公共施設の充実、市立芸大の学費負担軽減を(2024年10月9日/決算特別委・文化市民局・やまね)

ウィングス京都はジェンダー平等の拠点施設として機能充実・体制強化を

◆やまね/私からは文化市民局に関わる公共施設についてお聞きしたい。公共施設のマネジメントについて、今回「行財政改革計画2021-2025の総括」の中で、「市民サービスの維持・向上の観点から、公共施設の総量に対して削減目標を定めることが適切であるか、維持管理経費の低減手法について検討が必要」とされた。これまで言われていた「公共施設の総量・延床面積を令和14年度を目途に7万㎡削減する」としていたところからは、ある意味、転換されたような表現。こうした評価に至った理由は何か。この間の公共施設の統廃合や削減で市民サービスが後退したという認識なのか。市民から意見があったのか。文化市民局の認識は。

(→津嶋・くらし安全推進部長)行財政改革計画の中で、公共施設の保有量削減、7万㎡から4万㎡に、10年間で削減するということで元々打ち出してたという認識の中で、市全体として取組を進めてきたところ。今回、先日、行財政局のほうから報告があった通り、行財政改革が一定早い進捗を見ているということで、状況が変化してきているということで、元々はやはり建替えとか改修含めてかなり高額な予算が集中的に必要になるという中で、こういった形で行財政改革計画の中で数字を示して取り組んできたという認識の中で、一定先ほど言ったように進んできたということで、今回行財政局のほうで、まずは数字を見直し、数字を維持するかもうなくすかというようなことも検討されるというふうに聞いている。今回そういった意味で言うと、まずは改革の進捗の中でそういう判断がされたというふうに文化市民局としても認識しているところ。

◆やまね/なるほど。そうすると「公共施設の総量に対して削減目標を定めることが適切であるか」「検討が必要」ということだが、いま削減された面積の話も言っていただいたが、ということは「令和14年度を目途に7万㎡削減」という目標自身は白紙になっているという理解でいいのか。それから総括文書p21「個別具体的な総量縮減の取組」ということで「継続してあり方を検討している施設」として「男女共同参画センター」が出てくるが、このあり方検討についても一旦立ち止まる、何か変化があるということなのか。この点はいかがか。

(→津嶋・くらし安全推進部長)この前の行財政局の報告もあったように、一旦、この総量に対しては削減目標を定めることが適切であるかどうかというのを、について検討が必要であるということで、文化市民局としてもその部分は同じ考え。あと今、男女共同参画センターのお話あったが、この間、行財政改革計画の中で、まず本市施設を保有する場合、あるいはサービスを維持する場合でも、不断の見直し・検討をするということの中で、文化市民局においても、例えばだが、ウィングス京都はじめ、京都コンサートホールとか、西京極総合運動公園なんかも「在り方検討」ということで、廃止等前提、面積縮減・削減の前提ではないが、そういった部分であらゆる視点から検討を進めてきているということなので、まだその部分で言うと、ウィングス京都についても、引き続き「在り方検討」については続けていくと認識している。

◆やまね/ウィングス京都については「在り方検討を引き続き続けていく」ということだったが、いま「保有する場合でもあり方は検討してきた」というお答えあったが、しかしこのウィングス京都については「存廃を含めあり方を検討する」ということになっているので、私は非常に、そういう位置付けでいいんだろうかということを思っている。

女性支援新法「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」が今年4月に施行されたもとで、男女共同参画センター(ウィングス京都)の役割は今後より一層強まる、強めるべきではないか。その専門性・公益性の発揮、それから男女共同参画、ジェンダー平等のまさに拠点施設としての役割が一層求められていると思う。そこでお聞きしたい。京都市が男女共同参画センターを「存廃を含め在り方を検討する施設」の中に入れていることは、他都市から見て、あるいは世界から見て、京都市がジェンダー平等に熱心でない都市と映るのではないかと危惧しているが、この点お考えお聞かせいただきたい。それから「存廃を含めた在り方検討」はやめて、存続を前提に「機能充実・体制強化」という方向で在り方を検討すべきじゃないかと思うがいかがか。

