陳情審査:大学生にも定期的なPCR検査を(2021年7月21日/教育福祉委・保健福祉局・とがし議員と井上議員の質疑文字起こし)

*京都市説明

(→志摩・医療衛生推進室長)新型コロナウイルス感染症にかかるPCR検査は、症状や経過等から新型コロナウイルスの感染の疑いのある方について、検査時点でのウイルスの有無を調べ、感染しているかどうかを確定するために行うもの。

本市においては、昨年5月から医師の判断のもと、症状の有無にかかわらず少しでも感染の可能性のある方を幅広くとらえた本市独自基準に基づいて検査を行うとともに、保健師による積極的疫学調査により、感染経路や接触者を把握し、同一感染経路でのさらなる感染を防ぐなど、感染拡大防止にしっかり取り組んでいる。

また、変異株の感染力の強さを踏まえ、濃厚接触者の対象を拡大して選定することや、濃厚接触者に該当しない方であっても、陽性者と接触があり感染の可能性のある方については広くPCR検査を実施することを徹底しており、その結果、陰性であっても健康観察や注意就業を行っていただくことによって、さらなる感染拡大防止に取り組んでいる。

さらに、感染防止については、個々人の感染防止対策を徹底することが最も重要であることから、本市では感染拡大のリスクが高い5つの場面を中心とした啓発動画を作成し、大学や関係部署等とも連携し周知に努めている。

また、ワクチン接種については、職域接種による大学単位での接種も進んできており、今後さらに接種が進んでくる。また、国においては今後、抗原検査簡易キットを各大学に配布し、これを活用することも検討されている。本市としては、こうした取組とも連動しながら、引き続き感染拡大防止対策に取り組む。

次に、大学に対する支援について。新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受け、多くの学生が不自由な学生生活の中で、不安や困難を抱えながら日々を過ごされていると認識。本市としては、各大学・学生との意見交換等を踏まえ、国に対し修学にかかる経済的負担軽減策の充実を重ねて要望するとともに、大学において実施する学習環境の整備、課外活動・学生寮等における感染拡大防止策、および学生・教職員のPCR検査実施に対する財政支援を要望している。

大学における新型コロナウイルス感染症対策の支援としては、昨年度「大学における学生支援強化特別対策事業」を7月補正予算に計上し、市内に本部または学生が通うキャンパスを置く39大学・短期大学を対象とした総額約2億円の補助制度を創設し、各大学等における不安や困難を抱える学生への支援等を新たに実施・充実させる取組に対して補助を行った。

入試会場における新型コロナウイルス感染拡大防止対策に要する経費をはじめ、不安を抱える学生向けの相談体制の充実など、補助金を活用して全ての市内大学等が学生に寄り添った支援に取り組んできたことで、学生の安心安全な学びの環境の向上につながっている。

今後も大学等と連携するとともに、意見交換を行いながら、学生が再び安心した学生生活を送ってもらえるよう取り組んでいく。

*議員からの質疑

◆とがし議員(共産)/まず前提の話として、現時点での京都市内での感染状況、どう分析してるのか。特徴や変化などあればお示しいただきたい。

(→志摩・医療衛生推進室長)この間、1週間ごとの感染状況を取りまとめてご報告をホームページ等でさせていただいているが、直近7月11日~17日、先週土曜日までの1週間、新規感染者数は、前週から61人(約58%)増え167人となっている。いよいよ、この間「第4波から下げ止まり」「横這い」と申し上げていたが、市内においても感染拡大の傾向が顕著になっている。また、拡大のスピードも少し加速していると見ている。

また、特徴の一つは、若い方を中心にしたクラスター等も発生しており、新規感染者数に占める20代以下の方の割合が高い。特に10代の方が増えているなという印象を持っている。合わせて、60代以上の方の割合が、若干、目に見えて減ってきているのかなと見ている。

◆とがし議員(共産)/そういう状況の中で、今も感染スピードが進んできているという話があったが、この間の第3波、第4波、今回第5波とも言える状況に入りつつあると思うが、例えば、ある職場で感染された方は、「一番遠くに座っている自分が感染した」と衝撃を受けられたという話をお聞きした。どこで感染するか分からないということを痛感。いろんな対策をしてもなおうつるケースがやっぱり見られたというのがこの間の特徴じゃないかと思っている。

