北陸新幹線延伸の影響について京都市独自で調査を(2022年5月25日/総務消防委・総合企画局・加藤あい議員と井上けんじ議員の質疑文字起こし)

◆加藤あい議員/よろしくお願いいたします。今朝ほども新聞報道がございまして、24日に「敦賀新大阪間北陸新幹線建設促進大会」が開かれてですね、大阪府の吉村知事が初めて出席をされたと。「関西での機運醸成に努める」考えを示したということと、京都府知事は日程上の問題で欠席ということであったけれども、鈴木副知事が出席をされて、「一日も早い全線開業が望ましい」っていうようなことを、言っておられるっていうことで報道がございました。

私どもはこの北陸新幹線延伸計画についてはですね、余りにも課題が大きい、課題山積だということで、費用負担の面、環境負荷の面、もうるる述べだすとキリがないような、状況にあるってことをくり返し指摘をしてまいりました。で、今日はですね、色々ある課題の中の一つである「地下水」ですね。について質問をさせていただきます。

遡るところ4月14日、京都府知事選挙の後ですね、京都市長が記者会見を開かれまして、北陸新幹線の延伸計画に対して、「京都盆地の底に豊かに蓄えられた水脈に影響を与えないことが何よりも大事」と強調されたと報道されました。これ報道にある通り強調されたのかということをうかがいたいってことが一つと。

市長の実際の発言ですね。あの確認をさせていただきましたら、このように言っておられたということでありました。「京都の命である水、京都の千年を超える悠久の歴史は、深い山、そこに降った雨が京都盆地の底に豊かに蓄えられている。だから京友禅も、それからあらゆる食文化もお酒も、誇るものがございます。そうした水脈に影響を与えないということが、何よりも大事にしなければいけないと思っています」というふうにおっしゃったと。つまり「何よりも大事にしなければならない」とまで、この4月、現局面でおっしゃっておられると。いうことでありまして、これ大変踏み込んだご発言だなと思って読んだんですが。延伸によってですね、市長は、そして市当局は、地下水にどういう影響が起こり得るという懸念を、どのような懸念をお持ちなのか、お答えいただきたいと思います。

(→板原・総合政策室長)はい、ええと4月の会見の内容、北陸新幹線の関係の会見の内容についてでございます。この4月14日に行われました市長と記者との質疑応答形式での、市長記者会見っていうのが行われまして、まああの北陸新幹線に限らず、複数の話題があった中で、北陸新幹線についても、質疑があったというふうに、認識しております。強調したかどうかといいますのはちょっとあの、私どもあの同席しておりませんし、ちょっとそこは分かりかねますけども、先ほど先生がおっしゃっていただいたような、あの発言をしたというのは事実でございます。

で、改めまして、ええとそこの地下水の関係でございますけれども、現在はあの、地下水のことも含めまして、事業主体であります鉄道運輸機構が、福井・京都・大阪の2府1県で調査を行っている最中ということでございます。これまでからあの、「地下水の影響を懸念した」という先生のご指摘でございますけども、これまで、環境影響評価法の規定に基づきまして、令和元年7月に「配慮書」に対する意見をしたりとかですね、令和2年3月6日付の「方法書」に対する市長意見、それぞれ出してきておりますけども、そのいずれにおいても地下水についての意見を付しております。

加えまして、毎年度の国に対する国家予算要望におきましても、地場産業や生活面などで幅広く活用されている地下水の保存、水質の維持への配慮を求めてきたと、いうふうなところでございまして、まあ、あの、えー、地下水への影響を懸念しているというのは、従来から一貫して認識していると、いうようなところでございます

