「学校体育館へエアコン設置を」「理不尽な校則の見直しを」(2023年10月11日/決算特別委・教育委員会・やまね)

学校体育館へのエアコン設置を

◆やまね/私からはまず「学校体育諸施設防災機能強化等整備事業」について聞く。決算年度も小中学校体育館の改築、リニューアルなどに22億2000万円の支出がある。7月19日の文教はぐくみ委員会で要求した資料によると、京都市立の学校施設で、体育館・武道場など、エアコン未設置の267室に全て設置した場合、計126億9000万円程の費用がかかるとの試算だった。ただ、私は質疑の際「文科省や総務省の国庫補助を生かせば、自治体の実質負担は5割または3割で済む」ことも紹介したが、教育委員会からは「国庫補助はあるが、光熱費や機器の更新等、継続的な費用負担が見込まれるので、計画的な体育館空調の整備は困難」との答弁があった。

一方、指定都市会による「令和6年度/国の施策及び予算に関する提案」のなかで、「義務教育施設等の整備促進」として「空調設備設置事業について、文部科学省が示す公立小中学校施設の防災機能強化対策の中長期目標達成に向け、必要財源を継続的に確保すべき」と求めている。つまり、防災拠点ともなる学校体育館へのエアコン設置については、京都市も「必要性」は認めておられるという理解でよいか。

(→大山・教育環境整備室長)体育館への空調設置について。特に近年、猛暑日が続いていることもあり、熱中症対策として、冷房設備の設置は必要と、重要であると認識しているし、体育館についても必要があればと、財源があればと考えている。

◆やまね/おっしゃっていただいた通りだと思う。「近年の猛暑、エアコン設置は重要だ」と認識を示された。今年5月に改正された気候変動適応法では、「熱中症対策の推進」が規定され、「関係省庁が連携して対策を進めていく」と、この防災拠点の空調設備についても改めて位置付けられた。10月6日の決算特別委員会・第1分科会では、自民党からの質疑に行財政局も「避難所となる学校施設のさらなる対策の強化に向け、教育委員会を始めとする関係部局と緊密に連携して対応を進めて参りたい」との答弁があった。

改めて言うまでもないが、学校の体育館は、児童生徒の教育活動の場であると同時に、地域住民のみなさんの生涯学習やスポーツ活動の場、災害時の指定避難所として大変重要な施設だ。これまで答弁されていた「計画的なエアコン整備は困難だ」という立場からもう一歩踏み込んで、ぜひ、「学校体育館へのエアコン設置を進める」という立場に立ち、その立場から国へ要望する、そして市独自でもできるところから始める立場に立つ必要があるがどうか。

(→大山・教育環境整備室長)本市では、学校体育館の空調設備の設置については、従来ご説明しているが、立地条件等により通風が確保できていない場合に限り、原則としては設置していない。体育館リニューアル時については、外気温を遮断する効果のある外断熱や、遮熱・高断熱の複層ガラスの設置などを通し、館内空気を和らげる対策をおこなっている。また、空気を循環させるエア搬送ファンなんかも設置している。いまご紹介あったように、多額の設置経費等があり、現在は設置計画的にはしていない。直ちに整備をするという状況にはないと認識はしているが、先ほども申したが、熱中症対策として冷房設備は重要であるという認識でいる。

◆やまね/我々共産党だけではなく、他の会派の方からも、やっぱりこれ必要じゃないかという声が出ているわけで、これはぜひ京都市も、もう一歩これまでよりも踏み込んだ形で取り組んでいただきたいと改めて求めておく。

もう1つ大事なのが「学校施設の断熱化」だ。今もお答えいただいた。建物の断熱性や気密性が低いとやはり効率が悪くなってしまって、たとえエアコンを設置しても、冷暖房に多くの電気代あるいは灯油を使わざるを得なくなる。この点で昨年秋の文科省調査を見ると、体育館の断熱については、京都市の到達点は全国的にもかなり進んでいる。これは非常に努力をしていただいていると思う。そこでお聞きしたい。体育館だけではなく普通教室だとか特別教室の断熱化は、今どのような状況か。整備目標は持っておられるのか。普通教室や特別教室であればエアコンを付けているところがかなりあると思う。断熱化しているなら、それ以前の電気代と比較、そういう効果の検証はされているのか。