感染経路不明率を日々の大きな変化で見ていくと、第3波の時には3~4割くらいで推移してたが、アルファ株が主流になってきた第4波では4~5割で、今のところ、直近の7月入って以降で見ると5割超えるような事態が生じずっと続いてきている。6割超えるところまでいかないがそういう幅で動いている。京都市としても積極的疫学調査の範囲を拡大しアルファ株に対抗されてきたが、それでもやっぱり捕捉できない事態が生まれてきているのではないか。

その点で、いまデルタ株がこの2週間くらいずっと衛環研の検査でも出ているが、そういう状況を考えた時に、やはり感染力が強くなってきたアルファ株、いま増え始めたデルタ株は、大変手ごわいものになってきているのではないか。この点の認識はどうか。

(→志摩・医療衛生推進室長)デルタ株について、京都府下においても先週の発表時点で29例確認されているということで、現に感染が確認されている。私どものレベルで株の違いがどうかという評価はちょっと難しいが、国のアドバイザリーボードの資料等でも「感染性がアルファ株と比べても高い」ということも言われている。一点、デルタ株との関連も明らかではないが、いま東京のほうでは50代の方の重症者が増加しているということも言われており、この点ちょっと注視をしているところだが、今のところ京都市内の感染者の方で同様の傾向が見られるような状況ではないが、これについては今後とも注視していきたいと思っている。

◆とがし議員(共産)/東京の重症化の動向は非常に気になるところ。同じような傾向が出てきたらと思うと大変恐ろしいところ。全世代的にしっかり対策を打っていかなあかんと思う。疫学調査でがんばって追跡して「感染源も調べよう」ということでやっておられるけれども、しかしそれでも追いつかないという状況で、その対象拡大を真剣に考えなければいけないところもあるのではと思うので、この点については感染の実態を踏まえながら、よく検討いただきたい。

その前提に立って陳情の内容に入っていきたい。まず陳情736号「定期的なPCR検査の実施について」の受け止めをお聞きしたい。先ほどの説明でもあったと思うが、あらためてご紹介したい。学生の切実な思いがこの陳情に紹介されていた。「行事が体験できない」「大学生活の思い出づくりができない」「オンラインなので友達ができない」「課外活動ができない」「実習室は自由に使えない」「通学中の感染が不安」「重症化リスク高い同居人がいて不安」「持病があって不安」「将来が不安」ということが紹介されている。それからやはり社会的なバッシングも厳しくて、学生のみなさん、一般社会人よりもかなり厳しい制約の中で学び続けるという状況がある。

社会にとって学生が学生らしく過ごすことができないということ自身、大きな損失だと認識しなければならないと思う。特に「思い描いていた学生生活を送れていない」「学びとは自分一人だけでは得られない価値観をキャンパス内外で多くの人から刺激を受けることによって深めるもの」「学生の学ぶ権利を保障するためにもPCR検査が必要」と、切実に要望されていると受け止めた。まず学生が置かれている、この1年半の行動制限の現状、学生の思いについて、どう受け止めておられるか。

(→三木・総合企画局大学政策部長)我々としても学生、コロナ禍での感染症の拡がりの中で大変な状況になっている、それは経済的なところでもそうだし、学びのところでもそうだと認識している。

そのため我々としても各種対策を取ってきているところで、「キャンパスプラザ京都においてWiFi環境が整備された学習環境を設け」、経済的に厳しい、アルバイトが厳しいという話もあったので、「運営の補助として学生を雇用」させていただいた(昨年5月補正)。

また、先ほど志摩室長からも説明したが、「市内39大学・短期大学を対象に総額約2億円の補助制度」を昨年創設したが、この中で、各大学におけるメンタルケア、コミュニティ形成の支援、こういったところにも配慮させていただき、各大学の学生支援の取組を後押しするなど、学生の不安・困難を解消し、京都での安心安全な学生生活を確保するための支援に取り組んできたところ。

