◆やまね/昨年度打ち出された約2億円の「大学における学生支援強化特別対策事業」について、各大学への交付額と主な取組内容を資料にまとめていただいた。それによると交付額合計は約1億8000万円。下は37万円から上は790万円まで、市内のほとんどの大学で活用されている。主な取組内容としては「不安を抱える学生向けの相談体制の充実」「感染拡大防止対策」「オンライン設備の整備」など。どれも必要なものだと私も思う。
そこでお聞きしたいのが、①ここで「学生支援」という時、大学が独自に取り組む食糧支援や生活用品の提供、学生への給付金、地域の飲食店等で使えるクーポン券発行などは、対象となるのか。そういう申請があったのかどうか。②「感染拡大防止対策」という時、大学独自にPCR検査センターをつくっている場合、PCR検査キットを学生に配布する場合、その費用は対象となるのかどうか。そういう申請があったのかどうか。
(→三木・大学政策部長)いま議員から紹介のあった「大学における学生支援強化特別対策事業」、こちらは新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、キャンパスへの立ち入り制限とか遠隔授業、こういったものが実施されていたことから、「相談できる友人がいなかった」「授業への理解が進まなかった」など、十分な学生生活を送ることができない中で、多くの学生が不安や困難を抱えたり、入試等への対応をはじめとするこれから受け入れる学生の安心安全の確保等の課題があったことから、多くの学生が安心して京都で学び暮らし、充実した学生生活を送ってもらうことができるように、京都市内に本部または学生が通うキャンパスを有する大学・短期大学39校を対象に総額約2億円の補助制度を創設し、いまお話いただいた通り各大学等における不安や困難を抱える学生への支援等を新たに充実させる、こういった取り組みに対して補助を行ったもの。
いま議員からご指摘いただいた食糧支援やPCR検査といったところは、この事業の対象とはなっておらず、申請の中にも上がってきていないという状況。
◆やまね/そしたら「対象外」だし「申請もなかった」と。
(→三木・大学政策部長)対象ではないので、大学側からそれが出てくることは当然ないと。
◆やまね/いま切実に求められているのは、根本的にはやはりそもそも大学の学費が高すぎるということもあるし、「学費負担の軽減」がどうしても必要だと思うが、コロナ禍の状況の中で、日日の暮らしに困っておられる、生活に困窮されている学生を直接支援することも大変重要だ。だからこそ多くの大学で独自の給付金、食糧支援に取り組まれているところもある。そこをぜひとも、食材支援・生活用品の提供なども含めて、行政が、京都市がもう少し関われないんだろうかと思っている。ぜひその点は今後また検討していただきたい。
もう少し聞くが、大学によっては独自にPCR検査センターをつくったところもあると聞くが、実際にいくつくらいの大学がつくられているのか、その場合、学生の負担、大学の負担など、大学政策を担当する部局としてつかんでおられるのかどうか。
(→三木・大学政策部長)PCR検査センター、名前は各大学によって様々だが、設置している大学、網羅的に把握はしていないが、例えば、京都産業大学が昨年9月に大学内にPCR検査の施設を設置されている。また、立命館大学では今年1月にスクリーニング検査を行う発熱外来ということで開設されている。また、これら以外にも、施設設置ではないものの、実習・クラブ活動遠征などにあたって事前にPCR検査を活用している大学もあると承知している。費用負担は、大学独自に設置したもので大学が支出していることになろうと思うが、学生の費用負担は、各大学が実施をするなかで有償無償諸々あると認識している。
◆やまね/京産大や立命館大、また場合によっては実習・クラブ活動のところで実施されているところもあるとのこと。
新型コロナウイルス感染症について、昨年来、京都市での感染確認事例は10月6日時点で24270件(京都市HPより)だが、このうち学生の感染事例は何件ほどあるか、これについてはつかんでいるか。
