◆やまね/よろしくお願いいたします。えー私からはあの雇用の問題をお聞きしたいと思います。まずですね、「基本計画」に関わってなんですけれども、あの雇用の情勢への認識をまずお聞きしたいんですけれども、この基本計画の中でですね、計画の背景だとか産業構造の転換という風に書かれているところで、「日本の完全失業率は2020年当初時点で2%まで回復していたが、コロナで悪化した」と、こういう認識が示されています。これは京都の雇用情勢についても同様の認識が示されているんですけれども、ただですね、私はあの、失業率だけでもはや雇用情勢というのは測れない問題があるんじゃないかと。と言いますのは、1999年に派遣労働が原則自由化されて以降ですね、正規雇用が非正規雇用に大量に置き換えられるということが行われてきました。この基本計画の中では、SDGsも改めて強調されておりまして、そのSDGsの1番目の目標にですね「貧困をなくそう」ということになっているわけですけれども、あの京都市として、この非正規雇用の拡大が貧困と格差を広げてきたという認識はないのかどうか、まずこの点をお聞きしたいと思います。
(→安田・産業企画室ひとしごと環境整備担当部長)はい、えー非正規雇用の、非正規雇用労働者についてでございます。えーあの、ま、この間あの、雇用政策、様々な、国において、えー取り組まれてきたところでございます。労働者派遣事業の規制緩和、それから、働き方改革ですとか、それから同一労働同一賃金、最低賃金の引上げ、こういったものを進められてきたところでございます。
で、こうした取組もありまして、えー例えばですね、2012年12月とコロナ禍以前の2019年12月を比較した場合ですね、全国のこれ数字なんですけども、有効求人倍率で言いますと、0.83倍が1.55倍、完全失業率は4.3%が2.2%へ、最低賃金につきましては759円が909円ということで、えー求人倍率が1倍を超えまして、特に、コロナ禍以前、京都では1.5倍を超える高水準というのが33箇月続いてきた、えー失業率についても2%前半の低水準を維持してきた、最低賃金についても上昇するということで改善が図られてきたというふうに、そういう風に認識しているところでございます。
えー、一方ですね、総務省の労働力調査におきますと、就業者数が2012年度は6270(万)人、これが、直近2021年の1月の数字で言いますと就業者数については6637万人ということで、えー拡大していると、就業者数については拡大しているということでございます。ただあの、先生御指摘のとおりですね、一方で御指摘のようにですね、なかなかその、就業者は増えたんですけれども、あのそういう不安定な非正規雇用、これが多く生み出しているという声もあるというものでございます。
であの、これあの、厚生労働省が、あの発行している2010年版の「労働経済白書」というものがありますけれども、その中では、非正規雇用労働者の増加の原因としてですね、ま、「相対的に賃金の低い者を活用しようとする人件費コストの抑制志向が強かった」、さらに、「労働者派遣事業の規制緩和がこうした傾向を後押しした面があったものと考える」と、こういった指摘もあることから、あー御指摘のような、原因も一因、そうした一因もあるかもしれないという風に考えているところでございます。
で、一方ですね、え、こうした、先ほど説明しましたように、えーあの雇用情勢というのは非常に改善している中でございますけれども、非正規雇用の労働者というのは、見方を変えれば、勤務時間、時間帯、業務内容に応じた多様な働き方が可能とも考えられると。実際、非正規で働いている方の中にはですね、例えば、扶養の範囲の中で家計の補助、「学費を得たい」とか、「自分の都合のよいように働きたい」「家事、育児、介護と両立しやすい」といった理由で、あえて非正規雇用を選択されている方もいらっしゃいます。えー本市といたしましては、非正規雇用全てが悪いということではなくて、望まざる非正規雇用、これが問題ということで、その対策が必要という風に我々も認識しているところでございます。
◆やまね/あのー今おっしゃっていただいたのは、コスト抑制の議論だとか、あるいは規制緩和というのがやはり一因ではないかというお話がありました。ま、一方で、多様な働き方の問題も言われたわけですけれども。それでですね、基本計画の男女共同参画の箇所にはですね、あの「非正規雇用の比率が高い女性がより職を失いやすい」ということで、おっしゃっていただいたような非正規雇用の不安定さというのはお認めになっているわけですね。で、観光関連産業の箇所ではですね、「正規雇用の促進」ということも触れられているということですので、これは客観的な事実の問題ですけど、京都市は他都市よりも非正規雇用の率が高いということも分かっていることです。ですので、あのー私は、そういうことからすればですね、この、あのー基本計画の中に、なぜ正規雇用の拡大が京都市の産業戦略の柱になっていないのかなということを思っているんですが、その点いかがですか。