◆とがし議員(共産)/ただ、そういうのをしていただいても、なお普通の生活ができない、学生生活ができないという状況の中で、非常に厳しい状況に置かれているのは今なお変わっていない事態。

先ほどもご紹介あったように、新規感染者に占める20代以下が6割という状況で、40代50代にも拡大というのが先週の特徴というお話。10代の方も多いという話あった。第5波とも言うべき状況の中で、国のワクチン供給も安定しない中で、やっぱり検査戦略をしっかり打ち立て、感染者を早期発見、クラスターを未然に防ぐ対策をやっていくことによって、潜在化しているクラスターを早期に探知して封じ込めていく戦略を持つべきではないか。そのことによって、有症者を中心に把握する状況から、さらにその周りにある潜在化している感染者を早期発見し、感染拡大の波をより早く収束させていくことが可能になるんじゃないか。そのことで学生のみなさんがより制限を緩和した状態で学ぶ環境がつくれるんじゃないか。そういう戦略を大きく打ち出す必要があるのではないか。

(→志摩・医療衛生推進室長)感染拡大防止に資する戦略ということだが、この感染拡大防止のためのPCR検査の実施の考え方については、先ほど説明の冒頭でも申し上げた通り。陳情者が述べておられる大学生活での思いとか、安心して学びたい、大学生活を送りたいというお気持ちは、理解をしているし、またそれが叶うようにという思いで取組をしているが、これが果たして求めてらっしゃる「PCR検査の拡充」とか、「定期的」これもどのくらいというのもあろうかと思うが、これらを実施することによってこれが実現できるのかなあと言うと、その効果というところで難しいものと考えている。従来の京都市としての取組をしっかり進めたいと思っている。

◆とがし議員(共産)/京都市の疫学調査で言えば、感染経路判明するのが一番初期の段階は7割、不明は3割ほど。ところが今やもう(不明が)60%超える状況。デルタ株、アルファ株の特徴もあると思うが、そういう状況の中で、やはり戦略として検査によって把握するということが、もういまレベルが違う段階で必要になってきているんじゃないかと思う。

先ほどの説明で「国が抗原検査の簡易キットを検討している」という話があったが、いったいどの規模でどれだけの大学や学生が対象になるか定かではないし、頻度もちょっとよく分からないが、もし分かったらその辺のご説明を。

(→志摩・医療衛生推進室長)国が進めている抗原検査の簡易キットだが、これも直接の情報というよりも、国の「基本的対処方針」の中で、今新しいものについて掲載があり、全国で80万キットを大学等に配布するということで、この希望等についても直接国が学校のほうとやり取りされると聞いているので、ちょっとその詳細については分かりかねる。

◆とがし議員(共産)/学生数の規模からすると80万やったら足りないと思うが、一応そういうのを国も必要かと思い始めたのは大事なことだが、まあ遅すぎると率直に思う。陳情551号「感染拡大を防止するためのPCR検査の拡充等」に書かれているように、「無症状者に対する無料検査を実施する」ことや、「国にそういう取組に対する財政支援も求めてほしい」と要望されている。

大学でもPCR検査センターを設置して有料で検査しているところもあるが、やはりここも財政的な事情とかいろんなこともあると思うが、これを本当に全ての大学で、気になる時には必ず検査を受けられる状況をつくることが必要だ。若い世代はひとたび感染すると、行動範囲が広いから、国や京都市が言ってる感染症対策のルールを守ったとしても感染拡がると思う。学生が自ら検査をして感染を把握できるということがあったほうが、やはり大学や若い世代全体での感染拡大の抑止につながっていくと思うが、その点でぜひ国とよく協議いただいて、80万キットは直接(国と)大学がやり取りするという話だが、ただ京都の場合で言えば、学生の街ということで、14万、15万、学生いるが、昼間の人口の1割が学生と言ってもいい状況。そういう大学というまとまりを活かして定期的なPCR検査ができるようにしていくことができないか。いま内閣府の早期探知のためのモニタリング検査というのがあるが、それを活用し、80万キットの具体化の前に、そういうことも活用して大学でできないか。内閣府、京都府、コンソーシアム京都などと協議して、複線的にしっかり対策し検査できる環境をつくっていく必要があると思うが、この点はいかがか。

