市立芸大移転整備事業について
◆やまね/私からはまず京都芸大移転整備事業についてお聞きする。決算年度の支出が127億9200万円ほどだが、移転整備事業の総額について改めて教えていただきたい。
(→長谷・京都芸大・文化連携推進部長)委員ご指摘の通り(令和)4年度の決算額は127億9200万円。整備事業については、過日、5月市会において、インフレスライド議案を可決したものを含めて271億円と見込んでいる。
◆やまね/271億円とのこと。銅駝美工分も含めれば300億円ほどになると思う。共産党市議団として、移転整備そのものに反対の立場ではないが、昨今の経済状況や市民の皆さんの生活困窮の実態、こういうもとで、いったん立ち止まって考えるべきではないかと表明し、工事契約議案にはこれまで反対してきた。
総事業費全体では今答えていただいた額だが、キャンパス移転に伴いこの間、学生のみなさんに新たな経済的負担も発生しているのではないか。例えば、下宿生の皆さんが移転に伴い下京区の新キャンパスの近くに引っ越す、近隣府県から来られている人は地元へ戻るなどの話も聞いた。それから、今夏には、作品の保管場所確保や音楽の練習場所確保のためにレンタルスタジオや倉庫を借りる等、学生の皆さんが自己負担しなければいけなかったという声も聞いている。いずれも大学の移転整備に伴う新たに発生した経済的負担だが、今夏になって初めて分かったような話ではないと思う。事前に予想されたのでは。市あるいは大学として、これまでこういう経済負担軽減について検討や対応はされてこなかったのか。
(→長谷・京都芸大・文化連携推進部長)移転整備に関して新たな学生への支援策を講じてはいないが、常に、経済的に困難を抱える、困窮している学生には、大学においてしっかりと話を聞き、しかるべき対応や支援をしていく、きちっとさせていただいている。また、この夏の移転に伴い「制作場所がない」等の相談があった方については、大学のみならず、例えば私どもが相談業務を委託しているHAPS(東山・アーティスツ・プレイスメント・サービス)にもいろいろ相談あり、HAPSを通じて紹介させていただいた事例もある。こういった様々なツールを通じて、少しでも学生の制作場所の確保、あるいは経済的な困窮者の支援については、現行の制度に則って適切に対応してまいりたい。
◆やまね/つまり、移転に伴う経済的支援はなかったということ。今のお答えだと。移転整備に300億円以上投じながら、それによって生じる学生の経済的負担について一切軽減できていないというのはちょっとおかしいのではないかと思っている。今からでも対応されるようぜひ検討を求めたい。なかには「保管場所を見つけられず作品を壊した」学生さんもおられると聞いた。大変胸の痛む事態。重く受け止めていただきたい。
移転整備にあたっては「学生ファースト」「教学環境の向上」が第一であるべきだと考える。ところが、先日京都新聞でも報道されているように「屋上グラウンドでは球技ができない」との話。この間京都市は、「大学の機能については、芸大の移転基本構想、基本計画、実施設計の中で、確保されたものと認識」と答弁されてきたが、実際には、これまでできていたことができなくなっている。これまでできていた授業や課外活動ができなくなっているというのが事実ではないか。この点確認したい。それから、9月25日の文教はぐくみ委員会では、グラウンド確保について「大学側と協議し適切に対応したい」とのお答えがあったが、できれば大学の新キャンパスに近い場所で確保できれば望ましいと思うが、例えば、学校跡地や市有地の活用なども含め検討されているのか。この二点うかがいたい。
(→長谷・京都芸大・文化連携推進部長)今回移転整備にあたっては、計画の構想段階、計画の段階において、大学側と何度にも渡って協議を続けた。また、学生の意見も聞き、新キャンパスにおいては、延床面積でこれまでの1.7倍となる6万5000㎡ほどの広さを確保し、新たに例えば練習室、音楽の学生の防音効果の練習室を多く増やすなど、あるいは芸術系・美術系の学生の大型の制作に資するようにより天井の高さのある部屋を確保する等、学生・大学の意見を聞きながら十分、教学環境の充実に努めてきた。
そのなかで先ほどご指摘のあったグラウンドの件については、引き続き大学と協議をしながら適切に対応してまいりたい。
◆やまね/「学生の声も聞いて教学環境を向上させてきた」とお話があったが、だったらなぜグラウンド確保ができなかったのか大変疑問。加えてもう一点お聞きしたいのは、この間学生さんから「部活動のボックスが大部屋で仕切りもない。『どう使うかは学生同士・部活の間で話し合って決めて』と言われた」という話を聞いたが、これは事実か。
(→長谷・京都芸大・文化連携推進部長)すみません、今私は承知していないので答弁できない。申し訳ない。
◆やまね/これは私たちが学生さんから直接聞いたお話。これが事実だとすれば大変問題だ。先ほども学生さんのお話聞きながら反映してきたというお話あったが、引き続き、学生の皆さんの声をしっかりと受け止めて対応していただきたい。
これは答弁は求めないが、昨年度議論された「A棟6階7階の学外連携・政策連携スペース」について、ここには研究機関や民間事業者が入るが、わが党は「大学なのだから、学生がきちんと学び、活動し、成長できるそういうスペースが基本であるべきだ」と指摘してきた。学生さんからも「そんなスペースがあるならなぜ学生のために使えなかったのか」との声もある。同じく昨年度議論された将来活用地4000㎡(所管は総合企画局)もあった。音楽学部の学生の声で「音楽や芸術に打ち込んでいても行き詰まったり悩んだりする時がある。そんな時、気軽にキャッチボールできるような場所があれば気分転換ができ、活動の力になる」とのこと。自由に運動ができる場所、気軽に体を動かせる場所があることが非常に大事で、「芸大だからそういうものは必要ない」ということではなく、「そういうものが音楽や芸術活動にとっても非常にプラスになる」ということをおっしゃっていた。私はやはり学生のためのスペース確保、芸術・音楽活動により打ち込める環境の充実のために、今後もぜひ力を尽くしていただきたい。求めておく。
