これからのごみ減量の取組には「拡大生産者責任」の位置づけを(2021年8月10日/文化環境委・環境政策局・やまね)

◆やまね/ごみ袋有料化や有料化財源の活用などで考え方の違いはあるが、「ごみ減量推進」は今後も非常に大事だと問題意識を共有している。まず「条例」「プラン」の基本的な考え方について。「ごみの発生抑制」、2R「リデュース」「リユース」という場合、資料に「ごみになるものを作らない」「買わない」を並べて書かれているが、これを同列に置くということがどうなのか。誰かが買わなくても商品があるならごみになる。「買わない」のは川下の話で、上流対策としては「ごみになるものを作らない」ことが最も肝要ではないか。

(→中野・循環型社会推進部長)私どものほうで「ごみを作らない」「買わない」、どちらが優劣ということではなく重要と考える。事業者側はごみになるものをできるだけつくらない、消費者側はごみになるものをできるだけ買わない、この取組の両方が重要。

◆やまね/両方が重要なのはその通り。ただ、第一義的にはやはり商品をつくって利益を得ている企業・事業者の責任は非常に大きいんじゃないか。消費者のみなさんの中には「ごみになるものを買わないようにしたい」と思っていても、一人暮らしのお年寄り、深夜まで働いている若い方、そういう方々が、コンビニで個別包装のものを買うしかないとか、そういう事情もある。「事業者にも消費者にも努力が求められる」のはその通りだが、やはり商品をつくる企業・事業者の責任が大きいと思う。

その点で、京都市の「33の推進項目」にも出てくる「拡大生産者責任」がやはり大事だ。これまで市民や行政が負担していた使用済製品の処理にかかる費用を、その製品の生産者に負担させる。そのことで、結果的に環境に配慮した製品の設計、製造から廃棄に至るシステムを向上させていくものだが、あらためてこの考え方が、これからの社会において強調されるべきじゃないか。

(→中野・循環型社会推進部長)先ほどの少し捕捉になるが、企業側は消費者のニーズ、需要も踏まえて必要なものを生産している。深夜まで働いている方、高齢者のお話もあったが、こういった方々は通常世の中にあるものを皆様と同じような形で手に入れることが難しい状況にある。そういった中で必要なサービスを企業のほうもつくっていると理解。消費者側については、そういった企業がつくられたサービス、便利なものを、その人の状況に応じて活用されているということかと考える。消費者側、企業側、どちらがどうだということではないが、双方の生産消費行動のくり返しで経済は回っていると考える。我々ごみの問題を扱っているので、そういった意味では、企業側が生産するからとか、消費者側が購入してしまうからリデュースが進まないと、どちらか一方という議論ではなく、企業側も消費者側もどちらもそういったことにできる範囲の中で、取組を進めていただく、意識を変えていただいて行動変容していただく、こういったことが非常に重要と思う。

拡大生産者責任は、かねてから我々のほうで国のほうにも求めている。今回プラの新法もできプラスチック製品の分別回収も始まろうとしている状況もある。こういったことも踏まえ、国に対しては引き続きこの考え方を求めていくという姿勢に変わりない。

◆やまね/拡大生産者責任の問題は国への予算要望もされているということだが、他の政令指定都市なんかと連携して、指定都市会なんかでも一緒に要望されているのか。もしそうであれば資料でいただきたい。

(→中野・循環型社会推進部長)国への要望については、特にプラ新法ができる動きが出てきた時に、政令市5都市で要望なんかもしている。その時の資料もあるので提出させていただく。

◆やまね/次にごみ量の問題。「市受入量」「ごみ焼却量」「市最終処分量」を目標達成とのことだが、「令和2年度のごみ量の減少は、新型コロナによる経済活動への影響(インバウンドの消失、外出自粛等)も要因」とのこと。裏を返せば、観光客が大量に京都市に来られることで、ごみ量が増える可能性があるということか。オーバーツーリズムということが問題になってきたが、ごみ処理の点でも京都のまちが無尽蔵に観光客を受け入れられるわけではないということか。一定のキャパシティを超えるとごみ処理の問題でも大きな負荷がかかるという認識か。

