陳情審査:ひとまち交流館の有料化は中止を!(2022年3月17日/総務消防委・行財政局・加藤あい議員の質疑メモ)

◆加藤議員/ひとまち交流館に本当にたくさんの方が希望され利用が込み合っている現状が紹介されている。総務消防委にも昨年11月に「使用料の見直し点検・検討状況」が報告された。その際、資料の中には、市民活動総合センター(ひとまち交流館)については、「共通の基準に基づく検討対象施設」としては明記されていなかったと理解しているが、その理解でよいか。

(→金山・財政室長)今おっしゃった通り、昨年11月ご報告した内容では、「共通の基準に基づく点検対象」ということではなかった。この中で「主たる利用者が無料の施設」というカテゴリーがあり、これは「共通の基準」ではなしに、個別に点検を行うということでご報告申し上げた。

◆加藤議員/そうなんですよね。全体で「個別に点検」という施設が182施設あり、今おっしゃった「主たる利用者が無料の施設」34施設、その中に市民活動総合センターが入っていた。すなわち、先ほど説明の中にあった「運営コストをトータルでどれくらいかかるかを見て、使用料収入と公費でどのような割合で賄うのか」、5割、7割、75%とか色々言っておられた。こうした議論の対象ではなかった。本来、公共施設は元々そういう物差しはなじまないと思っている。本来の公共施設全般がそうであるように、市民活動総合センターは、採算等というものが取り分けてなじまない施設だと理解している。だからこそそうした議論の対象から外されていたと理解していた。今回、元々無料のものを有料にするということが言われたが、一連の流れから言うと、どこでどう間違って無料が有料にされるような提案が出されてきたのか。極めて疑問に思っているがいかがか。

(→金山・財政室長)くり返しになるが、確かにひとまち交流館は「共通基準」ではなかったというのは今おっしゃった通り。ただ先ほど申した通り、「利用者が無料の施設」という、「個別に点検を行う」というカテゴリーに入っており、そういった施設について見直す中で、今回は「類似の施設」、京都市の他の会議室、そういった施設を参考に有料化に至ったもの。

◆加藤議員/この間の予算の議論、局別質疑や市長総括質疑を聞いていて、市長は「たまたま無料だ」という発言をされ、この言葉一つだけでも怒り心頭だったが、無料にしてこられたのは京都市行政。行政の判断として「無料にする必要がある」と判断されてきた理由があったからですよね。予算特別委員会の局別質疑では、ひとまち交流館(市民活動総合センター)の設置目的について「特定の分野を超えた公共的な市民活動を総合的に支援すること」と答弁があった。すなわち、公益的な市民活動に市民が参加する権利を保障する、そのために無料という対応を取ってきた。ここに目的があたからそうなってたのではないかと思うが、この物差しは誰が検討されたのか。行財政局か文化市民局か。元々無料としてきた経緯、なぜ無料である必要があったのか。それを見直すに足る理由。一連の議論を聞いても出てこない。「たまたま無料です」これでは、税金を使って運営してきた公共施設の意味そのものが問われかねないんじゃないか。

(→金山・財政室長)今回の有料化に当たっての検討は主として文化市民局に検討いただいたところ。局別質疑でもこれは文化市民局が多分ご答弁申し上げているかと思うが、施設を開設して、まずは利用の促進ということを目的にしていたということで無料にしていた経過があり、ただ設置からだいぶ年数が経過している、18年経過し一定、利用の稼働率も上がり、周知もされたということで、有料化ということになった、これは文化市民局で検討いただいた結果で、我々もその結果を聞いて、こういうご提案に至ったということ。

◆加藤議員/利用料、使用料の再点検・検討について、行財政局が示してきた「共通の基準」に基づく検討の対象ではなかった。しかし、市民活動を保障する文化市民局が、有料にするということを「適正だ」と判断したということであれば、私は全く公共性ということの意味を理解しておられないと感じる。

トータルに見たときに、市長や副市長が答弁される中で、どういう意味合いを公共施設が持っているのかということに関わって、きちっとした説明がされない。行財政局も含めて、「行財政改革計画」を進める中で、この料金を取っていないところから取るという重大性を何ら説明されないのは、本当に公共とは何かということまで問わなければならない事態だと痛切に思う。

陳情者の方にお話を伺った。グローバルジャスティス研究会は2017年から開いておられ、戦争や暴力の排除、地球環境の危機などをテーマに、共感・共生、自然との共存を学ぶとして、今ウクライナのこともあるが難民問題や、全地球的問題である気候危機も取り上げておられる。究会の開催は月2回。うち1回は読書会。ひとまち交流館の第1もしくは第2会議室を使用しておられる。今は無料。提案実行されたら1760円取られる。もう1回は講演会。第4、第5会議室どちらかを使っておられる。元々無料が4590円。講演会は20~30人位が参加、1人500円参加費徴収されているが、家計の状況とかいろいろご事情ある方もいらっしゃるので、状況に応じてでよいと配慮もされている。費用負担が厳しくても社会活動、生涯教育に参加できるようにと対応されている。できるだけ多様な方に参加をとの立場から。すなわち、講演会で言えば講師料、それからプロジェクターと有線マイク使用料1500円、チラシ作成費用で1回13000円ほどかかる。徴収した会費でぎりぎり精算という形。有料となれば、4590円(会場費)がそのまま赤字になる。その分参加費を上げなければならなくないか、回数そのものを考えないといけないかもしれない。1回500円すら配慮しているところに引き上げれば、実際参加が難しくなる方が出てくる。

