一部のイベントに億単位の予算、少額支援は多数落選、「文化芸術支援」はこれでいいのか!?(2023年9月22日/予算特別委・文化市民局・やまね)

◆やまね/よろしくお願いします。私どももですね、民間企業さんが文化芸術支援のために寄付をおこなわれること、そのものはもちろん否定しておりません。社会貢献の一つとして当然あり得ることだと思っております。で、ただ、これまでも議論をさせていただいてきたんですけれども、行政がこのやり方に特化していくということになりますと、例えば、寄付が集めやすかったり、あるいは企業に認められる事業ほど、支援されていくということにならないのかどうか。

それでですね、例えば、京都には、伝統産業から現代アート、音楽、それから劇団の方までですね、色んな分野で様々な文化芸術関係者おられるわけですけれども、中には先ほどもお話がありましたけれども、簡単にはお金に換えられない、時には目立たない、こういう仕事もあると思うんですね。で、そういう文化行政の仕事というのはですね、まさにそういった人たちをいかに支えていくのか、そして市民のみなさんの文化活動を保障するかっていうところにあると思うんですが、この点のご認識、まず改めて伺っておきたいと思います。

(→平賀・文化芸術都市推進室長)文化芸術活動、経済的におこなっていくことが困難な状況というのは現実ある中で、こういった形で、例えば「Arts Aid Kyoto」というものを運用させていただいております。で、この仕組みは、単なる支援という、もうその単体の要素ではなくてですね、アート・エコシステムと我々提唱しておりますけれども、こういったその寄付をいただく潮流をいかに作っていくか。そのためにその文化芸術活動について、どうやって市場とつなげていくかですとか、活性化を図っていくかとか、あるいはその拠点を確保していくか、こういった観点で、その循環をしていくような形を最終的には目指している、その中でその芸術家への直接的な支援ということでArts Aid Kyotoをさせていただいておるわけです。

で、芸術活動をおこなう方、様々にあのご事情あると思いますし、そういったご事情については、芸術センターのほうに置いております文化芸術の総合相談窓口でお受けをし、適切なご案内をすると同時に、今どういったことでお困りなのかということについても、適宜把握をする、そういった中で継続的な文化芸術活動の支援につなげてまいりたいというふうに考えております。

◆やまね/今「循環していくことを最終的に目指していく」というお話ありました。で、例えばですね、この「寄付額の3割は京都市の基金に入って他の文化の事業にも使われる」ということですよね。そこで改めて、この先ほども少しあったんですけど、Arts Aid Kyotoの実績について確認しておきたいと思うんですが、あの寄付額は先ほどお話ありました(※自民・むくだ議員への答弁「R3年度5000万円、R4年度2億円、R5年度4億円ほど」)。それで、例えばこの令和3年度に始まって以降ですね、「通常支援型」と「事業認定型」でですね、ちょっと事前にお聞きしましたので、この数字で間違っていないかどうかだけちょっと確認していただきたいんですが。

例えば、通常支援型はですね、令和3年度に申請が83、採択が37、その時の交付額が1104万円と。それから令和4年度はですね、申請が210、採択が22、交付額が1032万円と。で、令和5年度今年度ですけれども、申請が216、採択が48で、交付額これからですけれどもだいたい1000万円程度ということをお聞きしております。

それから事業認定型については、令和3年度が採択されたのが7で、実際は1つ寄付金集められなかったということなんですけども、交付額は1158万円。それから令和4年度がですね、採択が7で交付額として 1億5074万円。で、今年度令和5年度は採択が8、交付額はこれからということなんですけども、この数字でまず間違いなかったかどうか、いかがでしょうか。

(→平賀・文化芸術都市推進室長)はい、今ご紹介いただいた通りの実績でございます。

◆やまね/はい、それでですね、昨年度の9月議会でもこの補正予算審議をしていたと思います。で、この時は、東京渋谷区の株式会社ネイキッドがおこなうイベント「NAKED GARDEN ONE KYOTO」に対して、三菱UFJ銀行から1億7600万円の寄付見込額があり、1億2400万円の補正をされているということなんですけれども、今回も対象事業としては「NAKED GARDEN」というふうにお聞きしてますが、今回は寄付された企業さんは名前は公表されていなかったんでしょうか。

(→平賀・文化芸術都市推進室長)はい、ご意向になるかと思いますが、大きなご寄付をいただいているということは同様でございまして、はい、あのサポートいただいているという形でご紹介されております。はい。