(→安田・産業企画室ひとしごと環境整備担当部長)はい、えー基本計画への記載についてでございます。あの、非正規雇用の高い産業を正規雇用化すること、持続可能な産業、企業にすること、これまた、非正規雇用の正規雇用化、この取組については非常に重要なことだという風に考えておりまして、地域企業における正規雇用化の一層の促進、担い手不足の解消、非正規雇用労働者などの不安定な立場にある方の支援が必要という風に考えているところでございます。
基本計画の、えー最重要戦略の中でですね、「京都の文化、知恵をいかした社会経済価値総合戦略」という項目を掲げております。この中でですね、「多様な担い手への質の高い雇用と活躍の場の提供や、各世代の課題に応じた雇用促進を図る」という風に記載しておりまして、ここには、非正規雇用の正規雇用化の推進、こういったものも含んでいるという風に考えているところでございます。具体的な明記というものはないんでございますけれども、しっかりあの、未来、京都の未来を実現するための方策、特に優先的に取り組むべき項目として、この項目の中にそうした趣旨については含まれているという風に考えているものでございます。
◆やまね/あのですからね、今言われたように、あのー多様な担い手とかですね、一部には出てくるんですよ。しかし、明らかに問題点を、非正規雇用の問題点を認めておられるのに、それを解決していくんだということで、正規雇用の拡大ということがですね、あのー柱に据わっているとは言えない位置付けだと思うんですね。で、これは私はですね、例えば「真のワーク・ライフ・バランス」のところで言えば、「就労により経済的な自立」ということが言われるんですね。それだったらね、やっぱり基本計画に正規雇用の拡大というのが位置付けられてしかるべきじゃないかという風に思います。
で、先ほどですね、自ら望まれて非正規の働き方を選ばれるという、そういうお話がありましたけれども、あのーこういう調査もあるんですね。全労連の女性部が3月5日に、「女性労働者の労働実態及び男女平等・健康実態調査」、それから、「妊娠・出産・育児に関する実態調査」の結果を発表されております。これ1992年から約5年ごとに実施して7回目になるんですけど、かなり大規模な調査を毎回されています。で、えーそこでですね、非正規を選んだ理由の過半数が、「子育て、介護のため」ということなんですね。で、ほかにもですね、妊娠等で仕事を辞めた経験は、正規の方は「ない」という方がですね、もう9割に達しているということなんですが、非正規の場合は「ある」と答えた方が6割に上るということでですね、私これはやはり女性が、家事、育児、介護、こういうものを押し付けられてですね、社会的に、女性がやるものだということがずっと言われてきた中で、やはり女性が子育て、介護のために非正規雇用を選ばざるを得ない実態があるんじゃないかと、こういう分析もあるというのは大事なところだと思うんです。
で、その女性の就業者数がですね、えーこのコロナ禍の下で大きく落ち込んだということも言われています。非正規労働者の方がコロナ禍で真っ先に仕事を失っているということで、これは総務省の労働力調査なんですけれども、えーコロナ禍で、例えば飲食業ですね、産業別で見ると飲食業で約176万人、それから生活娯楽関連で79万人、それから宿泊業で約53万人、えー女性の非正規労働者が減少しているということでですね、いずれもこれは男性と比べて女性が、あのー大変大きな割合になっています。
そこでお聞きしたいんですけれども、一つは、女性の非正規労働者が事実上雇用の調整弁になっているんじゃないか、この御認識を伺いたいのと、それから、もう一つはですね、京都市は非正規雇用の割合が他都市よりも高く、さらに、観光関連ではより多くてですね、雇用の8割を非正規労働者が支えているという風に言われますけれども、そういう意味で言えば、京都市の実態も深刻だと思うんですね。それであの、非正規労働者への支援というのが今求められている、力を尽くすべきじゃないかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
(→安田・産業企画室ひとしごと環境整備担当部長)はい、えー非正規雇用労働者についての認識でございますけれども、えー議員御案内のとおりですね、労働力調査におきましても、えー令和3年の1月の数字を見てみますと、非正規雇用労働者2058万人おります。また、その内訳を考えますと、あの性別で見ますと、男性が650万人に対しまして女性は1407万人と、えーそういうことで、非正規の職員、従業者に占める女性の割合というのが約7割ということになっているという状況でございます。えー御指摘のようにですね、あのー女性の比率が高い産業というのも、えー例えば労働力調査の令和元年の平均の調査でありますと、医療、福祉ですとか、金融、保険、卸売、小売、宿泊、飲食サービス、こういったものが非常に高いという風な状況でございます。このようにですね、リーマンショックなどの非常事態、今回のコロナもそうなんですけれども、真っ先に契約の終了、雇止めになってしまうというのが、派遣労働者ですとか、例えばこの非正規労働者、こういったものが非常に多いということで、コロナの影響、雇用の急速な悪化により、特にこの非正規雇用労働者の影響というのが浮き彫りになってきているというのは認識しているところでございます。