(→志摩・医療衛生推進室長)複線的な戦略ということでのご質問。先ほど少し申しそびれたが、国が配布する80万キット(抗原検査)というのは、風邪症状、軽い症状がある方について、念のため検査をして、仮に陽性であれば、これは保健所の行政検査に回してPCR検査を、ということで想定されたもので、一律に無症状の方に定期的にくり返し行うものではないのかなと思っている。そういう意味で、抗原検査のキットが活用されれば、それで出てきた陽性の方については、保健所もしっかり連携をして取り組んでいく必要があるのかなと思っている。

合わせて、ご説明でも申し上げた、ワクチン接種のほうも進んでいるので、そういったものと、そういう国全体の取組と連動した形で、京都市の保健所としても取り組んでいきたいと思っている。

◆とがし議員(共産)/京都市では高齢者施設で定期検査したり一定ノウハウも得てきている部分もあると思うので、ぜひいろんな国の制度を使って何とかできないかという努力をしていただきたいなと思う。

ある児童福祉施設では、内閣府のモニタリングに毎週応募し、抽選に当たった週のみ職員全員検査されているが、結局国は抽選という形で、対象を絞ってしまっていて、オリンピックを前にしてどんんどん総数減らしているが、ここを本当にうまいこと活用して、この中に大学も入れて、抗原検査キットもありと思うがPCRのほうが捕捉する確率高いわけだから、国の事業所のモニタリング検査という枠組みを大学でも活用できないか要請してみたらどうかと思うがいかがか。

(→志摩・医療衛生推進室長)国が進めるモニタリング検査は、これはこれで、個別、感染者の方を見つけ出して対処するというよりも、全体的な感染の動向、感染拡大の前兆をつかむために実施をされているということで、これを活用して検査をしていただくという分には、その時点ではご活用いただけるのかと思うが、継続的にくり返し使っていくというものではないと思うので、これはその目的で進められるということで区別すべきなのかなと思っている。それはそれで国が目的のために実施をされているというもとで、全体の取組の中で京都市としてもしっかり取り組みたい。

◆とがし議員(共産)/今の数で言ったら、この京都府下でモニタリング検査は先々週488やったと思うが、本当に検査してるうちに入らへんような数で、これ早期探知なんかできる規模じゃなくて、規模自身大きくしないといけないが、規模大きくするにあたって、やっぱり京都市から積極的に働きかけることがあってもいいんじゃないか。市でできないなら、府の対策本部に京都市も入ってるわけやから、府の対策本部でも主張し、こういう取組をして、80万キット(抗原検査)以外のところでもしっかり確保することを大学と協調しながらやっていこうと、そういう努力する中で学生の願いに応えていただきたいと思う。これは求めておきたい。

このまま今まで通りの対応でいくと、結局感染経路不明が5割~6割ということになれば、保健所でがんばって疫学調査で抑え込んでいっても、それを上回る規模でどんどん拡大していくということになって、京都市としては8月1日まで「リバウンド対策期間」と言っているが、もうリバウンド対策期間なんか吹き飛ばすような状況になっている。感染の拡大で言えば。抑え込み切れていない状況になっている。これ本当に抑え込むことを各地でがんばらなあかんし、東京でもがんばってもらわなあかんと思う。その点でやっぱり学生さんが提案されているPCR検査を今やるってことがすごく大事な時やと思う。拡大してからやったんでは本当にもう数もどんどん膨大になってしまうし、やっぱり早期の、今のこの感染急拡大する直前のところでしっかりやるってことが大事なので、そういう発想からぜひ国にも働きかけていただきたい。

