答えを。

(→田中・住宅室長)すいません、市営住宅の空き住戸活用した、若者子育て世帯向けの市営住宅の活用。先生今ちょっとご質問いただいた、我々の「こと×こと」という形で呼んでるが、事業者ごとの内訳についてはちょっと今すいません、手元にないが、第1期と第2期、昨年度令和5年度で、第1期と第2期それぞれ分けて合計で75戸の活用を進めており、第1期の分で申し上げると31戸、第2期で25戸活用、入居を既にしていただいている。第1期分で申し上げると家賃収入の総額で1260万ほど、それから使用料の収入で約70万ほど。それから第2期部分の合計で言うと、家賃収入のほうが546万ほど、使用料収入のほうが48万ほどという形になっており、56戸あるが、1戸あたりで家賃収入のほうが大体約32万3000円、それから使用料収入のほうが約2万1000円というような形。

◆やまね/これまでのお話を聞いていると「事業者の家賃収入と使用料の差額がそのまま儲けになるわけではなく、改修費用にも充てられるので」とも。それでは、それぞれの企業が、それぞれの部屋をいくらかけて改修したのか、京都市は把握しているかどうか。それから、もし把握しているなら資料として提出はできるか。

(→田中・住宅室長)それぞれの事業者さんのほうで、お部屋のほうを改修をしていただいている。その施工費用については、それぞれ個別の事業者が負担してる改修費用については、やはり事業者さんそれぞれの技術、それから営業上のノウハウという形になるので、こちらの部分についてはやはり情報公開条例上も、第7条によって、法人等に関する情報ということで、非公開というような形にはさせていただきたいという考え。

◆やまね/京都市は把握しているか。

(→田中・住宅室長)はい、把握のほうはさしていただいている。

◆やまね/民間事業者に委ねるとそういうことになるということだと思う。民間企業の事業であってもやはり公有財産を使うものであり、その中身が市民から見て不透明であってはいけないと思っている。我々の議員団要求資料では「市営住宅の改修にかかる費用」は「1戸当たりの最高額約306万円、最低額約30万円、平均約124万円」と出ている。今回の事業は「整備に多額の費用を要するため公営住宅としての活用が困難な住戸を対象」と聞いている。だとすれば、民間事業者による改修費は明らかにできなくても、仮に京都市が通常改修した場合にいくらかかるかは分かるのではないか。ということで、「若者・子育て世帯定住促進事業の対象住戸を京都市が改修した場合の費用概算」について、資料提出を求めたい。委員長、後ほど、最後、お諮りいただきたい。

もう一つのスキームについてお聞きする。「市営住宅としての用途を廃止し、普通財産として貸出」「公社賃貸住宅」ということで二条市営住宅で3つやられていると思うが、これもこの事業で住宅供給公社が令和5年度分として払った使用料総額と家賃収入の総額はいくらか。また、この事業でかかった改修費用は明らかにできるか。

(→田中・住宅室長)まず二条市営住宅のほうで、いま住宅供給公社のほうが、同じような形で若者子育て世帯向けに住宅のほうを供給をしていただいている。こちらについては、二条市営住宅の元々の土地区画整理事業に伴い、従前居住者用の住宅として役割を終えた空き住戸について、京都市のほうで用途廃止をして、住宅供給公社のほうに貸付けをして、今一括でそういう形で活用していただいてるというようなもの。その住宅供給公社の活用の部分だが3戸ある。ちょっと総額のほうが今ちょっと手元のほうにないが、月額の家賃収入で言うと、一つの住戸でいくと8万5000円。それから2DKのお部屋が8万5000円、3LDKのお部屋が9万5000円、月額だが。同じく3LDKもう一つのお部屋9万5000円が月額の家賃収入。一方で、住宅供給公社のほうが、使用料として払っていただいてるのは大体1万1000円~1万5000円ぐらいの金額という形になっている。

◆やまね/この事業でかかった改修費用は明らかにできるか。

(→田中・住宅室長)かかった費用については、こちらについても、住宅供給公社については、地方の住宅供給公社法に基づいて適用されているというものだが、他の民間事業者と同様に、公社のほうで独自事業として収益事業をしていただいてるというものなので、こちらについても先ほどと同様に、企業の法人等に関する情報という形で非公開という形にさせていただきたいと思う。

◆やまね/ちょっとよく分かんないんですよね。京都市住宅供給公社といったら京都市の外郭団体でしょ。なぜ改修費用が明らかにできないんですか。本当に全く納得できない答弁。先ほど家賃の収入にしても使用料の総額にしても私事前にお伝えしてますよ。それはね、きちっとお答えいただけなかったら非常に不誠実だと言わなければならない。

そもそも市営住宅をわざわざ「用途廃止」して、それを住宅供給公社が営利企業と同じような家賃で貸す。用途廃止しているのになぜ市がやるのかと思う。結局、京都市と住宅供給公社が市営住宅を使って金儲けしてるだけではないかと映ってもしかたがない。市が、あるいは公社がやるのであれば、これはきちっと市営住宅として安い値段で貸し出すべきだ。用途廃止するなら何のための市営住宅かということになる。公共性の高い市営住宅を営利企業の手に委ねていくだけでなく、市自身・公社自身が用途廃止して金儲けのために使うというのは大変問題ではないかと指摘しておきたい。

「住まいは人権」と言われる。低廉な家賃で住まいを保障する市営住宅の役割は大きいが、この間行われた「家賃減免制度の見直し」が低所得の方の暮らしを直撃。令和5年度の減免世帯数と減免額合計を見ると4452世帯で約6億3000万円にのぼる。見直し前の令和3年度と比べれば3億2000万円以上の負担増ということになる。一方で京都市の単年度収支は22年度77億円の黒字、23年度には88億円の黒字ということで、巨額の黒字を作りながら、生活に困窮されている方々への負担増を億単位で強いるというのは住宅行政の責任を全く果たしていないと言わざるをえない。改めて「家賃減免制度の見直し」は撤回を我々は求めておきたい。

最後になるが、団地再生事業で管理戸数を大幅に減らそうとしていることも大変重大。一点だけお聞きしたい。桃陵市営住宅で入居募集を停止したのはいつか。

(→谷本・住宅事業担当部長)現在、団地再生事業のほうを進めている桃陵市営住宅の募集・公募の停止の時期について。桃陵市営住宅の住棟のうち、昭和30年代に建設した住棟については、平成20年4月から公募停止している。

◆やまね/かなり前から停止している。「いまお住まいの方々の住戸を踏まえたうえで整備する」「団地再生事業も建替えも」おっしゃるが、京都市が自ら募集を停止して、その結果どんどん住民の数が減ってきたわけで、これは自然現象ではない。やはり便利な場所にきちっと市営住宅を確保して、管理戸数を維持していく、増やしていく、こういう施策が必要であることを指摘して終わる。

◎委員長/先ほどやまね委員から要求のあった若者子育て世帯対象の市営住宅改修を市が行った場合の概算費用の資料について、理事者提出できるか。

(→田中・住宅室長)空き家整備の部屋の状況、概算額については把握しているが、そのスペック等については、我々のほう分かりかねるので、資料については直接本市のほうで整備した費用については積算は困難。資料のほうは提出できないものと考えている。

◎委員長/理事者提出できないということだが、やまね委員どうされるか。

◆やまね/個人資料で相談させていただく。

2024年10月10日【決算特別委】都市計画局/市営住宅を民間企業の儲けのために差し出すのはやめるべき

(更新日:2024年10月10日)