ふるさと納税に「大企業優遇」のカラクリ(2023年5月18日/予算特別委・文化市民局・平井良人議員とやまねの質疑文字起こし)

企業版ふるさと納税(人材派遣型)を活用した文化芸術の振興(700万円)

◆平井議員/よろしくお願いします。私からまずちょっと先ほどやり取りがあった部分、もう少し深く聞きたいんですけれども。今回のこの人材派遣ですけれども、協議で、HAPS(東山・アーティスツ・プレイスメント・サービス)が求めたものだと、人材を求められたということですけれども、HAPSが求める人材、どのような形で、どういう人を求めていたのか。この詳細な点を教えていただきたいと思います。

(→平賀・文化芸術都市推進室長)はい、HAPSでございますけれども、今キュレーターの遠藤さんをトップに、アートコーディネーターの方々に、事業運営を担っていただいております。で、まあ、HAPSと申しますより、本市からは、ええ、その、今回寄付をいただく事業者さんに対しまして、求める人物像というのを一定お示ししております。芸術文化に関する幅広い関心を持っている方、あるいは人口減少・少子化、空き家、ジェンダーバランス、そういった社会課題への意識を持っている方、それと、芸術家・文化関係者、あるいは、市民・企業・地域コミュニティ、こういったところをつなぐコーディネート業務に従事いただける方、ということでございまして、そういった方をHAPSにお迎えをしたいということで、相手方にはお伝えしているところでございます。

◆平井議員/これ、「芸術家の移住・定住促進に従事する担い手を派遣する」ということで、今回の議案が出されていて、そこに本当にしっかりマッチするのかっていうのは非常に疑問があるところでありまして、先ほど「(派遣期間)1年9か月」では「成果物も考えてない」し、しかも「どういう形になるか示せない」ということで、お答えされてたんですけれども、コーディネーター役で、本来ならば長年やってですね、形を作っていくっていうのが、まあどの事業をやる上でも必要だというふうに思うんですけれども。この短期間で成果も示せないということであれば、まあ成果っていう、何かこう作ればいいというものではありませんけれども、やっぱりそこの事業者とのマッチング、要は連携を考えるならば、その本来ならば形にしていくっていうことが当たり前だと思うんですけど、この点いかがでしょうか。

(→平賀・文化芸術都市推進室長)成果は今、目標としてお示しすることができないというふうに申し上げて、おったんですけれども、先ほど来申し上げておりますように、例えば相談をしっかり受け止めるということ、物件のマッチング、まあ物件だけではないんですが、発表の場作りも含めて、そういったところにつなげていく、で、そういった件数、こういったものには注目をしていきますし、今回派遣をいただいて、体制が強化されるわけでございます。法人としての運営も強化されると、充実していく、ということでございますので、これまで以上の成果を上げたいというふうには当然考えております。

◆平井議員/だから、これまでの事業の延長線上の今話をされてまして、その相談を受け止めるとかですね、マッチングというのは、これまでの事業の中でやられてる話ではないかというふうに思いますし、本当にどういう形で体制を強化するかっていうことが非常に重要な点だというふうに思います。今回、人材派遣型のふるさと納税を活用したということで、文化芸術の振興をするということでありますけれども、説明書きには「文化庁の京都移転を契機にして」ということでありますけれども、まあしかし、「文化庁の移転を契機にする」っていうことであればですね、京都市が直接支援をするということで行われるべきじゃないかと思うんですが、改めていかがでしょうか。

(→平賀・文化芸術都市推進室長)はい、まずHAPSに対しては、(平成)24年度、HAPSが創設をされて以来、本市としてしっかりこの間支援をしてきております。で、あの、この間の極めて厳しい財政状況のなかでございますけれども、そのふるさと納税の仕組みを活用しまして。公民連携で京都の文化を支えるという仕組み「Arts Aid KYOTO」を令和3年度に創設をして、まあ様々な文化芸術事業に対する助成もおこなっております。こうしたことで、引き続きしっかりと文化振興を図っていきたい、芸術文化の振興を図っていきたいという思いでおります。

で、今回につきましては、企業版ふるさと納税で、制度を活用してということで、ありがたいお申し出をいただいたということでございまして、貴重な財源、あるいは人材と受け止めまして、本市の政策課題の対応、文化芸術の振興に繋げていくという考えでのご提案でございます。

