京都市は不当労働行為(法令違反)を認め、すみやかに団体交渉に応じるべき(2023年12月18日/文教はぐくみ委・子ども若者はぐくみ局・やまね)

◆やまね議員/よろしくお願いいたします。私からもいくつかお聞きします。先ほどの市の説明でもですね、資料にもありますけれども、「約30年間にわたり『団体交渉』という呼称での協議を継続してきたこと等を殊更に重視し」ということを言われたんですけれども、私はこれ殊更も何もというか、そのことが大きなポイントじゃないのかなと思います。改めて確認をしたいんですが、30年にわたるこの協議というのは「団体交渉」という呼称で行われてきたと、いうことでよろしかったでしょうか。

◎塩山部長/呼称のことはちょっとあるんですけども、その具体にその協議の場というか団体交渉だったかどうかっていうことについてなんですが、まず初めに、平成元年ですね、この時に、管理委員会の方から、京都市がその使用者じゃないということで団体交渉をその断ったということに対して、当時、労働委員会のほうに申し立てがなされました。その当時の状況から言うと、管理委員会に京都市の職員を派遣してですね、給与等に関するその事務っていうのをやってきた、というそういう実態があったということで、この管理委員会に対しては「使用者性」を認めて団体交渉に応じるように救済命令が発せられそうになったということを受けて、団体交渉に応じますということをご回答申し上げました。

その時点では、我々としては、京都市としては、その当時は団体交渉として管理委員会についてですけど、団体交渉として受けていたという経過はございます。その後なんですけども、管理委員会に関しましては、職員のほうが派遣をやめたりだとか、そういったことがその後京都市として取り組んできましたんで、その後の状況で申し上げると、もういわゆるその京都市としての「使用者性」っていうのは、もうなくなっているということで、ただ一方で、その協議の場ということは、これ毎年ずっとしてきたという状況がございます。協議としては毎年してきたという状況で認識しています。

◆やまね議員/今いろいろ丁寧に経過のお話もしていただいたんですけども、私お聞きしたのは、この30年にわたる協議が「団体交渉」という呼称で行われてきたということは、それはそういうことでよかったのかということなんですが。ちょっと改めていかがでしょうか。

◎塩山部長/呼称としては「団体交渉」という呼称を使っていました。

◆やまね議員/それでですね、これはやはりそういう経過があるわけですから、それを今になって、「いや協議ですよ。違いますよ」と言われてもですね、それはもう後出しジャンケンとしか言いようがない、と思われても仕方がないと思うんですね。

昨年6月16日の教育福祉委員会では、この先ほどもお話出ましたけれども「京都府労働委員会の命令に対する一部取消を求める訴えの提起」について議論されていると。この時にはぐくみ局側がですね、組合側が「交渉」という呼称で毎年のぞんでいたことは「認識していた」ということを答弁されております。今回の裁判所の判断というのはまさにその部分に関わる点が、スポットが当てられていると言いますか、評価されているところで、改めてこれはお答えいただきたいんですけど、裁判所がなぜ京都市に損害賠償責任が生じると判断したのか。もう一度お答えいただけますでしょうか。

◎塩山部長/今回その損害賠償が認められた部分については、先ほどもご答弁申し上げましたけども、この約30年間にわたって「交渉」という呼称で協議する機会が設けられてきたということに対して、組合が本市と団体交渉する強い期待を有しており、かつそのような期待を有することが合理的な理由があるということで、それを令和2年に使用者性を否定するようになって、救済命令を受けて、再三にわたって団体交渉の申し入れを受けたにもかかわらず、救済命令の未確定を理由に団体交渉に応じない態度を取ることは、この合理的な期待を著しく損なう行動であると、これがその損害に当たるというふうに判断されたものだと認識しています。

◆やまね議員/いま言っていただいた通りのところだと思うんですね。京都地裁の判断としては。その続きでですね、先ほどもありましたけれども、⑤のところで、「以上を踏まえ、救済命令が確定する前であったとしても、市が組合との団体交渉に応じることに対する組合の期待は、合理的なものとして私法上の保護に値する利益」だと、「このような利益が違法に侵害された場合は国家賠償法に基づく損害賠償責任が生じる」と。

それから⑥のところでですね、「市は救済命令による公法上の義務に違反して、団体交渉に係る原告らの合理的期待を侵害したといえるから、市が団体交渉に応じないことには違法性がある」ということになっております。

⑦「団体交渉不履行により組合活動に相当程度の支障を来したものと認められ」「損害賠償を得させるのが相当である」ということで資料にもあるわけですけれども。

まさに今回の判決というのは、この長年にわたって団体交渉が行われてきた実績を評価して、団体交渉を期待することには合理的な理由があると指摘し、京都府労働委員会の命令が出て以降、これ実に14回にわたってですかね、団体交渉を申し入れたにもかかわらず、市が応じてこなかったのは「命令による公法上の義務に違反」「合理的期待への侵害」と述べて違法性を断罪するものだというふうに思います。

