◆やまね/私からは「事務事業概要」に関わってまず、「環境影響評価に関する事務」についてお聞きしたい。資料には「環境影響評価に係る審査及び制度の運用のほか、環境影響評価審査会、環境の保全に関する調査、研究等に関する事務を行う」とあるが、①「環境影響評価」をする案件は、だいたい年間で何件ほどあるのか。それから中身としてはどんな工事が多いのか。②「環境の保全に関する調査」という時、これは必要に応じて京都市独自で臨時的に「この地域で調査をする必要がある」となったら、影響を調査する場合があるのかどうか。
(→小原・環境企画部環境技術担当部長)①環境影響評価の件数については、年度によって変化はあるが約5件程度、昨年度については5件開催されている。内容については、建築物の関係の影響の審査というような形。②独自で調査することがあるのかということについては、そのようなことはやっていない。
◆やまね/「独自に調査することはない」とのことだが、そうするとここで言われている「環境の保全に関する調査」というのは、どういう中身をおこなっておられるのか。
(→小原・環境企画部環境技術担当部長)いろんな調査の中でのアンケートをおこなったりとか、そういうことの調査という形で理解いただければと思う。
◆やまね/そうしたら、ここで言う「調査」というのは、アンケートということなので、市民のみなさんの意識調査的なものであって、実際に環境の数値を調査したり、いろんな影響を調査したりということではないと。
もう一つお聞きしたいのが、「環境の調査に関する事務」について。「大気、水質、騒音、振動等に係る法令に基づく環境の調査」とあるが、①大気や水質など、これは市内のいくつかの場所で定点観測、モニタリング検査をして、国に定期的に報告しているという理解でよいか。その場合何ヵ所で測定しているのか。②この点、大気・水質・騒音など必要があれば京都市独自に臨時的に行われることがあるのかどうか。
(→小原・環境企画部環境技術担当部長)①本市では、豊かな自然環境に恵まれた文化や市民の暮らしを守り、潤いとやすらぎのある快適なまちを目指すとともに、生活環境の保全に向けて、大気・河川・水質等の調査を毎年実施している。大気環境は大気汚染防止法に基づいて市内14ヵ所の測定局で実施。河川水質は水質汚濁防止法に基づいて22河川42地点で実施。地下水質もについて常時監視しなさいとなっている。毎年8月後半ごろに京都府と同時に広報している。大気14ヵ所、水質汚濁防止法に基づいて市内46地点を4年間に分けて実施。②個別に調査を行うのかということだが、大気・水質等の調査については、各法令に基づいて調査を実施しているもので、本市の生活環境の保全に向けて全市的な環境の状況の把握をするために実施しているもので、個別の依頼等があった場合の環境調査は原則実施していない。
◆やまね/いまおっしゃった中で、地下水の水質調査について「市内46カ所を4年間でおこなっている」とのお話があったが、その場合、これは事業用の井戸(日本酒、豆腐、漬物、和菓子、銭湯、染物など)、地下水を使っておられるお仕事たくさん京都にはあると思うが、①46ヵ所の調査には事業用のものも含まれるのか。②水質だけでなく水量の調査はされているのか。
(→小原・環境企画部環境技術担当部長)①地下水質については、水質汚濁防止法に基づいて、市内46地点を分けてやっている。その中で、地点については、市民の皆様が持っておられる井戸の協力をいただいてやっており、事業用で使われているものをやっているというわけではない。②水質について調査をするものであり、水量のほうは調査をしていない。
◆やまね/事業用の井戸については市独自でされていないとのこと。それでは以上を踏まえたうえで改めて、京都市の環境に大きく関わる「北陸新幹線延伸」の問題についても少し聞いておきたい。
京都府環境影響評価専門委員の方の試算では「少なく見積もって880万立米の残土が発生する」と言われている。「甲子園球場に積み上げると228mの高さに匹敵」「本事業内での再利用や、他の公共事業等への有効利用等で消費できる量ではない」とも言われている。私が環境政策局に関わる問題として危惧しているのは、残土の量とか、有害物質の問題もそうだが、880万立米の残土となると10t車・ダンプカーで見れば160万台分に相当する。なので仮に工事が実施されれば、トラックが市内各地を行き交うことになる。大量の温室効果ガスが発生するのではないかと思うが、この点のご認識はいかがか。
(→田中・地球温暖化対策室長)北陸新幹線のCO2排出に関するご質問。現在この北陸新幹線の事業については、事業者において現在調査中ということになっており、事業の個別具体の状況がまだ明らかになっていない状況なので、その中で詳細なCO2排出量等がどうなっているかということについては、現時点で私どもとしても把握ができない状況にあるものと認識している。
◆やまね/これまでも私たちはこの問題、市議会の中でいろいろとお聞きしてきたが、いまおっしゃっていただいたような答弁をくり返しておられる。先ほど私が申し上げた10t車のダンプカーで160万台分880万立米という残土の試算根拠、これが何かと言うと、「トンネルの断面を半径5mの円と仮定すると断面積は78.5平米。敦賀駅~新大阪駅間、約140kmの8割がトンネルと仮定すれば112km。78.5×11万2000=879万2000立米」という数字が出てくる。ですから特別な何かややこしい計算をしているわけではなくって、これまでに明らかにされている数字をもとに出てくる数字、試算されたもの。だから「個別具体的に明らかにされていない」とおっしゃるけれども、何も分かっていないわけではなくって、少なくともこれくらいの残土が発生するのではないかということは明らかだと私は思う。
