京都市の主張「毎年500億円の財源不足で財政破綻する」が完全に崩れる!(2022年2月18日/予算特別委・行財政局・ひぐち議員と井坂議員の質疑文字起こし)

職員給与減額について

◆ひぐち議員/職員の期末勤勉手当の削減に伴う12億円の減額補正について聞く。コロナの感染が広がる中で、その対策にあたっている職員さんに本当に敬意を表したい。今回の減額は1人平均6万円とのこと。職員のみなさんもそれぞれ生活設計を立てて日々暮らしを送っている。そういう中での減額というのは、職員のモチベーションの低下を引き起こすものと考える。まして、コロナで大変になっている時の減額というのは、精神的に与える影響も大きいと考えるがいかがか。

(→藤田・人事部長)今回の減額補正だが、今年度の人事委員会勧告に基づき、期末手当が0.15月引き下げられたことを受け、浮いてきたお金を減額補正するということで、議員ご指摘の通り職員1人平均約6万円年収が下がる。コロナで日々奮闘している職員に対して給料下がってしまうというのは申し訳ないと思うが、我々は人事委員会勧告を基本としてこれまでやってきているのでやむをえないかなと考えている。

◆ひぐち議員/「コロナで奮闘されている」というお話もいまあったが、コロナ対応にあたっている医療衛生企画課、一番の中心にあたっている職員さん、今年1月の時間外勤務がどのような状況になっているのか。過労死ラインである100時間を超えている方が多いと聞いているが、いったいどれほどの方がそういった状況で働いていたのか。

(→藤田・人事部長)第6波、今年1月の時間外勤務の状況。この間応援職員の増員もしているので、第5波の時よりはましになっているが、それでも今年1月で、最大で186時間の時間外勤務をおこなった職員がおり、100時間を超えてしまった者が18人、医療衛生企画課全員の平均は約83時間といった状況。ちなみに第5波、令和3年8月は最大で298時間の職員、100時間超えは23人おり、平均は128時間。

◆ひぐち議員/第5波の時はまさに異常で、いつ職員が亡くなられてもおかしくない状況だったということが今のお話からも分かるが、いま第6波の最中でも、そこまではいってないけれども、同じように過労死ラインを大幅に超えて、職員さんが働いている状況があるということ。

また、医療衛生企画の職員さんだけではなくて、いまお話あったように、応援の職員さんが入っていて、全部で562人体制でされている。他の部署からの応援だけでも430人以上の方が毎日応援に入ってらっしゃる。毎日430人以上の方が、自分の本来の仕事、持ち場のところとは別のところに行って1週間とかいう単位で働かざるをえない状況。その分じゃあ自分の本来の仕事が消えて無くなっているのかと言えば、そういうことになっていない。副市長からの通達で「仕事を止めてでも」という話があったが、職場の実態から言うとなかなかそうなっていないのが現実ともお聞きしている。自分の仕事は山積みになったまま、戻った時にその山積みの仕事をやらざるをえない。それでも必死にコロナの対応にあたっているという実態がある。そういう時に、職員さんたちを激励するなら分かるが、そうじゃなくて、逆に賃金カットする、それでも「モチベーションを維持してくださいよ」と、これは本当に酷な話だと感じざるをえない。この点を指摘しておく。

2021年度の収入が見込みより200億円多かった点について

ひぐち議員/次に財政運営全体について。予算の説明で「補正予算と来年度の本予算は一体の予算として編成した」との説明があった。そこで先ほども議論になっていた、「今年度2021年度の収入が見込みよりも実質200億円多かった点」について。交付税の追加決定分の13億円は2月補正で使った(施策の財源に充てた)けれども、残りの187億円は公債償還基金の返済・積み立てに充てたとのこと。まず確認したいが、この187億円について、市民のための施策に使うことができるのかどうか。

(→金山・財政室長)187億円、これはいわゆる一般財源、自由に使える財源なので、使途に制約というのはない。

◆ひぐち議員/そうであるけれども公債償還基金の返済・積み立てのほうに回したと。私、先ほどからの説明を聞いていても、やはり今の市民の暮らしの状況、実態、そこを的確にとらえる必要があると思う。市民の実態をどうつかんでいるのか、どう認識しているのか、そこがまさに今問われている。市内各地で、ボランティアの皆さんによる食糧支援プロジェクトが毎週のように開かれている。そこに100人、200人、多い時で400人以上、そこに集まって来られる状況。しかも来られている方は、年齢層を見ても学生さんから高齢者の方まで幅広い全ての年代。そこで寄せられる相談を聞いていても本当に切実な話ばかり。そこに集まって来られる方は困っている方の氷山の一角。多くの市民が日々食べていくのにも困るような状況に追い込まれている。そういう市民の実態に目を向けるなら、見込みよりも多かった200億円は、暮らしや中小業者の支援に使うべきと考えるがどうか。