そこで、もう少しお聞きしたいんですけども、先ほどの昨年6月の話なんですが、京都市がこの京都府労働委員会の命令に従わずに、中央労働委員会に不服の申し立ても行わず、「京都府労働委員会の命令に対する一部取消を求める訴えの提起」を行われたと。このことに私は大変大きな疑問を持っているんですけれども。中央労働委員会というのはですね、労働組合法に基づいて設置された国の機関であると。そして、労働関係に関する法律に基づいて労働者が団結することを擁護し、労働関係の公正な調整を図ることを任務としているという機関だと思うんですね。これは私どもが言ってるんじゃなくて、局が答弁された中身です。加えてですね、これも答弁されているんですけど、「私どもとしては京都府労働委員会と同様の設置趣旨、委員構成で審査いただくより、司法の観点で審査頂くほうが望ましいと考え」ということを答弁されている。そこでお聞きしたいんですけども、この労働関係の公正な調整を図ることを任務とする機関で、なぜ審査を尽くそうとされなかったんでしょうか。改めて教えていただけますか。

◎塩山部長/これは、中央労働委員会のほうに申し立てができるっていうことと、あと、私どもとしては、その司法の場で訴えを提起していくっていう方法があるというふうに認識してまして、ここはその司法の観点で審査いただくほうがいいというふうに判断して、今回訴訟を提起させていただいたというものでございます。

◆やまね議員/その理由を教えてほしいんです。中央のほうに申し立てができるのに、なぜ、司法のほうで議論するほうがいいと考えたのか、その理由です。

◎塩山部長/そこのところについては、そのま、労働委員会の、その中央労働委員会のほうで審議をいただくというよりかは、ちょっとこう、また司法の観点で審議をいただくほうがいいというふうに判断をさせていただいたっていうことなんですけども。

◆やまね議員/あのですね、あまり答えになっていないんですけれども、つまりですね、労働関係の公正な調整を図ることを任務とする機関で審査をしたら、京都市に勝ち目はないということだと思うんですよ。そこで司法の場に議論を移したと。ところが、今回関連する同じような案件でですね、この司法でも京都市の違法性が断罪されたと。これは重大な事態だと思います。

団体交渉に応じない不当労働行為という法違反があり、その上で労働委員会の命令が出されて、その命令も履行しないという二重の法違反を犯しているということであります。法に基づいて運営される行政として、私、あるまじきことじゃないかと。行政がですね、まるでブラック企業のお手本のような対応やってると、私は思いますが、これ恥ずかしいと思われないんでしょうか。いかがでしょう。

◎福井局長/すいません私ども、先ほど中央労働委員会に申し立てしなかったことについてご意見ございましたけども、行政処分があった場合に、一般的に不服を申し立てる場合には、行政不服審査という形で行政機関に不服審査をする場合と、取消訴訟を提起する場合というのはどちらも認められております。行政不服審査をした場合のルートをたどった場合に、終局的には取消訴訟という形で訴訟提起も認められております。私どもとしましては、終局的に取消訴訟ができるものにつきまして訴訟という方法を選択しただけでございまして、それが一般的に行政訴訟のその不服の争い方として、不当なあるいはおかしな対応だったというふうには考えておりませんので、ごく、一つの常識的な判断をしたということでございます。

◎塩山部長/あと、二重の違法と言いましょうか、不適切な行為をしているということに関しましては、まず1つ、両方ともなんですけども、取消訴訟のほうで今「使用者性」について争っているところですし、今回のこの件に関しても、30年間のその合理的な期待というところが損害が認められたわけなんですけども、これ京都市として十分な審理を尽くされたというふうには認識しておりませんでして、そこはしっかりと控訴して市の主張というのをしていきたいというふうに考えております。

◆やまね議員/これね、本当に労働委員会の命令についての受け止めですよね、それの姿勢が本当に問われていると思うんですね。

例えば、京都市は2021年、大阪府で学童指導員の所属する労働組合との団体交渉拒否を行った事業者を2度にわたってですね、「競争入札参加資格停止処分」にしております。この措置、処分というのは、大阪府労働委員会から団体交渉の拒否が不当労働行為に当たるとして指摘されたことを踏まえてのものであります。こういうことで、公の仕事に参加する資格がないと、措置をですね、期間限定ではあるけれどもやったということなんですね。法令違反をした事業者に対して、私は当然の措置だと思います。

今京都市のやってることはですね、これまでの経過を見たら、事業者には入札参加停止処分課しながらですね、自分たちは無視して開き直ってると、行政として全く筋が通らないと思われないでしょうか、いかがでしょうか。

◎塩山部長/本件に関しましては、この管理委員会の職員で申し上げると、運営団体、管理委員会のほうに雇われて、そこが使用者っていう形になってます。そういった中で、賃金の部分に関して京都市の「使用者性」を言われてるわけなんですけども、それについてはもう「使用者性」そのものを争っている状況の中で、京都市としては「使用者性」がもうないというふうなことを主張してるものなので、ちょっとご紹介いただいた不当労働行為っていうのがどういうものかわからないんですけども、市としてはその「使用者性」が確定して初めて、そういったものが義務であったりとか、そういったものが出てくるものというふうに認識してます。今はまだ出てないという認識でいてます。

