学校での熱中症対策と学校施設の断熱化を(2024年8月21日/文教はぐくみ委・教育委員会・やまね)

◆やまね/今年も猛暑日が続き、学校現場では大変苦労されていると思う。昨年度の当委員会で熱中症対策について議論させていただき、その時に「日傘や首回りを冷やすグッズや日焼け止めクリーム等が認められていない学校もある」との保護者の声があることを紹介し改善を求めた。その時の答弁は「条件に応じては認めている」「最終的には学校長の判断。一律に推奨するとか禁止することではない」「通知への記載も含め周知方法は検討したい」とのことだった。今年度は5月13日付で「熱中症事故等の防止について」という通知を出されているが、昨年度の議論はどういった形で反映いただいているか。

(→加藤・体育健康教育室担当部長)熱中症に関する学校への通知、今年度どのように記載をしたか。いま議員おっしゃっていただいたように5月13日付で学校・園に対しては熱中症の注意喚起に関する通知をしている。今回、国の通知等も参考にし、より具体的な記述を増やす形にしている。ご指摘いただいた暑さ対策のグッズについても「帽子・日傘・ネッククーラー等首回りを冷やすもの」と具体的にあげ、「子どもたちの安全と健康を第一に、ルールの確認をした上で、各校の状況・実情に応じて判断すること」、また、「持参する飲料水等についても、各校の判断により、スポーツドリンク等を認めるなど柔軟に対応すること」ということを記載している。一律に推奨・禁止ではなく、各校園の判断でということで今回通知をさせていただいている。

◆やまね/ありがとうございます。いまお答えいただいたように、柔軟に対応できるような中身になっているかと思う。そこで資料でぜひいただきたい。京都市立学校における熱中症の発生件数や内容(屋外か屋内か、授業・課外活動・部活動・登下校時など)が分かるような資料を、今年度も含め過去5年間ほどのデータをまとめていただきたい。

(→加藤・体育健康教育室担当部長)本市立学校・園で発生してる熱中症の発生件数。我々で把握しているのは、学校活動下で子どもたちが体調不良になって「医療機関で熱中症と診断された」と、各校園から報告があったものということで把握しているので、過去5年分について提出させていただきたい。

◆やまね/よろしくお願いする。そして熱中症対策を考えた場合、教室でのエアコン使用と光熱水費の問題。やはり燃料費の高騰などもあり非常に大変な状況かとは思うが、教育委員会のこの間の通知には「各校園においては、引き続き、環境にやさしい学校づくりの観点から水道・電気量等の使用量の節減に取り組んでいただきますが、児童生徒及び教職員の健康管理を最優先に考えたうえでの光熱水費の増額分への追加配分については、燃料費等の価格変動の状況等も踏まえ、必要な場合には検討してまいります」とある。そこで、これもぜひ資料でいただけないか。①学校の電気代は過去5年間どのように推移しているか。②過去5年間に光熱水費として追加配分された額があれば、これについても分かるようにしていただきたい。

(→有澤・総務部担当部長)過去5年間の光熱水費の状況について資料として提出させていただく。

◆やまね/よろしくお願いする。それから通知の中で書かれているように、家から持ってきたお茶やスポーツドリンクを飲み干してしまうことも考えられる。その場合の対応として「水道水の飲用や冷水器の利用などを児童生徒に周知」とあるが、実際には冷水器のない学校もあるのでは。各学校に冷水器を設置するとか、あるいは、冷たいお茶をつくっておいて何かあった時には飲めるようにしておくとか、こういう対応が考えられないのかどうか。

(→加藤・体育健康教育室担当部長)学校における水分補給のあり方ということかと思う。冷水機については現在、全て設置状況を把握してるわけではないが、中学校ではおよそ設置されていると思っているが、小学校においてはちょっと設置率としては低いかなとは認識はしている。水道水についても衛生管理はおこなっているので、基本的には飲料にはできるものというふうに考えている。冷たいものというところの熱中症対策としては有効という話もある。一律にこの冷水機を設置することは、夏期限定の必要性であるとか、小学生だとなかなか発達段階で衛生的に飲用できるのか様々な課題もあるので、どういった形が子どもたちの夏期の熱中症対策としての水分補給に有効なのかは引き続き考えていきたいとは思っている。

◆やまね/本当に年々暑さが大変な状況になって、引き続きこの熱中症対策というのは教育現場でも非常に重要な課題であると思うので、色々研究・検討していただきたいと思う。

次に、今年度の第一次編成予算で予算化された「小・中学校の空調設備更新4440万円」について。事業概要の資料を見ると「児童生徒等の健康を保持し、夏季の学習環境を保障するとともに、災害時における避難所機能強化の観点からも、既存の空調設備の大規模な更新を早急に進めていく必要」「未設置の特別教室や体育館への新設についても~」とのこと。これをPFIで行うかどうかは我々としては議論のあるところだが、「空調設備の更新と新設」は私たちも求めてきたのでぜひがんばっていただきたい。資料には「小・中学校の空調設備の現状(台数・設置場所等)を詳細に把握するため、専門業者による全校調査を実施」とある。現状はどこまで調査が進んでいるか。その結果はいつ頃報告されるか。新たな設置や更新が必要な場所が何カ所あるのか。分かる範囲で答弁を。