◆平井議員/(平成)24年から支援ということでありますけれども、そもそもHAPSへは、京都市から何か補助されてるんでしょうか。

(→平賀・文化芸術都市推進室長)はい、令和5年度予算では、4160万円の予算を計上させていただきまして、HAPSが行う若手芸術家の居住・制作・発表の場づくり、あるいは若手芸術家の、失礼しました、文化芸術による共生社会実現に向けた基盤づくり、あるいはアートエコシステム推進事業におけるオンライン販売、こういった取り組みに対しての支援をおこなっております。

◆平井議員/HAPSの事業を継続させるために必要なお金だというふうに思うんですけれども、今回の派遣によって、例えば補助が減額されるようなことにはならないかと、あの不安があるんですけど、いかがでしょうか。

(→平賀・文化芸術都市推進室長)はい、今回のありがたいお申し出については、事業の充実にしっかり活用してまいりたいと思いまして、これをもって、予算を削減するという考えはございません。

◆平井議員/その点は確認しておきたいと思います。

えっとこの人材派遣型・企業版ふるさと納税について、政府の資料を見させて頂きました。「地方公共団体のメリット」として、一つ目に「専門的知識・ノウハウを有する人材が寄付活用事業プロジェクトに従事することで地方創生の取組をより一層充実強化することができる」と。二つ目には「実質的に人人件費を負担することなく人材を受け入れることができる」というふうにされています。三つ目には、「関係人口の創出拡大もできる」っていうことで、まあこれが政府の言う地方公共団体におけるメリットとされていますけれども。今回の事業は、この二つ目のメリット「実質の人件費負担がない」っていうことだけを考えて、まあ先ほどの答弁聞きましても、そういうふうにして事業を行おうとしてるんじゃないですか。この点いかがでしょうか。

(→平賀・文化芸術都市推進室長)はい、人件費の負担がないということももちろんですが、今回資料にもございます通り、芸術文化振興を図るということをしていきたいということで目的にしています。専門家、先ほどご紹介いたしましたけれども、キュレーターあるいはアートコーディネーター、こういう構成でHAPSというのは活動をしております。そこに新しい民間のノウハウも活用していく。こういったことが期待できるというふうに考えています。全体として充実した取組を進めていきたいという考えでございます。

◆平井議員/今回の選定事業者、第一生命でありまして、先ほど「京都に思いがあるという事業者がやってくれた」という話もありましたけれども、第一生命のニュース見るとですね。2023年4月1日までに、もうすでに58の地方公共団体に累計で61名の社員を派遣しているということであります。まあ明らかにですね、全国的に展開をしていくっていう形で寄付をばらまいていると、言わざるをえないかなあというふうに思ってまして。そこはやっぱりかなりねらいがあるんじゃないかと思っています。ニュースの中にはですね「保険領域にとどまらない4つの体験価値」として、「保障」「資産形成」「健康・医療」「つながり・絆」と、こういう形が、まあその、この企業版ふるさと納税(人材派遣型)を活用しての体験価値だということで述べられていました。

一方で、ここの社長の挨拶の中ではですね、特にこの中の二つですね、「資産形成」と「健康・医療」について「この領域での事業拡大をしたい」ということで掲げられているということでありまして、単なる企業PRにとどまらない企業のねらいが底にあるんではないかというふうに思うんですが、この点いかがでしょう。

(→平賀・文化芸術都市推進室長)はい、今回我々がお申し出いただいております中で、その「社員に経験を積ませたい」というところは、第一生命側の最終的にはその、事業の充実にもつながるということになろうかというふうには受け止めております。で、今回ありがたいお申し出いただいた、地方公共団体として大変メリットのある取組であると同時に、企業側においてもそういった人材を派遣することで得られる、こういったところに意義を見出して、今回新たにお申し出いただいた、こういうふうに受け止めております。で、その幅広く事業を展開されて社会に貢献されていくということ自体は、尊い考えではないかというふうにも考えておりますし、先ほどご紹介ありましたように、京都、「京都においては文化庁移転を契機として芸術文化の振興に」ということで、今回お申し出いただいたということです。他の自治体にも派遣されているということは承知もしております。そうした取組が国において評価されて表彰を受けられたということも承知しております。京都市あるいは第一生命、こういったところ、双方メリットのある形で、今回事業がより良いものとなるように、我々としても努めてまいりたいというふうに考えております。