◆やまね議員/行政の対応としてめちゃくちゃちぐはぐなことをやってないですかっていうこと私言ってるわけですよ。労働委員会から、大阪のものですけれども、しっかりと救済命令、不当労働行為だという指摘をされた、命令が出された、その事業者に対しては入札参加資格停止処分しながら、京都市は自分自身に命令が出された場合には開き直ってですね、その命令に従わない。おかしいんじゃないですかと。どうですか。

◎塩山部長/その点につきましては、今回、その判決のなかでですね、労働委員会のその救済命令っていうのは、交付された日から命令に従う義務というのは生じるんですけども、ただ、それを持って直ちにその使用者に団体交渉を求める権利が認められるものではない。また、その救済命令が発せられたことをもって使用者であることを確定的に認めるものではないというふうに判事されてまして、市としては、これ京都市が言うてる主張っていうのが通ってまして、まだはっきりと決まってない。命令に従ってないということが、イコールその組合との関係で違法だというふうには認識をしていません。

◆やまね議員/私はやはりですね、労働委員会から命令をされたのに、それを守らないで開き直って、そういう姿勢でですね、どうして事業者を指導できるかということを改めて思います。

我が党の河合ようこ議員が以前から指摘してきた問題ですけれども、2012年3月まで京都市に在職されて、市の学童保育の部署に携わっておられた元職員の方が、京都府労働委員会の審問の場で、「平成元年に、当時の市長が福祉保育労と京都市の間には労使関係にあると認めたので、それを前提に団体交渉に応じてきた。そのことは新しい局長にも説明して引き継いできたが、何の異論も出なかった。経過に関する資料は別途保管され、毎年後任者に引き継がれた」と証言をされたということなんですけれども、この証言についてはどんなふうに受け止めておられるでしょうか。

◎塩山部長/平成元年の当時の管理委員会との関係については、今申し上げた通り京都市に使用者性があったというふうに認識してますし、その経過については引き継がれてきているっていうことも認識しています。

◆やまね議員/その資料も別途保管され、毎年後任者に引き継がれたということなんですけど、これもしっかり残ってるってことなんでしょうか。

◎塩山部長/すいません。ちょっと過去の当時の資料については、もうこれ文書の保存年限もございますので、それについては残ってないです。

◆やまね議員/最後に申し上げて終わりたいんですけれども、私の手元に11月16日付で、これは組合側の準備書面というのを見せていただいているんですけれども、今般ですね、京都市子ども若者はぐくみ局子ども未来部育成推進課から2022(令和4)年度の資料開示を受けたということで、準備書面があるんですけども、これはですね、各学童保育所及び児童館ごとに支払われるべき事業委託料(人件費相当額)の算定のために用いられている資料ということで、この資料がですね、これは「学童保育所児童館職員処遇実施要綱」が、2020(令和2)年4月に「京都市学童保育所児童館事業人件費算定基準に関する要綱」に一方的に変更された後のものだということでありまして、この資料と実際に支給された基本給、経験手当、勤続手当、夏季及び冬季の賞与を照らし合わせたところ、この算定基準と全く同一の金額で支払われているのが実態だということが分かったという中身になっております。それでこの京都市の算定額が、具体的に今、各職員さんの給与額を規定している。しかも、これ管理委員会のみならずですね、他の法人・団体でも主だった部分で同一の金額が支払われているということで、これ要綱が一方的に変更された後のですね、2022(令和4)年度においても、その実態は何ら変わりないということを指摘されていまして、その点でですね、私は「使用者性」の話も先ほどされたんですけれども、私はやはり受託者のこの運用や判断っていうのは、実際にはほとんどその余地はなくてですね、京都市の判断に委ねられている。実質的にこういった賃金を左右しうる立場に京都市があると言えるんじゃないか、ということは指摘をしておきたいと思います。

今回、裁判にもかかっておられる学童指導員の方がおっしゃっていたのは、「なんぼなんでも、あったことをなかったというのはおかしい」ということを訴えておられました。やはり、京都府労働委員会の命令、京都地方裁判所の判決っていうのは、真摯に受け止めていただきたいと思いますし、学童・児童館、子どもたちにとって本当に大切な場所だと思います。そこで働く職員の皆さんへの処遇改善、これは絶対にはかる必要がありますので、それをやる気があるのであればですね、ぜひとも速やかに団体交渉に応じていただきたいと思いますし、控訴も断念をしていただきたいと、求めて終わります。以上です。

2023年12月18日【文教はぐくみ委】子ども若者はぐくみ局/理事者報告「団体交渉の申入れに応じないことを理由とした損害賠償請求訴訟について」

(更新日:2023年12月18日)