◆やまね/企業名は公表されていないということですかね。

(→平賀・文化芸術都市推進室長)金額はあの公表されてませんけれども、企業名は公表されていたかというふうに承知をしております。

◆やまね/それで私ちょっとこれ実績を見てですね思ったのは、事業認定型の交付額についてはですね、令和4年度は1億5074万円、先ほど私が言った数字で間違いないということなんですけども、これ額だけ見ますとね、事業認定型による支援実績の大部分がですね、ネイキッドになってるんじゃないかということなんですよ。で、一方ですね、通常支援型での支援実績というのは、昨年度と今年度、200を超える申請ということで、これ本当にそれだけニーズがある、これは文化市民局のみなさんがいろんな広報もされてですね、頑張っていただいた結果もあると思うんですけど、ところが200ほどの申請があるにもかかわらず、採択は今年度でも50にも満たないということで、これ例えば通常支援型の場合、実に去年は1割程度、今年度でもですね、4分の1ほどになってるわけですけども、これは、それらの事業は、「市として採択するに値しない」ので落とされてしまったのか、それとも「予算の都合で泣く泣く、本当は支援してあげたいんだけれどもできなかった」のか、これどちらなんでしょうか。

(→平賀・文化芸術都市推進室長)はい、通常支援型につきましては、予算の範囲で実施するということですので、予算額を念頭において審査をし、順位付けをおこなって、採択・不採択を決定させていただいております。

◆やまね/ですから、中身の良し悪しというよりも、やはり予算の範囲内で順位付けをおこなったっていうことだと思うんですよね。私そうしますとね、やはりこの大きな企業さんが関係するような、あるいは特定の事業には、億単位の予算が組まれるわけですよね。これは京都市の一般財源がどうとかっていうことじゃなくて、これは京都市の予算としてそういう予算組まれている。で、少額の支援を求める方々が多数落とされてるってことがやはり現状ってこと考えますと、で、文化財保護の予算も年々減らされてきた。私は現状はですね、とてもこれ幅広い支援がおこなわれているとは言い難いんじゃないかと。で、このやり方で本当に京都の文化が持続可能なものになるのかどうかっていうことを今思っておりまして、せめて、各年度この1000万円程度にとどまってるこの通常支援型のですね、枠組みをもっと広げることできないのか。先ほど残りの3割9000万円、今回ですね、9000万円ほどになると思いますが、これ他の事業に回すってことおっしゃいましたけれども、それだったらもっとこの通常支援型、もっと少額の支援でもいいからやってほしいというこのみなさんの声にですね、応えることができないのか。この通常支援型の件数や予算的なものですね、抜本的にこれ増やすことができないんでしょうか。いかがでしょう。

(→平賀・文化芸術都市推進室長)はいあの、Arts Aid Kyotoでございますけれども、いただいた寄付を原資に、芸術活動を支援し、また、我々の文化政策を充実させていくということでございます。で、先ほど来、事業認定型の企業・事業者に対するその 寄付が手厚すぎるんではないかと、それと対比する形での通常支援の拡充を求めると、いうようなお尋ねでございますけれども、そのまず寄付を獲得されるその認定事業者のご努力には当然直接的に報いる必要もございますし、はい、それに応じた支援という形でさせていただいております。で、一方で、それだけではなく、そういったチャンネルを持たない方、なかなかその活動難しい方を対象としたものが通常支援型でございまして、これはそのいただいた寄付金、その3割は施策に活用するというふうに申しておりますけれども、その政策に活用する3割の部分もまあ一部当てながら、その通常支援の予算額を確保してきている。様々な厳しい状況ございますけども、4年度と同様の予算規模を今回も確保しているということでございますので、我々といたしましては、先ほども申し上げましたとおり、その100万円の枠と10万円の少額の枠も今回あらためて設けさせていただきました。少しでも多くの方にその支援がお届けできるような形で改善も図ってまいりたいですし、様々な切り口で引き続き意見を伺いながら、持続可能な形にしていきたいと、このように考えております。

◆やまね/今言っていただきましたように今回ですね、昨年20件ほどだったのが48件に増えてるわけですから、文化市民局さんももうちょっと支援を受けられる事業者を増やしたいということの表れだと思うんですよそこはね。ただやはり、私ね、この予算額から見れば、やっぱり普通に見た時にね、ちょっとこれはいびつなんじゃないかなと思うんですね。この予算額だけで見たら、何億円ものお金が大きなイベントには組まれていると、しかし、少額の補助を求めておられる様々な文化芸術関係者のところにはですね、たくさん選定から漏れて支援受けられない方がいるっていうことはね、これやっぱり今後考えていただく必要があるんじゃないか。

やっぱりこの仕組みによってですね、本予算のほうが、文化芸術の予算が削られるというようなことがあってもならないし、やはり私は文化行政の役割というのは、寄付に頼るということではなくて、きちっと、お金が単純には儲からないところでも、光の当たらないところでも、きちっと支援をしていく、市民のみなさんの文化芸術活動を支えていく、このことにこそ値打ち、仕事があると思いますので、ぜひともそういう姿勢で頑張っていただきたいと求めて終わります。

2023年9月22日【予算特別委】文化市民局/補正予算「京都・文化ファンドレイジング戦略推進事業2億4000万円」

(更新日:2023年09月22日)