京都市は「水道民営化」「コンセッション」への地ならしである「広域化」推進をやめよ(2021年3月9日/予算特別委・上下水道局・やまね)

◆やまね/よろしくお願いいたします。えー私からは、今日はあの、水道広域化についてお聞きします。あの京都府における水道広域化を巡ってはですね、令和元年(2019年)10月に水道事業広域的連携等推進協議会が設置されています。昨年、令和2年(2020年)10月29日には、第1回京都府水道施策に関する意見聴取会議が開かれておりまして、えー同会議資料ではですね、「令和4年(2022年)度に水道広域化推進プランの策定」というスケジュールも示されております。

で、そこでですね、その「圏域ごとに順次、幹事会を開催していく」ということがその資料に書かれてまして、京都市があの入っている「南部圏域については1月22日」にそれをやると。で、「水道事業の将来の方向性、広域連携の取組について意見交換」という風にあったんですけれども、2点まずお聞きしたいんですけれども、一つは、京都府における広域化を巡るこの議論というのは、現在どういう段階にあるのかというのをまず教えていただきたいということと、それからもう一つは、1月22日のこの会議でどのような意見交換がされたのか、京都市がどのような発言をされたのか、まず教えていただきたいと思います。

(→糸藤・経営戦略室長)はい、京都府下における水道の広域化の状況でございます。まず1点目の現在の京都府の現状はどのようなことかということでございます。今御紹介いただきましたように、京都府では、令和元年10月1日に、改正水道法に基づきます京都府水道事業広域的連携等推進協議会が設置されております。その下部組織であります幹事会が設置されておりまして、これが令和2年1月に開催されております。で、本市が属します、京都府下は三つの圏域に分かれているわけでございますけども、本市が属する南部圏域の幹事会ではですね、具体的な取組の検討には至っておりませんけれども、将来的には広域的連携は避けられないとの認識の共有でありますとか、具体的な取組の検討に向けた目的の共有化が行われたと考えております。

令和2年度でございますけれども、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、ま、各種の会議が中止又は延期という状況でございます。その中で、昨年9月に本市の水道技術研修施設を活用した、京都府が各市町村の水道事業所の担当者に対する、初任者を対象とした研修会を実施しております。今後は、この協議会の下部組織であります幹事会等を通じまして、圏域ごとの広域化、広域連携に向けた取組の内容や、先ほどありました水道広域化推進プランの検討が行われる予定でございます。以上でございます。

◆やまね/そしたらその、具体的にはまだ南部の方ではなっていないけれども、将来的には避けられないというような認識がいま、お話が今ありました。それであのー、京都市の上下水道局としてもですね、広域化推進という立場だと思うんですけれども、先ほどですね、平井議員の答弁の中で、「経営基盤の強化の手段の一つ」というお話がありました。で、ま、それが一つの、あのー、そういう位置付けになっているかと思うんですが、逆にですね、広域化というものが、何か問題点があるという風には思っておられないんでしょうか、その点はいかがでしょうか。

(→糸藤・経営戦略室長)広域化についての京都市の考え方でございます。先ほど申し上げましたように、全国的な人口の減少でありますとか、それに伴う水需要の減少、そして施設の老朽化が進んでいる、また、職員の技術継承の課題がある。そういうあの課題が多い中で、経営基盤の強化を図る有効な手段として、この広域化、広域連携が掲げられているという風に考えております。京都府下においても同様の状況でございまして、え、広域化、広域連携は京都市においても経営基盤の強化の一つの手法として、ま、長期的かつ、幅広い視野で検討を進めていく必要があるという風に考えております。課題ということがございましたけれども、これは、これを検討していく中で出てくるものだという風に考えております。

◆やまね/ま、有効な手段だと。で、課題は検討していく中で出てくるというお話がありましたけれども、私はあの既にですね、一昨年の決算特別委員会の中で指摘をさせていただいております。広域化の問題点としてですね、改正水道法の下で広域化を主導するのは、これまでは自治体だったものがですね、国と都道府県が主導するものになったと。そういう下で市町村が事実上従わざるを得ない状況が作られていると。香川県では実際にですね、参加表明しない、参加しない表明をされた自治体がですね、圧力が掛けられるような状況が実際起こってますし、それから、市民や議会の関与が弱まるという面もある。で、さらに、広域化に民間企業が参入することで、企業秘密ということになりましてね、資料の提出を求めても黒塗りの資料ばかり出てくると、こういう問題点をですね、私は既に指摘をさせていただいているということは申し上げておきたいと思います。