他のところも、先日の予算委員会では、アルコール依存症の自助グループの方たちの活動の影響も取り上げた。毎週1回やっておられ、月2万円も払うのは実質的に難しい。募金、カンパでアルコール依存症の当事者の方にお願いをして運営しておられる。100円とか200円とか募金してもらって運用されている。タダだからこそ成り立つ活動。

私は答弁にただ単に怒ってるわけではない。こういう利用しておられる実態を、当局は聞かれて、本当にこういう公益性にかなうような活動の保障ができるという判断をされて提案されたのかどうか。聞き取りや調査はされたのか。

(→金山・財政室長)まず公益性、「無料だから公益性がある」「有料だから公益性がない」という、まずちょっとそこは私は違うと思っている。有料であっても公益性の担保は当然できるものだという認識で、今回この施設以外も含めて検討して提案しているところ。

すいません、各利用されている方からの聞き取りがされてたかどうかは、ちょっと私どもでは今個別には把握出来ていない。

◆加藤議員/無料であっても有料であっても公益性あることを議論してるのではなく、「無料だったところが有料になることによって公益性が損なわれるのではないですか」ということを議論している。公益性を担保するその条件がなくなるのではないか。行政が税金を使って運営してきた公共施設のっ利用料の取り方、使用料の取り方を提案するにあたって、その物差しで検討されていないということであるなら、極めて重大な問題ではないか。市民活動への参加、社会学習を進める、こういうことにおいて、所得の差が参加の権利に影を落としてはならない。だから公共施設というのは、極めて低料金に、そして場合によっては無料にして、その権利保障を行うということで運営してきた。民間の貸会場とはそこが違う。民間は採算性をどう取るかを最優先にして検討されるのは当たり前ですよ。企業なんですから。でも私たちが議論しているのは、国民の、住民の税金を使って、住民の権利保障をいかにしてやるのかを議論しているのであって、そこに違いがある。「使う人と使わない人の公平性を考える」というのは行政の仕事ではなく、どんな所得の状況にある方であっても、ふさわしく社会活動に参加して、ふさわしく公益性が担保されるという条件をいかに整えるかを検討する、そこにこそ不公平があってはならない。住民の権利において不公平があってはならないということを検討するのが行政の役割じゃないかということを申し上げている。

「文化市民局が実態をつかむべき」とおしゃるのか、「行財政局としても当然知ったうえでこれは妥当な提案だと判断されるべき」と考えているのか、それはどっちか。

(→金山・財政室長)現場の実態は当然文化市民局で把握すべきものだと思っている。

◆加藤議員/そうだとしても、全体として行財政局が、そういう物差しで、公共性を果たしうるような提案になってるかどうかってのは説明できなければおかしいんじゃないか。実態もないのに説明できないじゃないか。

先ほど私が言った、公として市民活動の参加、社会学習について、きちっとそれを保障する役割があるという認識についてはどうか。

(→金山・財政室長)もちろん公の施設だから、市民住民の方に使っていただく、それはもちろんそのために公費で設置しているものなので、役割あると思うが、それが無料でなければならないかというのは、議論があると思う。地方自治法でも使用料は公の施設で徴収することができるとなっているし、地方自治法というのは、住民福祉の増進を図るというのが地方公共団体の役割使命とされている。ですので、使用料を取るからといって、住民の福祉の増進を図ることができないということではない。それは両立するものなので、もちろんどういった水準にするかというのは、いろんな議論があるところかと思うが、有料にしたから権利の保障がされないとかいうのは、ちょっと私どもは違うのではないかと考えている。

◆加藤議員/陳情者にどういう状況になるのかを聞いてご紹介した。アルコール依存症の自助グループの方にも私は直接お話をうかがった。これはね、行政の仕事じゃないですか。無料できた施設を有料にすることによってどういう影響が及ぶのか、本当に大丈夫なのか、議会でずっと議論聞いていたが、そんな検討がやられた跡が全然見えない。当然のごとく有料にする。無料がおかしいから有料にするくらいの議論の水準。これは本当に大問題だと思う。私が述べたような実態、無料だった施設を有料にすることによって、実際に社会活動、公益性担保できない状況になりえることは認めるのか。

(→金山・財政室長)ちょっとその現場状況までは分からないが、当然、今回の改定について、議決いただくことが条件だが、そういった団体の方の声は現場で聞き取っていく必要があるというのはそういう認識。

◆加藤議員/しつこいが、提案される前に判断されるべきじゃないか。現場に聞かれて。どうですか。

(→金山・財政室長)今回「共通の基準」と、それ以外の「全体として点検する施設」を提示して進めているわけだが、なかなか案が、点検の前に聞くといっても時間かかった部分もあり、私ども文化市民局が聞けてるか聞いてないかという状況は把握していないが、それは議決いただいた後に、個々の状況について団体におうかがいし、この料金はこれでいかせていただくが、どういった支援ができるかは個別に考えていく問題だと思っている。

◆加藤議員/「市民活動を推進していきます」といつも言っておられる。その条件を行政自らが掘り崩しているような提案だ。先ほども言ったが、公共性をいかに担保していくかということの物差しすらきちっと持って検討できていないというのは、本当に自治体としてはあるべき姿からどんどん遠のいていってるということを自覚していただきたい。「議決してもらったらその後に聞きに行きます」なんていうのは話にならないですわ。だって今回提案された当局、市長の提案が、問題がないのかってことを議会で議論すべきでしょ。その議会の議論の前に、そのことを行政が説明できずして、どうやって議会で判断するんですか。私はこれは公共性の後退でもあるし、今の説明の限りにおいても到底納得できない、これでこのまま有料化して、値上げを強行することは絶対認められないということは申し上げておきたい。

2022年3月17日【総務消防委】行財政局/陳情審査「公共施設の集約と利用料金値上げの中止」

(更新日:2022年03月17日)