国土交通省の「建設副産物総括表」によれば、2018年度の京都府内の建設残土量は約409万立米で、北陸新幹線延伸工事だけで京都府全体の残土発生量の2年分以上となる。大量の残土、そしてトラックが行き交うということになれば、これは大量の温室効果ガスが発生するという、この点の認識を持っておられるのかどうか、この点もう一度いかがか。
(→田中・地球温暖化対策室長)今回、北陸新幹線に関する工事、建設工事、建設時においては、CO2は排出されるという側面、あるというのはこれは否定できないものではあるが、先ほど申し上げた通り、この個別具体の北陸新幹線の事業については、先ほど答弁さしていただいた通り、まだ詳細が分かっていないということもあるし、CO2排出の観点から申し上げると、個々の工事、そのものについて、これでどれだけ出てるかという形での把握の仕方は、これまでから私どもしていないので、そうした工事に係る影響等については事業主体である事業者において、しっかり検討し議論されるべきものと考えている。
◆やまね/もちろん事業者が検討し議論するのは当然のことだが、やはり京都市は、何でもかんでも事業者任せということではいけないと思う。最後にもう一つだけお聞きしたいが、京都市の地球温暖化対策としての目標、「2030年までに温室効果ガス・CO2を40%以上削減(市長は46%目指すと答弁)」という目標を持っておられると思うが、そしたらこの目標は、北陸新幹線延伸計画の工事に伴う環境への影響(160万台ものトラックが行き交う)、そういうものも含んだうえで策定された目標なのか、それとも北陸新幹線延伸計画に関わるような影響・数字は除外して達成しようという話なのか、これはどちらか。
(→田中・地球温暖化対策室長)CO2削減の目標についてだが、直近の2030年度の目標「2013年度比で46%削減」という目標を私どもは立てているので、その時点で2013年度比でどれだけ下げていくかという部分でいくと、当然、下げる中に、今後の工事に伴って排出されるものも含まれるというふうに考えている。
ただ、今回の北陸新幹線の事業を評価していくにあたっては、こうした鉄道というものについては、一般的には効率的な輸送手段ということで、環境への負荷が小さくて利用することでCO2の削減にもつながる、そういったものというふうに認識している。こうした事業については、建設時のCO2、これの排出という側面は当然あるが、それだけではなくて利用時におけるCO2削減の効果等も含め、トータルでとらえていくべきものと考えている。
◆やまね/そしたら、この北陸新幹線の延伸工事、北陸新幹線が開通することで、CO2が削減されるというふうにお考えということか。もう一度。
(→田中・地球温暖化対策室長)一般的に鉄道というものは、効率的な輸送機関と言われている。通常で言うと、自動車で言うと7分の1の排出量の削減ということになり、当然供用されれば、そうした交通、環境負荷の低減というふうに資するような事業であるというふうに考えており、確かに工事、建設時においてはCO2排出される側面はあるが、こうした事業についてはそうしたトータル面でとらえていくべき必要があるというふうに考えている。
◆やまね/北陸新幹線延伸計画の関係で言うと、例えばいま、米原から東海道新幹線は通っているわけですよね。福井県、あるいは金沢まで行くような、サンダーバードがあって、前までは富山までそれが直通で行けた。で、こういう新幹線計画が進んでいくと、新幹線が通ったところはだいたい在来線がカットされていく、縮小されていく。そうすると、交通が不便になって、より車での移動に頼らざるをえないという側面だってあるんじゃないかと思うので、私はいまのお話は大変乱暴な議論ではないかということを指摘しておきたい。
当然私たち共産党議員団としては北陸新幹線延伸計画には反対しているが、仮にもし工事が行われるのであれば、この2030年の目標を達成するうえでは、当然その工事、京都市内、市域で出されるものについては含まれてくるだろうと、それも含めて達成しなければいけないというお答えだったと思うが、そうすると、私はやっぱりこれはね、膨大な温室効果ガス発生ということ考えれば、市民のみなさんに一方では「CO2削減」「温室効果ガス削減」を啓発しても、一方でこういう巨大開発、巨大工事をやるということであれば、京都市のいま掲げている、非常に大事な大事な削減目標も危うくなるんじゃないかということは申し上げておきたい。
「事業者が調査するから市は調査しない」ということもずっと言われるが、そういうことでいいのかなあということも言っておきたい。地下水のデータについては、先ほどおっしゃった中では、事業者(日本酒や豆腐づくりのための井戸)のところまでは分からない、調査してないということだったが、しかしそこがいま本当に大きく心配されているわけで。事業を進めている側がする調査で、「悪い影響出ました」「やっぱりやりません」みたいなことが本当に起こるのかどうか。そこはやはり事業者ではなくって、行政がきちっと調査をしてデータを持っておくべきだ。そういう独自調査をぜひやっていただきたいと思う。環境の視点から見て、改めて「北陸新幹線延伸は推進すべきでない」と申し上げる。
2022年4月21日【文化環境委】環境政策局/一般質問「地球温暖化対策、環境管理・環境指導について」
(更新日:2022年04月21日)