(→中野・循環型社会推進部長)観光客とごみ量の関係だが、令和2年度はご承知の通り、インバウンド中心に観光客少なくなった状況もあり、事業活動への影響もあり事業ごみが減少。その意味ではウィズコロナ、アフターコロナという場面でインバウンドがどの程度戻るのか、観光客の動向は今後も見ていく必要あろうかと思うが、特に「食品ロス」という意味でいくと、飲食店・小売店が大きな影響をコロナで受けているので、このあたりの数字は戻ってくるというか、高まってくる、ごみ量が増える方向にはたらくのではないかと考えている。

◆やまね/コロナ以前は外国人観光客がさらに増え続けるという前提に市の施策も考えられてきたと思うが、市は「市民1人1日当たりのごみ量」という数字も出しているが、市民が必死にごみ減量に協力しても、外から来られた方々が大量にごみを生み出してしまうということであれば、何をやっているのかということになる。京都市において観光客を受け入れられるキャパシティはどれくらいなのか、ごみ処理という観点からも一定考えておく必要があるのではないか。

それから、ごみ減量の結果、市の最終処分量が昨年度5.1万トンとのこと。①この行先として「エコランド音羽の杜」「フェニックス」、それぞれ量が分かれば教えていただきたい。②最終処分量が減ったことで最終処分地も相当延命できるのではないか。当初想定されていた「エコランド音羽の杜」の残余年数(何年まで持つか)と、現在の最終処分量で計算した場合の年数(何年まで持つか)、分かれば教えていただきたい。

(→藤原・適正処理施設部技術担当部長)エコランドとフェニックスの割合、だいたい最終処分量、焼却灰の量5万トンくらいだが、以前はだいたい25%がフェニックスだった。令和2年度については45%まで増やしている。令和3年度はそれを65%まで増やす計画。

エコランドの残余年数、平成12年度にオープンし、当初15年と言ってたやつが、現時点で現在のごみ量、灰の量が続くと、約あと50年と考えている。

◆やまね/フェニックスに行く量を増やしている理由は。

(→藤原・適正処理施設部技術担当部長)以前は、平成30年度末時点でフェニックスの残量は、当初、平成13年度に京都市の枠としていただいた量が22万㎥だった。それを計画的に使っていくということで一定抑えた搬入量にしていたが、平成31年度から24万㎥追加で獲得でき、その期限が今のところ令和14年度になっている。その令和14年度までに、追加でもらった分と当初もらった分の残り25万㎥を残余年数で計画的に使っていくということで増やしている。そのことによってエコランドの延命進むものと思っている。

◆やまね/そういうものも含めてエコランドの延命年数もとのこと。先ほどもあったが、プラごみの削減にもこれから力を入れるという話もあった。発生抑制・2R、分別・リサイクルによるということもあらためて力入れる話あったが、あらためてそこが重要だと私たちも思う。ごみ減量によって最終処分地の延命をはかるべきで、この間ずっと問題になってきた「焼却灰溶融施設」、コストも非常に問題と思うので、こういう構想はきっぱり断念していただいたほうがいい。

もう一つ資料を求めたい。南部クリーンセンターのバイオガス化施設だが、これも計画時にはその必要性、構造上の問題、コストの問題などかなり議論させていただいた。完成後の稼働実績を知りたいので、運転開始後にストップした時間・期間とその理由(通常の整備なのかトラブルなのか)について分かる資料を出していただきたい。

(→藤原・適正処理施設部技術担当部長)処理量、稼働時間、すみません、稼働時間は集計しないといけないのでちょっと時間がかかるかもしれないが、提出させていただく。

◆やまね/「食品ロス削減」に関わって。特にフードバンク等との連携について。市として「京都市フードバンク団体等による食品ロス削減に資する取組支援助成金」も実施されている。路上生活者への支援や福祉施設への食材提供などに加え、最近では子ども食堂や困窮する学生さんへの食材提供などの取組も市内各地でおこなわれている。そういった取組と食品ロス削減が連携できないかと思う。例えば、子ども食堂や学生支援の取組も助成金の対象にするとか、あるいは食材提供のやり取りで連携するとか、物資提供の相談窓口を市がつくってハブ的な役割を果たすとか、そういう取組ができないか。

