マイナカードを使ったコンビニ交付サービスは立ち止まって検証を(2023年5月19日/文教はぐくみ委・文化市民局・やまねの質疑メモ)

◆やまね/(印鑑登録証明書交付をコンビニ交付サービスでできるための条例改正について)他都市の状況を教えていただきたい。すでに先行しておこなっている自治体が数多くあるのか。まだ様子を見ているようなところもあるのかどうか。もし分かれば政令市の状況など。

(→臼山・マイナンバー業務改革推進担当部長)今回、印鑑証明に関して、コンビニ交付サービスでスマートフォンに機能が搭載されて出力できるようになるというサービスだが、国のほうで「年内にスタートする」ということは示されているが、具体的にいつからということが示されていないので、自治体によって、2月に条例改正されたところ、大阪市はそう聞いているが、それ以外の身近なところだと神戸市はまだいつ条例改正するか決めておられない。そういった状況は聞いている。

◆やまね/神戸などはまだやっていないとのことだが、その理由としては「まだいつ始まるか分からないから」と。例えば京都市も、もう少し様子を見るということにならないのか。いまマイナンバーカードのコンビニ交付サービスでトラブルも起こっているので、そういうことは検討されないのか。

(→臼山・マイナンバー業務改革推進担当部長)他の自治体によって開始したところ、まだこれから検討するところ、分かれているところはあるが、本市としてはサービスの開始時期が決まった段階で速やかに対応できるように、本5月市会で提案させていただくこととした。

他都市においていま、富士通Japanが開発したコンビニ交付システムで、他人の証明書が出るという障害が起こっている状況は承知しているが、本市においては別業者のシステムを使用しており、他人の証明書が出るような、他都市のような状況はないということを確認しているので、特に今のところ心配しているような状況ではない。

◆やまね/いま富士通Japanのトラブルの問題、少しお答えいただいたが、マイナンバーカードによるコンビニ交付サービスについては、「他人の証明書が発行される」、こういう問題が全国で相次いでいる。横浜市・川崎市・東京足立区、他人の住民票が交付されるなど。新潟市・さいたま市・熊本市では抹消したはずの印鑑登録証明書が交付された。全国で起こっているのがマイナ保険証で他人の情報が紐づけられていたものが約1年で7300件以上。この点で認識をお聞きしたい。これは「不具合」などというレベルなのか。この間全国で起きている問題は「重大な個人情報の漏洩」「基本的人権に関わる事態」ではないか。この点の認識は。

(→臼山・マイナンバー業務改革推進担当部長)他人の証明書が出力されるとか、保険証の個人情報が他人の情報に結びつくとかいったような事象が起こっていること自体は、大変遺憾に思っている。それらに対しては、それぞれ、証明書に関しては富士通Japanとか、保険証の紐づけは保険者とか、国のほうで適切に対応していることと考えている。

マイナンバーカードはこれからどんどん便利になっていくものなので、そちらのほうを期待しており、当然個人情報の安全を守るのは第一だが、着実に進めていきたいと考えている。

◆やまね/やはり個人情報の漏洩は「遺憾に思っている」というお話あったが本当に重大な問題だ。京都新聞の社説が書いている。「多くの国民が不安に感じていた個人情報漏えいが現実となった。マイナンバー制度に対する信頼が大きく損なわれたと言わざるを得ない」「国民の懸念を置き去りにし『セキュリティー対策は十分』とカードの普及を強引に推し進めてきた。続発するトラブルを重く受け止めなくてはならない」「表面化したのは氷山の一角ではないのか」「たとえ人為的なミスがあっても、情報流出という最悪の事態が起こらないようにするのがシステム構築の基本のはず」「国民の不安を払拭するのが先ではないか。まずは立ち止まり、徹底した点検と再発防止策が欠かせない」。我々はそもそもマイナンバー制度そのものに反対だが、少なくとも今立ち止まる、検証することが必要だ。

5月9日、河野デジタル大臣が富士通Japanに対しコンビニ交付サービスのシステム一時停止を要請。京都市HPでは5月11日付で「デジタル庁から富士通Japanに対し、コンビニ交付サービスの一時停止を要請したと報道されておりますが、京都市では他社製品を使用しているため、影響はございません」とある。国は全国の自治体に調査依頼されたと思うが、京都市に来ているのか。京都市も調査をされたうえでこういう発信をされているのか。

(→臼山・マイナンバー業務改革推進担当部長)国からの通知に関しては、こちらのほうに届いている。調査に関しては、個別の、横浜とか他都市で起こった事象について、同様な事象が起こらないかどうかというのを事業者のほうに確認し、「それに関してはまずない」ということで返事をいただいている。ただ、河野大臣のほうからは「システム全体を見直す」という指示も出ているので、業者のほうでは「それ以外に何かないかということも含めて全体的な調査をおこなっている」と聞いている。

◆やまね/富士通Japanではないけれども、京都市が事業者に確認している。そして、事業者は「いま起こっている個別の事象は起こらない」と言ってるが、システム全体について改めて調査をされていると。そこでもう一つお聞きしたいのは、京都市としては事業者に確認しているとのことだが、市民のみなさんに対して「何かマイナンバーカードでのトラブルありませんでしたか」「今起こっている事例が起きていませんか」などそういう呼びかけはされていないということか。

(→臼山・マイナンバー業務改革推進担当部長)市民の方に直接何かトラブルがなかったかというようなお問い合わせはしておらず、何かマイナンバーカード等で不具合があれば、マイナンバーカードセンターのほうに市民の方から問い合わせ等入ると思っているので、そこらへんは大丈夫じゃないかと考えている。