◆平井議員/あの、掲げてる精神の問題ではなくてですね、社長が言っているように、「ここの領域での事業拡大をするため」の手段として、寄付もされて、そして人材を派遣するっていう仕組みづくりをつくっているっていうことが、僕は大きな問題だと思っておりまして。この人材派遣型っていうのはですね、文化芸術の本質的な支援ではなくてですね、結果、企業の利益のために、企業の事業拡大の手段に使われるんではないかと。非常に危惧を覚える話であります。

ふるさと納税についてですね、人材派遣型については、マスコミの中でも批判的な文章書かれていまして、結局こういう全国企業ですね、資力のある事業者や、人材に余裕のある事業者しか寄付をできないと、だから参入できない仕組みになってるんではないかと。まあいわば、こういう「寄付型の大企業優遇」の一つではないかと思うんですよね。企業間格差を生み出すものとして僕は課題があるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

(→平賀・文化芸術都市推進室長)はい、あの企業版ふるさと納税の制度そのものの評価につきましては、恐れ入りますが、私はあのご答弁する立場にはないということでございますが、今回、企業版ふるさと納税では、税が軽減されると「最大9割」という制度でございますが、まあ逆に言えば、残りの1割は企業の負担となるわけです。本業に従事しないにもかかわらず、1割の負担をして、それで社会貢献、地域貢献をされたいという制度でございまして、そういった制度を活用されて、今回京都市への協力ということでお申し出をいただいた、HAPSに人材派遣をぜひということでご希望いただいた、それについては、我々としてはありがたくお受け、受け止めまして、文化芸術の振興、努めてまいりたいと考えております。

◆平井議員/えっと、今「ご負担をいただきまして」ということで言われてますけど、えっと、損金算入が3割で、税額控除が6割で、全体で最大で9割というのが、この企業版ふるさと納税の中身でありまして、実質その、第一生命、今回の場合700万の寄付をされているということですけれども、企業負担、実質いくらでしょうか。

(→平賀・文化芸術都市推進室長)はい、あの最大の適用ということであれば、1割相当になりますので、70万かと思います。あの実際は、企業の財務状況によりますので、あくまでも最大ということであれば、そのような数字になろうかというふうに考えております。あの実際の数字は、あの承知いたしておりません。

◆平井議員/まあ一般的に言っても、その最大で考えればですね、70万の負担で人材派遣もして、これ人件費は、どこからどういうふうになるんでしょうか。

(→平賀・文化芸術都市推進室長)はい、人件費につきましては、寄付事業者から本市が収入を致しまして、それを補助金としてHAPSに支出するということでございます。全額企業の負担となります。

◆平井議員/だから寄付額が9割返ってきて70万でしょう。で、実質負担70万ちゅうことじゃないんですか。

(→平賀・文化芸術都市推進室長)あの実質のあの負担額は、私どもとしては承知を致しておりません。制度としては最大9割と、控除されるということでございます。

◆平井議員/まあだから寄付額を使って、それが人件費に代わるということでありまして、企業にとっては非常にやりやすい制度だと、いうことをたぶんお答えいただいたというふうに思います。だからその人材派遣型が、全国展開を今されているようなところで言うとですね、非常に使いやすい制度だと思ってこれだけの数の社員を送り込んでいるっていうことになってくるんではないかと、いうふうに思います。そこに危惧を覚えるのは、もう当たり前だなというふうに思います。

HAPSについて、2011年に設立をされて、いま一般社団法人となっています。活動内容をホームページ見させて頂きましたけれども、アーティストの相談窓口や支える人の相談窓口、アートと社会をつなぐネットワークの中心にということで、連携の輪を広げる役割を果たされています。文化芸術都市を標榜されている京都市として、改めて聞きますけれども、直接的に公的に支援をおこなうことが僕は必要じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

(→平賀・文化芸術都市推進室長)はい、あの先ほどもご答弁申し上げました通り、HAPSがおこなう事業に対しまして、本市としてしっかりと補助をしている、まあ当然、その限られた財源の中で、精査をし、文化芸術の振興に資するように、予算を配分しております。その中でHAPSについては、継続的に支援をおこなってきていると、いうことでございます。今回、ありがたいお申し出をいただきまして、さらに充実した取組になるように努めてまいりたいと考えております。

