補正予算審議:文化芸術・スポーツ分野への支援を(2021年9月24日/予算特別委・文化市民局・やまね)

◆やまね/「スポーツ団体における大会開催等活動支援事業2300万円」について。先ほどもあったように本当にコロナ禍で大会開催はもちろん、普段の練習そのものが中止を余儀なくされているケースも多い。スポーツ関係者のみなさんのご苦労は大変なものだと思う。ぜひとも活動継続できるよう支援をがんばっていただきたいと、まず求めておきたい。

先ほどスポーツ関係者の声もご説明の中で少し紹介していただいたかと思うが、今回の事業はスポーツ関係者の要望も踏まえて具体化されたと理解してよいか。これまでどのような形でヒアリングなどおこなってこられたのか。実際にどのような声が寄せられているのか。特徴的なことを紹介していただきたい。

(→平松・市民スポーツ振興室長)スポーツ関係者の声は、新型コロナの影響等について、昨年度、本市のスポーツ協会に加盟する45団体に、2回、聞き取り調査をおこなった。さらに昨年度末には、コロナの影響、活動状況についてアンケート調査もおこなった。スポーツ団体からは「コロナ対策にかかる費用が増加し負担となる」「活動への参加者が減少し赤字傾向」「コロナ禍で活動が制限され、大会等が中止になるなど運営に苦慮している」、そういった声が多くあった。

◆やまね/個別に聞き取りを2回おこなったうえで、さらにアンケート調査もされてるとのお話。関係者のみなさんの声をお聞きしたうえで、今これが必要だということで考えていただいたのは非常に重要だと思うが、そのアンケート調査というのは、何かまとまった報告書などは市文化市民局でつくられたりはしているのか。

(→平松・市民スポーツ振興室長)あくまで内部の集計として整理しているもの。

◆やまね/あくまで内部のものということだが、私はぜひ、表向きに出せるようなものもこの機会にやっていただけないかなと思う。プロスポーツ、アマチュア、学校の部活動、体振さんの取組、スポーツジムの経営者、インストラクターの方など、いろいろ、それぞれのご苦労があるんじゃないかと思う。ぜひこの機会に京都市としてスポーツ関係者のみなさんへのアンケート調査を、例えば文化芸術分野ではやっていただいているわけだが、ああいう形で公に取り組んでいただいて、その課題も報告もきちっとまとめて、こういう問題がいま京都市でスポーツ分野のところで苦労があるんだと、そんなことが市民のみなさんにも分かるような形で取組を進めていただけないかと思うがいかがか。

(→平松・市民スポーツ振興室長)現時点では、これまでの取組において本市として目指しているスポーツ団体の実情の把握は概ねできていると思っているので、今のところはこれまで以上の対応は考えていないが、今後必要と思われるような状態があれば改めて検討したい。

◆やまね/ぜひ検討していただきたいと思う。それからもう一つ、スポーツ現場での今大きな課題が「どう安全に実施するか」ということだと思う。当然ながらマスクを付けながらプレーは困難、できない場面が多い。屋内で行う競技、身体がぶつかり合う、密接に接するような競技もあると思う。そこで重要なのが、もちろんそれぞれの場面で、感染対策するのは本当に大事だが、たとえ無症状の感染者がおられたとしてもいち早く見つけることが非常に重要と思う。その点で私はこのスポーツの分野でもPCR検査の拡充ということをぜひ取り組んでいただきたい。Jリーグでは2週間に1度、公式のPCR検査が行われ、そのもとで活動されているが、今回の事業は先ほど「上限30万円、1回きり、補助率10分の10」とのお話あったが、感染拡大防止を目的におこなうPCR検査の費用なども対象になるのかどうか。

(→平松・市民スポーツ振興室長)この事業は国の「新型コロナ地方創生臨時交付金」を財源として、スポーツ団体の活動においてコロナ対策に要した経費を対象に補助するもの。ご指摘のPCR検査等の受検費用をはじめ、非接触型体温計、サーマルカメラ等の備品類、フェイスシールド、マスク、消毒用アルコール等の消耗品等の購入経費、できるだけ幅広く対象にしたいと考えている。

