交通不便地域対策は不十分なのに京都駅改造には111億円の税金投入⁉(2024年3月11日/予算特別委・都市計画局・やまね)

◆やまね/公共交通の問題をまず聞きたい。交通不便地域の対策、伏見区の藤城学区について。2018年に策定された「藤城学区のまちづくりビジョン」の中で、「計画の柱②(利便性)」「公共交通の充実」として「主にバス交通など、公的な移動手段を充実する方策を検討します」「地域のみんなで乗って、みんなで運営を支える、バス交通のあり方について、市バスの延伸、コミュニティバス、既存送迎バスの活用等、ニーズと可能な具体的方策を検討します」とある。2019年度予算では文化市民局予算で「住民主体で策定したまちづくりビジョンに基づく取組を支援」として20万円が計上された。こういう経過を踏まえ、藤城地域のみなさんが日々ご苦労されていること、この地域に公共交通が必要とされていることについては、都市計画局も認識されているのかどうか。

(→矢内・歩くまち京都推進室・事業推進担当部長)藤城地域の交通問題について。今ご紹介いただいた通り、地域のほうでいろいろと主体的に、これまでも公共交通については議論を続けておられる。地理的条件からするとなかなか、道路幅員が狭く、急勾配もあるので、小型バスも含めてなかなか難しい状況と認識。我々も支援しながらこれまでから地域主体で取り組まれていることについては、支援しながら一緒に考えてきている。非常に地域として主体的にいろいろ取り組みをされていると認識している。

◆やまね/地域が主体としてされていることは私も認識しているが、お聞きしたのは、都市計画局として、京都市として、この地域に公共交通が必要なのか、そういう認識はお持ちかということをお聞きした。

(→矢内・歩くまち京都推進室・事業推進担当部長)公共交通が必要かどうかという部分だが、地理的条件から、ここは公共交通が実際は走れていないというようななかで、鉄道駅から距離が離れている地域もあるので、そのあたりで、地域でそういったお声がある地域だと認識している。

◆やまね/地域の声は十分認識されていると思う。今お答えいただいたように。平井議員が本会議質問で地域公共交通の問題を取り上げた際、都市計画局長から「地域の生活交通確保には、事業者や行政だけでなく、市民も自分ごととして取り組むことが重要」と答弁されたが、藤城地域のみなさんは、買い物支援の車を自主運行するなど、すでに「自分ごと」として努力を積み上げられてきた。問題は京都市が「自分ごと」として捉えられていないのではないか。

お隣の藤森学区、藤ノ森小の南側には旧上下水道局伏見営業所跡地があるが、現在、藤城学区で老人ホームを運営する社会福祉法人に「長期貸付」され、「墨染まちとくらしセンター」という公共性の高い施設が運営されている。なぜこの社会福祉法人が選定されたか。その選定理由の一つに「コミュニティバスの運行提案」があげられた。実際にこの社会福祉法人は、学区のいろんな行事の際に、その日限定でコミュニティバスを運行されてきた。また、京都医療センターはJR藤森駅や竹田駅まで送迎バス(朝から昼間時間帯に1時間に2本)を出している。

こういう事業者・事業所があるわけだから、京都市がリーダーシップを発揮して、医療機関、福祉施設、場合によってはタクシー事業者などとも連携し、住民のみなさんと一緒に、この地域にふさわしい公共交通がふさわしいのか、先ほどバスは難しいんだというお話もあった、私もそうだと思う。だったら、この地域でどういう形態で公共交通が実現できるのか、住民のみなさんも一緒になって、協議の場を持つことが今必要なんじゃないか。そういう局面・段階ではないかと思うがいかがか。

(→矢内・歩くまち京都推進室・事業推進担当部長)藤城地域、これまでから地元で議論されて、まちづくりビジョンの中でも方針を立てられている。その方針に基づいて、地域主体で買物支援バスというものを3年間取り組まれていたが、その時に、今おっしゃっていた福祉施設から車両を借りられて運行していたということがあるが、コロナの関係で今はバスが借りられず自家用車でやっておられるが、それも「運送法上の無償運送に当たらないのではないか」という指摘もあり、今は中断している。いずれにしても、地域の足を守る手法はいろんな形がある。地域公共交通計画でも「あらゆる地域の輸送資源を活用する」と書いているので、藤城学区はそういう方針を立てて地域で取り組んでいくということも考えておられるので、今どのような検討状況にあるのか、検討段階に応じたサポートを我々もしっかりしていきたいと考えている。

