請願審査:女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准を①(2022年5月25日/文化環境委・文化市民局・各会派の質疑文字起こし)

220525女性差別撤廃条約選択議定書の早期批准を求める請願

*京都市の説明

(→北條・共生社会推進室・真のワークライフバランス推進働き方改革担当部長)請願の要旨でございます。女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約、いわゆる女子差別撤廃条約は、男女の完全な平等の達成に貢献することを目的に、女子に対するあらゆる差別を撤廃することを基本理念とし、昭和54年に国連総会で採択されたもので、日本は昭和60年に批准しております。平成11年には同条約の実効性を高めるために、条約で保障されている権利の侵害を女子差別撤廃委員会に直接通報する権限を認めた「個人通報制度」を含む選択議定書が国連総会で採択され、令和3年2月時点で条約締結国189ヵ国中114ヵ国は批准しています。本請願は、国に対し当該選択議定書の速やかな批准についての意見書提出を求めるものであります。

現在、国においては、個人通報制度の受け入れにあたり生じる、司法制度や立法政策との関連での問題の有無や実施体制等の検討課題について、外務省を中心とした個人通報制度関係省庁研究会において、さまざまな検討がなされているところであり、第5次男女共同参画基本計画においては、女子差別撤廃条約の選択議定書については「諸課題の整理を含め早期締結について真剣な検討を進める」と定められております。本市ではこれらの状況を踏まえ、引き続き国の動向を注視してまいります。ご説明は以上でございます。

*議員による質疑

◆富議員(自民)/まず、この議定書の批准に関する政府の考え、そちらのほうも把握されていると思いますが、その取組は今現在どういう状況になっておりますか?

(→北條・担当部長)女子差別撤廃条約選択議定書が定める個人通報制度については、国は「条約の実施の効果的な担保を図る」との趣旨から「注目すべき制度である」と認識すると同時に、説明が重複する部分がございますが、「個人通報制度の受け入れにあたり生じる地方制度や立法政策との関連での問題の有無や、実施体制等の検討課題がある」とし、個人通報制度関係省庁研究会においてさまざまな検討がなされているところです。第5次男女共同参画基本計画において、女子差別撤廃条約の選択議定書については、「諸課題の整理を含め早期締結について真剣な検討を進める」と定められております。

なお、国会での答弁をご紹介させて頂きますと、「選択議定書では個人通報制度が規定されており、この制度は条約の実施の効果的な担保を図る、こういう趣旨から注目すべき制度と考えております。他方、加入にあたっては、女子差別撤廃条約に基づき設置されております女子差別撤廃委員会からの個人通報制度に基づきます通報に関して、たとえば国内の確定判決とは異なる内容の見解であったり、通報者に対する損害賠償や補償を要請する見解、そして、法改正を求める見解等が出された場合に、我が国の司法制度であったり、立法制度との関係で、どのように対応するかの是非について各方面から寄せられているご意見も踏まえて、関係省庁と連携して真剣に今検討しているところであります。早期締結に向けて真剣に検討を進めていると、こういう考えには変わりはございません」と答弁をされております。

◆富議員(自民)/私どもも一応、政府の考え方については、あらかじめ、聴取致しておりましたが、今おっしゃる通りでございまして、まだ環境が整ってないという、こういうことでございましてですね。じゃあ本市の考え方としては、持っておおられるんですか?

(→北條・担当部長)外務省では、この個人通報制度、関係省庁研究会において、人権諸条約に基づき設置された委員会に対する個人からの通報事例を可能な限り招集し、同委員会の対応について研究が行われているところです。引き続き各方面から寄せられる意見を踏まえつつ、制度の受け入れの是非について、真剣に検討を進めていくと言われておりますので、こうした状況を踏まえて、本市では引き続き国の動向を注視して参りたいという考えでございます。

◆富議員(自民)/国の動向、やっぱり引き続き、注視したいと。国の出方といいますか、結論が出るまで本市としては、あの待っているという、こういう状況ですね。そういう理解してよろしいですね。はい。

で、じゃあ、この議定書の批准に関する請願とかですね、意見書について、他都市の動向ですね。他都市の動向。まあ市町村合わせてかなりの数があると思うんですが、そのうちでもまあ政令市、それから都道府県ですね、どういう状況に今なってるのか、そちらで把握されているようでありましたら、ちょっと教えて頂きたい。

(→北條・担当部長)いま府下及び政令指定都市に電話で聞き取りを行ったんですけれども、政令市では5市で意見書が提出されているということが確認できました。なお1市は、意見書が議員提案されたんだけれども賛成少数のため否決されているということも確認できました。また、京都府下の市町では2市で意見書が提出されています。それと都道府県では8県1府の意見書が現在確認できているところでございます。