もう1点、非正規雇用労働者への支援についてでございますけれども、えーこのようにですね、あのーコロナの影響によりましてですね、女性の割合が高い非正規雇用労働者、これが非常に経済的に非常に困難な状況に置かれまして、不安に駆られているというのは十分認識しているところでございまして、そうした非正規雇用率の高い産業におきまして、労働生産性を高め、正規雇用化を促進することで、持続可能な産業、企業にすることが重要という風に考えているところでございます。えーそのため、適切な、適正な待遇で働ける仕組みづくりに向けて、企業、労働者の双方に対する支援を進める必要があるということでございます。
本市ではその、雇用調整助成金ですとか休業支援金、こういった国の制度がしっかり行き渡るようにですね、あの周知に取り組んできたところでございまして、またあの女性、非正規雇用労働者を含めまして、コロナ禍で離職を余儀なくされた方々の就業を支援するためにですね、中小企業等担い手確保・育成支援補助金を創設しまして、申請ベースではございますけれども約4600人の雇用創出につながったというところでございます。えーさらには、えー労働局、京都府との連携の下ですね、経済団体を通じまして、企業経営者の方々に対しましても、非正規の方を含む労働者の雇用の維持、女性の正規雇用、非正規労働者の処遇改善についての要請を行っているところでございます。えーこうした取組によりましてですね、あのー誰一人取り残さないというSDGsの理念の下ですね、京都府、京都労働局とも連携を密にしながら、女性の割合が高いこの非正規雇用労働者をはじめとする市民の雇用の維持、創出、そして正規雇用化にしっかり取り組んでいきたいという風に考えているところでございます。
◆やまね/あのーまあ企業への要請ということも言われたんですけれども、今起こっている実態というのがね、それで解決できるんだろうかっていうのは私は率直に思っています。実際に私の所に寄せられた相談事例を一つ紹介したいんですけれども、派遣会社を通じて娯楽施設で働いていた30代の女性ですけれども、「コロナの影響で昨年4月から12月は店が休業になった」と。「派遣会社から休業手当が出たのは4月から5月分のみで、残りの期間の休業手当がもらえなかった」と言うんですね。「会社になぜかと聞いたら、6月以降は退職扱いになっている」と。勝手になっているんですよ。「ところが、また1月になったら、派遣会社から店が再開したので働いてほしいということで、また復帰」しておられるんですね。正に雇用の調整弁になっているとはこのことだという風に思うんですが、都合のいいときだけ呼ばれて、結局休業手当も支払われない事例があるということでですね、私は、これは多くの派遣労働者の方々が今直面している問題ではないかと思うんです。誰一人取り残さないということをおっしゃるんだけれども、是非ね、こういう事例をそしたら、一つでもね、生み出さない、そういう決意でね、臨んでいただきたいと思いますし、私、そのためにはですね、企業の支援とは別にですね、労働者の側の立場に立って雇用問題を専門に担当するやっぱり体制が要ると、これは何度もこの間申し上げてきましたけれども、このことを求めておきたいと思います。
で、もう一つですね、非正規雇用の7割を占める女性について、野村総研の行った「パート・アルバイト女性に関する調査」によれば、感染拡大前と比べて勤務シフトが5割以上減り、労働基準法に基づき保障されるはずの休業手当も受け取れていない、実質失業者と言われる方が90万人にも及ぶと。そのうち、休業支援金・給付金を知っているのは37.6%にとどまっているということで、この支援制度がなかなかやっぱり知られていないというのは問題だと思います。で、私、重要なことはですね、先ほどもおっしゃった経済団体への要請というところだけにとどまらずに、労働者の皆さんに是非情報を伝えていただきたい。そのためにですね、あの例えば、えー市民しんぶん、市政広報板、あるいは市バス・地下鉄、区役所・支所、その他の公共施設ですね、京都市が持つあらゆる媒体を使ってですね、休業支援金や、あるいは労働相談の窓口を周知していくと、こういう取組が必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
(→安田・産業企画室ひとしごと環境整備担当部長)はい、えー休業支援金・給付金等のそういった労働者を救う、そういう支援の周知についてでございますけれども、こうした周知につきましては、まずはあの国が一括して行っているところでございますけども、本市としても、あのこういった周知については行っているところでございます。わかもの就職支援センターでの周知のほかですね、また、京都府ですとか京都労働局とも連携しながら制度の周知の徹底をしているところでございます。特に、学生に対しましては、あのー総合企画局とも連携しながら学生に周知を行っているところでございます。
