京都市を住みにくい街にした「巨大開発優先」を改めるべき(2024年3月18日/予算特別委・市長総括質疑・やまね)

◆やまね/京都市はこの間「人口減少」「人口流出」を理由に規制緩和、新たな開発、巨大事業を行おうとしているように見えるが、それは果たして正しい道なのかという角度から、いくつか質疑したい。今回予算化されている「京都駅新橋上駅舎と自由通路」は、「駅の混雑緩和」「交通結節機能強化」等を理由に新たな改札や自由通路をつくるもの。総事業費195億円のうち京都市負担28億円、国負担83億円、合わせて税金投入111億円以上。局別質疑では「極めて公共性が高いためだ」と答弁があった。しかし、図面を見ると、新しくできる通路は、京都駅の南北を跨ぐのではなく、出口は日本郵便と駅ビル開発会社が共同で計画するビルへとつながっていく。結局、大手企業の儲けのために市民・国民の税金を投じるということが本質ではないかと考えるがいかがか。

(→坂越・副市長)今回の京都駅改良は極めて重要な事業と考えている。南北自由通路の混雑の解消、嵯峨野線の混雑の解消、バスターミナルの混雑解消にもつながる公共性の高い事業であるし、京都駅周辺はまだまだポテンシャルがあるため、今後も開発していかなくてはいけないが、新たな動線や人流を生み出すことで起爆剤になると思っており、大変公共性の高い事業だ。

◆やまね/重ねて「公共性が高い事業」という話があった。であれば、私は、この間京都市がおこなってきたJR西日本・日本郵便・京都駅ビル開発株式会社との協議内容の記録をしっかり出していただきたい。それから、総事業費195億円の積算根拠についてもきちっと資料を出していただきたい。局別質疑では「出せない」とのことだったが、しっかり出していただきたい。

(→坂越・副市長) JR西日本との協議内容については、平成30年から協議しているわけだが、JR西日本が「企業秘密」で「競争上の地位を害するため公開しないでほしい」と言われているもの以外については極力お示したいと考えている。日本郵政は施工者のJR西日本と協議しているが、当方は当事者ではないため資料を持ち合わせていないが、建築にあたって申請している環境アセスの資料とか、開発構想届の資料なんかは必要であれば示したい。

積算については、194.8億円の事業費の内訳は、橋上駅舎が102.7億円、駅ビル内の自由通路は38.1億円、橋上分の自由通路は54.0億円。総事業費のうち、国補助の対象になる事業費は167.7億円、補助の対象外27.1億円は駅員室や改札口等のJR業務用に係るものでありJRの負担。これ以上の細かいものは必要であれば極力示したい。

◆やまね/局別質疑との答弁が違う。共同開発ビルについて「関わっていない」とおっしゃったけれども、局別質疑では自由通路について協議してるという話の中に、京都市とJRだけでなく日本郵便や共同開発ビル、そういう企業も含まれているという趣旨の答弁をしていたと思う。一切協議していないのか。

(→坂越・副市長)くり返しになるが、日本郵政と協議しているのは施工者であるJR西日本、両社の間で協議しており、当方は協議主体ではない。

◆やまね/予算に関わることで、しかも先ほどおっしゃったように「公共性が高い」と言われているのだから、これは「事業者の利益」「内部情報」「企業秘密」を理由に、その中身が出せないのはあまりに不透明だ。市民には何も見えない。しかもこの場所は「都市再生緊急整備地域」、すなわち、用途・容積率・高さ・日影規制の適用除外、税制上の優遇措置を企業に講じる区域だが、このエリアを広げるための準備協議会が昨年11月と今年1月に開かれている。いずれも非公開。京都市の中であるにもかかわらず都市計画の網がかからない、さらに市民にも見えない形で進められていることは重大だと言わざるをえない。

そもそも京都駅の混雑・一極集中、なぜこういう事態が起こっているか。これは自然現象ではない。京都市自身が規制緩和や開発を推進し、時にはこの地域に巨額の公的資金を投入してきた結果。しかも過剰な宿泊施設の誘致が、混雑だけでなく地価高騰につながり、若いみなさんが住宅を買いづらい事態も引き起こした。こうした開発優先のやり方が京都市を住みにくい街にしてしまったのではないか。その反省こそ今必要だ。京都駅の改造に111億円もの税金を使うのでなく、交通不便地域への支援こそもっと必要だと言っておきたい。子どもの医療費助成など他都市から遅れている子育て支援策を充実させることが必要だ。先ほど「お金があればやりたい」と市長はおっしゃったが、使うところには使っているのだから、しっかり見直していただく必要がある。