(→金山・財政室長)今おっしゃったような市民の方々が、大変な思いをされている方々がおられる、確かにそういった実態もあるかと思う。そういうことについては臨時交付金を使うなり、国の制度使うなり、やはり何らかの手当が必要というのは、確かにおっしゃる部分はあるかと思う。ただ一方で、もう少し大きな視点で考えると、市民生活を支えるうえで財政を安定させるということも大事。くり返しになるが、やはり市民生活を支えるうえで、財政を安定させるうえで、京都市は公債償還基金の残高の枯渇の問題、やはりこれが一番大きなことであったので、今回こういう判断をしたということ。もちろん市民生活も大事だし、財政も大事だし、その両方を考える中でこういう判断をしたということ。

◆ひぐち議員/今こそ支援が必要だと感じているが、ところが支援を手厚くするどころか、今度削減という話ですよね。もうすでに敬老乗車証や学童の利用料、条例が可決されてしまっている。改悪。負担増。こういう負担増が来年度予算では本当に大きくなっている。「今年度を歳出上限と設定した場合、そこから68億円を抑制した」と紹介されているが、この68億円の中には、市民への負担増、補助金カットが多く含まれている。少なくとも私は、こんな今大変な時に、さらに痛みを上乗せする、そういう部分ぐらいは、せめてこの200億円でカバーする、補てんして市民への負担増や制度改悪は行わない、それぐらいの判断はするべきと考えるがいかがか。

(→金山・財政室長)確かに市民の方々へのご負担になっている部分というのは出てるというのは事実。これについては丁寧な説明、ご理解求めていく必要があるというのは思っている。ただ、これもくり返しになるが、この187億という財源は一時的なものなので、今おっしゃったような、今回おこなっている制度の改正というのは、これはある意味長いスパン、単年度ではない話でいろんな提案をさせていただいているので、この財源を使うといってもそれは一時的なものにしかならないので、ちょっと性質が違うと考えている。

◆ひぐち議員/来年度予算の話はまた議論したいと思うが、私は、たとえこれが一時的で今年度分だけだったとしても、いまこの瞬間に市民がどういう状況にあるのか、この1年、今日明日どう生きるかという状況の時に、「いやいや何十年も先の話なんです」みたいな話をするのかどうかということ。やはりこの多かった200億円、これをどう使うのか今。これが問われていると思う。私は今苦境に陥っている市民の暮らしの支援、これをまず最優先に行うことが必要と感じる。

また、長いスパンの話というが、その点について少し聞きたい。2020年11月時点で「毎年500億円の財源不足」「財政が破綻する」という話だった。その話はいったいどこに行ってしまったのか。「毎年500億円足りない」と言った3か月後、昨年2月の段階、今年度の予算編成時には、「財源不足額は236億円」に減っていた。つまり一般財源の収支が、その時点で、3カ月の間に266億円上振れしている。そして、今になって、「収入はその時の見込みよりもさらに200億円多くなった」と。歳出はまだ分からないが、1年ほどの間に財源の見込みが466億円も上振れした。これで「財政が10年以内に破たんします」という話にいったいどれだけの信ぴょう性があったのかということ。結局、市民のみなさんに負担増を押し付ける、このためにつくり出された数字だと言われても反論のしようがないのではないか。

(→金山・財政室長)収支の見込みはその時々によって変動するもの。今は確かにおっしゃったような変動あったというのは事実だが、もう少し遡って、例えば「京プラン」の後期で言うと、逆に我々が計画上見込んだ収支よりも悪くなって、あの時は「特別の財源対策から脱却する」という目標を立てていたが、想定した収支よりも悪化して、脱却できなかったということがあった。なので、何か意図をもって操作しているわけではない。その時々の社会経済情勢によって変動するものという認識。

◆ひぐち議員/「その時々によって収支は変動します」と言われた。それはそうでしょう。でも、ほんのわずかな間に400億円以上、こんなに収支見込みが違ってくる。それでどうして「500億円の財源不足を前提にした財政破綻」なんて話が、信ぴょう性があると言えるのか。結局「財政破綻」、先ほど「公債償還基金の枯渇」と言ったが、そういう話が結局、都合のいいようにと言ったらあれだが、どう変わっていくか本当に分からない話、私たちはそこまでの財源不足は起こらないんじゃないかという話もしてきたが、結局そういう話でしかないということ。私は少なくとも今の段階で、財政の中期見通しを改めて示すべき。そのうえでどうしていくのか。200億円の見込み以上の収入があった。今年度のところ(予算編成時)でも財源不足額236億円だった。そういう段階で、将来どうなるのか、改めて示して、本当に枯渇なんてことがあるのか、財政破綻なんてことがあるのか、それをきちんと示してまた議論するべきだ。