国にも働きかけつつ、国がなかなか動かない場合もあると思う。その場合に備えて、この前も一般質問でも言ったが、広島など先行的な事例を参考に、無料でPCR検査キットを登録制にしながら配布する体制をつくるなど、今の検査の仕組みだとか、保健所の積極的疫学調査では発見しきれない隠れた感染源を早期に発見・保護するということが、必要だと思うので、ぜひとも京都市としても、まあ京都市民全部対象にしてほしいと思うが、学生さんからも陳情あるように、その中に京都市内の大学に通う学生・教員全員を含めて、ちょっとでも気になる人とか、他都市との移動をせざるを得ない人もいると思うが、「そういう方は気軽に検査できますよ」と、いう状況をつくっていくのも一つの方法だと思うが、この点はいかがか。

(→志摩・医療衛生推進室長)PCR検査の活用も含めて感染拡大防止の取組については、先ほど来申し上げている通りで、定期的・網羅的な実施について、医療や公衆衛生の観点からの実効性があるものとして進めていくのは難しい、実効性が乏しいのではないかと考えているので、ご提案いただいていうことを実施するというよりも、京都市としてこれまで進めてきた取組の延長線上で、これをしっかりと徹底していきたい。これが現時点での思い。

◆とがし議員(共産)/「実効性が乏しい」と言うが、現実に今の対策ではもう抑えきれてないわけですよね。「リバウンド対策やる」って京都市は言って、対策打って、事業者のみなさんにも自粛をお願いしているが、そういう状況でも、その対策をやっても、増えているわけなんで、じゃあもう一段何をやるかってことを考えなあかんと思うので、その点ではぜひともこの他都市の事例も検討していただきたい。

広島の場合は、広島大学と協力をしてゲノム解析もされて、結局広島で発生している感染拡大がやっぱり外からやってくるものが主であるということで、県としての水際対策をやらなあかんということで、県としても分析されている。それに見合って機動的にされて、なおかつ、気になる人が気軽に検査できることによって、医療機関の対応もだいぶ変わって検査をしやすい環境がすごくできてる。というなかで捕捉しやすいし、感染者も抑えられる時はとことん抑えられる。ただ東京とかから入ってきちゃうから何とかしなあかんという局面。

京都市も京都大学にゲノム解析お願いしてるので、そういうところの、僕もちょっと仕組みよく分からないが、経路ある程度分かるみたいなことお聞きしているので、だったら、ちょっと時間軸はずれるかもしれないが、それにふさわしい形で、先手先手で、ここは検査前確率高いかもしれないというところターゲットしぼって、その無料のPCR検査ができるような状況をつくってほしいなと。

現実に京都市内でも自分で検査されて、感染が分かった方もいらっしゃるし、自腹で検査して。そういうのを自覚の高い人に任せるのではなくて、経済力の差に関係なく検査できる環境がいると思うので、ぜひそのことはご検討いただいて、京大のゲノム解析も分析していただいて、戦略立ててもらって、とにかく東京も「8月には3000人超えるから医療ひっ迫するかもしれない」と言われているが、それ自体、また京都でも起こるということがあってはならないと思うので、それを回避するためにも、ちょっと今の対策ではない、さらに踏み込んだ対策を立てていただきたいということを要望しておく。

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◆井上議員(共産)/思えば昨年2月末、当時の安倍首相が突然「休校要請」ということになって、その当時、文科省すら混乱したと言われたりしているが、本来休校の権限は設置者であって首相ではないと思う。大学の場合、これは誰が判断するのか。

(→三木・総合企画局大学政策部長)基本的には大学であれば設置者である理事長であったり、あるいは学長が学務の中で統括しているのでそういったところでの判断になるかと思う。

◆井上議員(共産)/私はぜひ教職員や学生さんの代表とかのご意見も取り入れ、大学関係者全体がどういう今後の対応していくか、意見交換される場が私立であれ国公立であれ、つくられていくべきだと今後も含めて思う。その時に、一律に「休講だ」「オンラインだけだ」ということにするのか、それとも密は避けるけれども一定規模の対面授業も組み合わせてやるとか、いろんなパターンがあると思うので、この陳情でも悩ましいところが書かれているかとは思うが、大変な時期ではあるけれども、一律休講、オンラインのみってことだけじゃなくて、やっぱりキャンパスに来て何らかの形で、友達とも密にならないような接触の仕方で勉強できる、こういう道もぜひあり得てほしいと思う。