◆加藤あい議員/「前から懸念はあったんだ」っていうご答弁かなあと、簡単に言えば、思うんですが、いまご紹介のあった「方法書に対しての意見」ですね。これ意見提出されたのは2020年3月6日でありまして、もう2年以上前のことです。京都市はいったい2年間何をしてたのかと言わなければならないと思いますし、先日の西野議員の代表質問への答弁でも、つまり地下水については、どうおっしゃってるかっていうと、「充分な調査と環境影響の適切な予測評価を求める」と。主体は「京都市が」じゃなくてですね、「機構に求めます」っていうことで、普通に考えて、事業を進めようとしているところに委ねるっていうのはね、私、座して待つ姿勢だというふうに思うんです。これ何度もくり返し指摘してきた内容ではありますけれども。

あの、この4月の市長のご発言を読みましてね、「水脈に影響与えないことが何よりも大事」とまで言っておいてですね、実際、京都市が主体となって、その影響についてどういう方策がありえるのか、どういう影響が起こりえるのかっていうことが、まず京都市主体に検討されてないっていうのが、私は大問題だなあというふうに思っておりまして、あまりに責任だというふうに感じております。

あの以前ですね、楠見晴重・関西大学教授が、地下水の調査を実施されたと。8000本のボーリング調査で、琵琶湖の水量に匹敵する211億トンの地下水がこの京都盆地の下にあるということを示されまして、京都市内の地質と地下水の状況を明らかにされました。地下水を保全すべき地域も示しておられて、「自治体は保全地域の指定もおこなった」ということのご紹介があります。この取り組みはご存知でしょうか?市長が「何よりも大事にしなければいけない」とまでおっしゃっている地下水の現状についてのまとまった調査や保全のための取組が、京都市行政においてどのように行われてきたのかご紹介をいただきたいと思います。

(→板原・総合政策室長)ええと先ほどご紹介いただいたあの大学の研究者の評価、あの調査等については、すいません詳細は把握してございません。ええ、ま、北陸新幹線事業に限らずですね、事業に対するあの環境影響評価、これについての、あの法の、えーまああの体系というふうにいいますか、につきましてはですね、事業を実施しようとする者が、その責任と費用で調査を実施すべきものでございまして、本市におきましては、その2府1県のほかの市町村と同様、市長村長の意見を取りまとめる知事からの求めに応じて意見を適切に述べる立場でございます。今回の北陸新幹線の延伸事業につきましても、現在、事業者でございます建設運輸機構のほうが調査をおこなっておりますので、そういったものの調査結果を踏まえて適切に意見を述べてまいりたいというふうに考えてございます

◆加藤あい議員/二つ聞いたんですけどね。あの後段の、市長が何よりも大事にしなければならないとまでおっしゃっている地下水の現状について京都市当局としてね、まとまった調査や保全のための取組がどのように行われてきたのかということについてはいかがでしょうか。ご紹介いただきたいという趣旨で質問させていただきました。

(→板原・総合政策室長)失礼しました。ええ、地下水の調査と言いますか、ええとそのええ、現時点の地下水のその水質等の調査につきましては、あの定期的に環境政策局のほうで調査をしておりますが、ええ、それをもって何かその北陸新幹線事業に、意見を言うとか、いうようなものではないということでございます

◆加藤あい議員/あの、「地下水脈に影響を与えないようにすることが大事」っていうふうにおっしゃったのはね、市長なんですよね。で、その、もう今日はるる紹介はしませんけれども、京都の文化を司る一番の前提になってるのが、地下水だと、水盆だというふうに言っても言い過ぎではないっていうね。そういうあの私自身も認識でありますし、市長の言葉を借りれば「京都の命である水」という表現でありますし、「京友禅も食文化もお酒も誇るものがある水脈」、というようなことですから、この保全状況ね、市当局が、市長が、行政として責任を持って明らかにして、ありうる影響について主体的に検証するっていうね、こういう立場を持っていただく必要があると思います。

今ある、その環境政策局でやってる調査が、足りないっていうご答弁でしたから、それはあのもちろん足りないだろうというふうに思いますのでね、そういうことを全面的に検証するような、本当にこれ過去もやってないのがね、そういうこともおそらく本気で調べたことはないんじゃないかと思うんですけど、調べてみていただきたいなというふうに思います。ご答弁いただいて終わります。

