◆やまね/私からは学童クラブ事業についてお聞きしたい。昨年度事業も含め、今年4月に京都市は「12年連続となる学童クラブ事業待機児童ゼロを達成」と発表。「保育所等10年連続かつ学童クラブ事業12年連続ゼロ達成は指定都市唯一!」ともアピール。ただ、京都市の言う「待機児ゼロ」「子育て環境日本一」「子育て先進都市」とのアピールと、子育て世代のみなさんの実感には相当なギャップがあるのではないか。京都市の言う「待機児ゼロ」とは国基準で見た場合の話。そこで改めて確認したい。①待機児童とカウントされないのはどういうケースか。②いわゆる「潜在的待機児童」については毎年きちっとカウントされているのかどうか。
(→塩山・子ども未来部長)学童クラブの待機児童についてのご質問。学童クラブについては、基本的に利用のお申し込みをいだいた方については、それはお受けするというふうな形で対応させてもらっている。職員を配置したりとかスペースを確保したりというような形で対応させていただいているので、基本的にはその待機児童と言うか、そういったことはないというふうに認識している。
◆やまね/「申し込みを受け付けているから基本的にはないんだ」というお話だが、私の地元伏見区、藤森学区のように小学校区に児童館がない学区もある。こういうみなさんは、例えば、隣接する学区の遠い児童館に通っておられる、こういうケースもあるし、「祖父母に無理を言って面倒を見てもらってる」という方もおられる。あるいは、児童館のある地域でも、「あまりに子どもの数、登録児童数が多くて、本当は通わせたいけれどもやめとこうかなとなってしまった」とか、あるいは「途中までは行ってたけどやっぱり子どもが多すぎてうまく遊べないのでやめざるをえなかった」、こういう方々もいる。そういったみなさんにとっては、京都市が「国基準での待機児ゼロ」をアピールすればするほど、「京都市には自分たちの存在は見えてない」「見えているけど無視されているんじゃないか」という気持ちになるのではないか。なので、やはり本当は通わせたいけれども申し込みをそもそも諦めてしまっているようなケース、こういうものについてきちっと実態をつかむ努力をしていただきたい。
2013年(平成25年)4月に「一元化児童館130館の整備目標を達成」となっているが、①そもそも「一元化児童館を130館整備しよう」という目標・計画はいつ策定されたか。②2014年(平成26)年12月の京都市放課後対策事業検討会議の摘録では「留守家庭児童数は年々増加しており、平成26年度には1万人を超え『学童クラブの大規模化』が課題となっている」とも言われている。京都市として留守家庭児童の数は毎年把握されているか。近年の数字はどう推移しているか。
(→塩山・子ども未来部長)まず1点目の130館を整備目標としたプランについてだが、それについては平成17年に策定した「新・京いきいきプラン」のほうに「130館」というのを掲げて整備を進めてきたということ。
もう1点の留守家庭児童、これは教育委員会が把握してる数だが、そちらについては私どものほうも把握をさせていただいてるという状況。
◆やまね/少なくとも、児童館130館整備した時点(平成25年)で9000人ほどだった学童クラブ事業の登録児童数は、令和5年、今年の4月1日時点では16000人超。申し込みされていない方はこれ(登録児童数)より多い数だと思うが、1.7倍以上に学童クラブの登録児童数がこの間増えている。それでは同じ期間、「130館達成した」という平成25年から令和5年までに、児童館や学童クラブの施設、事業としては、どれだけ増えているか。
(→塩山・子ども未来部長)プランのほうで、児童館については130館整備、これは終わったということで、その後の、今の現行のプランで申し上げると、学童クラブについては「ニーズを見極めながら小学校区単位で確保していきましょう」ということを申し上げている。その部分で申し上げると、新設をしたのは学童保育所で1箇所という形になっている。子どもの数がずっと増えてきているので、そこの部分に関しては、施設外クラスというような形で約50箇所ほどこの間確保、学校の教室を中心に確保してきているという状況。
◆やまね/「学童では1箇所、施設外クラスとして50箇所ほど」とのこと。私はやはり先ほども少し冒頭申し上げたが、この京都市の言う「待機児童ゼロ」というのは、やはりあくまで国基準であって、実際にはカウントされていない人たちがたくさんいる。さらに申し上げれば、新たな児童館や学童保育が設置されたという箇所はほとんどない。施設外クラスで対応されてるということだが、つまりその多くが、登録児童数が大規模化していくことによって吸収されている部分が相当あるのではないかというふうに思う。
そこでもう少し認識をお伺いするが、厚生労働省所管「放課後児童対策に関する専門委員会」(令和5年2月8日)での議論では、放課後児童クラブの課題と施策の方向性について「待機児童数等、人数や量の話だけでなくこども達が楽しめているかという点も重要」「集団の規模が大きくなることで、こどもが決められたプログラムの中で生活するようなことになりがちである。こどもが負担に思うことなく過ごせる環境づくりが必要」「児童館内の放課後児童クラブ利用児童が増加し、他の自由来館のこどもが利用しづらい現状も否めない」などの点も指摘されている。そこでお聞きしたいのは、「大規模化」というのは、もう少し是正されるべきものではないか。この点のご認識はどうか。