◆富議員(自民)/政府はまあ、なるべく早く、まあ批准をしたいという考えには、変わっていないと。しかしながら、課題の整理がまだ終わっていない。まあ例えば、国内の、まああの、いろいろ、その、おー、通報者に対しての、最高裁までいった場合の判断と、もしその国連のほうとですね、その勧告っていいますかね、これが違った場合ですね、まあ、どういう形で整理して行くのかとか。そういうことも、私たちも伺ってはおるんですが、まあこの辺の整理がなかなか出来ないような、今現状ということについて、まあおそらく他の都市もですね、また府県もですね、おそらくそういうところで、なかなか、えー、あのまとまっていかないんではなかったのかなという気も致します。

で、えっと、これからちょっとその調べて、まださらにいただきたいのは、その、あのー、他府県並びにその政令市とかですね、まあ市町村でも、その、おー、この、どういう、その議論がね、ちょっとなされてきたのかっていうこともこちらも調べますが、ちょっと、これはあの大事なことでありますので、そちらのほうでもですね、どういう議論がなされて、どういうその地方議会において、どういう問題が出てきた課題って言いますかね、これについて、出てきてるのかというちょっとお調べをいただきたいと。で、お調べいただけたら、ちょっとあの資料として、いただきたいと。委員会資料でも構いませんので、ひとつ宜しくお願いしたいと思いますが、いかがでしょう?

(→北條・担当部長)この請願を受けまして、電話で聞き取った状況をいまご報告させていただいたんですけれども、いま富先生がおっしゃるような調査については、あの少しお時間をいただいて調査をさせていただいて、提出できるものを提出したいと思っています。

◎かわしま委員長(公明)/ただいま富委員から要求のありました、他府県・政令市における議論の内容と課題について、提出できるということですので、委員会資料として提出を求めることにご異議ありませんか(異議なしの声)。ご異議ありませんので委員会資料として提出を求めることに決定いたします。理事者におかれてはなるべく早く提出していただくようお願いいたします。

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◆井坂議員(共産)/先ほどの報告と、今の富委員の質疑を踏まえて何点かお聞きしたいんですけど。いわゆる女性差別撤廃条約の成立の経過と内容、及び選択議定書の、採択された国連で、経過と内容についてお聞きしました。で、もうちょっとね、あの踏み込んで聞きたいんですけど、その条約、撤廃条約と選択議定書の関係なんですよね、この関係っていうのは、私事前に勉強させてもらったら、セットもんじゃないかなという気がするんです。なぜかっていったら、選択議定書に批准をしていないと、条約で保障されてます権利がその国で侵害された時に、国連の女性差別撤廃委員会に通報して救済を申し立てるという行為ができないと、いう関係がね、あるというふうに思うんですけど、それでよろしいでしょうか。

(→北條・担当部長)あの、ま、答弁が重なってしまうので、少しあの、難しい部分もあるんですけれども、その選択議定書を批准するかどうかについて、今国でさまざまな検討がなされているところですので、国において早期締結に向けて真剣な検討されていると、言われるところでですね、それで良いのかっていう部分についてはちょっとお答えできる立場ではないかというふうに考えています。

◆井坂議員(共産)/個別日本における事例という意味じゃなくて、一般的な国連のこの2つのね、条約と議定書の関係において、そういうような位置づけがあるんじゃないかなという、ま、ルール上の問題なんですけど、それについてはどのように理解していらっしゃいます?

(→北條・担当部長)外務省の委員会で関係省庁と考えられているところで言えば、例えばですね、あの条約の締結国は、自分のところの国の法律を持っておりますので、その委員会の意見とわが国の法律が一致してるかどうかっていうところをあの検討研究されていますので、あの必ずしも条約の見解がわが国にとって受け入れられるかどうかも含めて、今研究されているんです。ですし、あのその意味で言えば、あの先ほどおっしゃったあの、「2つが一緒でないと」っていう部分は、当たらないのかなというふうにはちょっと思いますけれども。

◆井坂議員(共産)/まああの、いま条約の締約国が、189ヵ国で、選択議定書の批准が114だと。ま、75ヵ国が批准をしていないと、議定書にね。っていうその75ヵ国の中に、日本が入ってると。で、それに対して国連のほうからは、その差別撤廃委員会も国連の人権委員会も、日本に「早期に批准するように」重ねて、申し入れ、勧告をしていると。国連の勧告ですよね。で、国連がやっぱり勧告していることについては、私はそれなりの理由があると思うんです。つまり、条約を実効的なものにするために、選択議定書に多くの国が批准して、女性差別を撤廃していくっていうことをね、リードしなければならないと、いう思いがあると思うんですけど。「日本政府の動向について注視している」ということなんで、それ以上は、部長のほうからは、答えようがないかと思うんですけど、その部長個人としてはこれを批准していくっていう方向について、どのように認識していらっしゃいます?

