請願審査:全員制中学校給食について(5回目)(2024年2月7日/文教はぐくみ委・教育委員会・えもと議員の質問メモなど)

◆えもと議員/「卵は一つのかごに盛るな」という格言がある。一つのかごだけに盛ると転んだ時に全部割れる。63校分26000食の給食を1カ所の巨大な給食工場で調理し運ぶ計画は、まさに卵を一つのかごに盛ること。この間、食中毒、アレルギー対応、2時間ルール、浸水リスク、地元の交通問題など様々な観点から巨大給食工場のリスクについて質問してきたが、前回1月23日の委員会で「この方式が最適」と答弁。門川市長のもとでは最適とされている計画だが、次の市長・松井氏は「様々なリスク」や「大規模給食センター見直しを求める請願が継続審議中」ということをどう判断されるか。

食中毒のリスクに関して。2020年、埼玉県八潮市の給食センターで調理された給食を食べた3453人の生徒が下痢や腹痛等発症した集団食中毒が発生。原因究明のため給食が4カ月中止。昨年11月8日の委員会で、全国の給食センターで起きている様々な問題についても調査すべきと申した。八潮市がその後どういう対策をとったか調べたか?

(→清水・体育健康教育室長)八潮市の事例について特段の調査はしていない。

冒頭言及された数の問題というか、リスク管理の問題だが、これもこれまでから答弁しているように、自校調理なり親子調理なり学校の数を増やすと、それだけ調理する場所が増えることになる。センターの数も同じ。その分だけリスクマネジメントするべき箇所が増える。もちろん何か起きた場合の影響は小さくなるかもしれないが、同時多発する場合もあるだろうし、リスク管理という面ではマネジメントの対象が大きくなると考えている。そういう意味では集中的な管理を徹底して行うということを、給食センターではおこなっていきたいと思っている。

実際の作業効率ということを考えると、これもこれまでから答弁しているように、一つの場所ではあるが、例えば建物を二つに分ける等、より効率的、より衛生管理しやすいという形のものは引き続き追求したいと考えている。

◆えもと議員/昨日、八潮市教育委員会に電話し、その後どのような対応をされているのかをうかがった。この事件から起きてから市議会では「児童・生徒に安心で安全な学校給食を提供することを求める決議」などこの間3回の決議が全会一致で可決。八潮市は「学校給食審議会」を立ち上げ、「パブコメ」募集し、昨年10月、食中毒を起こした市内1カ所の民間給食センターではなく、「市が給食施設を整備・運営する公設給食センター方式」で「複数の給食設備を目指す意向」を示した。現在も事故が起きた給食センターで実施されているが、教育委員会から週に2回職員がチェックに行かれている。「これならやはり公設にしたほうがいい」という結論に至られたということ。八潮市は小学校10校、中学校5校の小さなまちだが、「リスクを分散する観点から複数のセンターを整備する」と市HPにも書いてある。先ほども以前も「1カ所のセンターでも施設を二つに分ける」「施設のレーンを分けるかもしれない」とおっしゃっているが、63校をいったい何校分ずつ分ける予定なのか?

(→清水・体育健康教育室長)まず集中的にというか、大量の調理をおこなって各校に配送するという点で、衛生管理の実績ということで、これもこれまでから答弁しているように、ただいま、中学校や総合支援学校は、民間の業者による給食。中学校は選択制の弁当、総合支援学校はクックチル方式でやっているが、これについてはこれまでの間、ほぼほぼ20年間に渡り大きな事故なく経過しており、そういう意味では、しっかりとした衛生管理を行えば、大量調理という場面においても、しっかりとした衛生管理はできると考えている。

レーンを分ける話で食数など、これについては今後、実際どういう施設をつくっていくのが一番いいか検討する点で、どういう食数で分けるのか、あるいは建物を分けるのか、建物はくっつけてその中で分けるのか、いろいろ方法考えられると思うので、それについては今後の検討事項かと考えている。