(→三木・大学政策部長)本市の感染者数に占める大学生の数字。手元にある数字でいくと、令和3年9月末時点で、市内全体では24123名、そのうち大学生は2102名、8.7%となっている。
◆やまね/そうすると2000名以上の大学生の方が感染をされているとのこと。
新型コロナについては、接触感染や飛沫感染だけでなく空気感染もすると言われている。若い方も後遺症が残る場合がある。さらに変異株の影響で言うと、感染力がさらに強い、若い方も重症化するリスクが高いと言われている。また、若い世代の方はワクチン接種がまだまだ進んでいない実態があると思う。府県をまたいでの移動も多い。もう一つ心配しているのは、高い学費をまかなうためには体調が少し悪いくらいではバイトを休めない方もおられるのではないか。こういうことを考えれば、若い世代での感染拡大のリスクを否定できない。今も「8.7%は大学生」との話あったが、実際に20代以下の感染者数の割合がだんだんとこの間増えてきているので、私は今、若い世代、学生さん、ここにターゲットをあてて対策を講じる必要があるのではないかと思っている。国のモニタリング検査も行われているが、今言われている「安心安全の学ぶ環境をつくる」「第6波に備える」なら、今こそ学生を対象に大規模にPCR検査を行えるような体制をつくっておく、感染拡大の予兆をつかめるようにしておくことが必要ではないか。この点のお考えはいかがか。
(→三木・大学政策部長)大学におけるPCR検査体制のご質問。PCR検査をどう実施していくかは全市的なところとして、保健福祉のほうで音頭を取りながら我々も大学の部分として対応を進めさせていただいている。その中で大学というところでいくと、この間、本市をはじめ、国・京都府等において、適切な役割分担の中で様々な取組を実施・充実させてきている。
京都府は、府が作成した「大学等における感染拡大予防のためのガイドライン」に基づいて各大学での感染拡大防止対策等について支援を実施。緊急事態宣言の延長を受け、学生が安心して学ぶ環境を確保するために、議員ご指摘の学生のPCR検査実施、こういったものにかかる事業なども含めた、京都府内の大学・短期大学が実施する「学生が安心して学べる教育環境の整備または支援のための取組」に要する経費の2分の1を補助する事業に取り組んでおられる。また、国においては、新型コロナウイルス感染症、拡大防止のために、大学等における抗原検査簡易キットを希望する大学に配布する取組をおこなっているものと承知している。
本市においては、学生・教職員のPCR検査実施に対する財政支援を国に対して要望している状況。こうしたものを行うとともに、各大学において対面授業等の実施に向けて、新型コロナワクチンの職域接種を積極的に実施しているという状況なので、大学コンソーシアム京都や京都府に働きかけ、大学間連携によるワクチンの職域接種の仕組みを構築するなど、「大学のまち京都・学生のまち京都」ならではの取組を進めている。こういうふうな形で今まで支援をしているので、今後とも国・京都府・大学等としっかり連携し、役割分担を行いつつ、支援を実施していきたいと考えている。
◆やまね/いま府と国のお話も出たが、その通りで「京都府は(PCR検査費用)2分の1補助」をしている。京都市としては「国に検査費用の財政支援を求めている」。ということは、やはりPCR検査は感染拡大防止をしていくうえで非常に有効だと、総合企画局としても考えておられると理解してよいか。
(→三木・大学政策部長)PCR検査自体が有効かどうかというところで、どういった時にどういった形で有効かという話について、我々少し述べる立場にないのでそこは控えるが、まず早期発見を行うという面で大学さんがPCR検査を活用されている事例があるということは、当然そうしたものとして理解している。
◆やまね/分かりました。もちろん医療とか保健衛生の関係で言うと保福になるが、ただ、いま「早期発見」の話もあったが、それが私も非常に重要だと思う。