次に多くの方が関心を持っておられる全員制中学校給食について聞く。京都市は、塔南高校跡地に26000食を扱う給食工場をつくる1ヵ所センター方式を前提にした予算を提案しているが、教育委員会はこの間の質疑の中で「敷地内に2つの建物・2つのラインをつくることも考えられる」と答弁してきた。ということは、少なくとも「1つの建物・1つのラインで行うことはリスクが大きい」と認めているということか。確認しておきたい。

(→吉田・副市長)1ヵ所でそういった、例えば衛生面でのリスクということについて、認識をされてるのかというご質問だと思うが、衛生面に関しては、実施方法や調理場の箇所数にかかわらずリスクそのものについては、一定想定して対策を練らなければならないとは思っている。なので、センター方式では、これまでから教育委員会から説明しているが、高度な衛生管理を徹底でき、万が一の食中毒等の事故発生を想定した場合、今言ったように想定した場合に、1つの建物の中で、2つの調理ラインを設け、隔壁で完全分離するということで、施設整備上の工夫を行うことで、影響を最小限に食い止めることができる。だから、先ほど言ったように、センターというのが、どんな物理的な状況、それから、衛生面の管理とか、コスト面から言ってもそれが優れているという方法の中で、どういったリスクが考えられるのかという時に、食中毒、いわゆる衛生面については2つに分けるということで、万が一そういうことが起こった時にも対応できるようにと今我々は考えている。

◆やまね/つまり、1ヵ所だと、よりリスクが大きいということ。1つの建物・1つのラインで全部行うと、万が一の事態を考えた時に、それはあまりにリスクが大きい、だから2つに分けるのでは。

(→吉田・副市長)我々その、例えば親子方式・自校方式と比べてどちらが高リスクなのかという議論をしているわけではなく、総合的に考えて、総合的に考えて、センター方式が優れているということの中で、「万が一」を考えた時、2つのラインを作ることでよりリスクを分散、抑えていくと、対応していくということなので、少しそこは、委員の今の趣旨の質問はちょっと、少しずれているのではと思っている。

◆やまね/でも分けるんでしょ。建物とラインを2つに分けることを考えている。「リスクを分散」ということもおっしゃられた。だから「リスクを分散しないとまずい」と思っておられる。私はそのことを言っている。1つの建物やラインで行うリスクを認めていることは重要だと思う。コンサル業者の報告書でさえ「26000食を1施設で整備した場合、食中毒等による給食提供停止リスクが高くなる」とある。そもそも、建物やラインをたとえ2つに分けても、何かあれば半分の13000食が止まるということじゃないか。それ自身が重大な問題だ。

食中毒が発生すれば原因究明が当然必要となる。その究明が進んでいない段階で、同じ敷地内・同じ建物内の一方のラインだけ止めるということが本当にできるのか。全部止まるんじゃないか。こういうことも考えなければいけない。さらに、1ヵ所のセンター方式である限り、配送時間や災害時のリスクは変わらない。あまりに今のお話、危機管理の意識が低すぎるのではないか。

市会の議論では他会派議員からも「1ヵ所でなく分散させるべき」との声が出されているが当然だ。26000食を1ヵ所センター方式で行うのはあまりにリスクが大きい。そうではなくて、学校調理の給食を追求したほうが、「食中毒や災害発生時のリスクを分散できる」「できたての給食を食べてもらえる」「栄養教員も多数配置でき、生徒一人ひとりへ丁寧な食育・栄養指導ができる」「防災面でも役立つ」「分割発注で地元企業にも仕事を回せる」「令和10年度まで待たなくてもできるところから始められる」などなど、子どもたちにより良い給食をより早く実現できる。にもかかわらず、巨大給食センターありきで自校調理や親子調理がまともに検討さえされてこなかったことが大問題。このままでは何百億円もかける事業で大きな禍根を残すことになりかねない。これはぜひ市長の決断で現行計画を見直していただきたい。市長いかがか。

(→吉田・副市長)(やまね/市長の決断なんだから、市長!)先ほどもご答弁さしていただいたが、実施方法については、専門の調査の中でも、一つは物理的にと言ったが、自校調理では全体の9割以上、親子方式では全体の7割以上で実施困難だと判明しているし、例えば衛生面の部分についても、衛生面の部分についても、例えばこの1ヵ所、何かあった時に、その時に学校給食をどうするのかという、その危機管理については、1ヵ所のセンター方式であろうとも、どの方式であろうとも一定我々、それは考えなければならないと思っている。