◆やまね/これはぜひ京都市が、いろんな各地の経験も蓄積しているものがあると思うので、もっともっと京都市の側が、「こういうやり方もありますよ」など積極的な提案をして、ぜひ藤城学区で公共交通が実現するように責任を果たしていただくよう改めて求めておく。

次に、都市再生緊急整備地域について聞く。「京都駅周辺地域・京都南部油小路沿道地域  都市再生緊急整備地域準備協議会」の第1回会議が昨年11月8日、第2回が今年1月19日に開催された。京都駅周辺地域については「南部地域への熱の波及を図る」、京都南部油小路通沿道地域については「ビジネスパークとしての発展が求められる範囲での区域拡大を検討」とし、第1回会議のスケジュール(案)では「令和6年度秋 指定を目指す」と。第2回会議では二つのエリアを「統合」した案が示された。気になったのは、第1回目は「非公開のオンライン開催」。第2回は「書面開催」。内閣府資料では「準備協議会」について「オープンな議論」とあるのに、いずれも傍聴者なしの非公開で行われたのか。そうであればその理由は。

(→堀崎・まち再生創造推進室・都市の未来創造担当部長)準備協議会については、協議会の中で個別のプロジェクトに関することなども含めて議論するので、そういった情報について非公開ということで議論させていただいている。

◆やまね/いつもこういう議論をすると「事業者の利益」ということを理由に、多くの場合で非公開となっている。まちづくりの根本的な話なのに、市民の目に触れないまま、事業者との協議でその都市のあり方が決められていく、方向付けがされていくというのは、大きな問題だと思う。

この「都市再生緊急整備地域」の中の京都駅の問題も聞きたい。「京都駅新橋上駅舎・自由通路整備事業」について今回計上されているのは8億4260万円だが、事業概要資料によると、総事業費は195億円となっている。共産党議員団の要求資料で、195億円のうち、JR西日本83億100万円、国83億8300万円、京都市27億9400万円の負担見込み。この195億円の積算根拠について、橋上駅舎部分と自由通路部分の事業費内訳など資料提出を求めたい。後ほどお諮りいただきたい。

資料を見ていて単純な疑問を持ったのは、京都駅の駅舎に関わる事業であれば、これは全てJR西日本が負担すべきではないかと思ったのだが、いかがか。

(→小川・歩くまち京都推進室・土木技術担当部長)JRが全て負担すべきでないかというご質問だが、本事業の整備効果について少しご説明させていただく。京都駅は多くの市民やビジネス客、観光客が利用する交通結節点の非常に大きな駅であり、さらに強化により、市全体の持続的発展、活性化、人の流動を誘導・分散する新たな動線確保による駅周辺地域全体の活性化、駅ホーム・南北自由通路・駅前広場等の混雑緩和の整備効果があると見込まれている。整備内容は極めて公共性が高いものと考える。また、本市のみならず、JR西日本、さらには国が、この事業を推進することは京都の未来のまちづくりのために必要不可欠な投資であると認識しており、私ども、国の補助を最大限生かしながら、京都市も負担しこの事業を進めていくこととしている。

◆やまね/「極めて公共性が高い」というお話があった。事業概要資料には「JR西日本と京都市では、京都駅の安全性・利便性・快適性の向上のための具体策について、協議・検討を進めてきた」とあるが、そのような協議はいつから何回ほど行われてきたのか。協議録のようなものは出せるか。

(→小川・歩くまち京都推進室・土木技術担当部長)JRとの協議経過について。日頃から私ども京都市はJR西日本とは交通政策はじめ情報交換や協議をしている。その中で駅の利用者増加や駅周辺の活性化の取組の状況、さらには駅構内や南北を結ぶ自由通路等の状況を踏まえ、コロナ感染拡大前の平成30年ごろから意見交換をおこなってきた。コロナ感染拡大の影響で一時中断していたが、感染拡大が落ち着きつつあった令和3年ごろから協議を再開し、それ以降具体的な協議を進めてきた。

協議経過の内容ということだが、本事業に関しては幅広く様々な観点で検討協議を、議論をしてきたところ。今後の事業の推進やこうしたプロジェクトの企画に関する内部情報も多く含まれることから、協議経過については資料等は出しかねる。