(→大山・教育環境整備室長)断熱化について。本市の学校施設においては、市全体の基準ということで、京都市の「公共建築物脱炭素仕様」があり、新築時には削減するエネルギー削減量などが目標値と定められており、それに基づいて断熱をしていくという形になっている。新築時には、屋根、壁、床に断熱材を入れる、複層ガラスを入れる等して、この目標値達成をしている。合わせて、校舎長寿命化の時とか、屋上防水工事に際しても、これに準じて断熱材を入れる、あるいは複層ガラスにするというような取り組みをしているところ。

◆やまね/普通教室、特別教室の断熱化はされているのか。もしされているとしたら、電気代の使用量など変化はあったのか。検証したのか。この点についてもう一度いかがか。

(→大山・教育環境整備室長)校舎長寿命化等だが、この時には当然、校舎を改修するということになるので、教室の壁なんかにも断熱材は入る、屋上の屋根に断熱材が入るというような形で、断熱化がされている。

効果の検証は、特に教室等ということではやっていないが、体育館でごく簡易な教育委員会で実施した断熱の効果を測定しているが、だいたい10℃程度、外と中で違うという検証も出ている。

◆やまね/そうすると、校舎の改修なんかの時にはやっているとのことだが、整備目標としては持っていないのか。普通教室や特別教室についての断熱化ということで、いついつまでにこれだけ断熱化進めようという目標までは持っておられないということか。

(→大山・教育環境整備室長)特に断熱化に限った工事というのは実施していない。先ほど申した校舎長寿命化や体育館リニューアル、屋上防水の工事の時に実施している。特にそういう時には、引き続き実施していくということで、いつまでにどの程度という目標を持っていない。

◆やまね/ぜひ目標を持っていただきたいと思う。「仙台市内の小学校で断熱改修した教室では、エアコンの電気使用量が、未改修の教室より3割~4割少なかった」と、朝日新聞の報道で専門家の先生のお話が載っている。それから、学校施設の断熱化をテーマにしたワークショップが開催をされて、地元のNPOや工務店との連携をして、生徒さんや学校の教職員さんも一緒に省エネや気候危機について学ぶという取り組みもさいたま市とか長野県上田市で行われている。ぜひ、京都市でもそういう取り組みを力入れていただきたいと求めておく。

学校における熱中症対策は「通知」にも記載し周知を

◆やまね/次に学校における熱中症対策について聞く。9月25日の文教はぐくみ委員会の中で、登下校時の熱中症対策について「日傘や首に巻くクールグッズ」などについては、「安全に配慮した上で、基本的には使用を認めると学校に案内している」「全て一律不可というわけではなく、条件に応じては認めている」との答弁だった。同時に「通知にきっちり記載したわけではない」とも言われた。そこでお聞きするが、改めて、京都市教育委員会として、日傘、首に巻くクールグッズ、日焼け止めクリーム、こういうものを熱中症対策として当然認める旨の通知を各学校に出していただきたい。これが一点。

もう一つは、この委員会の時に、私は「日傘も首に巻くクールグッズも日焼け止めクリームも原則禁止にされている」という訴えを、保護者、子どもさんから聞いたお話を紹介したが、そうした学校があるのかどうか確認をしてほしいと求めたら、「そういった確認していきたい」との答弁もあった。その後、調査や確認等はされたのか。

(→加藤・体育健康教育室担当部長)登校時の熱中症対策としてのそういったグッズの使用につて。今年度の状況について確認したところ、やはり7月から8月にかけて、複数の学校から教育委員会のほうにもそういったグッズの使用についてご相談があった。

また、2学期以降も9月にかけて暑さが続くことが想定されたことから、9月冒頭の校長会において、改めて、教育委員会のほうから、日傘とかネッククーラーの使用の活用事例について周知するとともに、ただ製品によってはバッテリー等の事故の報告の例もあるということで、安全面については十分配慮するように求めるということをおこなった。それ以降については、過去においても基本的な対応は共通理解できているものとは認識をしている。

