文化芸術関係者へのアンケート調査を再びおこなうべき(2022年4月21日/文化環境委・文化市民局・やまね)

◆やまね/事務事業概要の「文化芸術振興」に関わってお聞きしたい。コロナ禍で多くの文化芸術関係者が困難に直面されるなか、京都市では令和2(2020)年度、いち早く「緊急奨励金」や「京都の芸術家等の活動状況に関するアンケート調査」などの取組を実施した。アンケートが二度にわたって実施されたことで、関係者の方の実情や状況の変化などが分かったことは重要だと思っている。そこで改めてお聞きしたいのが、①文化芸術政策を進めるにあたって、やはり今後も実態把握が大変大事なポイントだと思うがこの点の認識をお聞きしたい。②昨年度は幅広いアンケート調査は行われず、「令和2年7月に設置した総合相談窓口で声を聴く」ということであったが、相談窓口設置以降、相談件数はどれだけ寄せられているのか。

(→砂川・文化芸術都市推進室長)①議員ご案内いただいた芸術家への支援、これが実態に沿ったものとなるような仕組みというのは非常に大事だと思っており、特にこのコロナの影響を受けて疲弊している芸術家、もしくはそれを取り巻く関係者の皆様のお声を、いかに市政のほうに反映して支援策をつくっていくか、こういう観点から、令和2年度「京都市文化芸術総合相談窓口」、これを親しんで気軽にご利用いただけるようにということで、英字表記の頭文字を取って、KACCO(THE KYOTO-CITY ARTS AND CULTURE COUNSELING OFFICE)という通称を付けている。こちらのほうで、文化芸術活動の継続・再開をしっかり支援していくために、情報発信や各種の相談に総合的に対応するものとして設置したところ。

②その中身だが、令和2年度(7月設置以降)約600件、令和3年度1600件の相談件数。各種相談に対応するだけではなくて、アーティストのメンタルケアや確定申告の相談会を、公認会計士や税理士等の専門家のご協力も得ながら連携して実施しているところ。

◆やまね/①件数はいまお答えいただいたので、相談内容の特徴なども少し教えていただきたいと思う。事前にお聞きした中では、芸術活動だけではなくって、ワクチン接種の関係のいろんな不安とかご相談もあったということなので。②相談の中で、AFF(アーツ・フォー・ザ・フューチャー)、第2弾も実施されているが、イベントのキャンセル料なんかを一定補てんするようなものだが、こういう国の制度をご紹介することもあると思うが、「要件にあてはまらず使えなかった」「申請が非常に複雑で大変だった」などの声がないのかどうか。③京都市のアンケートでも「損失補てん」「活動資金」を求める声が大変多かったと記憶しているが、総合相談窓口で相談にのる中で国や自治体の助成金・補助金などに結びついた事例は何件ほどあるのか。もし数がパッと分からなければ個人資料でまたいただきたい。

(→砂川・文化芸術都市推進室長)①相談の内容でやはり一番多いのが、「活動の場所」とか「資金繰り」とか、そういったことでの活動を継続していくための相談というのが多くある。ただ、それ以外の、ご紹介あったような、ワクチン含めた「感染対策」とか、「キャリアプラン」など、非常に多岐にわたる相談があり、そういったものにも1件1件丁寧に対応しているところ。

②③そういったなかで、国の補助制度とか、市の補助制度についてのご相談とか、それの申請の方法、もしくは申請にあたってのアドバイスを求められているというようなことも、多々あるというふうに聞いている。ちょっといま手元に、それが全体の何%というところまでは把握できていないので、またご報告させてもらう。

◆やまね/いまお聞きした中で、例えば国とか自治体の制度を紹介した時に、それがちょっと「やっぱり使えなかった」とか、「申請が複雑で大変だ」と、いうような声がないのかという点についてはいかがか。

(→砂川・文化芸術都市推進室長)制度に関しての様々な感想や使い勝手のことについて、もちろんそういったご相談も内容には含まれている。そういうことも含めて、どういうふうな形での申請がいいのか、もしくは制度以外に使えるような制度がないのかということも、他の補助制度、民間も含めて多々あるので、そういったご案内等も含めて対応しているところ。