(→板原・総合政策室長)はい、ええ、まああの市長が申し上げたように、あの「命の水」ということでございます。あの京都市におきまして、市民生活、また産業活動、あらゆるところで地下水を活用しているところでございまして、ええ、そういったものの重要性というのは非常に認識しているところでございます。ですからこそ、あの、ええ、ま、運輸機構がこれまで実施しました方法書なり配慮書においても、市長の意見におきまして、地下水に関しても、項目を列挙して、ええまあ、あの、意見を申し上げたところでございますし、毎年の国家予算要望に置いても、特別な水質への配慮、地下水の保全等、求めてきたところでございます。ええまあ今現時点での国の運輸機構の調査等をもとに行われる準備書、環境影響評価準備書が出てきましたら、適切に意見を述べてまいりたいというふうに考えております。以上でございます。

◆加藤あい議員/あの聞くところによりますとね、全国の自治体、都道府県レベルも含めて、地下水の保全の条例というものを持っておられるところが結構あるみたいです。これから十分私も調べたいと思いますけれども、京都市がね、「地下水これだけ豊かなものが文化の前提にあるんだ」とまで言っておられて何もしてこなかったとは思えませんのでね。そういうことも含めて、詳らかにされたしというふうに思いますので、求めておきたいと思います。終わります。

*加藤議員の関連質問

◆井上けんじ議員/えっと関連質問させていただきたいと思うんですが、あの、いま機構さんがですね、どういう動きをされておられるのかね。さっぱり伝わってこない。去年だったかな、あの、市民の方がですね、機構に対して情報公開請求されまして、例えば、この間ボーリング調査をやっておられたと、まあ宝が池では埋設物に引っかけて、というような初歩的な事件・事故も起こされたりしてると。その後、今は今でまたあのアンテナなんか立てたりしていろんな調査をやってらっしゃると。で、それぞれどこでやって、どういう目的でやられて、なんでそこの箇所を選定されたのかと。あるいは調査した結果をどのように活かそうと思っているのか、てなことを、情報公開請求されたんだけども、結局まあ「非開示」っていうことでね、返ってきてると、ま、こんな有様なんです。

ちょっとあの本市として、その辺りどんなふうに今進捗状況、進捗って別に促進を求めてるわけでは決してありませんけれども、むしろ逆だけどね、どんな現状になってるのか、本市としてどういうふうに把握その辺りしていらっしゃるのか、この点ちょっと地下水も含めてですね、全体の現状をちょっとご紹介いただきたいんですが。

(→板原・総合政策室長)ええ、本市を含めまして、ええ、対象事業区域の範囲内にある府内の関係自治体一帯が調査場所に、現時点で調査、調査になってございます。鉄道運輸機構によりますと、「調査場所については、ルート帯の中で地域を代表する箇所を選定しているけども、市民の皆様に、調査対象学区が『=新幹線ルート』との誤解や混乱を与えることを避けるために、現段階では場所の公表を控えている」と、「場所の公表は考えていない」と、いうようなええことでございます。

本市におきましても、全てを把握する状況にもないのかなというふうに考えてございます。我々としましては、環境影響評価手続きにおきまして、ええまあ事業者が、まああの、調査した内容につきまして、中立的な立場から審査を行うというようなことでございますので、ええ、ま、そういったところの情報を、把握するということも、あの、適切ではないのかなというふうに考えております。