安全面の配慮という点については、製品も多々ある中で最終学校長の判断っていうのもよるところもあるかと考えており、一律に推奨するとか一律に禁止するとかそういったことではないのではないかと考えているところ。

議員ご指摘いただいた通知については、基本的には来年度の熱中症対策に向けてとなるが、対策グッズの使用だけではなく、子どもたちを暑さから守るために有効な対策、対応については、通知への記載も含め、周知方法については検討していきたい。

◆やまね/ぜひ通知については検討していただきたいと思う。

二つ目にお聞きした「原則禁止にしている学校」は結局あったのか。

(→加藤・体育健康教育室担当部長)対応のご相談をいただく中では、こちらから「安全面の配慮も必要な中で使用については考えられる」という答えはしたが、その後、学校としてどう判断されるかっていうのは、学校の判断というところもあって、それまで禁止していた例もあるかなとは思っている。

◆やまね/ぜひ柔軟に考えていただいて、子どもたちの健康が第一になるように引き続き対応お願いしたい。

理不尽な校則を今すぐ教育委員会の責任で見直すべき

◆やまね/最後に理不尽な校則の見直しについてもお聞きしたい。文部科学省が昨年12月に、教員向けの手引き「生徒指導提要」を改訂し、意義を説明できない校則の見直しを促しているが、改めて京都市においても、子どもの人権を侵害するような理不尽な校則がないのかどうか、残されていないかどうか。

私は、京都市立の小中一貫校、中学校、高校の校則を全て読んでみた。そうすると、いくつか疑問に思う点があったので認識をうかがいたい。

例えば、「登校中に昼食をコンビニ等で買う場合は『おにぎり』か『パン』のみ許可する」「弁当を買うことは禁止」と定めている学校が少なくない。大変、驚いたが、栄養バランスは大丈夫か。おにぎりやパンだけではやはり良くないということでお惣菜を買って、栄養バランスを少しでもという場合も当然考えられるんじゃないか。少なくない学校で「登校中に買っていいのはおにぎりとパンのみ」となっている理由は何か。

(→関・教育相談総合センター室長)校則の見直しについて。ご指摘いただいた通り、昨年度から、いわゆる社会通念上、理解の得られないような校則、あるいは、健康への配慮がないもの、「ひざ掛けの禁止」だとか、もしくは「外部から見えないもの」「下着の色」、こういったものは全て削除ないし見直しを進めているところ。

その上で、社会通念上、合理性が認められないと思われるけれども、経過があったり、あるいは子どもたち、生徒たちへの議論を促したいというものについては、引き続き、生徒会を中心におこなう活動として議論を促しているというものもある。

ご指摘の登校時の昼食については、これはさかのぼると、かなり古くからある部分。当時の理由としては、例えば、昼食についても、学校においては昼食指導という指導の一環としているので、かつては、例えば、即席麺を持ってきたり、いわゆるお菓子等々を持ってきたりとか、逆にそのパンとご飯という主食というものを意識させるために、こうした規定ができた。あるいは、食中毒等々の心配もあるので、個包装になっているものを推奨した。もう一つは、いわゆる汁ものというか、そういうところを幅広く認めるとゴミの問題が出てきて、衛生面や匂いの面という点が出てきたこと。最後には、いわゆる費用面も含め、あまり高価なもの等々を持ってくることがないようにということが相まっての校則だと認識をしている。

ただし、現時点において、こうした特に限定的な記載というのは、おそらく疑義もあるところと思うし、代わりに給食指導、あるいは、中学生の昼食指導にふさわしいものを議論してもらうということは大事だと思っているが、引き続き、こうした議論を促していきたいと思っている。

◆やまね/即席麺、お菓子の話、食中毒の話、費用の問題、ゴミの問題などあったが、今でも規定してない学校がある。そこでは、何か、豪華な弁当を子どもたちが持ってきて大変になっているってことがあるのか。そんなことはないと思う。だから、こういう規定は、今すぐにでもなくすべきではないか。

