伏見の地下水を守れ!北陸新幹線延伸はストップを(2021年10月13日/文化環境委・環境政策局・やまね)

やまね/令和元(2019)年12月、我が党の加藤あい議員が総合企画局に要求し提出された資料がある。「北陸新幹線のルート設定に係る要望書」というもの。これは、伏見の酒造関係者から平成29(2017)年7月に出されたもの。内容は「酒造業者にとって、地下水の保存、水質の維持は、非常に重要な課題」「常時地下水の分析を行いながら品質に変化がないことを確認」「古くは昭和3年の旧奈良電鉄の地下鉄計画に対して、地下水に与える影響を調査し科学的な資料を持って、高架軌道へ変更していただいた経緯もある(現在の近鉄の高架部分の話)」「近年でも伏見地区での地下工事を伴う建築計画には、事前に設計者や施工者と協議し、地下水に影響を及ぼさない工事を要請してきた」と紹介されている。

そこでまず聞きたいのは、伏見の地下水というのは、そういう先人のみなさん、現在の酒造関係者のみなさんのたゆまぬ努力によって受け継がれているもので、新幹線計画によって悪影響が出ることは許されないという認識をお持ちなのかどうか。

それから、審査会や市民のみなさんの意見の中で「地下水の様子を3Dで把握することが大事じゃないか」というご意見もあったが、京都市独自で地下水への影響、現状などについて調査・分析などはおこなっているのかどうか。

(→中村・環境企画部環境技術担当部長)京都における地下水の重要性については、伏見エリアも含めて、当然本市としても重要であると認識しており、環境影響評価法に基づき機構が作成・公表した計画段階配慮書及び環境影響評価方法書それぞれに対して、「地下水への影響の回避、低減」を求める市長意見をすでに京都府知事に提出している。

本市としては、今後の環境影響評価手続きの中で、機構は詳細な調査・予測・評価と環境保全措置の検討を行い、方法書に記載の通り、京都駅から大阪府域を至るルートは、伏見酒造エリアを回避した区域を回避を選定するものと認識しており、それらの結果が公表される次の準備書が公表された際には、京都市環境影響評価審査会の意見を聞き、法に基づきしっかりと必要な意見を提出してまいりたい。

また、京都市独自の調査だが、環境影響評価制度については、大規模な事業を実施しようとするときに、事業者自らが、あらかじめその事業が環境にどのような影響を及ぼすのか、これを客観的に調査・予測・評価し、その結果を公表して住民や地方自治体の意見を聞きながら、環境の保全の観点からより良い事業をつくっていくための制度。環境影響評価制度において、必要な調査・予測・評価を事業者自らが行うこととされているのは、事業の内容やその特性を熟知している事業者が主体となることが、調査方法等をより良いものにするうえで適切であるという趣旨によるもの。

必要な調査については法令に基づいて、事業者の責任及び負担において、これまでの京都府知事意見等を勘案して行われ、調査・予測・評価の妥当性に関する説明についても、事業者の責任による行われるものであり、本市において実施されるものではないと認識している。本市としては今後、環境影響評価法に基づく準備書が提出された際には、京都市の審査会の意見を聞き、科学的客観的な観点から必要な意見を京都府知事に述べてまいりたいと考えている。

やまね/調査については「あくまで事業者がやるもの」「京都市はやらない」と。私はそれでいいのかということを思っているのと、いまお話もあったが、令和2(2020)年3月6日に京都市長が府知事宛に提出した「意見」では、「環境影響をできる限り、回避、低減するとともに、地形及び地質や土地利用の状況等にも配慮すること」としている。ここで言われているのは「地下水への影響を出さない」ことではなく、「できる限り回避、低減」、そして「配慮」を求めている。これでは鉄道運輸機構、先ほど「事業者が」「事業者が」と話し合ったが、鉄道運輸機構が「できる限りがんばったがここまでだった」「可能な限り努力した」と言われた場合どうなるのかと思った。あくまで「できる限り」ということは、場合によっては「地下水へ影響が出る」ことも否定できないのではないか。