◆やまね/そしたらできるだけ幅広くと、そしてPCR検査の費用も対象に含まれると。1回しか申請できないのはちょっと残念だが、ただ、今言っていただいたように、無症状の方のPCR検査も対象になるし、補助率は10分の10で自己負担なくできるということであれば、これは大変重要な事業だと思う。ぜひこういった取組をさらに広げていただきたい。要望しておく。

次に「本市所管施設における感染拡大防止対策3000万円」について。資料には「感染防止対策を踏まえ空調・換気設備の改修を行う」ということで、その内訳を見ると京都コンサートホールとともに文化財収蔵施設・展示施設と書かれている。文化財収蔵施設については、今年5月の文化環境委員会で議論した際に「温湿度管理できる部屋とそうでない部屋がある」との話があったが、今回の事業で空調設備なんかを整えていただくということで、職員や見学者のみなさんの感染対策とともに、収蔵施設の収蔵環境も改善されるということか。

(→山口・文化財担当部長)今回の空調・換気設備の改修だが、先生おっしゃるように、基本的には収蔵庫における職員の安全管理とか、公開する時のための安全管理を最優先に目的とさしていただいているもの。合わせて当然その空調設備も入るのでかねてから懸案の部分も一部は改善できるものと考えている。

◆やまね/そうすると、これまで8施設、収蔵施設があるとお聞きしているが、(改善されるのは)全部ではないのか。一部は温湿度管理ができない部屋もあるが、一部は今回のもので改善ができるということか。ちょっともう一度。

(→山口・文化財担当部長)当市では8施設、収蔵施設がある。その中で今回、先ほど申し上げたように、収蔵庫の職員の安全対策であるとか、展示・公開のための対応ということで、なので、全部すべてものに今回行き渡らないと思っている。特にそういうことができる施設について優先的に整備さしていただきたいと考えている。

◆やまね/分かりました。これも必要な対策であるので大事なことだと思う。

同時に、今回の財源は全て国の臨時交付金で京都市の負担はないと思う。例えば昨年度の文化芸術分野での「両立支援補助金」、あるいはこの間の中小企業等を対象とした「再起支援補助金(産業観光局)」を使って、ライブハウス・小劇場・ミニシアターなど民間の施設が感染対策を行う場合は、補助率10割にはなっていない。私たちも今回の事業は賛成したい中身だが、公共施設の感染対策は10割出て、民間施設の感染対策は自己負担が発生するというのは、ある意味不公平感がないだろうか。その点の認識はどうか。

これはダンススタジオの経営者の方が言っておられたが、「いくつかあるスタジオに換気・空調をしっかりしたものにしようとすれば、やはり全体で数百万以上かかる。補助をもらったとしてもなかなか厳しい」という声がある。なので、民間の施設でも10割補助で感染対策が行えるようにすべきではないかとも思うが、その辺りのお考えはいかがか。

(→砂川・文化芸術都市推進室長)今回提案させていただいている「運営維持確保対策」については、あくまでも、京都市が施設の所有者として、維持管理を続けるうえで必要な経費を支出するための経費。民間施設もコロナの影響を受けられてなかなか厳しい中ではあるが、これについては国の補助金を活用することも可能で、議員おっしゃるような10割というところまではいかないかもしれないが、しっかりそういう補助制度を活用いただけるように、総合相談窓口などにおいて、最大限のご活用いただけるようなサポートをおこなっているところ。

◆やまね/国の補助金の活用の案内などもしていただいているのは本当に必要なことだと思うが、しかしやはり全額が補助されるものではないと思うし、なかなか対象にならない方々もいらっしゃるということは、ぜひあらためて重く考えておく必要があるんじゃないかなと思っている。

もう一つお聞きしたいのは、「本市所管施設の一時閉鎖期間中の維持管理経費9200万円」「本市所管施設のコロナ禍での運営維持確保対策2300万円」についてだが、それぞれ京都コンサートホール、京都会館、5つの文化会館、無鄰菴等3つの文化財施設を対象にするもの。閉鎖期間中の維持管理経費は17のスポーツ施設も対象。資料には補正理由として「一時閉鎖に伴い閉鎖期間中の維持管理に要する経費が不足するため」とか、「全国的な観光自粛やイベント開催制限等が、施設運営に多大な影響」ということが書かれている。つまり、今回の事業は、施設を運営・管理する団体等への「減収補てん」的な意味合いがあるという捉え方もできるかなと思ったが、この点はどうか。