それから、ひざ掛けの禁止とかを削除をしてきたと話あったが、中には、今でも「ひざ掛けの禁止」をしている学校がある。一方で、屋内でも防寒着を認めている学校もある。これも(禁止は)是正が必要ではないか。それから、セーターはOKだが、カーディガンはダメとか、タートルネックはダメとか、全く意味がわからないものがまだ残されている。熱中症対策に当然役立つ「帽子」が禁止されている学校もある。子どもたちの健康第一に考えれば、今すぐにでも見直すべき点がまだまだあると思う。認識を伺いたい。

それから、「ヘアピン、ヘアゴムは、髪の毛の色、黒、紺、こげ茶などに近い色を使用する」「ストッキング、タイツは、無地で肌色、黒色を着用しても良い」など、髪の毛の色が黒、紺、こげ茶とか、肌色という表現、これは国際的な視点、あるいは、人種差別を許さないという視点から見て、およそ今日、こういう表現はふさわしくないのではないか。この二点いかがか。

(→関・教育相談総合センター室長)まず、防寒あるいは、カーディガン等々の部分。おそらく、校則に関しては、各学校のそれまでの実態、そういった必要が今現在も必要な学校と必要でない学校、カーディガンに限らず、ある決まりに関して、実態というのは様々だ。それは、学校ごとに、あるいはその年ごとにも、もしかしたら変わってくるものではないかと思っている。そうしたなかで、なぜこういう決まりがあったのか、今必要なのかをしっかりと生徒たちにも自分の学校の実態を自分ごととして考えさせて、いろんな意見をまとめながら校則を考えていくという素晴らしい教育機会だと思っているので、いま言っていただいた様々な、特に健康に関するところは、おっしゃっっていただいた通り、まだまだ議論の余地はあると思うので、これについてはより重点的に議論を促していきたいと思っている。

それと、色に関するところ、肌色という部分については、教育委員会としては一切削除するようにと指示をしているので、改めてその部分、表記が残ってる部分があれば、 早急に対応させていただきたい。

色指定に関しても、通常、社会通念上、そこまで必要なのかというご意見が多いというところは当然学校とも共有している。生徒の議論の中では「やはり、いわゆるフォーマルな格好としては、色指定があったほうがいいんじゃないのか」、あるいは「そういうところで悩みたくない」、そういう声もありますし、一方で「なくすべきだ」という声もある。ここもいろいろ議論を重ねて、必要な改正、手続きを進めていきたい。

◆やまね/今回改めて全ての学校の校則を見て思ったのは、そこで強調されているのは「中学生らしさ」「華美でないもの」「目立たないもの」「白、黒、灰色、紺、茶」ということだ。多くの学校に共通するものは。「黒色や灰色」「目立たない」ことが、中学生らしさなんだろうか。ランドセルの色でもこれだけカラフルな時代になっている時に、多様性ということが強調されている時代に、多感な時期に、自分にどんな色が似合うのかどうかというのを、子どもたちが、生徒さんが、探究し表現することがなぜ許されないのかと率直に思う。服装や髪の色に特定の色を指定するというのは、子どもたちの表現の自由、基本的人権を侵害するものだ。京都市立の学校の中でも、色を指定しない、制服を定めていない学校もあるわけで、そもそもこの校則そのものの必要性が、今、問われているんじゃないか。

最後、申し上げておきたいのは、「生徒たちが自分ごととして」と言われたが、いま「生徒が主体的に関わって、校則見直しを進める」ということもよく言われるが、私はまず、大人の都合で理不尽な校則を元々つくっておいてね、それを子どもたちに直させるということ自体、非常に無責任な話だ。私は、子どもたちが自分たちの学校でどういうルールがふさわしいか考えてもらう、この意義は否定しないが、まずその前に、理不尽な校則を作った大人の側が、きちっと直してから、そういう議論を進めるべきだと申し上げて終わる。

2023年10月11日【決算特別委】教育委員会/学校体育館へのエアコン設置、学校における熱中症対策、理不尽な校則の見直しについて

(更新日:2023年10月11日)