(→塩山・子ども未来部長)学童クラブの部分についてだが、今のプランのほうに、「児童の安心安全を考えた時に、学校の教室を使う」という方針を出させていただいており、それに基づきこの間確保してきたところ。規模は大きくなっているが、子ども1人あたりの面積基準、それは1.65㎡確保して るということ、あと概ね40人で1クラス編成させていただいて、職員を配置してるということで、支援の部分に関しては、しっかりと対応していける体制を確保して実施してきているという認識。
◆やまね/「40人で1クラス編成している」「しっかり対応できている」というお話だが、いくら施設外クラスをたくさんたくさん増やしても、こういう児童館、学童、1つのものとして大規模化していくということでは決して解決しないのではと思っている。
現場の実態はどうか。登録児童数が200名前後の児童館職員さんのお話を紹介したい。「とにかく人が多すぎて全体を見ないといけない。雨の日は逃げ場がない」「鬼ごっこやドッジボールも数人でやるようなスペースで行う。ドッジボールではボールをよける時に人にぶつかる。ヒヤヒヤしながら遊ぶ。子どもたちはどう思っているか」「遊具にも子どもたちが群がるような状態。危ない時もあるので『ちょっと降りようか』と声をかけたり、注意をするために自分がいる。一緒にさあ遊ぼうとなれない」「ワーという周囲の音が苦手な子どももいる。外へ行きたくなる子もいるが1人で行かせるわけにはいかない。部屋の中で宿題ができず泣き出してしまったりする。子どもとしては当たり前の反応なのに、『今日はみんなわがままだな』と感じてしまう自分がイヤになる」「以前施設を増設した時点の登録児童数が80人くらいだった。施設規模としてもう限界ではないか」。こういう率直なお話。これが「40人でクラスを編成している」「施設外クラスをつくってやってる」という中でこういう実態がある。これは「子どもたちにとって最善の状況」と言えるか。
(→塩山・子ども未来部長)児童の健全育成をしっかり図っていくというのは、私どもとしても学童クラブの中で非常に大事なことだというふうに認識している。そういった中で今、ちょっとくり返しになるが、一定のその面積要件であるとか、職員の配置基準というのを、条例のほうに決めさせていただき、それをしっかりと遵守してきてるというのが私どもとしては取り組んできたところ。
◆やまね/基準を遵守するのは当然のこと。私がいま紹介したのは、現場の学童の指導員さんの切実な声だ。「なかなか子どもたちと、本当に1人1人に向き合って遊んであげたい、色々目の届くような指導、学童やりたい」と思っているけれども、それができない現状がある。これについてどう思われるのかをお聞きしたい。いかがか。
(→塩山・子ども未来部長)学童クラブ事業に関しては、現場の支援の方というのは、本当にいろんなご苦労があるというふうに認識しており、私どもも、これはできる限りの中での範囲だが、支援をさせていただいてるという状況。
◆やまね/今言っていただいたが、本当に大変なご苦労が、運営者さん、あるいは現場の指導員さん、あると思う。
最後にもう1点お聞きしたいのは、我が党の河合ようこ議員が代表質問で指摘したように、40人を1単位とするクラス編成について、京都市は児童の平均出席率(過去3年間の実出席率の平均値)をもとに算出しているということだが、仮に登録児童数をもとに算出すると、現状より112クラス多く、配置される指導員は224人多く必要となる。本来なら子どもたちのためにそれだけのクラスや指導員が配置されるべきだと思う。そこで、クラス編成について政令市の状況を教えてもらいたい。他都市も京都市と同じやり方で算出されているのか。それとも登録児童数をもとにクラス編成をしている自治体もあるのか。
(→塩山・子ども未来部長)ちょっとしっかりとした資料として取りまとめているものがないので、はっきりお答えすることはできないが、京都市と同じようなやり方をしているところもあれば、登録児童数でやってるところもあるかもわからない。
◆やまね/そしたらぜひ資料を要求したいと思う。「登録児童数をもとにクラス編成をしている自治体もあるかもしれない」とのことなので、政令市の状況について資料要求したい。学童クラブ事業のクラス編成について、登録児童数をもとにしている自治体、平均出席率をもとにしている自治体、その他のやり方、それぞれについてまとめていただきたい。
最後にこれは答弁は求めず申し上げておくが、「行財政改革計画」のもとで行われた「学童保育利用料の値上げ」「応益負担導入」などについては、本当に市民のみなさんから様々な声が寄せられている。「コロナで生活が大変な時になぜ値上げなのか」「子育て世代の負担増でますます京都市が子育てしにくくなる」「毎日の生活で節約したお金が一気に吹き飛んでしまう」など、切実な声があるが、こういった子育て世代のみなさんへの負担増については撤回をぜひしていただきたい。このこと強く求めて終わる。資料要求だけお諮りを。
(→塩山・子ども未来部長)(*学童クラブ事業のクラス編成における各政令市の算出基準の資料について)提出させていただく。
2023年10月10日【決算特別委】子ども若者はぐくみ局/大規模児童館・大規模学童の解決を
(更新日:2023年10月10日)