(→中村・環境企画部環境技術担当部長)環境影響評価制度については、より良い計画を実施するために、事業者が自ら行うもので、回避・低減を求めているのは、今後そういう計画の中で、そのような、影響が大きくなるようなものを、ならないようにということで、本市からの専門家の意見を聞いたうえで、本市から意見を述べたもの。

◆やまね/申し訳ないがちょっとあまり答弁になってないというか、私は姿勢の話を聞いている。京都市の。「できる限り」ということは、「できない場合」があるんじゃないかと、いうふうに思うが、もう一度いかがか。

(→中村・環境企画部環境技術担当部長)当該調査については、あくまで事業者が、方法書で示された調査手法をもとに、知事意見や一般の意見も踏まえ実施されるもので、調査の内容や結果をどのようにとらえ公表するか、その調査の実施主体である鉄道運輸機構においてしっかりと検証すべきものと考える。従って本市においては、適切な意見を述べたというふうに考えている。

◆やまね/京都市が求めている「できる限り」とか「配慮」というのは、結局のところ「地下水への影響」を否定できるものではない。そういう中で計画に固執するなら「万が一地下水へ影響が出た場合は仕方ないですよ」と言ってるに等しいと思う。

要望書で酒造関係者が指摘されているのが「伏見の酒蔵が使用している井戸の深度は40m~100mで、想定される新幹線のトンネルの深度(40m以上)とほぼ一致」ということ。2019年12月に伏見区で行われた地元説明会、私も参加したが、酒造関係者の方も発言されていて、「仕事上心配がつきない」「京都市を縦断するというのはものすごい構想。調査の結果としてやらないということはありえるのか。そうなれば安心だ」「エリアを避けるだけでは不安。水脈が断たれることは距離が離れていても起こりうる」と発言され、大変印象に残った。影響が出ることは「極力」とか「できる限り」でなく「絶対」にあってはならない。

最後に資料を請求しておきたい。①ルート上回避するという「伏見の酒造エリア」とは具体的にどこを指すのか、地図で示していただきたい。②伏見の酒造関係者が利用されている地下水の採取スポットが何ヵ所あるのか。③地下水の調査箇所数と具体的場所について、ご提示いただきたい。

酒蔵はもちろん、伏見の地下水は宗教的な行事も大変関わっている。御香宮神社や城南宮、藤森神社等々、色々名水スポットが伏見にはあり、寺社仏閣で伏見の地下水は非常に大きな存在・役割を果たしている。悪影響が出ることは許されないとあらためて申し上げたい。巨額の財政負担、自然環境や生活環境の破壊、さらに地場産業・伝統文化を破壊する可能性がある「北陸新幹線の延伸計画」はあらためて撤回を求めたい。せめて一度立ち止まって考えるべきではないかと申し上げる。

◎国本委員長/やまね委員に確認させていただきます。一つがルート回避の地図、もう一つが地下水調査の箇所数ということだが、もう一つあらためて、ちょっと早口だったので聞こえなかったので、ゆっくりとお願いします。

やまね/すみません。いま機構が行おうとしている地下水の調査箇所数と具体的場所について、示していただきたい。

◎国本委員長/機構が行おうとしている具体的な地下水の調査箇所数と場所でよろしかったですか。以上、三つの資料について、理事者提出できますか。

(→中村・環境企画部環境技術担当部長)一点目の伏見酒造エリアの地図だが、方法書において「京都市及びその周辺においては、京都市中心街地、伏見酒造エリアを回避した区域を選定すること」とされており、地図については示されていないことから、提出する資料はない。

二点目の酒造地下水の利用数だが、利用状況についてはすでに配慮書のほうで公表されている。

三点目の機構が実施する調査箇所については、当該調査はあくまで事業者が方法書に基づいて実施するものであり、運輸機構においてしっかり検証すべきものであると考えている。したがって、適切な手続きを経て行われる調査等に対しては、本市が内容を把握し管理する立場にはないため、提出する資料はない。

◎国本委員長/やまね委員、以上ですけどどうされますか。

やまね/まあ出せないということなんで、もういまこれ以上は結構だが、つまり京都市は、何も示せないということじゃないか。こんな無責任な話はないということだけ申し上げる。

2021年10月13日【文化環境委】環境政策局/一般質問「北陸新幹線の延伸による地下水への影響について」

(更新日:2021年10月13日)