私はいま、これまで京都市がおこなってきたことと矛盾する話をしているつもりはない。例えば、この春から入所系高齢者施設では定期的なPCR検査がおこなわれてきた。4月26日~9月1日までの間に27万4000件ほど検査し82件の陽性を確認(陽性率0.029%)。それぐらい大規模な検査をおこなって陽性者が分かる。大規模に定期的に検査をしたからこそ分かったわけで、検査していなければクラスターが発生した可能性がある。
また、今議会で、産業観光局の事業で、MICE関連で京都に来られる方がPCR検査を受ける場合、その費用の5分の4をMICE主催者に補助する補正予算も組まれた。広報資料には「参加者の事前検査を促進し、安心・安全の確保を図りながら、市域経済の早期の需要回復を促進」とある。産業観光局はそういう判断をした。だから私は、大学政策を担当する部局としてもぜひ検討していただきたい。「安心・安全の確保を図りながら、学生生活を回復していく」という視点が今いるんじゃないかと思うが、その点あらためていかがか。
(→三木・大学政策部長)PCR検査だけでなく、新型コロナ対策は総合的にやっていかなければいけない、そういうものだと認識している。そうした中で、国・京都府等と適切な役割分担の中で大学に対してのコロナ対策は進めてきているというのが現状。その中で先ほど申し上げたような、京都府の制度があり、その中でPCR検査についても2分の1補助が実施されている。また、我々京都市としては、大学側のご意見の中でも「対面授業等の実施に向けてしっかりやっていきたい、ワクチン接種を進めていきたい」というようなお話も合った中で、であればということで、コロナワクチンを実際進めるなかで「職域接種を手を上げようとしても1000人以下の規模ではそもそも手を上げていくことができない」、そういったものもあったので、そういったところがしっかり職域接種をできるように「大学間連携による職域接種のしくみ」をコンソーシアム京都や京都府と連携しながらつくらせていただいて、京都の中の大学さんのワクチン接種を促進していく形を取らしていただいた。我々としてもしっかり総合的に取り組んでいくというのを役割分担の中でやっているとご理解いただければと思う。
◆やまね/「対面授業のためにワクチン接種」というお話もあったが、ワクチンをたとえ接種したとしても感染される方はおられるわけなので、「対面授業目指す」というのは重要でそこはすごく大事なことで、だからそこはワクチン接種だけではなくて、プラスPCR検査もそこに加えていくと、より重層的に安心安全が確保されるんじゃないかと思う。オンライン授業などの対応も重要だが、学生さんからは「対面授業」「リアルなつながり」を求める声も非常に多い。特に実習・実技系の授業が多い分野は本当に切実。福祉・教育・音楽・体育など。先ほど「部活とかの際に検査をしてる場合もある」というお話あったが重要だと思った。市立芸大で声楽、オペラを学んでおられる学生さんから「安全に授業・実習を行うためにPCR検査をやってもらいたい」という声も寄せられている。せめて実習・実技系の授業がある場合は、先ほどもお話あったような、検査を実施する、学生・学校の負担なくできるように、そういうことができないか、ぜひ大学とも保健福祉とも連携して考えていただけないか、これは求めておきたい。
この間、文化市民局の事業では、スポーツ団体を支援する補正予算が組まれたが、1回限りではあるものの補助率10分の10でPCR検査にも使える。昨年の文化芸術分野の両立支援補助金も補助率2分の1だがPCR検査も対象。京都市の取組の中でも、高齢者施設では定期検査、MICE関連や文化芸術・スポーツのところで、本人の負担なしに、または軽減する形でPCR検査を受けられる施策が実施されているので、ぜひ学生分野でも考えていっていただきたい。
もう一つ求めておくが、コロナの影響で、親の収入減で仕送り額が減ったり、学生本人のアルバイトのシフト削減など、様々な経済的影響、生活困窮の実態がある。コロナ以前から求めてきたことだが、高すぎる学費負担の軽減がこんなに求められているときはない。国への要望にとどまらず、ぜひ京都市独自で給付型奨学金や奨学金返済支援に取り組むことも強く要望しておきたい。