◆平井議員/HAPSの方々で言いますと、過去にはですね、芸術大学への学生のアンケート調査などをやられておられまして、各種調査をやられているということで、これは非常に重要だなと思うんですよね。点在されている芸術に携わる方々も含めてですね、やっぱりそういう基礎調査をやって、その上で本当に対策を打っていくっていう事が必要でありまして、コロナと物価高の影響を受けてですね、芸術家の方々もかなり苦しんでおられるっていうのは、たぶん共有されておられるというふうに思います。基礎的な文化と芸術に関わる方々の調査はやっぱり今、必要になるんじゃないかというふうに思いますし、調査活動についても支援が必要だと思うんですけど、この調査活動についてはいかがでしょうか。

(→平賀・文化芸術都市推進室長)はい、文化芸術による共生社会実現に向けた基盤づくり作業の中で、相談事業だけではなくて、国内外の先進事例の調査、こういったことにも取り組んでおりますし、取り組んでいただいておりますし、そういった取り組みについてしっかりと支援をしているという考えでございます。

◆平井議員/まあその上でですね、先ほど言われたように「限られた財源」ということがいつも出てくるわけでありまして、昨年の1月に国への要望として、「自治体が地域の実情に応じて実施する文化芸術支援策に対して必要な財源措置を講じるとともに、文化芸術関係者の活動機会を維持するためのセーフティネットの検討など、安定的な文化芸術活動の促進に向けた継続的・中長期的な支援策を講じること」ということで、国にも求められておられます。ただですね、国の「文化芸術振興基本計画」では、先ほど「ありがたい」っていうのを何回もくり返しておられましたけども、寄付に頼るような形で、本来であれば直接的な支援が必要な芸術関係者の方々への支援でありますけれども、直接的な支援をね、やっぱり弱める動きが国があるんじゃないかというふうに思ってまして。今回の寄付による資金調達という形も、先行事例つくれということで国が言っているわけでありまして、こういう国に対して、国の支援を強める動きが本当に今後も必要だと思うんですけども、今後の国への要望等の動きはどのようなものか教えていただきたいと思います。

(→平賀・文化芸術都市推進室長)はい、あの本市からは、国に対し毎年、政策に関する予算要望をおこなっております。国に対してはこれまでから、文化庁の更なる機能強化ですとか、そもそも予算の抜本的な拡充、こういったことを求めておりますし、アート市場の活性化に向けた税制の改善、こういったことも要望を致しております。引き続き、こういった、地域のニーズを把握した上で、国に対してはしっかりと求めてまいりたいというふうに考えております。

◆平井議員/僕はまあ文化や芸術には全然詳しくないんですけれども、やっぱり文化芸術っていうものはお金によって左右されないものだということだと思うんですよね。それぞれの個人の発意や想像によるもので作品つくっていくということなんかもされているわけでありまして。表現の自由など、憲法で保障されたものだというふうに思いますし、京都市としてやっぱり責任を持ってですね、文化芸術を市民レベルで高めていくことが、僕は基礎的に必要じゃないかというふうに思っております。

この間ですね、文化芸術活動の拠点、例えば、こども文化会館とかですね、本当にこれまで自治体がつくり上げてきたものが、やっぱり建物も含めてですね、維持が本当にしにくくなってると。しかも手放してしまうという状況が生まれていますし、今現存してる建物でもやっぱり使用料が非常に高いということで使いにくくなってると。使う回数もやっぱり限られていくと。今コロナや物価高で芸術活動が本当にしきれない状況が非常に内在してるんじゃないかというふうに思います。こういう活動の場をね、やっぱり保障するっていうことが何よりも求められていますし、そこのHAPSはやっぱりつなぎ役として色々やられてるわけですから、こういう本当に基礎的な予算を、国もきっちりとお金を出していただきながら、やっぱり京都市も予算確保していくということが本当に求められているなというふうに思ってまして、まあこういう点では、ぜひ一致できると思いますんで、ぜひ国への要望も含めて強めていただいてですね、やっぱり企業に頼るっていうところはですね、まあもちろん直接寄付していただくのが一番ありがたいので、そういう方向での本当に動きをつくって頂くということで、僕はぜひがんばっていただきたいなと思います。終わります。