マイナンバーカードの普及促進について
◆やまね/次に、マイナンバーカードの普及促進についてもお聞きする。昨年度は約18億1300万円の支出。平成27年度以降、今年度予算も含め「マイナンバーカードの普及促進」には総額でいくら使われたのか。そのうち市の一般財源はいくらか。
(→臼山・マイナンバー業務改革推進担当部長)平成27年度の制度発足当初から令和4年度決算までで総額73億4717万円。そのうち(京都市の)一般財源は10億 6769万円を支出。令和元年以降、会計年度任用職員の人件費等の補助対象経費拡大とともに、国の補助金が増額されたことにより一般財源の支出が少なくなっている。
◆やまね/私たちがいただいた資料によると、令和5年度、今年度予算も含め総額約92億円以上、市の一般財源は約13億円にのぼる。個人資料でいただいたが、支出の内訳を見ると、駅前や商業施設等で行われた「出張申請関係」窓口に、コロナ禍の2020年度(令和2年度)以降だけで12億円以上使っておられる。保健所体制がひっ迫し、各区役所からも応援体制を組み必死で対応せざるをえなくなっている時、しかも「財政危機」が叫ばれている時、福祉施策を削っている時に、マイナカードの普及促進にそれだけの人員や予算を投じることは大変疑問。
今年2月21日には、下京区内の出張申請窓口で「申請書に別人の写真を貼り付けた」事案が発生した。約1か月後送られてきたカードをご覧になられたご本人から「顔写真が異なる」と申し出があり発覚。この原因について、委員会答弁で「申請書に貼り付ける写真の本人確認を委託業者がしっかりできていなかった」「本市の会計年度任用職員も申請書と本人確認書類との照合ができてなかった」とのこと。その後、チェック体制など強化されているかと思うが、結局のところ、委託事業者はどういった項目・情報をチェックするのか、そして京都市の職員はどういった項目・情報をチェックするのか、これがちょっと分からない。ただこれはきちんと決めていると思うので、それが分かる資料をぜひ提出いただきたい。
(→臼山・マイナンバー業務改革推進担当部長)資料のほう提出させていただく。
◆やまね/よろしくお願いする。G7の国々で、ここまで個人情報を1箇所に集中して管理している国はない。個人情報保護の観点から重大な問題があるため。要求資料でいただいたが、今年の6月以降、マイナカードの返却状況と主な理由についても集計されている。6月9日~8月末までの期間に、京都市でも本人の希望に基づく自主返納が170件。その理由は「マイナンバー制度に対する不信・不安96件」「使用しないため・必要ないため40件」等々。国民の信頼を失っているマイナンバーカード普及促進に巨額の税金を投じることはやめるべき。改めて申し上げておきたい。
いきいき市民活動センターについて
◆やまね/最後に、いきいき市民活動センター(市内13カ所)について。議員団要求資料によると、コロナ禍・料金値上げ前の2019年度(令和元年度)と昨年度を比較すると、利用件数は減っているが、利用料金収入は大幅に増えている。それだけ利用者のみなさんの負担が増えたということ。この夏に文教はぐくみ委員会の他都市調査で福岡市を視察し、大変印象的だったのは、福岡市では、学校施設の開放や子育て支援のイベントの際、小学校単位にある公民館、そこに配置されている市職員が大事な役割を果たしていること。住民の身近なところに、無料・低料金で使える公共施設(京都市ではいきいき市民活動センター)があることが、地域の活性化、子育て支援、スポーツ振興など、行政の施策にも大変重要な役割を果たしていると感じているが、この点の認識はいかがか。
(→平井・地域コミュニティ活性化・北部山間振興部長)いきいき市民活動センターは、元々コミュニティセンター廃止後の施設を有効活用しようということで、市民の自主的な活動を支援する施設として設置されたもの。(利用)件数、転用前と比べると昨年度でだいたい3倍くらいには増えている。令和4年度の料金制導入後も好調に利用されていると認識。
◆やまね/市民のみなさんが自主的な活動で利用されているいきいき市民活動センターが、将来的には廃止方針となっている。そのために老朽化改修やバリアフリー化が行われていない。しかしいまお答えいただいたように、いろんな形で利用されている。ダンス教室、音楽サークル、まちづくりに関わる会議など、住民・市民のみなさんの自主的な活動で利用されている大切な場所。それを今後も存続させ、もっと使いやすいように、老朽化改修、耐震化、バリアフリー化、これをやっぱり進めるべきではないか。いかがか。
(→平井・地域コミュニティ活性化・北部山間振興部長)こちらについては、あくまでも旧コミュニティセンターの施設を有効活用するということで、「いきいき市民活動センターのあり方の基本方針」で示した通り、長寿命化・建て替えなど大規模な改修は行わないことを前提としている。日々の小さな修繕、緊急的な雨漏り等は順次改修しながら進めている。
◆やまね/本当にね、もう少し子育て支援とか、人口減少の問題を考えるんだったら、やっぱり今の方針を転換させるべき。今でも小学校区単位で公民館があるわけではない京都市で、いきいき市民活動センターまで廃止する方針そのものが間違っている。住民が気軽に使える公共施設や公園が京都市は大変少ない、それが子育てしにくい、暮らしにくい、人口減少にもつながっているのでは。改めてこの分野での京都市の公共的な責任を求める。
2023年10月6日【決算特別委】文化市民局/芸大移転整備事業、マイナカード、いきいき市民活動センターについて
(更新日:2023年10月06日)