最後にもう一点、「市民しんぶん」での広報のあり方について聞く。この間、市民しんぶんでも「財政危機キャンペーン」がくり返されているが、京都新聞9月28日付で、市民しんぶんで9000件の市民意見に「真剣に向き合った」と京都市が発信していることに「市民から疑問の声が出ている」と報道。「市民感覚とのズレを感じた」という40代女性の声を紹介。30代後半の市職員の声として「行財政改革を進めるのが前提で市民意見に向き合う雰囲気は薄い」とのコメントも紹介。
昨日の行財政局質疑で我が党の加藤あい議員も指摘したが、いま私が危惧するのは「財政危機」を殊更強調した場合、京都市がどう見られるのかということ。私は、十分不十分はあっても、京都市は何もしてないわけじゃない。生活支援や事業者支援も取り組んでいるところがある。文化芸術分野での緊急奨励金、女性への生理用品提供などは、全国に先がけた取り組みとしてがんばっておられる。市バス地下鉄への財政支援や学生支援について国へ要望している中身も大変重要なこと言っておられると思う。本会議の代表質問で我が党の鈴木議員が紹介したが、生活保護の現場では「扶養照会は義務ではない」ということで対応もされている。ところが、この間の市民しんぶんの内容では、そうした京都市の姿勢、姿は全く伝わらないのではないか。この点どんなふうにお考えか。
(→須貝・市長公室長)行財政改革を進めるにあたっては、これまでの反省もあるが、現下の厳しい財政状況をつまびらかに、できるだけわかりやすい形で市民の皆様にお伝えして、課題意識を共有する必要がある、そしてまた協働につなげていかなければならない、こういう意識。そういうことでこの間、市民しんぶんでも行財政改革に関連する記事を掲載してきた。記事の内容自体が重いものなので、そういう声もあるのも事実だが、一方で読者の皆様から「京都市の財政状況がよく分かった」「もう少し詳しく知りたい」と、そういう好意的な声も多数いただいているところ。
また、今回の行財政改革、単に「足元の財政状況悪いから改革するんだ」ということではなく、これまで守り続けてきた本市ならではの福祉・教育・子育てなどの施策を、その理念を活かしながら、社会経済情勢の変化に対応して、将来世代に負担の先送りをしない、持続可能なものにしよう、再構築しようとするもので、当然この改革の理念というのは、市民しんぶん作成するにあたっても十分念頭に置いている。例えば10月号の特集記事のタイトルご確認いただければと思うが、「将来に渡って市民の暮らしを守る行財政改革計画」、こういうタイトルにし、都市の成長戦略についてもしっかり記載するなどの取組をおこなっている。また、同時に市民しんぶん16面にはコロナ禍でお困りの方に相談窓口のご紹介、これを継続的に続けたりとか、あるいは紙面全体のバランスという点では、中ほどの面では文化行事とかスポーツの話題など、いろいろ盛り込むことで紙面全体が重たくならないような、そういう工夫などもとりおこなっているところ。
◆やまね/「つまびらかにお知らせする」と言うが、北陸新幹線延伸で巨額の負担の可能性があるなんてことは何も触れてないじゃないか。「16面で窓口についてご紹介している」とあったが、私はそれを1面のところに持っていって、市民のみなさんに「何か困ったことがあったら相談してください」と、いうことを訴えるのが市民しんぶんの役割だと思う。市民しんぶんの役割は市民のみなさんを不安にすることではない。不安をあおることではない。京都市として市民の暮らしに寄り添う、市民の暮らしを守り抜く決意こそ示すべきであるし、市民生活に役立つ制度、事業者支援策、そういうものを徹底的に紹介しきることこそが今必要であると思うので、ぜひ改善していただきたいと求めて終わる。
2021年10月7日【決算特別委】総合企画局/コロナ禍における学生支援、市民しんぶんでの広報あり方
(更新日:2021年10月07日)