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◆やまね議員/よろしくお願いいたします。えっと私からもまず「企業版ふるさと納税(人材派遣型)活用した文化芸術の振興」の点をいくつかお聞きしたいと思います。先ほどの平井議員の質問聞いていて、だいたい全体像が見えてきたんですけれども、もう一度改めてですね、ちょっとお聞きしたいなと思ったのは、そもそも今回のこの「人材派遣」というのは、HAPSの側から要請があったことなのか、つまり京都市としてですね、以前からHAPS側から「人材不足で大変なので、スタッフを入れてほしい」というようなことをお聞きしていたからやってるのか、それとも、今回人材派遣される第一生命でしたか、その企業さんとの協議の中で決まったことなのか。まあ本日の議論を聞いてますと、後者なのかなっていう感じがしたんですけれども、もう一度いかがでしょうか。

(→平賀・文化芸術都市推進室長)はい、あの、第一生命様からHAPSへの派遣を希望されたと、それに至るまでのまあ協議を重ねた結果ということでございます。

◆やまね議員/はい、わかりました。それで資料の中でこれも今日出てました「芸術家の移住・定住促進に従事する担い手を派遣」ということなんですけれども。「派遣予定期間」がこれも今日いろんな方がおっしゃっていますように「1年9か月」となっている。で、私はですね、やはり京都に移住する、で、そこで住み続けていただく、暮らし続けていただくと、それを促進する、その担い手ということであれば、やはり地理的なことですね、土地勘も含めて、京都の歴史や生活文化、地域コミュニティなどの事情にですね、理解の深い方がふさわしいんじゃないか、この外からやって来られて短期間でいなくなってしまうような人で、本当に役割を果たせるんだろうかってことを率直に思うんですが、この点いかがでしょうか。

(→平賀・文化芸術都市推進室長)はい、あの、まだあの、来ていただく人材は、あのお示しいただけてないということですが、あの先ほど他の委員の方からのご質問にも答弁致しました通り、そもそもまあ文化芸術に関係して、その関心のある方ですとか、社会課題、こういったことを意識されている方、コーディネート業務に従事されている方、従事できる方、こういった方をまあまず求めておるということです。で、まあ、様々なその能力ですとかスキル、あればあるに越したことはないというふうには思いますけれども、まあ、そういった基本的な部分を踏まえて、最終的に受け入れる人材は決定をしていくものというふうに考えてますし、企業からも適切な人材を、ご提示頂けるものというふうに考えてます。で、今回、全国的に第一生命さんのほうでは展開されている中で、まあそれぞれ支社のほうから実際は、支社に勤務される方を派遣することになるのではないかなというふうに想定もしてますので、全く土地勘のない方が来られるということでもないのかというふうに現時点で受け止めております。

◆やまね議員/ま、つまり、どういう方が来られるのかは今の時点でやっぱりはっきりしないわけですね。私、一番大事なのはですね、やっぱりHAPSさんが、求めておられる人材、そういう方がしっかり働けるようにしなければいけないと思うんですよ。それで先ほどのご答弁の中で、HAPS関連で4160万円でしたかね、予算計上されているということなんですけれども、もしもこのHAPSさんが人手不足、人材不足でなかなか苦労されているということでしたら、やっぱりまず京都市が責任持ってですね、このHAPSの側が主体的に人材を、育成・配置できるような予算をしっかり確保すべきじゃないのかというふうに私は思います。で、これも私以前から求めておりますけれども、以前、HAPSさんが取り組まれていた芸術系学生のみなさんへのアンケート調査はじめですね、本当に大事な役割を果たしておられると思うんで、その役割をしっかり果たせるように、京都市ががんばっていただきたいと、このことを求めておきたいと思います。

京都芸大移転整備事業(2億8700万円)