◆やまね/やはり全体像つかむためには、京都市のほうからも、こういう全国で重大な事態が起こっているので、市民のみなさんに対しても呼びかけとか、トラブルが本当に起こってないかという発信も今必要じゃないかなと思う。マイナンバーカードをめぐっては保険証だけでなく、クレジットカードと紐づけた際に、いろんな消費者トラブル的な相談も寄せられている。ぜひとも実態をつかむような努力をしていただきたい。要望しておく。

5月16日には、鳥取県境港市・米子市、島根県安来市でも「コンビニ交付サービスが利用できない状態」が断続的に発生。これらの自治体は富士通Japanとは別の事業者と報道されている。だから「事業者が違うから大丈夫」という説明は、説明になっていない。先ほど「事業者に確認した」とおっしゃったが、富士通Japanのシステムで起きた不具合・情報漏洩の原因について、京都市はどこまで把握しているのか。なぜそれが京都市が委託する事業者では起こらないのか。その説明が必要。分かりやすい資料を出していただきたい。

(→臼山・マイナンバー業務改革推進担当部長)「京都市の事業者が大丈夫だよ」という資料を作るのは非常に難しい。現在富士通Japanが今回起きた事象について原因等を出している。あと、案件によっては図で書いているので、そういったものを取りまとめたものはお出しできるかと考えている。これらの資料に関しては、他人の情報に置き換わるという現象がまずあったので、「そのような現象は起きません」というところ。

さいたま・新潟・熊本で起こった印鑑登録を削除した方の印鑑証明が出たという事案については、元々の区から別の区に住所変更し、その後印鑑登録を抹消して元の区に戻ったというような方について起こるような事象だというふうに聞いている。その事象も本市においては起こらないことは確認している。

安来市等で起きている状況は、これはシステムに過度な負荷がかかったというところが原因であるような報道が出ている。過度な負荷がかかった時に、システムがどのような動作をするかというところに関しては、本市においても大丈夫かどうかというのは検証する必要はあるかなと思っているところであり、そこら辺が大丈夫かどうかというところは、今の現状では大丈夫というところは確認している。もし負荷が増大するようなことがあったら、システムの増強等対応してまいりたい。

◆やまね/最後の「もし負荷がかかったら分からない」ということは、そういう可能性、起きてしまう可能性はあるということになるのか。ちょっともう一度確認したい。

(→臼山・マイナンバー業務改革推進担当部長)システムの負荷がかかった時というのは、どのような状況が起こるかというと、他人の証明書を出すとかそういうことではなくて、システムの稼働がスムーズでなくなるというところで、システムが停まるというのはよくあるかと思うが、そのような状況に陥る可能性のことを申し上げている。

◆やまね/もうひとつ前に戻って、他人の情報や印鑑証明のことだが、「その現象は起きない」とおっしゃる。だったら、なぜそれが起きないのかというメカニズムを説明する必要があると思う。その資料が出せないのか。

(→臼山・マイナンバー業務改革推進担当部長)すいません、そういった専門家でないんで、そういった資料を作るのに大変時間がかかるかなというふうに考えている。

◆やまね/だからその辺がなかなか、市民のみなさんから見ても「本当に大丈夫なんだろうか」と、「現象は起きません」と言ってるだけでは、ちょっと説明としてどうなのかと思うんで、ぜひ事業者の方とも相談していただいて、なぜそれが大丈夫なのかということは、市民のみなさんが見ても分かるような形で、説明いただける資料を、この委員会でなくてもけっこうなので、今後がんばってつくっていただけないかと思う。求めておく。

あと一点だけ確認したいが、こういう事例があると心配なのはDV被害で逃げておられる方の情報が漏れるようなことがないのか。DV被害の方の証明書はコンビニ交付でなく役所の窓口で本人確認をしないと出せないと聞いているが、その場合「この方の個人情報をコンビニ交付では出せない」と最初の判断・仕分けの段階で、事務を委託している民間企業の方がその情報に触れるようなことがあるのかどうか。いやそれはちゃんと市の職員だけでやってますということなのか。

(→臼山・マイナンバー業務改革推進担当部長・)最初に図面の話からさせていただくと、ちょっと図面作るのにお時間かかるということで申し上げたので、口頭で簡単に説明すると、申請者の方が選択されてから、証明書印刷するまでが1対1の状況で処理されるという扱いになっているので、印刷情報だけが他人に置き換わるという仕組みにはなってないということ。

もう一つ、DVの方の証明書だが、住所が載るような住民票とか、戸籍の附票の写しとか、そういった証明書はお取りできないようにコンビニ交付ではなっており、窓口のほうで本人確認させてもらったうえで出させてもらっている。コンビニ交付等の証明書の仕組みに関しては、DVの方が、AさんBさん、誰が分かるかということでなく、その方の【サイン?】を判断し、証明書を出せるか出せないかという判断をしていることになる。その確認をする、そういう情報を取り扱うのは職員がやっているので、事業者の方がAさんBさんというのを特定するようなことはない。

◆やまね/やはり個人情報漏洩の問題は、本当にこれから重要なところ。今起こっていることはマイナンバーカードそのものの是非が問われる問題。京都市はこの間「コンビニ交付サービスが利用できるから」と、マイナンバーカード取得を強力に推進し、4カ所(嵯峨、岩倉、西院、向島)の証明書発行コーナーをも廃止した。京都市の責任も重大マイナンバーカード推進そのものをやめるべきだ。

2023年5月19日【文教はぐくみ委】文化市民局/付託議案「京都市印鑑条例の一部改正」

(更新日:2023年05月19日)