市役所の庁舎整備について

◆井坂議員/議案にも出ている新北庁舎整備工事が完了すると、全ての庁舎整備が完了するが、改めてそもそも論だが、庁舎整備の目的とコンセプトは何か。

(→長谷・総務部長)今回の市庁舎の整備にあたっては、20年ほど前からずーっと市庁舎の整備、市庁舎の建替えについては協議を続けてきた。2度にわたる外部の有識者を交えた懇談会等からの提言も踏まえ、喫緊の課題である耐震補強をしっかりおこなう、加えて、いわゆる設備系の老朽化の対応を行う、それに伴い、外ビルに分散している民間ビルに賃貸している各部局の集約化して行政の効率化と市民サービスの向上を図っていく、加えて、いま庁舎の課題として残っているバリアフリーの問題、あるいは環境の問題、そういった問題にしっかり対応する、そういったことを踏まえたうえで庁舎の整備を進めていくと、懇談会からの提言を踏まえて、基本構想、基本計画とまとめて、今日に至っているものと考えている。

◆井坂議員/その点はやっぱりそうだと思う。だから我が党議員団も、一貫して、「建替えにあたっては、本庁舎の老朽化や耐震性をしっかりと対策を打つ」ということと合わせて、「庁舎が手狭で外ビルに分散している執務を本庁にまとめる」、あるいは「狭あいなために執務環境が劣悪であるところについては執務環境を改善する」ということについては当然だし必要だと思ってきた。だけども、整備計画が進捗していく中で、いくつかの課題も見えてきた。2016年9月議会の決算特別委員会で我が党としてこういうふうに指摘した。「今の京都市財政と市民生活のもとでは建設費は可能な限り縮減すべき」「本庁舎の地下通路設置や、西庁舎に民間店舗を引き込むことについては不要」と。計画の見直しを求めて、そういうことが改善されていないもとで、一貫して議案そのものについては我が会派は「反対」をしてきた。そういう点を踏まえたうえで、新北庁舎の中で1点だけお聞きしたいが、北庁舎と分庁舎を空中でつなぐ通路、この通路の必要性はどのように認識されているか。

(→長谷・総務部長)分庁舎と北庁舎をつなぐ通路については、各庁舎間がバリアフリーで移動できるために必要不可欠なものと考えている。各庁舎間において、外に出ることなく、特に分庁舎にいる職員は押小路通に出ることなく、本庁舎・北庁舎から分庁舎に移動できる、そういうバリアフリーの観点から必要なものであることで整備するもの。

◆井坂議員/御池通の地下通路も「バリアフリー」と説明されている。バリアフリーということについて私は否定しない。だけども、バリアフリーなら何でもいけるのかという点についてはもうちょっと精査すべきだ。エレベーターで降りて押小路通を通って分庁舎に行くという方法もある。したがってこれきっちりと議論したい思うので、建設費についてはできるだけ簡易にして縮減すべきという視点で、資料を提出いただきたい。いまおっしゃった、空中通路の建設経費、既存の本庁舎整備における御池通の地下通路、正庁の間、和室兼茶室にかかった経費はいくらになるのか、金額として資料を提出いただけるか。

(→長谷・総務部長)各部屋の建設費というふうに受け止めた。これまでからご案内しているように、各部屋ごとの建設費はそもそも積算していない。なので、委員ご指摘の、部屋ごとの建設費を出すにあたっては、そもそも資材価格であったり、労務単価であったりは、部屋ごとではなく、当然建物一体となって発注して積算して契約して契約変更してという流れ。そういう状況の中で、部屋ごとの建設費を出すにあたっては、この部屋を施工するにあたって、いったいこの部材を何立米使った何平米使った、そういったものを一定の仮定のもとで積算したうえで、その過程に基づいて個々の費用を積算するという作業を、都市計画局と協議したうえで、提出させていただきたいと思うので、その点ご理解をよろしくお願いしたい。

井坂議員/いま答弁でおっしゃった注釈付きで構わないので資料としての提出を求める。

2022年2月18日【予算特別委】行財政局/補正予算審議「コロナ対応にあたる職員の賃金カットは止めよ」「見込みより多かった200億円は市民の生活支援に」「市庁舎整備の経費節減を」

(更新日:2022年02月18日)