それであの、第1回京都府水道施策に関する意見聴取会議の委員の名簿を拝見しておりますと、この呼ばれている専門家の多くが、水道民営化、あるいはコンセッションを推進されている方々であります。えー例えば、近畿大学経営学部教授の浦上拓也氏はですね、厚生労働省や国交省の委員も務めておられますけれども、近畿大学のホームページに実際に載せられているコメント、どんな風に書いてあるかと言いますと、「近い将来、水道事業経営は危機的な状況になると予測されています。現在の市町村による経営はもはや限界であり、民間の参画を含めた広域的統合を模索していかなければならないと考えています」ということなんですね。

それから、早稲田大学准教授の佐藤裕弥氏も厚生労働省や国交省の専門委員を務めておられますが、所属する早稲田大学総合研究機構水循環システム研究所はですね、「コンセッションについて事業契約モデルを設計する」と、そして「コンセッションの成功条件を探る」、ま、こういう立場で研究されている方なんですね。

結局ですね、そういう方々の中で議論がどんどんされていくということになりますと、これは京都市がこれまで否定されてきた水道民営化、あるいは現時点では考えていないというコンセッション、これ進める議論にならざるを得ないんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

(→糸藤・経営戦略室長)この広域化についての我々の考え方でございますけども、先ほども申し上げましたように、ま、水需要の減少でありますとか、施設の老朽化など、全国的な課題になる中で、各事業体の経営基盤を強化することが目的でありまして、そのコンセッションでありますとか、あるいは民営化を前提としたものではないという風に考えております。持続可能な水道事業運営のための有効な手段の一つとして示されているものということで考えております。以上でございます。

◆やまね/あのー、コンセッション、民営化を前提としたものではないという風に考えているとおっしゃったんですけれども、この委員になっている方々は、コンセッションや民営化を目指しておられる方々なんですよ、それを私は指摘しているわけです。

で、この浦上氏はですね、元々京都水道グランドデザインの検討委員でもあられて、厚労省のですね、水道事業基盤強化方策検討委員会の場でですね、何を言っておられるか。「各都道府県に事業が二つか三つぐらいでいいのではないか」と。「民間企業参入のためには、広域化である程度規模を大きくしてあげないと話が進まない」と、こういう発言をされている方ですので、委員の方自ら「広域化はコンセッションや民営化への一里塚である」というようなことをですね、語っておられるということも私は指摘をしておきたいという風に思います。

それから、この意見聴取会議の資料でほかにもですね、市町村水道事業連絡会議、これがこれまで圏域ごと、北部、中部、南部、三つの圏域ごとに延べ9回開催されているということなんですけれども、えーこの圏域ごとの広域連携、広域化の方向性や目標設定について議論ということであるんですけど、もう既に9回にわたってですね、議論されているということに私びっくりしまして、一昨年、先ほど言った10月の決算特別委員会で資料要求をさせていただいたんですね、議事録や摘録なんかは残っていないんですかと、あれば是非出してくださいということで求めたんですけども、そのときにおっしゃったのは、「議事録や摘録は作成されてない」と、「京都府のほうで確認をし、もし提出できるようなら」ということでした。で、結局、その後頂いていないんですけど、結局その京都府のほうでは、もう提出しないというようなことだったんでしょうか。多分これ、その後も会議開かれているんじゃないかなと思って、改めてですね、この会議の内容を是非知りたいなと思ったんですけど、いかがでしょうか。

(→糸藤・経営戦略室長)我々も今御指摘ありました、えー、府の意見聴取会議の資料を見ておるんですけれども、まずあの、えーと各圏域ごとに、ま、9回開催されていると書いてあるんですけど、何かちょっとこの書き方もちょっとあの、えーと誤解を招くようですけど、我々、あのこの会議に参加しておりますけども、あの令和元年で言いますと3回ですので、ま、全圏域で9回だという風に、あのー理解が正しいんじゃないかと思っています。我々も9回参加したという実績はございませんので。

で、あの先ほどの資料のあの御提出の件でございます。で、えーと我々あの、ちょっと今、手元にその、当時のあの、えーやり取りのあの摘録をちょっと手元にございませんけれども、あの、すみません、私の記憶の中で申し上げますと、あの資料の要求をいただきましたのは、あの、えと、グランドデザインの、あの作成における、ま、京都府の、あ、京都市の、あの意見について資料の提出を求められたということで、あのそれにつきましては府のほうに確認して、あの京都市のその中での会議のあの、えーまとめたものを資料として提出させていただいたと思いますので、あの今、あのお話のありましたその各種会議の資料の提出であったという風には少し、私の記憶のほうではそのようになっておりませんので、申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