(→中野・循環型社会推進部長)本市ではH29年3月に「フードバンク等活動支援助成制度」を開始。食品ロスの発生を防ぐことを目的に食品を集めて、それらを先ほどお話あった子ども食堂とか福祉施設、そういったところに無償で配分する取組をしていただいているフードバンク団体、こういったところに対する助成金ということで、市のほうから補助金を出させていただいている。フードバンク団体の状況だが、助成をしているのは京都市で大きいところで2団体あるが、NPO法人で活動していただいている状況もあり、多くの食材をいろんなところから受け入れるみたいな体制が整っている状況ではないと思っている。考え方としては、そういったところも活用しながら、食品ロスをなくすような方向へということは、私どももどのような形ができるのかちょっと研究はさせていただきたいと思っている。

それから、先ほどインバウンドとごみ量の関係のお話あったが、少し補足すると、インバウンドの関係で事業ごみに影響あるのかなと思うが、平成25年度時点の市受入量47.2万トンの内訳として事業ごみが23.6万トン、令和元年度、コロナ禍前、インバウンドが盛り上がってた状況の時、事業ごみの数字が19.7万トンで、ごみ量自体は、この間の「しまつのこころ条例」の推進であったり、我々の取組の中で、ごみ量全体としては減ってきている。ただ、インバウンドの影響で事業ごみで掲げている目標まではなかなかちょっと達成ができなかったということ。市民のがんばりが全てインバウンドで帳消しになるようなインパクトではない。

◆やまね/インバウンドのお話その通りだと思う。観光客がものすごく増えていた時期、オーバーツーリズムと言われている時期においても、じゃあごみ量もそのように増えていたかというとそうじゃなくて、むしろ減っていったわけだから、そこはやはり京都市の取組、市民・事業者のみなさん、業界の努力が結果に表れているということは私たちも敬意を表したいと思っている。ただ、コロナ前は観光客がさらに増えていくという展望もあった。その場合さらにごみ量がどうなるのかは心配。無尽蔵に観光客を受け入れることになると、ごみ量、ごみ処理の点でもいろいろ課題が出てくるのではないかという問題意識でお話させていただいた。

フードバンクの問題では、確かにおっしゃるようにフードバンクのみなさんのところで全部受け入れる体制というのはなかなか難しいと思うので、だからこそ、フードバンクだけじゃなくて、子ども食堂やっておられる方々、あるいは食材提供されている方々ともぜひ連携をしていただいて、食品ロスの削減を図れないか。「考え方としていろいろ研究もしたい」とおっしゃっていただいたので、ぜひともいろんな検討していただけないかと思う。学生支援は総合企画局になるし、子どもさんの問題は子ども若者はぐくみ局、教育委員会にもなるし、保健福祉局、産業観光局、ぜひ各局連携して、京都市をあげて貧困対策、コロナ禍で困窮されている学生さんへの支援と食品ロス削減、ぜひうまくリンクしていただけないか、要望しておきたい。

本来は、食品ロス削減という時、余ったものをあげるということではなく、必要としている人に必要なものがしっかりと行き渡る社会でなければいけないと思う。企業の利潤追求のために、資源やエネルギーが大量に消費され、一方ではそれを手に入れられない人がいる、一方では大量に余って積み上げられる、こういう社会は大変非効率な面がある。あらためて大量生産・大量消費、こういう経済社会のあり方も考えていく必要があることを指摘して終わりたい。

2021年8月10日【文化環境委】環境政策局/理事者報告「『新・京都市ごみ半減プラン』の推進結果について」

(更新日:2021年08月10日)