◆えもと議員/何かあってからでは取り返しがつかない。八潮市ではしばらく児童が午前中で帰らなければならなくなった。給食センターストップし、その分午後からの授業はなくなった。子どもたちも長期に欠席する、症状で苦しむ。その中で本当に保護者の不安・怒りはすごいものがあった。この3年間のなかで、市は「やはり1箇所にする」と発表したが、でもみなさんそれでは納得されず、今回「複数で公設で」という方向になった。小さなまちでもこのような対策を取っている。何が起こるか分からないことを考えるべき。リスク分散は鉄則。

調理から喫食までの2時間ルールについて。前回「遠方の洛北中、修学院中、西賀茂中は、実走し42分で行けた」とのことだが、観光シーズンに走ってみないと分からない。長大が作成した配送計画書によると、センターから食管を積んだ配送車52台が10時50分~11時35分の間に出発する。出入口は久世橋通に1カ所とすると52台のトラックが信号ないところでスムーズに出ていけるとは思えない。つくった料理を食缶に詰め込む搬入口、施設の中で何カ所つくるのか。これも複数つくらないとトラックに積み込む作業にも時間がかかる。出入口はどこに何箇所つくる予定か。

(→清水・体育健康教育室長)配送時間は前回にも申し上げたように、実際走ってみて長大が示しているシミュレーションよりもさらに短い時間で行けることを確認している。このシミュレーション自体も混雑時の速度、時速20.8キロ、これを基準にしているので、一定はクリアしていると思っている。ただ、いま先生おっしゃったように混雑時、いわゆる観光シーズンにおける状態については、これはこれでシミュレーションというか、実走も含めしっかり行いたいと考えている。

出入口だが、おっしゃるようにかなりの台数、現在のシミュレーションではこの台数だがもっと少なくなるかもしれないし、もっと多くなるかもしれないが、かなりの台数が出入りするので、どういった出入りの仕方であれば一番効率的かつ安全であるか、これもしっかりシミュレーションしたうえで、もちろん演習等もしたうえで、実際の実施に向けて検討したい。

◆えもと議員/ごめんなさい出入口は何カ所つくるというのは?

(→清水・体育健康教育室長)現時点では決まっていない。これからのまさに重要な検討事項。

◆えもと議員/従業員用でも相当の台数の駐車場が敷地の中に必要ではないか。出入口が久世橋通1カ所だけでは間尺に合わない。そうなると周辺は何度も申しているが学校も児童館も近くにあり、食器を回収してきた配送車と児童の下校時間がクロスする恐れがあることは教育委員会も認めている。地元からの請願でも交通問題についても心配の声。2月2日の京都新聞には祥栄学区自治連会長コメントが載っていた。「センターができると配送のトラックが増え、地域の交通安全や環境に影響が出るのではないかと心配の声もある」。食中毒、交通事故、1カ所に集中させるとリスクが高まる。1カ所の巨大給食工場で63校分26000食の給食をつくって運ぶのは、リスクが大きくて全国のどこの自治体もやっていない。それをやろうとしている。いろんな自治体に電話するとみなさんビックリされる。八潮市教育委員会の方も「すごいですね」と。このような計画は白紙に戻すべき。

最後に、保護者の願いは「安全でおいしい給食を早期に実施してほしい」というもの。この間、小学校高学年の保護者から「早く実施してほしい」という声、たくさん聞いている。巨大給食工場を建てようとするから5年もかかるのではないか。何度も言うが、可能なところからやっていけばいい。施設一体型の小中一貫校はすでに中学生も全員給食食べている。令和7年度に開校する2つの小中一貫校でも全員制給食を食べる。御池中ではいま3校から運んでいる。他のところでも、1校ではできないなら、複数の学校から運ぶことも検討の余地があるのでは。御池中では3校から運んでいる。中学生1~3年生の分はつくれないのか。

(→清水・体育健康教育室長)従業員の交通問題は当然場所の特徴も含め対応必要かと思う。給食センター建設の際には、そういった駐車場の確保等についても当然考えていくことになろうと思う。

実施時期は、これもこれまでから説明しているように、給食センター方式が令和10年度の実現に向け最も短い期間で実現可能であるということで、我々としても考えている。その他、自校調理や親子方式などをとった場合、そもそも食数等の面で実現可能性がないが、やったとしても令和16年度くらいまでかかるだろうということなので、スピードという点でもセンター方式が最も優れていると考えている。

