◆やまね/10月3日付の京都新聞が、この夏、第5波の勢いがあった8月2日~9月5日の状況を伝えている。京都市では同時期に、コロナ疑いのある搬送困難事案が67件、現場到着から搬送開始までの時間が最長だったケースでは1時間35分とのこと。①昨年来、コロナ禍において、これまでで最も時間のかかったケースはどれくらいの時間なのか。②京都市において搬送の遅れが原因で、搬送中や搬送後に亡くなられたケースはあるか。
(→鈴木・警防部担当部長)搬送困難事案数は、令和2年1月~令和3年9月で2422件。今やまね先生からご指摘いただいた搬送時間が1時間35分かかったというものある。こういったものはやはり受け入れ先がなかなか決まらない、病院側の体制が逼迫している状況かと思っている。なので、京都府では入院待機ステーションを設営し、なかなか決まらない場合は一旦そこに運んで医師の管理の下、酸素投与などして、搬送先が決まるまで待つという体制が敷かれている。
①これまで搬送困難事案の中で最長は、救急隊の現場滞在時間が2時間59分というものがある。第3波、今年1月26日に発生した事案。(②は答弁もれ)
◆やまね/議員団要求資料で、昨年1月から今年8月末までの件数についてもまとめていただいたが、最も件数が多かったのが今言われた第3波の時で、今年1月の404件(そのうち発熱、呼吸苦あり126件)。
ただ、先ほどの話にもあったように、感染者数は今年の8月がすごく多かった。それ以上に。そのことを考えると、救急搬送困難事例というのは相対的には減ってきている印象を受けた。ただ、この理由をどう考えるか。①入院できないとか自宅療養があまりに感染者が増えてしまって、それがもう当たり前になってしまったので出動要請そのものが減ったのか、それとも出動要請は多いが搬送先が拡充されてきて受け入れられるようになってきたということなのか。②特設救急隊のお話もあったが、京都市消防局として搬送困難事例を減らすために努力されてきたことなどあれば教えていただきたい。
(→鈴木・警防部担当部長)①救急搬送困難事案が減ってきた理由だが、これまでの教訓を活かして、医療機関側で搬送受け入れ体制が強化されたこと、具体的にはコロナ病床の数がかなり増えている。また、宿泊療養施設の体制も強化されている。さらには京都府の入院医療コントロールセンターで搬送先を調整する人員体制も強化された。これが一番の要因かなと考えている。
②消防局で取ってきた対応だが、当然搬送困難事案が増えてきた時の対応として、特設救急隊の増隊に加え、なかなか搬送先が決まらないときに、複数の病院に一斉に交渉を行うシステム的なアラートという運用を始めた。あとは入院待機ステーションの支援に人を出したり、そういったことを講じている。
◆やまね/分かりました。やはり救急車が長時間ストップすると、コロナだけではなくて、交通事故やその他の病気やケガで運ばないといけないような方が出た時に支障が出てくると思うので、搬送困難事例が少なくなるにこしたことはないと思う。いま受け入れの強化ということで言われたが、そこが強化してうまく回っていくということであればいいが、もし感染がまた爆発的な拡大を見せて、自宅療養が当たり前のようになってしまって、救急要請もためらうような事態になれば、それは喜べないので今後注視が必要だと思う。
今後、第6波が来ればやはりどうなるか分からない。京都新聞記事では、ある消防局担当者の声として「十分な病床がなければ次の波でも救急車が立ち往生してしまう」「(搬送先の候補として)臨時医療施設や酸素ステーションの設置も必要だ」と話し、「国や都道府県に人材確保などの支援を」求めたと紹介されている。第6波が来ることを想定した場合、救急搬送困難事案を増やさないために、減らしていくために、いま消防局としては何が必要と考えているか。報道で紹介されているご意見のような認識をお持ちなのか。その辺り教えていただきたい。
(→鈴木・警防部担当部長)まず先生から始めに聞かれた救急搬送遅れによる死亡事案だが、これはゼロ。
今のご質問、第6波への備えだが、やはり先生おっしゃる通り、受け入れ側の病床の確保とか、酸素ステーション、臨時医療施設というのが最重要かと思うので、そこは医療側に消防からも働きかけていきたいと思っている。
消防でできることとしては、新規感染者数や病床の埋まり具合などの状況を逐一ウォッチして、先手先手で、状況が危うくなってくれば早めに特設救急隊をつくるとか、複数病院交渉のアラートの実効性を高める訓練を今のうちにやっておくなど、そういう先手の対応をしていきたいと考えている。
◆やまね/最後に、消防局職員のみなさんをコロナからどう守るかということで、一点だけお聞きしたい。消防局職員さんの感染対策において、定期的なPCR検査などはされているのかどうか。もし感染が疑われるような方が出た場合などはどのような対応をされているのか。
(→名畑・総務部長)消防局においては定期的なPCR検査はおこなっていないが、抗原検査キットを有しており、それを活用して、これならば15分程度で結果が判明するということから、早期に陽性判定の結果を得ることができるので、これを用いて職場内でのクラスターの発生を防止している。
◆やまね/定期的なPCR検査はやっていないけれども、抗原検査キットで何かあればすぐ検査をするとのこと。非常に迅速な対応していただくのはすごく大事で重要と思うが、ただやはり抗原検査では無症状の方をつかむのはPCR検査に比べると劣ってしまうので、市民の命を守るため日夜奮闘されている消防局のみなさんにあらためて敬意を表したいと思うが、その消防局職員のみなさんの命、健康守るためにも、やはりエッセンシャルワーカーと言われるみなさんへ、定期的なPCR検査をおこなう体制もつくっていただきたい。これは要望だけして終わりたい。よろしくお願いします。ありがとうございます。
2021年10月7日【決算特別委】消防局/救急搬送困難事案の状況、救急隊員の感染対策について
(更新日:2021年10月07日)