◆やまね議員/もう一つ、芸大移転整備の関係ですけれども、これ12月の、昨年の11月市会の時にもお聞きした話ではありますが、我が会派はですね、この市立芸大と銅駝美術工芸高校の移転整備については、やはり今市民の暮らし、そして経済状況、さらに市長が「財政危機」を強調している下で、「いったん凍結をし、立ち止まるべきだ」という立場から、昨年の2月市会、5月市会、さらに11月市会で、関連議案「反対」をしてきました。それで、先ほどのご質問の中でもあったんですけども、当初予定ではですね、総事業費305億円ということをお聞きして、で、入札時の額の減少とかインフレスライドによる契約変更等で、これがまあ変動してですね、昨年12月にお聞きした際には、文化市民局分、芸大の分で265億円と、教育委員会分、これが銅駝美工の分で35億円、まあだいたい全体で約300億円ほどになるというご答弁があったかと思うんですけれども。今回の契約変更で、芸大のところが2億8700万円増ということなんですけど、先ほどのお話で271億円という数字も出てきたんですけど、つまり事業費全体でですね、市立芸大部分、銅駝美工の部分、合わせて諸々で今どれぐらいの規模になるということになるんでしょうか。

(→長谷・京都芸大・文化連携推進部長)はい、先ほどご答弁申し上げました、芸大分271億円に、銅駝美工36億円を足しますと、307億円という数字になります。

◆やまね議員/わかりました。それであと、その事業費全体の財源構成もですね、改めて聞いておきたいと思うんです。これも昨年12月にお聞きしましたが、その時はですね、文化市民局分、当初の想定では269億のうち市債214億円、寄付金20億円で、残り、まあこれが35億円ほどでしょうか、これは一般財源で。ただし「毎年寄付金が増えていくので、一般財源の割合は変動・減少していきます」と、で、教育委員会分が36億円はほぼ全て市債というお話だったんですけれども、その後のですね、例えば寄付金の状況だとか、今回の契約変更も踏まえて、改めて今のそれらの数字がどうなるかっていうのは分かるでしょうか。

(→長谷・京都芸大・文化連携推進部長)ちょっと数字を分けてご説明をさせていただきます。芸大分271億円につきましては、市債の発行が227億円という数字になります。寄付金につきましては、前回20億円って答えているところから、あまり大きくは変動ございません。ですので、そこから差し引きすると残り一般財源に24億円ということになります。で、銅駝につきましては36億円ほとんど市債ということでございます。以上でございます。

◆やまね議員/わかりました。それでまあ当初想定されていたのが、まあ305億円。先ほどのご答弁では今307億円ほどということなんですけれども、私やはりこの総事業費全体を見てですね、この間、廃止・削減されてきた福祉施策だとか、市民サービスだとか、公共施設一つ一つと比較すると、大変大きな額であることは間違いないと思うんです。文化市民局関連ではですね、この間、4つの証明書発行コーナーが廃止されましたし、消費生活総合センターの市民法律相談の枠も減少しております。で、これは京都市自身が分析されてきたことですけれども「平成初期の大型事業に伴う返済が市財政を圧迫している一つの要因」ということは間違いないことです。

で、やはりですね、新たな設計労務単価による積算はですね、当然必要なことだと思いますが、やはり次々と今市民負担増が増やされてきた中でですね、この芸大移転整備、あるいは市庁舎整備、こういうところに多額の税金を投入するということに対しては、やはり市民のみなさんから大変厳しい声がある、これも事実だというふうに思います。で、地方自治体の何よりの役割というのは「住民福祉の増進」であると。で、私は大型事業に大胆にメスを入れてですね、市民生活や事業者支援、あるいは学生さんの負担軽減を図ることが今求められていると。このことは指摘をしておきたいと思います。

最後、もう答弁は求めませんが、申し上げておきたいことはですね、これは今年2月市会の質疑で確認をしたことなんですけれども、仮に市立芸大の授業料半額にした場合、これ令和3年度ベースですけれども、京都市の新たな負担は2億8000万円ほどということでした。今回の補正の額とほぼ同じ規模でありますが、入学金も含め完全無償化した場合は6億9000万円ほどの年間負担になる。で、市立芸大の移転整備に300億円以上ですね、こういう巨額のお金を投じていることを考えれば、私はもっともっとですね、一人ひとりの学生さんを支援することできるんじゃないか、で、京都市がやはり全国に先駆けて公立大学の学費を値下げしてこそですね、本当にこの文化芸術や若い人を大切にする京都市だということをですね、訴えられると思いますので、ぜひこの点は要望しておきたいと思います。終わります。

2023年5月18日【予算特別委】文化市民局/令和5年度一般会計補正予算

(更新日:2023年05月18日)