(→北條・担当部長)あのこの場で私個人の意見を述べる場ではないっていうふうに考えております。

◆井坂議員(共産)/あのちょっと質問変えます。個人としてじゃなくて、自治体、京都市としてはどういうふうに思ってらっしゃいます?

(→北條・担当部長)先ほどあの富議員のあのご質問にもお答えしましたけれども、あの現在国が、「真剣に検討する」とおっしゃってる部分、いろいろ課題があるから真剣に考えてらっしゃる部分ですので、その動向を注視するという、京都市の立場は変わりません。

◆井坂議員(共産)/まあほな国の動向を注視するということで、まあ国の動向自身はさっきもね紹介ありましたけど、早期締結に向けて、ね、いろんな条件整備をしながら求めていくと、こういうことですので、それがベクトルだと、思うんですよね国のほうも。だからそのベクトルを推進するために、自治体からもね、声上げるってことで、先ほど富議員から、国や政令市というのがありました。で、合わせてね、富委員の求められた資料に対して、一つ加えてね、京都府内で起きている動きですね。それも加えてぜひ資料をいただきたいというふうに思います。

最後に、なぜね、そういうふうに言うのかっていうたらやっぱり日本の男女間の格差の冷厳な事実ですね。これに対して私たちがどう立ち向かっていくのかっていうことだと思うんです。2021年度で、日本のジェンダー平等度、これは世界の153ヵ国中120位なんですよね。とても遅れていると。男女の賃金格差はこれは2019年度の資料ですけど、女性は男性の73.3%。OECDの平均が86.4%ですから、世界の流れからも遅れていると。あるいは、非正規雇用の割合ですけど、男性は22.2%に対して女性は56.1%。こういう格差があるんですよね。そこに、いろんな大臣の発言なんかも出されて、貶められていると。これらの事実について、やっぱり選択議定書を採択をして、そういう格差・差別について国連にね、申し立てをすると、いう制度に、日本も一刻も早く組していくということ。同時に、現場でそういう格差をなくしていく。つまり男女の役割分担の固定観念ですよね。それをなくしていくとか。あるいは女性の生きづらさとか、働きづらさっていうのはね、女性固有のもんじゃなくて男もそうなんですよね。男の働きづらさとか生きづらさっていうところにメスを入れて、それを改善していくことを通じて、女性の問題も解決していくと、いうことなんですね。だから世界の流れに日本も組していくっていうことと、現場で一つ一つの事象について解決をしていくっていうこと、これがね、両方大事じゃないかと思うんですけど、それについてのお考えはどうですか。

(→北條・担当部長)日本がジェンダーギャップ指数で諸外国から遅れをとっているっていうことは、あのそれは認識はしております。そのため、国においては第5次男女共同参画計画を、私ども京都市では京都市第5次男女共同参画計画を、市会の先生方ともご議論しながらつくり上げてきて、今まさにそれを実践しているところでございますので、あの確実な進捗が進められるように取り組んでいきたいという思いでおります。

◆井坂議員(共産)/そういう立場・角度で、私たちも議会で発言もし、行政を後押ししながら、国にも求めていくということで、力を尽くしていきたいというふうに思います。以上です。

◎かわしま委員長(公明)/ただいま井坂委員から要求のありました富議員の資料要求に加えた府内自治体の動向の資料については理事者提出できますか?

(→北條・担当部長)少しお時間いただきますけれども、あの提出させていただきます。

◎かわしま委員長(公明)/提出できるということですので、委員会資料として提出を求めることにご異議ありませんか(異議なしの声)。ご異議ありませんので、委員会資料として提出を求めることに決定いたします。理事者におかれてはなるべく早く提出していただくようお願いいたします。

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◆森議員(京都)/るる議論ございまして、あのまあご答弁の中ではやはりあの、あくまでやっぱり国の議論を待ちたいっていう立場はもちろん理解はできますし、京都市会として、どうこうできる範疇の、外の問題であることもまあ認識はしているんですけれども、じゃあ政府見解として、まあ先ほどからご答弁があった、「個人通報制度の関係省庁研究会が検討を行っている」、何年前からやってるんやろうっていうことをちょっと振り返っておりますと、平成28年6月に、糸数慶子参議院議員が質問趣意書で、女性差別撤廃条約選択議定書の件について、政府に対して質問をされているわけですけれども、まあこの時点でも安倍総理当時、安倍総理が見解を示していますけれども、「個人通報制度関係省庁研究会によって検討を行っている」、もうまさに、もうこれ何十、これしかも「平成11年12月以降」というふうに書かれていますから、もうなんか3年前や5年前の話ではなくて、もう20年ぐらいずっと「検討している」っていう状態なのであれば、もういい加減にせえよっていうふうに私はちょっと率直に感じています。