それから自校調理方式については、これまでも示しているように、敷地の問題等含め不可能となっているし、親子調理方式も御池中の例は6年生の分だけ、しかも御池という建物の形状上、駐車スペースがしっかりあるとかエレベーターがあるとか、そういう特殊な状況の中で何とか工夫してやれている状況なので、これを全市的に拡大するのは無理があるということを、これまでから申し上げている。

◆えもと議員/でも実際そうやって3つの小学校から中学校に運んでいる。「6年生は中学生ではない」ということからもわからないが、実際にそれが行われていることは、他でも検討の余地があるのではと指摘する。小中一貫校は本当に優遇されている。令和7年度開校する2校では実施される。本当に格差がある。先ほど「令和16年」とおっしゃったが、大阪市は3年で全校学校調理方式で全員制中学校給食を実施している。これは事実だ。何を最優先にしなければならないか、その原点に立ち返るべき。

(→清水・体育健康教育室長)若干補足して答弁する。親子調理方式はこれまでの様々な事例、経験も踏まえて、やるとしても1校から1校へ持っていくパターンでないと難しい。それも食数の点で、特に中学校については1.4倍の量がいるのでそういった点も踏まえて難しいと考えている。さらに他校の分をつくる調理場は工場扱いになる法的な制約もあり、これに関する調整という非常に困難な問題もある。こういったことも踏まえてやはり実現可能性はかなり低いと考えている。

***他会派議員の質問***

◆片桐議員(無)/議論がずっと続いてきている中で、教育委員会の検討スケジュール感を改めて確認したい。今年度「方式を決める」ということで準備が進んできていると思うが、今年度の段階でどこまで固めていこうと思っているのか。これから来年度予算が3月議会では骨格で、その次5月というふうになると思うが、来年度においては、いまの教育委員会のスケジュールでいうと、どこらへんまでのことが固まっている状況で、来年度はこういうことをやりたいと思っているのか。どういうスケジュール感を頭に描いて進んでらっしゃるのか。

(→清水・体育健康教育室長)今年度の目標としては、いま議論さしていただいているように、どういう実施方式で、どういう理念でやるかということを決めるべきであろうということで、例えばアンケート、検討会議、専門業者による調査で、教育委員会の「基本的な考え方」を出すのが一つの目標だった。それはできるだけスピード感をもってやるということで、11月に出させていただいた。

今後、言ってみれば大きな事業、センター方式ということになるとかなり大きな事業になるので、PFI案件にあたってくるということも含めて、そういった形でやるのかどうか、そういうあたりの実務的な検討というか、こういったものをやっていかなければならない。それに伴って調査ということも必要になってくるので、当然これ予算が必要になるので、こういったことの予算を来年度、提示させていただいて、それにそって事業を進めていくということになろうかと思う。そういったスケジュール感でやっているので、この予算市会で一定の案を出させていただくことになるのかなと考えている。

◆片桐議員(無)/予算市会の中で一定こういう方式で最終的にやっていくので、それについて令和6年度においてこうこうこういう調査を実施したいということが、予算として今後案として提出していきたいというのが、基本的には教育委員会の考え方と。つまりそれを予算が提示されて予算議会において議論をしっかりしていくという、そういうスケジュール感でお考えということでいいか。

(→清水・体育健康教育室長)いまご指摘の通り。

◆片桐議員(無)/教育委員会の考えてるスケジュール感は分かったので、そのことを踏まえたうえで、市会としてもこれから請願されたこと等もさらに議論していくと思うが、それも踏まえて判断をしていきたい。

*請願の取り扱い➡いずれの請願も全会派・議員「留保」で継続審議に

請願27全員制中学校給食の早期実施

請願29塔南高校跡地への巨大給食センター建設の見直しと自校調理方式の検討

請願30学校調理方式による全員制中学校給食の実施

2024年2月7日【文教はぐくみ委】教育委員会/請願審査「全員制中学校給食の早期実施」「塔南高校跡地への巨大給食センター建設の見直しと自校調理方式の検討」「学校調理による全員制中学校給食の実施」

(更新日:2024年02月07日)