それと我々いま、万が一どういったことが起こるのか、食中毒がどういった形で起こるのか、起こった場合にどうするのか、しっかりと考えていかなければならないと思っているし、それから配送時間についても、職員が一定いろんなことをシミュレーションし、時間等も計っているところだが、そういったことも含めて、様々なさらにシミュレーションをしながら安定した給食提供ができるように、我々これからも引き続き検討していきたいと思っている。

◆やまね/「親子方式や自校方式が実施困難と判明した」と言うが、調査してないんですよまともな。昨年12月以来、文教はぐくみ委員会では3つの請願が6回にわたって継続審議となってきた。京都市が示すセンター方式での早期実施を求めるもの、塔南高校跡地への建設見直しや学校調理の検討を求めるものなどだが、直近3回はいずれも全会一致で「留保」。つまり、京都市が考える「巨大給食工場の建設」「1ヵ所センター方式」は、市会では多数になっていない。強引に進めることは市民の声、議会を軽視するもの。保護者要望も強い学校調理の中学校給食を実現してこそ、子どもたちにも子育て世代のみなさんにも喜んでいただける。改めて見直しをしていただきたい。

最後に、伏見工業高校跡地売却の問題について聞く。当該地では今、阪神阪急不動産、京阪電鉄不動産、積水ハウスなどによって549世帯1600人の大規模な住宅街区の開発が計画されている。端的に聞くが、ぜひ市長にお答えいただきたい。松井市長はご自身の目で現地を見られたか。

(→岡田・副市長)この事業だが、私どもは「脱炭素先行地域」の中核的な事業であり、それは我々も現場の職員も現地を何度も見た上で計画について伺っている。そのうえでこの街区全体の、住宅の省エネ、また、太陽光発電とか蓄電池の導入、そして、太陽光発電の余剰電力での夜間の相互活用、こういったもので環境に優しい街区を開発するというもの。

◆やまね/市長にもう一度聞く。市長ご自身は現地を見られたか。

(→岡田・副市長)ま、市長もこの間、市内各所回っており、(やまね/自分自身のことなのになんで答えられないの!)今も首を縦に振られてるので、現地は当然見ているということ。

◆やまね/自分で答えてくださいよ。現地を見ておられるんだったらね、ますますこの計画はめちゃくちゃだと言っておきたい。現地を知る方からすれば大変問題がある計画になっている。伏見工業高校跡地の南側にはスーパーの駐車場があり、車両の交通量も大変多いところ。師団街道に抜ける部分は大変狭く離合も難しい。事業者作成の資料によれば、戸建て住宅や分譲マンションなどに設置される駐車場台数は約300台。ところが当該地への出入口は伏見工業高校の南側1ヵ所しかない。仮に300台近く車が増えれば「脱炭素」どころか排気ガスや渋滞で住環境が悪化するのは必至だ。地元のみなさんが言っておられる。

示されている公園も小さすぎる。敷地全体は約4万㎡。現在示されている開発公園は1545㎡。都市計画局に確認したが、開発公園の最低必要面積は、「開発区域の3%」または「計画人口×㎡」、どちらか大きいほう。なので、この1545㎡という今示されている公園面積は、本当に最低限、最低ラインでしかない。「子どもたちを一体どこで遊ばせるんだ」という声も聞こえてくる。子育て支援のための施設も決して十分ではない。まちの構造として失敗していると思う。子育て世代のニーズに応えるなら、京都市の責任でこの地域に公園や公共施設をつくることこそ必要だと、強く求めておきたい。

市長は本日「対話型」という話を何度もされていた。まさにその市民の声を聞いていないことが大きな矛盾と混乱を生んでいる。この地域の住民の願いは「緑豊かな公園を」「学童保育・児童館や図書館が必要」「スポーツのできるグラウンドがほしい」「町内会の会議やサークル活動で気軽に使える公共施設に」など。伏見工業高校跡地の活用は、本来なら民間企業に丸投げせず、パブリックコメントなどでまず市民の声を聞くべき。市民の財産を売り渡すことは許されない。

本日私は、京都駅の問題、巨大給食工場の問題、伏見工業高校跡地の問題、3つの問題を聞いたが、いずれも開発優先、市民・住民の声がしっかりと聞かれていない中で進められようとしているものだということが改めて浮き彫りになった。こういうやり方は抜本的に改めるべきだ。

2024年3月18日【予算特別委】市長総括質疑

(更新日:2024年03月18日)