ま、だからといって、国の議論を待たないといけない部分はありますけれども、じゃあ自治体として、じゃああのこういう思いをあの、議会としてもいろんな考え方がありますから、速やかに批准すべきだという方もいれば、やっぱり個人通報制度の、司法との独立性をやっぱり鑑みるべきっていう議論ももちろんある中で、まあそういった中で、やはり批准をやっぱりしていくべきだっていう議論が強いのであれば、私はこういう声っていうのは、議会の総意をもって、あの賛成・反対をとって、やっぱり声をあげるべきだというふうに思っておりますし、まあ国の議論がやっぱり遅すぎるっていうことについても、やはり口ではなくてやっぱり行動で示すべきなんじゃないかなっていうふうに思いますけど、その点についてはいかがですか?

(→北條・担当部長)今ご紹介ありましたように、平成17年の2005年の第1回から、ずっと継続して審議されているということは、それだけ、我が国の司法制度と立法制度との課題があるっていうふうに、国が認識して、あの「それでも検討している」ということになりますので、まああの、それもご意見として、あのもっと早くでっていうこと、もっとスピードアップしてほしいというのは、ご意見としてあるっていうのは承りますけれども、それは国が、あの議論されていることだというふうに思っています。

◆森議員(京都)/非常に難しい問題ではあると思っておりますけれども、まああのずっと検討中で、やはりその何度こういうふうに国会議員の方が政府に対して質問をしても、やはりあの検討内容すらやっぱり出てこないようでは、やはりもどかしさも感じますし、やはりこういった議論がずっと丁寧に慎重に議論することはもちろん大事ですけれども、やはり世界の潮流をみても、やはりあの世界情勢というのは年々スピードアップして、すぐあのいろんな状況が変わる世の中になってきてるのでね、やはりジェンダー平等の件についても、やはり慎重に丁寧にやっていくことが日本の良さではありますけれども、先ほどもあったように、やっぱりいろんな面においてのやっぱり女性活躍比率っていう部分でもやっぱり世界から大きく遅れているのは事実ですし、あのそういったところも含めて、やはり世界水準に少しでも近づく、もう早期にっていうことをやっぱり求めていく必要があるのかなあというふうには感じています。

政府の選択夫婦別姓も含めて、やはりあの女性の生きづらさ、働きづらさっていうものは、やっぱ制度のがんじがらめになって、表に出てきている諸課題っていうものも、選択的夫婦別姓のことも含めて私はあるなというふうには感じていますし、あのただただ見守るだけではない、行動っていうものを、京都市会でできる範囲、京都市でできる範囲っていうのはもちろんありますけれども、やはりそういったことはやっていくべきなんじゃないかなっていうことを求めて、今日は質問を終わります。

*請願の取り扱いについて

◆富議員(自民)/資料の要求もさせていただいておりますし、そういうあのところ精査もさせていただきたいし、そしてまたやっぱりあの、先ほどからもありました私どものその、この政府のですね、まあ考、今現在、検討されているなかの、司法制度であったり、立法制度との関係、これについてはやはりあのやっぱり慎重にですね、政府のほうもやっていただかなければならないという意見もいろいろあったりしますので、とりあえずあの今日のところですね、あの「留保」ということで、継続で、まあ議論みなさんとしていったらいかがでしょう。そういうふうに提案させていただきます。

◆井坂議員(共産)/我が党会派としても個人としても早期に批准すべきだという立場ではあります。先ほど意見表明した通りで。だけども資料要求をした経過もありますし、各会派のみなさんとも引き続きね、協議をしていくということで、今回は「留保」ということでお願いします。

◆兵藤議員(公明)/「留保」でお願いします。

◆くぼた議員(維新)/ちょっとこの問題はあの、まああのとても大切な問題であると思います。ま、丁寧に議論していくべきものでもあると思います。で、あの今回、あの都道府県、政令市で行われた議論と課題についての資料もご提出いただく、いただけるということですので、あの今日に関ししましては、あの「留保」させていただきたいと思います。

◆小島議員(民フ)/「留保」でお願いします。

◆森議員(京都)/引き続き各会派のみなさんとあの議論したいと思っておりますので「留保」でお願いします。

◆小山田議員(無所属)/私個人としては速やかに批准すべきだと思いますが、「留保」でお願いいたします。

◎かわしま委員長(公明)/それでは本請願については「留保」とすることにご異議ありませんか(異議なしの声)。それで本請願については「留保」と致します。以上で請願審査を終わります。

2022年5月25日【文化環境委】文化市民局/請願審査「女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准の要請」

(更新日:2022年05月25日)