その場合に、大学が大学として一つの単位、組織、社会集団というか、そういうことで言えばいま職場でワクチンと言われてるわけだから、陳情でおっしゃってる通り、大学という社会的な集団、組織を単位として、検査をされるということについてもこれは積極的に前向きな取組がされてしかるべきだと思うんだけども。基本的な方向として、さっきご紹介いただいた通り、これについても前向きに考えていただくと、お金の問題とかいろいろあるけども、もう一度、基本的な流れをお答えいただきたい。

(→志摩・医療衛生推進室長)大学でのワクチン接種のご質問……検査?…検査?……はい、すいません、失礼いたしました。大学単位で検査を行っていただくことについて、大学によっては、独自に検査センターのようなものを設けられ、活用の方法などはそれぞれまた特徴はあるのかなと思うが、そういうものを進めておられる大学もあるので、そういったところの取組と連携して保健所としても取り組みたいなというふうには思っている。

◆井上議員(共産)/その点で私はどうしてもこの1年間の取組を振り返っておかんといかんと思うんだけども。専門家の書かれたものいろいろ読んだり聞いたりしていると、「今回のコロナ対策については、PCR検査なくしてコロナ対策はありえない」と。ところが日本のコロナ対策の最大の問題点は、PCR検査を制限してきた、否定的であった、消極的であった、そのことが特に去年2月以来の我が国の感染症対策を振り返った場合の大きな課題、問題点というか、そこのところの認識を、僕ははっきりさせる必要があると、こんなふうに改めて思う。

単に消極的であったというより、むしろ厚労省自身が否定的な立場にずっと去年来立ってきた。ようやくいろんな世論なり、専門家の動きなんかもあって。お医者さん自身の中にも当初「検査は不必要だ」「あんまり意味ない」と思っておられた方もおられたが、やっぱりその後、厚労省のアナウンスにバイアスかかってたんやね。「後なってよう考えたらやっぱり検査が大事なことが分かったきた」とおっしゃるドクターもおられたりする。そういう経過があって、ようやく去年の夏・秋くらいから国も口では「検査大事だ」と言うように変わってきた。だけど実際なかなか裏付けが伴わなかったという中で今年に入って、京都市でもようやく今年になって「高齢者施設なんかで検査が必要だ」ということで、2月3月なってきてだんだんそういう流れになってきたということだと思う。

僕は良い意味で認識が発展してきたと前向きにとらえているから、今回この陳情を受けるにあたって、そういうことをきちっと総括して振り返ったうえで、今後やっぱり検査が大事だと。今回のコロナの特徴は、何といっても「罹ったけれども表に出ない」という期間があるということが最大の特徴だと言われたりしてるわけだから、そういう意味では検査の重要性・必要性が、改めて再認識されてしかるべきだと思うわけで、この辺り振り返ってどんなふうにお考えなのか。そこのところちょっと見解をお聞きしておきたい。

(→志摩・医療衛生推進室長)PCR検査が大事だと、必要だということについては、全く否定するものではないし、というのは、今、コロナの感染を、検査時点でいうといろいろ限定はあるが、確定させる一番有効な手法だと思っているし、これを超えるものは今ないのかなと、実用的なものとしてはないという意味で、感染を確認してその拡大を止めるということについて、この検査が重要であるというのは間違いのないところだと思う。

ただ、これを例えば陳情の趣旨にもある「定期的に」「くり返し」ということで感染拡大を防止するというのは、自ずとその対象者の方の数とか、その集団の規模にもよるが、限界があるのかなということも同時に思っているので、その点申し上げたいと思う。

◆井上議員(共産)/自治体レベルで言えば世田谷区であったり鳥取県や島根県や広島県やいろんな事例も生まれているので、ぜひそういうところに学んで、方法についてもいろいろやり方あろうかと思う。ぜひ陳情の趣旨に沿って、前向きに対応していただくよう引き続き要望しておきたい。

2021年7月21日【教育福祉委】保健福祉局/陳情審査「感染拡大を防止するためのPCR検査の拡充等」「定期的なPCR検査の実施」

(更新日:2021年07月21日)