で、えーまたですね、本市の公式のSNSを活用いたしましてですね、こういった休業支援金・給付金ですとか、雇用調整助成金とか、こういった制度につきましては、その制度の周知について、延べ11万人を超えるSNSのフォロワーに対しまして随時周知を行っているというところでございます。
ただですね、あのーこの休業支援金もそうなんですけども、やはりあの、労働者への支援、もちろんそれは必要なんですけども、やはりこの休業支援金につきましてもこれは雇用調整助成金を補完するものでございます。えー本来ならば、何よりもまずはですね、事業主者がこの雇用調整助成金をしっかり活用していただくこと、これも本当に必要だという風に考えているところでございます。我々もその雇用調整助成金、こういった支援策をですね、しっかり事業者に届けるというためにですね、サポートセンターでの周知ですとか、京のまち企業訪問のウェブサイトにおきましての周知、こういったものをしっかり引き続きやってまいります。
で、議員御指摘の市民しんぶんですとか市政広報板、地下鉄の広報、こういったのを含めまして、より効果的な周知というものも、えーあの御指摘の点についてはよく分かりますけれども、京都府労働局とか、こういった所とも協議しながらですね、その広報の在り方についてもしっかり考えていきたいという風に考えております。
◆やまね/あのー「まず企業が」ということをおっしゃったんですけれども、企業が払わない場合にね、労働者の側から申請できるというのが休業支援金ですから、それ労働者に伝えなくてどうするのかということを私は申し上げておきたいと。
であの、この基本計画にはですね、働き方改革、それから、多様で柔軟な働き方の促進などのフレーズも登場するんですけれども、あくまでリモートワークなんかの話にとどまっているんじゃないかなという風に私は思うんですね。そういう意味では、市長自身が「ブラック企業を許さない」ということをですね、ずっと言ってきているわけですよ。で、なぜその言葉が一切登場しないのか。私はですね、これいわゆるパワハラ防止法が2020年の6月から施行されておりまして、「行政の勧告に従わない場合、企業名を公表する」ということにもうなっております。大企業の場合は。ですから、私は、この基本計画の中に、ブラック企業を許さないとか、あるいは全てのハラスメントを根絶するとかですね、是非そういうですね、立場を書き込んで、京都市として労働者を守るという立場を鮮明に明確にぜひ打ち出していただきたいと、このことも要望しておきたいと思います。
最後にですね、私、雇用の問題というのは企業だけじゃないと思っています。それは、介護士とか保育士など、いわゆるケア労働の分野ではですね、正規雇用でも男性より女性が低賃金となっておりますし、これも結局、介護や保育をですね、女性の家庭労働としてその専門性を評価してこなかった、やはりこういう社会的な問題が問われていると思うんですけれども、こういった分野で働く皆さんの処遇改善についてもですね、雇用の問題として是非産業観光局に問題意識を持っていただきたいということと、それから、公務労働の分野ですね。「民間にできることは民間に」という言葉の下でですね、様々な民間委託が今行われていますが、例えば、上下水道局の検針業務なんかの民間委託ではですね、世界的な水メジャーのヴェオリアの関連会社が最低賃金ぎりぎりで今募集して働かせていると。それから、介護認定給付業務ではですね、人材派遣大手のパーソルテンプスタッフを代表とするコンソーシアムが受託している。それから、様々な窓口業務を人材派遣大手のパソナが受託してやっているという状況です。
であの、私、最後に指摘しておきたいのはですね、政府の成長戦略会議のメンバーでもあるパソナ会長の竹中平蔵氏がですね、文藝春秋の11月号で、コロナ禍での中小企業支援策で大事なこととしてこういう風に語っておられます。「元々経営が危なかった企業は救済しないということ。とう汰されるべき企業を残しておくと、将来的に日本経済の弱体化につながります」と、こういう風に述べておられるんですね。で、私は、ですから京都市のやっていることはですね、あのーまあ地域企業の応援ということは言われるけれども、実際、こういう雇用の問題で言ったらですね、正規雇用を非正規雇用に置き換えているじゃないかと。こういう人材派遣会社に正にもうけを提供している、低賃金労働者を生み出している、これが実態であってですね、こういうことを改めるべきだと、京都市自身がですね、正規雇用の拡大というところに是非責任を持っていただきたいと、このことを指摘して終わりたいと思います。以上です。
2021年3月11日【予算特別委】産業観光局②/コロナ禍における雇用問題について
(更新日:2021年03月11日)