◆やまね/先ほど説明されたのは「この事業は極めて公共性が高い」とおっしゃった。そのためのJRとの協議、なぜ出せないのか。非常に不思議だ。

事業概要資料には「日本郵便株式会社及び京都駅ビル開発株式会社が計画している共同開発ビルへの接続についても協議中」とあるが、①ここには主語がないが誰が誰と協議しているのか。JRと京都市の話なのか。日本郵便や駅ビル開発会社も含む話なのか。②総事業費195億円の中には、点線部分、共同開発ビルにつながる連絡通路部分について、含まれているのかどうか。③ビルへの接続・連絡通路ができることは決定事項なのか。

(→小川・歩くまち京都推進室・土木技術担当部長)①接続についての協議については、JRと京都市、あるいはここに記載している日本郵便や京都駅ビル開発とも協議している。②195億円の総事業費の中にはビルと我々の自由通路を結ぶ通路については含まれていない。③事業概要に記載しているように、協議を進めているところ。

◆やまね/「協議を進めている」ということだが、決まっているのかどうか。

(→小川・歩くまち京都推進室・土木技術担当部長)くり返しになるが、整備概要にあるように、共同開発ビルとも協議を進めているところだ。

◆やまね/決定事項ではないのか。

(→小川・歩くまち京都推進室・土木技術担当部長)先ほどの答弁のくり返しになるが、協議を進めているところ。

◆やまね/図を見ると新しい通路は、北側は日本郵便株式会社と京都駅ビル開発株式会社が計画する共同開発ビルへつながるだけ。南は現在の南北自由通路につながるだけ。京都駅の南北を跨ぐわけではない。これでは混雑緩和の効果は薄いのでは。結局、共同開発ビルに呼び込むための通路を市民の税金を使ってつくるということになるのではないか。

(→小川・歩くまち京都推進室・土木技術担当部長)南北自由通路には接続しているし、今回、新たな駅舎ということで、改札口も新たに設けている。それにより、今ご指摘のように、新たな共同開発ビルのほうにも自由通路が伸びるということで、今混雑している部分の混雑緩和に寄与すると考えている。ビルに呼び込むのではなくて、ビルからさらに、京都駅周辺で言うと、それからさらに西へ、西北とか、そういう方面に人が流れて行く分散とかも考えている。

◆やまね/今のご説明を聞いても、なぜ共同開発ビルにつなぐ通路に巨額の税金を投じなければいけないのか。市と国の部分を合わせたら111億円以上になる。私も京都駅の混雑緩和は当然考えなければいけないと思うが、195億円もの事業費をかけてやるべきことなのか。

今回の事業は結局のところ、この間の規制緩和によって可能となった京都駅周辺の開発と一体のもので、大手企業の利益のために、市民・国民の税金を111億円投じるというのが実態ではないか。こういう事業には巨額の税金を投じるにもかかわらず、冒頭申し上げた、地域公共交通への支援が大変不十分にとどまっていることが重大な問題だ。こういったやり方が京都市を住みにくい街にしているのではないか。こういうやり方を改めていただきたい。

◎森・主査/先ほどやまね委員から要求のあった資料については、京都駅の駅舎整備にかかる195億円の積算根拠に関する資料については、理事者提出できるか。

(→小川・歩くまち京都推進室・土木技術担当部長)駅舎と自由通路の事業費内訳は、駅舎が約103億円、自由通路は約92億円。積算根拠は、本事業に類似した工事を参考にしつつ、京都駅における工事の制約を加味して算出している。鉄道営業施設内の工事であることや作業スペースが狭いことから工事の制約が大きいことを加味している。

なお、積算根拠の資料提出は、事業者において今後工事等を実施するが、詳細な金額を公表することは、工事等の発注業務において予算額が明らかになるおそれがあり、事業の推進にあたり不利益が生じる可能性もあることから、公表は控えさしていただきたいと思っている。

◆やまね/195億円という総額が出ているからには、やっぱり積算根拠があるということだ。全部細かく明らかにしろとは言っていない。エレベーター、エスカレーター、改札、いま明らかになっている部分だけでもどれくらいかの概算ぐらいは、出していただかないといけないのではないか。

(→小川・歩くまち京都推進室・土木技術担当部長)先ほど申し上げたように、今後、事業者であるJRが発注するにあたり不利益が生じる可能性があるため、公表は控えさしていただきたい。

2024年3月11日【予算特別委】都市計画局/交通不便地域対策は極めて不十分なのに、京都駅の改造には111億円もの税金投入!?

(更新日:2024年03月11日)