◆井上けんじ議員/あのねぇ、今の東海道本線の、山陰本線の、京都駅を通ると。北陸新幹線の京都駅がね。まあもうちょっと正確に言うたら「歩いて乗り換えできるところに北陸新幹線の京都駅つくる」とおっしゃってるわけですよ。とすればね、必然的に、下京区、南区通らんわけにいかんと。まあ一番極端な例でやねえ、例えば山科区から入ってね、東海道本線の下をくぐってやね、ほんで京都駅の真下に京都駅つくって、ほんで西大路駅のほうへ、東海道本線の真下に掘って西のほうへ行くと、いうことになればね、そら例外的に下京・南、まあそれも通ってますけども、住民には迷惑かけんと通るっていうルートになるんかもしれんけれども、まあ常識的に考えればですね、そういうルートがまあ、鉄道の安全性の問題から考えられないとすればね、そら角度付けて交わるんであればやね、南区、下京区、通らんわけにいかんわけですよ。

僕らはあの、東海道新幹線、まあその時は僕ら子どもだったけども、まあ反対してたわけではないけれどもね、結果としてはね、東海道新幹線のために同級生がみんな、みんなじゃないけど、沿線の住民、同級生が立ち退きで家追われたと、こういうことがいろいろあったわけですよ。まあその時は蜷川知事がね、「鴨川に橋を架けるのはワシの許可がいるさかいに、そこは慎重にちょっとやってくれ」とか、いろいろ時間稼いでくれはったりね、あるいはまあ、移転先、集団的に移転するっていうことで立ち退きされた方の何名かの、何世帯かの方が、まとまって近所に移転先の住居確保できたとか、いろんな活動の成果もあったわけですけれども。まあ、いずれにしても同級生が散らばってきたというあの経験なんかがあったりするわけです。

いやいや、立ち退きせんでもええためにね、40m深い、大深度掘って、土地の収用も補償も何もしなくてもええよと、勝手に40m以深を堀るさかいに、安心して過ごしといてくれって言わはるんかもしれんけれども。その場合、別に立ち退きなりはないとしてもですね、東京の首都高速では、大深度であってもね、地上が陥没したりですね、家が傾いたりってことでいま大問題になって裁判にもなってるということは皆さんもご承知の通りだと思うんだけども、だからそんだけの市民にね、もちろん下京・南だけじゃないですよ、その地下水の問題もあれば、費用の問題もあるし、いろんな問題が多面的にあると。そういう重大な問題をね、その京都市がですよ、「機構さんがやったはる」とかやね、さっき「中立的立場」とおっしゃったんかな、「全てを把握する必要がありません」みたいなことをね、一方で副市長はこの前の本会議の答弁でやね、「沿線地域にも広く利便性の向上をもたらす」とか、「災害時には東海道新幹線の代替路線の役割も果たす」と、何で東海道だけ被害を受けて北陸新幹線全く被害を受けないのか、そんな保証がどこにあんのかと。まあ「国の長期展望に基づくインフラであり大変重要」だと、いう認識を明らかにされているわけですよ。だとすれば、市民生活に及ぼす影響ってことについて、本市としてもね、あなたたちとしても、もっときっちり把握をして、折々の情報をその都度市民に提供するということが、一層求められてるんじゃないかと思うわけですけれども、この辺りのその本市のスタンスっていうのはね、どんなもんでしょうか。

(→板原・総合政策室長)ええと、はい、いま先ほど先生ご指摘ありましたように、ええまあ北陸新幹線事業にかかります、あの影響、これにつきましては、まさに今、機構のほうがですね、調査をしておるところでございます。その調査結果を踏まえまして、出てくるであります、環境影響評価準備書、これにつきまして出てきましたらきちんと専門家のご意見もいただきながら、京都市としての意見につきましては、きちんと京都府知事に申していきたいと、い言うふうに思っております。

◆井上けんじ議員/あの「準備書」ってのはいつ頃出てくるのかやね。その辺りの見通しだけ分かれば教えて頂いて、これで最後にしたいと思いますが。

(→板原・総合政策室長)はい、現時点では、いつというところが、承知しておりません。

2022年5月25日【総務消防委】総合企画局/一般質問「北陸新幹線延伸にかかる影響について」

(更新日:2022年05月25日)