◆やまね/あのちょっとそれはね、ちゃんと確認してください。あのもう一度確認していただきたいと思います。で、あの2019年2月、そして3月に行われた、えー市町村水道事業連絡会議ではですね、「水道事業の広域化、広域連携の方向性を示した検討のたたき台」というのがね、示されているんですね。これは京都民報社が情報公開請求をして入手した資料で分かったことなんですけど、南部圏域ではですね、「府営水道を含む事業統合を目指す」ということで、「2029年度以降の事業統合、そして料金統一を明記」しているということでした。で、これ京都市上下水道局もこういった資料は確認されているんじゃないでしょうか、いかがでしょうか。

(→糸藤・経営戦略室長)はい、資料についてはあの、今御紹介いただいたように、あの提出されておりますので確認しておりますが、それはあの府が、ま、あの考えたあの、え、原案でございまして、我々がそれに賛同したとか、意見を述べてその資料が作成されたと、そういうものではございません。

◆やまね/ま、だから、そういう府が、そういう作っていると。ところが、えー京都市は賛同したとか意見したということではないということでね、結局、議論のですね、過程が全くね、見えない、分からないんですよ。で、命の水、ライフライン、これを巡る事業が今後どういう方向に向かおうかということがですね、今、大きく動こうとしているときに、これが多くの市民に全く議論が見えないまま進められていると、これが私は大問題だという風に思っております。

で、水道事業は市町村の水道がやはり主役でですね、水道事業の在り方を決めるのは、市町村であり、住民の皆さんです。京都府がこういう広域の、広域化のテンポまで、スケジュールまで実際示しているにもかかわらず、その議論の過程が全く見えないというのは本当におかしいと思いますし、京都府も上から押し付けるようなやり方を絶対やってはならないということは申し上げておきたいと思います。

それであの、これ昨年12月23日にはですね、総務省から、そして厚生労働省からですね、えー都道府県に対し「水道事業における広域化の更なる推進について」という事務連絡文書が出されております。そこではですね、「水道広域化推進プランの策定に当たっては、水道事業が生活に不可欠なインフラであることを踏まえ、住民に対して積極的な周知を図るとともに、水道事業者である市町村等の議会や関係機関に対して適宜説明をする機会を設ける配慮を行うこと」という風に書いておりまして、既にそういう圏域ごとの連絡会議などが何度か行われているにもかかわらず、この我が京都市会においては、何の説明もないというのは、ちょっといかがなものかと私は思いますけれども、あの京都市会に対してもきちんと説明されるべきと思われないでしょうか、いかがでしょうか。

(→糸藤・経営戦略室長)はい、連絡会議は確かに先ほど申し上げましたように、令和元年度には3回ほど開催されておりますけども、あのその中ではあの、論点整理という形であの、あの会議が持たれたということでございまして、特にその中で議論が進んだということでもございませんし、またあの、えーそのうち1回は、先ほどの、私、我々が出席しました、幹事会の開催の説明ということで、極めて事務的なあの会議が持たれたということで、ま、実質的な議論というのはまだ始まっておりません。当然あの、実質的な議論が始まりましたら、あの議会のほうにも御報告させていただくことになると思いますし、当然あの、協議会等につきましては、メンバーのほうは、えー知事とかあるいは副知事とかが参加する会議でございますので、当然一般に公開されて、あの議論も進められていくと思いますので、えー必要に応じて議会のほうにも御説明させていただきたいという風に考えております。以上でございます。

◆やまね/あのー、ま、出てきたときにはですね、もう全部決まっているなんていうことがないようにね、是非していただきたいという風に思います。

それであの、結局のところですね、これどういう方向にね、この広域化というのが今進もうとしているのかということなんですけれども、これ平成31年(2019年)1月25日に、これも総務省・厚生労働省から都道府県知事宛ての通知、えー「水道広域化推進プランの策定について」というものが出されております。そこではですね、結局、広域化のシミュレーションをやるときにですね、「求められる料金引上げの抑制幅等について分かりやすく示す」ということで、料金の値上げがもう前提となっているような書き方であります。