(→工藤・共生社会推進室長)ウィングス京都のあり方について。こちらの施設については、「施設保有量の最適化方針」において、「他施設との連携強化や機会の融合等を検討する」として、公共施設が提供するサービスの前提となる社会環境、社会構造等の変化も踏まえ、「施設の魅力向上につながるよう有効活用の可能性も含め在り方を検討する」こととしている。ということで、そのような観点で検討を進めており、従来から存続・廃止、この二者択一での検討は進めていない。さらに、今年度、来年度にかけ、「老朽化対策」として予算も計上いただいてるところ。現在、「サウンディング型市場調査」、これ令和4年度だが、ご提案いただいた内容であるとか、昨今の社会環境等の変化を踏まえ、引き続き、施設の魅力向上や男女共同参画、女性活躍にかかる機能の充実に向けて、検討を進めてまいる所存。

◆やまね/いま「他施設との融合」とか「施設の魅力向上」という話が出たが、行財政改革計画の文書の中では、「資産価値」という話が出ている。結局、経済的にどう儲かるかという視点での話も入っている。それは非常に問題であって、いまサウンディング型市場調査の話も述べられたが、そこでどういう提案が出されているかといえば、京都市自身が事例として示したのが「オフィス」「飲食店」「学習塾」。これがなぜウィングス京都の魅力向上につながるのか、さっぱり分からない提案をしている。

公共施設の総量縮減の立場を転換したのであれば、計画策定時に示された「存廃も含めてあり方を検討する」ことはやめるべき。代表質問では「外部有識者の声も聴いて」との市長答弁あったかと思うが、このウィングス京都については、すでに男女共同参画審議会で専門家の先生方から、京都市による企業へのサウンディング調査については厳しい意見が出されているので、この声こそ受け止めるべき。そして市民・利用者の声こそ聞くべきだと申し上げておく。

公共施設の民間丸投げを改め、市の責任で管理・運営を

◆やまね/次に、公共施設の民間委託や市が予算を減らす中でどういう問題が起こっているかについても聞いておきたい。いま指定管理となっている施設が多数あるが、人件費をはじめ物価高騰もある中で、委託費が横ばい・低下すれば、指定管理者の側は必然的にサービスの質を落とさざるをえなくなったり、人件費を削減し体制を弱めることになってしまうのではないか。例えば、文化会館の委託料は、料金改定前と料金改定後でどう変わっているか。総額でけっこうなので、低下しているのではないかと思うが、その影響が出てないのかどうか、まずお答えいただきたい。

(→平賀・文化芸術都市推進室長)文化会館、指定管理施設として運営をしている。令和5年度から利用料金、これは全市的な見直し方針の中で改定をさせていただいている。基本的にはその増収を見込むということなので、指定管理料は見合いの分削減するという大きな方針の中で予算編成をさせていただいた。令和4年度の文化会館にかかる指定管理料は2億4546万4000円。令和5年度は使用料の収入増が指定管理者において見込まれたので714万円減少させ2億3832万4000円。実績は使用料収入の増加は、その指定管理料の減額を超えて上がっているので、この分にかかる影響は生じていないということかと考えている。

料金改定後の令和6年度が2億3446万円。ホールの使用は半年前から予約可能になっているので令和5年度は改定前と改定後の料金が混在しているので、段階的な減になっている。料金改定によって指定管理者の収入は増えているし、電気料金の高騰などにも対応はしているので、委託料が減ったからといってイコール指定管理者が大変なわけではない。

◆やまね/委託料の減額部分での影響は生じてないというお話だが、京都市内の文化会館で働く方から寄せられた声を紹介したい。「ある職員は勤務日数が50日ほど減らされた。減った分は当然給与にも反映してくる」「減った分は残った職員が負うことになり、これまでの技術のクオリティが確保できない」「地域の文化会館で公演などを経験した人がロームシアターなどでも公演するようになる」「文化のすそ野を広げるうえで地域の文化会館は重要」「文化施設を採算性やお金で判断されるのは間違っている」、こういう訴え、これが現場の声。こういう声もあるわけだから、改めて現場で本当に質が低下していないのか、体制が弱まっていないのか、きっちり見ておく必要があるんじゃないか。

