学生ファーストで市立芸大のグラウンド確保を(2023年10月20日/決算特別委・市長総括質疑・やまね)

◆やまね/市立芸大移転整備事業について。「学生ファースト」「教学環境の向上」が何より重要との立場から質疑する。現役の芸大生の方から、①「新キャンパスの屋上グラウンドで球技ができないと大学側から通達されたのは今年度に入ってから」、②「部活のボックスも仕切りの無い大部屋で、大学側からは『どう使うかは学生同士で話し合って』と言われた」とのお話をうかがった。これらの点は事実か。

(→門川市長)京都のど真ん中に設置。建物の床面積は39000㎡から64900㎡へと1.65倍となった。議論を重ね最高の条件をつくった。グラウンドについては、1階は創作スペースとし、グラウンドは屋上に持っていったほうがよいと、H26年1月の「基本構想・基本計画」作成にあたって関係者にも話し、H27年には大学が学生にその都度説明をしている。部活については、クラブ、同好会の毎年の変動が激しいため、大きな部屋で学生たちが相談しながら自由に組み立てようということにし、固定したものはつくっていない。大学当局と相談しながら創造的につくっていくのがよい。

◆やまね/とんでもない話だ。「学生の声を聞いて教学環境の向上に努めてきた」というならどうしてグラウンド、部活のことで困っておられるのか。市はこれまで「基本設計等の段階で大学機能は確保」とくり返し答弁してきたにもかかわらず、実際には学生のためのスペースがきちんと考えられていなかったということ。300億円以上かけた移転整備の結果、これまでできていたことができなくなるなど大問題。

この問題は今分かった話ではない。移転方針発表後の2015年時点で、ラグビー部・サッカー部関係者のみなさんを中心に、市長と学長宛ての要望署名が提出されている。内容は「移転先にクラブ活動実施に必要な運動施設(体育館・グラウンド・テニスコート等)の建設」を求めるもの。ネット署名も含め賛同者は2200名超と聞いている。この要望署名について、市長はきちんと読まれたのか。当時どう受け止めたのか。

(→門川市長)学校当局と市役所が話し合ってきた。例えば代替グラウンドの利用については、美術教育後援会が公募していこうと大学が通知しており、申込期限は8月末としていたが申し込みがゼロ。10月末まで期限を延期してようやく2つのクラブから申し込みがあった。大学として関係機関と連携して、同窓会などの支援を受けながら、教育条件の維持向上・飛躍のために努力されている。

◆やまね/質問に答えていない。後援会の皆さんは、やむにやまれずやっている。大学も、京都市もやらず、自分たちでお金を出しておられる。2015年の署名をどう受け止めているか答えていない。

新キャンパスの隣には「将来活用地」と言われる4000㎡の土地があり芸大が活用予定だった。ところが市は「規制緩和で高い建物が建てられるようになった」として「民間活用」へ方針転換。さらに、大学の建物内(A棟の6階7階部分)にも外部団体や民間企業を呼び込んでいる。学生さんからは「民間企業を呼びこむスペースがあるなら、なぜ学生のために使えなかったのか」と怒りの声。当然のもの。グラウンド確保について、局別質疑で文化市民局は「大学側と協議し適切に対応してまいりたい」と答弁。一定対応を考えていると思う。市長自ら「グラウンドや部活ボックスのスペースを確保し、これまで通り部活ができるよう約束する」と学生のみなさんへ明言していただきたい。

(→門川市長)大学当局と、市役所の担当部局が常に丁寧にやっている。当地は、交通の便のよいところでスポーツができるところが確保できる見込もある。大学当局はテラスのような、開かれた大学、あるいは十字路といっている、そのような中、規制が20mから31mに、高く建てたほうが教育機能としてよい、ということで取り組んでおり、そんな中グラウンドは上の方がよいと検討されてきたもの。予算の中に学外連携スペースを確保する、同時に将来活用ということで、大学を卒業されたら創作活動をしながら下宿ができるスペースも大学に隣接したらいいのではないか等々、将来活用地の活用を民間から公募して、このたび大阪ガスと龍谷大学と京信などのグループによって提案された。大学の理念に基づくものであるとご理解を。

◆やまね/グラウンドの確保、部活のボックスの確保ができるのかと質問した。答弁になっていない。残念だ。

学生生活支援について。昨年6月補正で1億100万円、大学を通じた初の経済的支援が実施された。奨学金・授業料減免制度の実施(14大学)、教材費購入補助(8大学)、学用品等の支給・貸与(5大学)、家賃補助(6大学)、コロナ感染症対策物品配布(7大学)など。額や規模は不十分であるが、京都市がこれまでやってこなかった、学生への経済的支援にふみだしたことは大きい。学生のみなさんが抱える生活困窮、高い学費や奨学金返済の負担は、コロナ以前から深刻な問題。京都で学ぶみなさんの学生生活を支える予算を増やし、補正予算で実施された内容が恒常的にできるようにすべきだ。