それから、「広域化推進プランの策定に係る経費は、生活基盤施設耐震化等交付金の対象」だと。「平成31年から平成34年度までの間、標準的な財政需要に基づき普通交付税措置を講じる」ということとか、「広域化のための施設やシステムの整備に要する経費は、地方財政措置を講ずる」ということで、もう期限を区切ってですね、えー財政的に誘導しているわけですね。

それから、これは平成31年3月に総務省・厚生労働省が出した「プラン策定のマニュアル」ではですね、「運転管理や保守点検業務、料金徴収等の営業事務について、民間委託や広域化によってコスト圧縮することが可能となるのではないか」とか、それから、「計画的な料金改定が必要となるのではないか」と、ここでも民間の企業を入れろということと、料金改定を誘導する内容が、まああると。

さらにですね、広域化のシミュレーションについて、「国庫補助金や交付金等による財政支援の有無等も含めて、効果額の試算を行います」という風に書いてありますので、国の補助金や、そういう交付金でですね、誘導しておいて、それをシミュレーションの中で効果があるという風に入れなさいと言っていると、だから非常に都合のいい話だという風に思います。

それから、昨年12月、これあの先ほど言った総務省・厚生労働省の事務連絡文書ではですね、「施設の統廃合やシステム共同発注に際し、PPP、それからPFIをはじめとする官民連携手法の活用検討が望ましい」と、こんな風に色々書いてあるんですね。

ですから、私これらを読めばですね、広域化というのは、ただ職員研修を一緒にやるというようなレベルではなくてですね、財政措置で誘導して、そして、民間企業をどんどん参入させて、更に料金値上げで国民の負担増が前提になっていると。そういうプランを作りなさいと、いうことをですね、求めているということで、都道府県主導でねしかも。これは私は、あの手段の一つで「有効な手段」だとか、これは「あくまでも手段の一つ」だということを先ほど冒頭おっしゃったんですけれども、そういうことではなくてですね、唯一の方法として推進されているというのが実態じゃないかと思うんですが、御認識いかがでしょうか。

(→糸藤・経営戦略室長)広域化についてでございますけども、国から先ほど御紹介ありましたような通知はございます。ただ、地域の実情に応じた多様な広域化を進めるべきだということで、あの、いろんなあの、今御指摘ありましたけどもあの、広域化についての手法や内容についてはあの、当然、各事業体の、あの考えに基づいて進められていくものだと思います。

で、えー、ま、繰返しになりますけれども、ま、水道事業においては、ま、その水需要の減少でありますとか、老朽化施設の増大でありますとか、その職員の技術継承とかが問題になる中で、ま、特にあの、中小の、ま、あの事業体については、あのその安定的な経営が将来的に厳しいという中で、経営基盤の強化が必要だということで、その中では、いわゆるその今、国のほうでも進めています経営の見える化ですね、経営基盤、あの、が、経営戦略とか、そういうものが策定されていない、ま、事業体も多数あることから、そういう基盤強化を進めるためにもということで、そういうマニュアルを示して、えー広域化についても有効な手段であることから検討するようにと、ま、そういうような形での、あの通知文ではないかという風に理解しているところでございます。

◆やまね/あのー、ま、地域の実情に応じたということをおっしゃるので、それだったらですね、是非京都市の、あの自主的なですね、立場をしっかりとあの発揮していただきたいという風に思うんですね。であの、先ほど平井議員が指摘しましたけれども、やっぱり根本的な問題は、私は命の水、ライフライン、これを守るですね、施設や管路の更新費用などについて、国が財政的責任を果たしていないというところがやはり根本問題だという風に思います。で、私は今回の進められている広域化というのはですね、そういう財政的に苦しむ自治体の弱みに付け込んで統廃合を進めていくと、で、民間企業にもうけ口を提供していく、これがやはり本質じゃないかということを指摘しておきたいという風に思いますし、で、広域化が「あくまでその手段の一つである」ということであればですね、これだけ、この広域化だけ期限を区切ってね、補助金出すようなことじゃなくてですね、やっぱり管路更新についても、あるいはコロナによる減収補填についてもですね、そして市民や事業者への料金減免についても、しっかりと国が財政措置をやってですね、えーそういうことも行われるべきだと当然。そういう立場を求めてですね、京都市もそういう立場に立って、是非頑張っていただきたいと思います。終わります。

2021年3月9日【予算特別委】上下水道局①/水道広域化について

(更新日:2021年03月09日)