もう一つ、スポーツ施設の問題についても聞いておきたい。伏見区の横大路運動公園について、市民の方から声が寄せられている。「古くなった遊具がずっと放置されている。あまりにもったいない。こんな状態でどこが子育て先進都市なのか?」と大変厳しいお声。先日、実際に現場を見たが確かにひどい状況。体育館の南側にある遊具が設置しているスペース。滑り台もブランコも雲梯もアスレチック遊具も全て「危険・使用禁止」の表示があり使えなくなっている。横大路運動公園については、2016年の市議会でもかなり議論になった。日常管理のひどさや体育館の機器類の古さ、当時トレーニング室にあったランニングマシーンはカセットテープを入れるタイプのもので、いつの時代のものだということで問題となり、自民党から共産党まで一致して「京都市としてスポーツ施設の日常管理の予算を増やさなければダメだ」と議論した経過もある。その時から改善を求めていた屋外の老朽化したトイレは、その後、撤去も新設もされないまま、現在はシートで覆われ「封鎖中」となっている。

そこでお聞きしたいのは、スポーツ施設・運動公園の関係は13区分に分けて指定管理されている。これも料金改定前と改定後で委託費はどうなっているかお聞きしたい。それから、指定管理の場合でも「1件100万円を超える修繕」「建替えを含む大規模修繕」は京都市負担のはずだが、この横大路の遊具更新の責任は京都市にあるのか指定管理者にあるのかどちらか。私は市の責任でしっかり改善すべきではないかと思うが、この点はいかがか。

(→山口・市民スポーツ振興室長)まずは前者のスポーツ施設の指定管理料、こちらについて答弁させてもらう。指定管理者、全13区分あり、前期の管理区分だった令和4年度予算だが、指定管理全体で年額約5億1000万だった。そして今期の管理区分である令和5年度からは、全庁的な受益者負担の適正化などがあり、野球場の利用料の改定などを反映し年間約4億1000万円となっている。1億が減額ということ。

そして第2問目のご質問。横大路運動公園の児童公園エリアの遊具の更新について、指定管理者と京都市との役割分担についてのご質問。今回は設備の更新ということで、指定管理者ではなく本市の負担というふうに我々は認識をしている。そしてこの遊具だが、一部ブランコ、そして鉄棒については利用可能となっているが、その他の遊具については、現在使用禁止というふうになっている次第。本市の財政状況等調整をしながら、国への補助の要望、そして財政当局への予算要求など、財政の確保に努め、我々は可能な限り早期に遊具の更新に取り組んでまいりたい、このように考えている。

◆やまね/横大路の問題については、「本市の負担」であって、「可能な限り早く更新したい」という思いは持っておられるというのは分かったので、ぜひがんばっていただきたいと重ねて求めておきたい。やはり一昨年度は77億円の黒字、昨年度は88億円の黒字、そういう黒字をつくっておいて、市民・住民のみなさんに一番身近な公園がほったらかしというのは説明がつかない。横大路運動公園のすぐ隣はクリーンセンター。「さすてな京都」は小さな子どもを連れて行けると喜んでおられる方も多い施設。せっかくなので運動公園の遊具も更新されれば、合わせて利用していただけるようになると思うので、ぜひ市の責任で改善していただきたい。

市立芸大の教学環境向上、学費負担の軽減を

◆やまね/最後にもう一つだけ、京都市立芸術大学について。食堂の早期オープンや購買部の設置、屋外グラウンドの確保など、引き続き教学環境改善を求める。合わせて、学費負担の軽減にも取り組むべき。東京大学などで学費値上げが発表され大問題となっているが、市立芸大では学費値上げをしないよう求めたい。来年度以降についてはもう決まっているのか。いかがか。

(→吉岡・担当部長)京都芸大での学費の検討状況。現在、大学では学費の値上げ等々については検討されていないと聞いている。

◆やまね/「現在検討されていない」ということなので、値上げはぜひやめていただきたい。

市立芸大の入学金は28万2000円(市外出身者は48万2000円)、年間授業料は53万5800円。令和5年度は入学金収入が1億3337万円、授業料収入が5億5371万円。つまり約7億円弱の新たな負担があれば、学費無償化ができるということになる。公立大学が率先して無償化に取り組みながら、国に高等教育無償化を求めていくのは非常に重要。私はせめて1億3000万円ほどでできる入学金の廃止はすぐにでも取り組むべきではないか。学費軽減に取り組んでこそ、文化芸術、若手アーティストの育成に京都市は本気だと、本気で力を入れている都市だという姿を見せることもできるのではないかという点を指摘し、求めて、終わりたい。

2024年10月9日【決算特別委】文化市民局/公共施設の充実、市立芸大の学費負担軽減を

(更新日:2024年10月09日)