(→大山・教育環境整備室長)小中学校の空調設備の更新について。今ご紹介いただいたように、現在、既存設備の更新計画を建てるのに必要となる小中学校の空調設備について詳細調査、現状の詳細調査を実施しているところで、概ね9月初旬頃までには全校を点検できる、把握できるという状況になってるかと思って、現時点ではちょっと報告がまだなので、何台等必要ということが把握をしていないところ。

◆やまね/事業概要資料では「PFI導入可能性調査」として「財政負担の削減効果や民間事業者の受注能力など多方面からの検討により、PFI事業として成立するかどうかを判断するための調査を実施する」とあるが、ちょっと確認しておきたいのは、あくまでPFIで導入することが前提なのか、調査結果によってはPFI手法でない形で実施する場合もあるのか。

(→大山・教育環境整備室長)空調更新の実施方式ということになるが、基本的には、例えば公共工事で実施するという方式と、PFI手法で実施するという場合が考えられるかと思っている。で、財政負担の効果がどの程度出るのか、それが効果ある手法なのかということを今回、PFI導入可能性調査の中で検討していくという形になっているので、それについては今年度中に実施方針については策定していくということになっていく。

◆やまね/なので、その色々効果とかそういうことを考えて、公共工事としてやる場合もあるということですよね、場合によって、調査の中身によっては。ちょっと確認しておきたいんですが。

(→大山・教育環境整備室長)当然、財政効果がないということができれば、それは実施しないという形になろうかと思うし、ただ、実施期間等もある。公共工事かなりの期間がかかるので、そのような方式での更新でいいのかということもあるので、その辺りも勘案しながら実施方式は決定してまいりたいと思っている。

◆やまね/事業概要資料には「猛暑日の増加や、感染症対策としての喚起を行いながらの稼働によって空調設備への負荷が増した」ともあり、なるほどなと思った。その点も考えると、やはり今後「建物の断熱化」という問題が重要になってくるんじゃないかと思う。昨年度も紹介したが、断熱に詳しい東京大学・前准教授によると、さいたま市の小学校で天井の温度を測定したところ42℃あり、エアコンをフル稼働しても教室内の温度は30℃~35℃までしか下がらなかったとの報告も。令和5年4月28日付・文科省通知「学校教育活動等における熱中症事故の防止について」の中で、熱中症予防策の一つとして「建物の断熱」があげられている。京都市教育委員会として、改めて「断熱化の必要性」についてはどのように認識しているか。

(→大山・教育環境整備室長)校舎それから体育館の断熱化。当然「断熱化」必要であるという認識であり、これまでから校舎・体育館の増改築の時に実施しているし、その他、校舎長寿命化改修とか、あるいは体育館リニューアルの際には、断熱化を実施している。その他の例えば、屋上防水の改修の時にも合わせて断熱化も実施しており、必要であると認識はしている。

◆やまね/いまお答えいただいたように、必要性は認識されていて、超寿命化・リニューアルの工事の時にはやっていただいてると思うが、これも資料でぜひいただきたい。京都市立学校において、現在使用している教室や体育館の断熱化率がどの程度進んでいるか、今後リニューアルや長寿命化など大規模改修を予定している学校(校舎・体育館)が何カ所・何校ほどあるのか、

で、もう一つお聞きしておきたいのは、今回の「空調設備更新」の事業においては、新たなエアコン設置や更新にとどまらず、エネルギー効率や脱炭素の観点からも、校舎や体育館の断熱化についても連携して一体化して追求していくことも必要ではないか。この点の認識を最後うかがっておきたい。

(→大山・教育環境整備室長)小中学校の空調設備については、(平成)18年度までに全国に先がけて普通教室、冷房化を実施をしてるところ。耐用年数である20年迎えつつあるということで、早急な更新が必要であるという認識をしており、必要性は認めるが、工期を勘案するとなかなか同時に実施をするというのは難しいかなというふうに考えており、まずは空調設備の更新を優先して取り組んでまいりたいと考えている。断熱化については従来通り引き続き、校舎長寿命化改修や体感リニューアルなど様々機会を捉えて、実施していくと考えているところ。

それから資料の件だが、ちょっとあのそこの学校が断熱化されてるかどうかはこれなかなか図面を見ながら最近の部分は分かるが、かつて過去の分についてはなかなか図面を把握しない、見てからでないとなかなか分からないという部分もあり、なかなかちょっとすぐには提出ができないかなと思っている。今後、それと今後の体感リニューアルですとか長寿命の工事についても、直近の部分については計画できており、その部分については提出はできるかなと思っている。

2024年8月21日【文教はぐくみ委】教育委員会/一般質問「教育現場における熱中症対策について」「小・中学校の空調設備更新について」

(更新日:2024年08月21日)