(→門川市長)昨年度補正は臨時交付金を有効活用した臨時的なもの。評価をいただきありがたい。

京都の高校生は半分が京都府外の大学に行かれ、大学生の8割が京都市外から。市民の税金でやればどれだけかかるか。全国から来た方に税金を出し、京都から全国に行かれた方には出さないのか、とおかしなことになる。こういう大学生支援は国が責任を持ってやるべきもの。この間、国も充実させてきた。国の高等教育就学支援制度R5年度5311億円。本市の学生数で算すると270億円規模となり、本市独自に進めるには桁外れの費用がかかり、制度上無理だ。

◆やまね/いま東京・大阪・兵庫などで公立大学の入学金や授業料の無償化を目指す動きもある。京都市立芸大の入学料収入は1億3072万円(R3)、授業料収入は5億6124万円(R3)だが、先ほど自治体では無理だと答弁があったが、「京都市から高等教育無償化の流れをつくる」という姿勢こそ求められる。学生生活支援の充実を求める。

最後にジェンダー平等推進について。京都市は昨年度、ウィングス京都の民間活用について、「飲食店」「学習塾」「オフィス」などの活用事例をわざわざ示し、民間企業へアイデア募集。活用対象の範囲には「図書情報室」「相談室」「子どもの部屋」「京都若者サポートステーション」など極めて公共的性格の強い場所、女性支援のためのスペースも含まれている。女性支援新法もできたもとで、ジェンダー平等を推進する拠点施設を、営利企業の活用対象にすること自体おかしい。専門機能の縮小・後退につながりかねないアイデア募集を行うなど、公共の責任を投げ捨てるもの。それだけでなく、行財政局が恒常的に公開する「貸付等による活用方法の検討を進める市有地一覧」リストに、ウィングス京都が掲載されている。ウィングス京都の今後については今も「あり方を検討している」と答弁しているが、今後のあり方が決まっていない段階なら、少なくとも「民間への貸付、活用検討を進めるリスト」からは外すべきではないか。

(→門川市長)学生支援については、大学と連携した「ふるさと納税」の活用をすすめている。29の大学、短大に広がった。昨年度1億4800万円を超える寄付が寄せられた。

ウィングス京都は、男女共同参画の拠点となる大切な施設。同時に、将来にわたって公共サービスを維持向上させる、新たな価値を付加していく、便利な場所にある、そして男女共同参画の取り組みの情報を発信していく、その施設が多様な使われ方をする、様々な社会課題解決のために。そのことが男女共同参画の取組にプラスになるということも言われている。サウンディング調査もし、複数の事業者から様々な提案をいただいている。機能を発揮し、より魅力ある施設として、かつ施設も劣化し、巨額のコストもかかる。大きな財政負担をかけずに機能を維持・向上させていける、そういうことも含め総合的に考えており、ぜひ、いい提案が採択されるようにと願っている。

◆やまね/「あり方を検討する」なら、ウィングス京都の機能・体制を充実・強化する以外にないではないか。そこが定まっていないことが大問題だ。京都市は「行財政改革計画」のなかで、ウィングス京都を「存廃を含め検討」する施設の一つにしているが、このこと自体、京都市の見識が問われる問題。

昨年度末(3月30日)に開かれた京都市男女共同参画審議会の中でも意見が相次いだ。「国の『男女共同参画センターの機能強化』というのは、男女共同参画事業そのものを、いかに強化していくかということ。一方サウンディング型市場調査は、財産価値として有効性を発揮していこうというもので、趣旨目的からすると違うと考えざるをえない」、「ウィングス京都は非常に立地もよく、関西圏の男女共同参画の中心的な存在になりうる」、「サウンディング型市場調査の対象エリアが広範囲に渡っており、心配される市民の声が届いている」など。審議会会長が最後に強調したのが「SDGsのなかに『ジェンダー平等の実現』という目標があるが、17の目標の一つではない。ジェンダー平等実現が、全ての課題の目標達成に欠くべからずテーマと明確に書かれている。京都市の条例においても『国際的な取組に沿う』との記載があるため、今後も国際スタンダードに沿って、京都市の男女共同参画を推進していただきたい」と述べておられる。重く受け止めるべき。専門職員の配置・待遇改善、非正規ではなく正規職員配置などを行い、その機能を充実・強化していくことこそ求められる。

2023年10月20日【決算特別委】市長総括質疑

(更新日:2023年10月20日)