◆やまね/いろいろ関係者の方にお話うかがうと、「申請書疲れ」というか、いろんな手続きが複雑で、そこがもう大変になってしまって、そういうことが得意でない方もいらっしゃるので、「もういいわ」となってしまう場合もあると。ただ、そういうことが原因で活動継続ができなくなったら、それは社会にとっても損失だと思うので。

で、こういう声も聞いている。相談窓口を利用された方から「非常に丁寧に対応いただいた」「文化芸術にも非常に詳しい方が対応していただけるので大変助かりました」という声も実際にいただいている。なので、やはりいま利用できる制度、役に立つ制度をたくさんの方にお知らせして、それが実際に活用いただけるような、いまおこなっていただいているような丁寧なサポートは本当に大事だと思うので、ぜひ今後もがんばっていただきたい、取り組んでいただきたいと思う。

合わせてもう一つお聞きしたいのが、この相談窓口だけで関係者の声を全て拾えるかどうかという点には私はちょっと疑問がある。例えば、音響・照明の仕事に就いていた方が、コロナ禍で仕事が減り、イベントがなくなり、別の仕事をされている方がいる。あるいはアルバイトをされている方がおられる。そういう方々が、いま再びライブやイベントなどまた戻ってきた時に、「また仕事やってくれないか」と言われても、「もうすでに別の仕事している」とか「バイトが入ってるので行けない」とか、そういう事態が起こっているということも聞いている。

その時に、現に文化芸術活動や仕事を継続している方は相談窓口に行かれるかもしれないが、すでに別の仕事に就いてしまっている、あるいは、せっかく技術を持っているが今は別の仕事をしていて、でも本当は文化芸術に関わってまた仕事をしたいと思っているような方が、窓口に行くかどうか。ここはちょっと疑問がある。やはり文化芸術に関わってこられた方々が幅広く答えていただけるようなアンケートのやり方、実態把握のやり方を、今一度考える必要があると思う。相談窓口での丁寧な対応をぜひとも引き続き行いながら、それと合わせて、令和2年度におこなったような、ネットも活用した形での幅広いアンケート調査を、今後もぜひ定期的に行うべきではないか。そうしてこそ文化芸術関係者の声をより深くつかめると思うがいかがか。

(→砂川・文化芸術都市推進室長)窓口での対応について評価いただきありがとうございます。そういった本当に申請書疲れ等々、「どう書いたらいいか分からない」申請に不慣れな方にこそ丁寧な対応が必要だということで、この窓口でしっかり対応してるところ。

文化芸術、この状況において離れてしまったような関係者の方も含めてということだが、これまでからKACCOについては、芸術家のみならず、文化施設、活動の場であったり、発表の場、そこに関連するような技術の方、スタッフの方、オーナーの方、さらには鑑賞するほうの方、そういった方も含めて、非常に多くの声をいただいているところ。ですので、それをいろんな形で相談を受けるだけではなくて、例えば、先ほどもご紹介した、ストレスを抱えている人に対するメンタルケアの相談会とか、確定申告などの勉強会、そういうこちらから発信していく、そういう仕掛けも考えているところで、それをSNS等も活用した形で積極的に情報発信しているところ。例えば一例で申すと、「活動継続のための法人の設立を検討したいんだけれども、どういった形態が自身の活動に適しているのか分からない」という相談を受けたことをとらえ、すでに法人や団体を設立されている劇作家やアートマネージャーの方々、そういう先輩方のインタビューという形で参考にしていただけるような内容をウェブページで発信する等々、積極的な広報にも努めているので、技術スタッフの方々、ちょっと現在は文化芸術の仕事離れている方含めて広く文化芸術関係者のご相談に丁寧に対応していきたいと考えている。

◆やまね/ぜひ引き続きたくさんの方の声を集める努力をしていただきたいと思う。例えば、成果を出した人だけを支援するとか、自分で資金を集められる人だけを支援するとか、新しいことに取り組む人だけを支援するとか、そういうことでは京都の文化の根っこが育たないんじゃないかと思う。底辺を広げることこそやはり重要だと思うので、ぜひ引き続きがんばっていただきたい。

2022年4月21日【文化環境委】文化市民局/一般質問「文化芸術関係者への実態調査」「『男女共同参画』ではなく『ジェンダー平等』とすべきではないか」

(更新日:2022年04月21日)