(→砂川・文化芸術都市推進室長)開館期間中にあってもコロナの影響を大きく受けたと、先ほど文化観光施設に特有の事情、例えば収容制限とか府県をまたいだ移動制限があったので、そういった施設に対する維持管理経費を、本市の所管施設であるので、本来は運営しているところが自ら何とかするのが基本だが、なかなか予見できなかった影響による本市の施設をしっかり維持運営していくための経費として計上しているもの。

◆やまね/すみませんこれ、例えばスキームというか、形としては、補正予算をつくって、管理・運営されている団体のところにお金を出すということになるのか。

(→津島・くらし安全推進部長)支出方法については、通常の指定管理業務の経費と同様に、委託料として支出する予定になっている。

◆やまね/分かりました。先ほど「本来は自らの団体で何とかするのが~」というお話もあったが、私はやっぱり本来なら、国がきちんと自粛に見合った補償をやるべきだということだと思う。先ほどお話あったように「公共施設の設置者としての京都市が責任を果たす」と、これもすごく大事なことだと思うしその通りだと思う。ぜひそういう立場でがんばっていただきたいと思う。コロナの影響で公共施設の運営が成り立たないということがあってはならない。同時に思うのは、京都の文化芸術を支えてこられたのは、小さな規模のライブハウスや小劇場、フリーランスや個人事業主のみなさんでもある。そういうみなさんが国からも京都市からも減収補てんがないなかで、閉館・廃業に追い込まれたり、違う仕事につかざるをえなくい、こういう状況になっている。先ほど申し上げたように、私は国が自粛に見合った補償をしてないというのが最大の問題だと思うが、ぜひ京都市としてもそういったみなさんへの独自支援を引き続き考えていただきたいと思う。

最後にもう一つだけお聞きしたい。文化芸術・スポーツというのは、ライブ本番、大会当日だけで存在しているものではない。そこに至る過程があって成り立つもの。普段の練習やミーティングなどの活動も含めて支援してこそ活動継続が可能となる。日常活動を支える支援を考えていただきたいと思うが、この点最後うかがいたい。

(→砂川・文化芸術都市推進室長)本市としても、そういう民間施設の方々、そこを拠点に活動されている方の支援については、クラウドファンディングを活用した文化芸術発表鑑賞拠点に対する支援や、コロナの影響を受けながらも文化芸術活動を継続するための施設使用料の補助、そういったものを通してサポートをこの間おこなってきた。

この10月からは、市民、企業等と連携し、文化芸術活動の継続発展を持続的に支える新たな仕組みである「アーツ・エイド・京都」もスタートさせる。この制度は、民間のそういう文化芸術施設の主催事業者様等にもご活用いただけるものであろうかと思っているので、そういうこともしっかり周知してまいりたいと考えている。

また、引き続き国において実施されている「アーツ・フォー・ザ・フューチャー」や、「文化施設の感染拡大防止活動支援・環境整備事業補助金」、こういった民間の文化施設でご利用いただけるような補助メニューについて、総合相談窓口等で丁寧にご案内して、先ほど議員おっしゃったようなあらゆる活動、そういったものを適切にサポートしてまいりたい。

◆やまね/すみません最後に一つだけ申し上げたいのは、クラウドファンディングのお話されまして、この前も文化環境委員会で議論させていただいたが、私は、お金が集まりそうなものしか救われないというのではダメだと思う。行政がそういう立場に立つなら、それは文化の振興とはほど遠いものになる。文化芸術、スポーツの価値は、お金が集まるかどうかでは計れないものがある、このことを踏まえた支援のあり方というのをぜひ考えていただきたい。このことを求めて終わる。

2021年9月24日【予算特別委】文化市民局/補正予算審議(スポーツ団体への支援、公共施設の維持管理費など)

(更新日:2021年09月24日)